satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第263話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、『奇跡の洞窟』を見事、踏破したスカイの二人。のんびり帰宅中です。
長かったなぁ……ダンジョン探検……
探検は終わりましたが、奇跡の洞窟編はもう少し続きます。お付き合いくださると幸いです!


《L side》
ティールの計らいによって、短時間ではあるが休憩を挟んだ私は、幾分か元気を取り戻した。どれくらい元気かって言うと、とりあえず、真っ直ぐ歩けるくらいには回復しました。はい。
それでも、もう少し寝て回復したいところではあるけれど、それは部屋に戻ってからでも問題はないだろう。
そんなこんなで、色々ありつつも、無事にスプランドゥールへ戻ってきたわけで。
「とーちゃくっすね~……色々、お疲れ様です。お互いに」
「だね。まあ、ぼく的には初めての場所だったから、結構楽しかったよ」
ほう。幽霊云々のくだりも含めて楽しかったと。
「……そこだけは楽しくなかった」
「あっはは! そっかそっか。けど、安心してよ。なんにもいないから!」
さて、と。探検は無事に終了。頼まれた依頼もクリア。……今回の仕事、現段階では最低限の条件を満たしている。
残るは今回手にした情報をどうするかである。ユウアちゃんから報告されているだろうから、ルーメンさんに報告しないわけにもいかない。そして、この情報を使って、ルーメンさんから残された謎を聞き出さなければならない。
ミルティアのこと、試練のこと、その他諸々を。
個人手に口は立つ方だと自負している。だから、相手から情報を聞き出すのは得意だ。が、ルーメンさんはあまり相手にしたくない。のらりくらりとかわされそうで、上手いこと論点をずらされそうで、やりにくそうだから。
とはいえ、今回得た情報はルーメンさんと戦うためにはいい武器だとは思う。話していないこともあるにはあるし……なんとかなる……と、思いたい。いや、なんとかするしかない。
「ルーメンさんからあれこれ聞き出せるといいんだけど……どうなるかなぁ」
「それは君に任せるよ。ぼくじゃ力になれそうにないからさ」
「うん。任されました~」
「あっ! ラル! ティール!」
ギルド前に到着してすぐ、しーくんが笑顔で私達のところへと駆け寄ってきた。私がしゃがみ、手を広げると何の迷いもなく、私の懐へと飛び込んでくる。
「しーくん! たっだいまー!」
「ただいま。雫」
「おかえりなさいっ!」
はぁぁぁ~……癒されるぅ~♪ うちの子、滅茶苦茶可愛くないですか?? これだけで疲れなんて吹き飛んでしまうよ。しーくんが栄養ドリンク代わりだよぉ~♪
「ラルさーん! ティールさーん! お帰りなさい!」
ティール、おかえり!!」
しーくんと共にギルドの入口で遊んでいたのだろうか。ツバサちゃんとツルギ君もしーくんに少し遅れつつも、私達を出迎えてくれた。ツバサちゃんは私の方へ、ツルギ君はティールの方へと駆け寄ってくる。
ツバサちゃんもしーくんに負けず劣らず、さいっこうの笑顔である。
「お仕事、お疲れ様です。ラルさんっ♪」
「ありがと、ツバサちゃん。……お疲れついでにお願い事してもいいかな」
「はい。私にできることなら」
「ぎゅっとしてもいいっすか。もふもふしてもいいっすかっ!!」
「! もちろんです♪」
私の要望を笑顔で受け入れてくれたツバサちゃんは、何の躊躇いもなく、私の腕の中へ。
天使二人が私を抱き締めてくれているなんて……ここは天国だろうか。私は今、死ぬのだろうか。やばい。死んでもいいです……!
「どうせなら、ツルギ君もこっち来てくれてもいいんだよぉ?」
お出迎えのお礼なのか、ティールになでなでされてご満悦のツルギ君に問いかけてみる。まあ、彼からの返答は反応も含めて、予想できているのだが。
「ぜぇぇ~………ったいに、やだ! ラル、さりげなく僕のしっぽ、触ろうとするんだもん!」
案の定、目をつり上げ、猛反発。うん、知ってたけど。ここまで、予想通りの反応されるのもなんか面白い。
いや、しかし、しっぽを触る? んなことした覚え……いや、一回あるか。いつものようにツルギ君が私に勝負を挑んできたとき。
「ラル。それは犯罪チックだよ? ツバサには許可取ってるから、流してたけど……嫌がる相手にそれはないんじゃない?」
「待て待て待て!!?? 事故だ! ツルギ君のあれは事故だって!」
触ろうと思って触ってないのだから、ノーカウントだ。触ろうとした覚えはない。故意に触るなら、本人の許可くらい取るぞ。嫌がらせでもない限り。
