satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第264話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ギルドに帰ってきたラルとティール。そこで、ツルギ&ツバサ兄妹の母、セラフィーヌさんが登場!
そしてそして、今回もまたギルド出入口付近からスタートです。
ラル「今更だけど、入口で滅茶苦茶騒いでんな、私達」
ティール「本当に今更だな……」


《L side》
リランの声が聞こえた方を見てみると、見知らぬ黒猫がリラン(犬ver.)の顔面に猫パンチ─結構、ガチなやつ─をヒットさせまくっていた。
その猫パンチが効いたのか、リランは黒猫から逃げようと泣きながら走り回る。そんなリランを逃がさんと、黒猫は追いかけ回していた。
……えーっと、何事?
普段なら、リランが追いかけ回す側だと思うんだが、黒猫の方が追いかけている。しかも、そこそこお怒りのご様子で。
そんな黒猫も普通の猫ではなく、尻尾は二股に分かれ、赤い目をしている。目の色はともかく、尻尾が二股になっている以上、普通の猫じゃない、はず。
「あらあら……ネロ~? あまりリランをいじめちゃ駄目でしょう?」
リランと黒猫の喧嘩に気づいたのか、セラフィーヌさんがやんわりと止めに入った。ネロと呼ばれた黒猫は怒りが収まらないのか、リランを追いかけ回すのをやめない。
「ネロ! めーっ!!」
『あー! ねっちゃ、だめよー!』
『りら、いじめちゃ、めー!』
そこにしーくん、スイちゃん、セツちゃんの制止の声を聞いて、ようやく黒猫は大人しくなった。それでも、どこか不機嫌そうではあるが。
また、ネロから解放されたリランは、ツバサちゃんに保護され、事なきを得たようだ。
「リラン、大丈夫? だから、ネロにちょっかい出すのやめなさいって言ってるのに」
「くぅ~ん」
ツバサちゃんの口振りから、どうやらあれはいつもの光景らしい。ツバサちゃんもセラフィーヌさんもそこまで慌てた様子がなかったから、深刻な状況ではないとは思ってはいたが。仮にあれがいつものだとすると、リランも懲りずにネロと言う黒猫に絡んでいることになる。
……リランらしいと言えば、それまでだが。
状況を理解していないのは、私だけではなく、ティールもだ。この場にいる私とティールだけがいまいち、理解できていない。
『ふふん♪ なかなかに愉快な見世物だったぞ。駄犬の癖にやるではないか♪』
うん。雷姫は黙っててね。
「ラルさん達はネロと会うのは初めてですよね? あの黒猫さん、名前はネロって言って、お母さんの精霊なんですよ」
と、リランを落ち着かせたツバサちゃんが説明してくれた。
ふぅん……精霊。精霊?
私と同じ疑問が浮かんだのだろう。ティールも不思議そうに首を傾げていた。
「あの黒猫が、セラフィーヌさんの精霊?」
「うん。母さんが子供の頃から契約してる精霊なんだって」
と、ツルギ君が補足してくれる。
精霊……精霊ねぇ?
セラフィーヌさんはどう見ても、兎族。系統は炎と光属性を得意とするピンク色。……普通、黒猫の精霊と契約なんてなさそうだが。
「ふふ♪ 実はね、ネロは元々、野良精霊だったのよ?」
セラフィーヌさんがネロに目線を送りつつ、ふわりと笑う。そんな視線に興味はないのか、ネロは呑気に欠伸をしながらギルドの扉付近で丸くなっていた。
野良精霊……なるほどね。
自然界で生まれた精霊のことだよね?
「うわ! ラルにしてはよく覚えてたね……?」
なんだ、うわって。うわって。
「精霊は基本、魔法使用者の“召喚魔法”によって作り出されたり、呼び出されたりするわ。けれど、野良精霊は言葉通り、自然に生まれた、主のいない精霊なの」
「原理は魔力石とほぼ同じですよね。空気中の魔素が結晶化したものが魔力石となり、魔力となり、自我が芽生えたものが精霊へと変わる……でしたよね?」
「えぇ。ほとんどの場合、魔力石となるから、野良精霊の存在自体、滅多に見かけないんだけれどね。……それにしても、ティールくん。よく勉強しているのね~♪ 流石ね」
「え! あ、いえ! そんなことは。この前のテスト範囲で……あ、だから、君も覚えててんだ?」
ギリギリな。
「誇るな。そのまま覚え続けて」
……善処しまーす。
まあ、すんなり野良精霊なんて言葉が出てきたのは、『奇跡の洞窟』でゴーレムを見たせいでもあるのだが。……言わなくていいか。
「ネロの話はとりあえずここまでにして……リランと喧嘩しちゃってた理由を話しましょう」
あぁ、そっちが本題か。
とはいえ、あれを見れば、リランはネロに嫌われてるんだろうなって予測はつく。単に相性の問題なのか、何か原因があるかは分からないが。
「ネロと仲良くないから、リランはいっつもネロに攻撃されちゃうんです。でも、リランは仲良くしたいみたいで、それでネロにちょっかいを」
あはは……それは難儀な。
「私達にとっては日常茶飯事なんですけど……もう。リランも諦め悪いね~?」
「くぅん……」
ツバサちゃんの慰めにも悲しそうに鳴くリラン。これもまた、日常茶飯事なのだろうか。
リランはギルドの扉付近で丸くなっているネロをじぃっと見つめてる。が、当のネロは全く興味がないのかそっぽ向いたままで、相手にしようとしない。
「あう~ん……」
「あらまあ……こんなリラン、初めて見るわ」
『はんっ! 我を雑に扱う報いよ。良い仕置きになるだろうて』
雷姫を雑に扱うのと、ネロとの仲の悪さは別物でしょ。仕置きになってるか怪しい気もするし。……けど、雷姫がいいなら、いいか。
「! わふっ!!」
え? うわっ!?
雷姫の声が聞こえていたのか、リランが突然、私に……正確には、私の腰にぶら下がっていた雷姫に向かって突撃してきた。そして、気づいたときには、雷姫はリランの手の中……基、口の中であった。
『マスター!!』
「ご、ごめん。そんな簡単に外れるような装備じゃないはずなんだけど……おっかしいな?」
雷姫を咥えたリランは私達から少し離れたところで、雷姫を包み込むようにくるりと丸くなる。そして、甘えるように雷姫に擦り寄った。
「わふーーん!」
『勝手にマスターから引き剥がした挙げ句、慰めろだと!? なぜ、我がそのようなことをしなければならんのだ!』
「くぅーーん!」
『人の話を聞かんか! そのような性格だから、あの黒猫にも嫌われるのではないか!? 人の迷惑を理解をしろ、駄犬めが!』
……なんだかんだ言いつつ、リランの面倒見ている雷姫って優しいよね。なんにもなさそうなので、放置しよう。いつものいつもの。
「……そういえば、二人はダンジョンからの帰りだったわね。これから、お父様……親方に報告へ行くのかしら?」
セラフィーヌさんもなかなかのスルースキルをお持ちなようで、リランと雷姫は意にも介さず、話しかけてくる。
「そのつもりです」
「そう。この時間なら……親方の仕事も一旦落ち着く頃かしらね。きっと、今から行っても大丈夫だと思うわ」
「本当ですか? では、そうします。……ラル、行こっか? あ、雷姫さんは」
「うーん、と……雷姫は~」
……本当は放置はよくないけど、あのリランから取り返すのは難しいし、何より、かわいそうだ。不用意に触らなければ、問題はないはず。
「……リランが振り回しているわけじゃないから、置いていく。ルーメンさんの報告もそこまで長話にもならないと思うからね。ってことだから、しーくん」
「ん!」
「雷姫が誰かに触られないよう、見ててくれるかな? お願いできる?」
「はーいっ! まかせて~!」
幼いしーくんに頼んでしまっていいのかと思うかもしれないけれど、流石の雷姫もしーくん相手に全力の電撃反発はしない。というか、反発を受けているところを見たことがない。多分、それはしーくんが雷姫と近いからだと思う。フォース君と雷姫の仲が滅茶苦茶悪くても、反発しないのと同じ原理で。
まあ、フォース君と雷姫は喧嘩するほどなんとやらって方かもしれないけども。
「ってことだから、ツバサちゃんとツルギ君も触らないようにしてね~」
「はい!」
「えー? そんなに危ないの? あの妖刀」
疑い深いなぁ……信用しないなら、雷姫に吹っ飛ばされても知らないけど。
ツルギ君の様子を見たティールが苦笑を浮かべつつ、ツルギ君の方を見た。
「危ないよ。ぼくも一回触ったことあるけど、大変だったんだよ?」
「そうなの!? じゃあ、触らない!」
……なんか、納得いかない。
「まあまあ。これでツルギも触らないだろうから、いいだろ?」
納得いかない!!
いかないが、まあ、いい。今はルーメンさんへ報告するのが優先だ。
「雷姫! 少しの間、リランの相手、してあげて? すぐ戻るから」
『なっ!? マスター、我を置いていくのか! この駄犬に我を任せると言うのか!!』
「違う違う。雷姫にリランを任せるの」
『マスター!?』
雷姫の悲痛な叫びに私は微笑みを返すのみに留める。
どんな言い方をしてもこの場に雷姫を放置するのは変わらないし、リランに託しているのも変わらないのだ。まあ、なんだ。私に言えるのは、一つだけだろう。
健闘を祈るよ、雷姫!



~あとがき~
わちゃわちゃしている方が書きやすい。

次回、スカイとルーメンと報告の話。

小説書くの、下手くそになってないかと疑い始めている今日この頃。なぜかって?
ここのあとがきのネタが出てこないからだよっ!!
まあ、それはさておき。
初登場の精霊、ネロがいました。
相方曰く、黒猫で猫又な精霊だそうな。それを聞いて、精霊よりも妖怪に近い気がしたのは気のせいだろうか……(笑)
どうでもいいけど、精霊がいっぱいいますね。ネロ、リラン、ユウア、クルス、ソイル、クーちゃん、ノワール、ふわ……くらいか。現状、名前があって出てきてる子は。忘れてる子がいたら申し訳ね!
精霊だけで何か書けそうなくらいいっぱいいるわ。ひえ~

ではでは。