しかし、ツルギ君は疑いの目を私に向け、ムスッとした表情を浮かべたままだ。そして、ティールの影に隠れる。
「……信用できない」
「だってさ。諦めたら?」
ツルギ君が私に抱きついてくるのは予測していないので、それはいい。それはいいのだが……
なんで、私がこんな惨めな思いをしてるんだよっ!! あれは! 事故だってば!! そこだけは認めてくれよっ!?
「べぇーっだ! しーらないっ!」
「ツルギ君!? 流石に知らないはないんじゃないな!?」
「……ふふっ♪ すっかり、仲良しさんなのね」
……? 誰?
声のした方を見てみると、とある女性が楽しそうに微笑んでいた。そして、その女性を見た私とティールは呆然とした。
涼しげな水色に紺色のスカートの漢服に身を包んだその人は、ツルギ君とツバサちゃんの母親であり、私達の通うレイディアント学園祭の理事長……セラフィーヌ・ケアル、その人であったからだ。
普段の格好とは違うものの、突然の理事長の登場に動揺しないわけがない。私とティールは、並んで背筋を正した。
……いや、別に学校ではないのだから、こう畏まる必要もないとは思うのだが、反射って恐ろしい。
「ちょ、ラル……どうしたらいい? どうしたらいいの、これ!?」
「知らないよ……! なんでこんなところに理事長がい……ても、おかしくないのか」
『明けの明星』はルーメンさんのギルドであり、居住区。そして、ルーメンさんは理事長の父親。つまり、ここは理事長にとって、生家……実家だ。
「夏休み中だし、実家に帰省しても変じゃないよね。理事長がいても、いいんだよ。変なところなんもないわ」
「…………あ、確かに。なんで、そんな当たり前のこと忘れて慌ててんだ、ぼくら」
ルーメンさんが濃すぎるんだよ。ルーメンさんが悪い。
「んな無茶苦茶な責任転嫁ある?」
うっせ。
「あらあら♪ 大丈夫かしら?」
相変わらず、楽しそうに微笑んでいた理事長が問いかける。私とティールは黙って何度も頷いた。
「そう? あぁ……遅くなったけれど、二人とも、お帰りなさい♪」
「……た、ただいま戻り、ました?」
戸惑いつつ、ティールが返答する。彼が返答したので、私は黙ることにした。
いや、だって、どう返答していいのか分からん! 分からんて!!
えぇい! 分からんついでに質問してしまえ!
「……あの、理事長……いや、外だから、セラフィーヌさんの方がいいのかな。……なぜ、外で出迎えを? それとも、たまたま戻ってきたところに出会しただけですか?」
「実は丁度、向こうでの仕事をある程度終わらせてこっちに戻ってきたの。そうしたら、ここの出入口であなた達の帰りを待つツバサ達に会ってね。それなら、私も一緒に待とうかな~って♪」
「待とうかな!? そんな軽いノリでぼくらを出迎えてくれたんですか?」
「えぇ。便乗しちゃった♪」
しちゃった……!?
理事長って、こんな人だったか?
私はそこまで顔を会わせていないが、少なくともこんなお茶目な印象はなかった。うちの親方でもあるまいし……
私の視線に気づいたのか、セラフィーヌさんが人差し指を口にあて、小さく笑う。
「私にもオンとオフの切り替えがあるってことですよ」
あぁ、これは理事長の雰囲気そのものだ。
そりゃ、誰にでも仕事とプライベートの切り替えくらいする。セラフィーヌさんもそれに当てはまる人ってだけだ。
「……みたいですね」
「うふふ。納得してくれてよかった♪」
『おわぁぁぁ!!!』
『ふぃー! おひさしなのだー!!』
突然、聖剣二人の声が響き、剣から液体と冷気へと変化。同時にティールの顔がさっと青ざめる。
「ばっ……! また、お前らはっ!」
「あらあら。すっちゃん、せっちゃん~♪ 久し振りね~♪」
うん。もう、ここ数日で見慣れたよ。
ダンジョン内で、二人はセラフィーヌさんと顔見知りだって言っていた。今更、驚きはしない。ティールは勝手に飛び出したことにヒヤッとしているだけだろう。
「キャン! キャン!」
デジャブ光景をぼんやり見ていると、どこからか犬の鳴き声が聞こえてくる。そして、動物の威嚇と思われる声も聞こえてきた。
……犬の方はリランだろう。が、威嚇の主は誰だ?



~あとがき~
ほのぼのが! 帰ってきた!!

次回、リランと威嚇の主の話。

戦わなくていいって楽でいいですね←
最近、学パロと銘打っているのに、学パロしてなくて詐欺だなと思い始める私です。いや、夏休みに冒険してると考えれば十分学生なのかもしれん。しかし、こいつらの夏休みはどこで終わりを迎えるんだろうか……?

ではでは。