satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第266話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ルーメンさんに夜にお話ししましょーと提案し、受け入れられたところで終わってまーす。
今回はワンクッション回。ゆるりと楽しんでくれよな~
ラル「正直にまとまりませんでしたと言え」
……ひぇえ。すみません!


《L side》
今晩、話す約束を取り付けた私達は一度、親方部屋を後にする。本当なら、このまま自分達の部屋へと直行したいところだが、如何せん、雷姫をリランに渡したままだ。渡したままというか、奪われたままというか。
「……流石にリランも落ち着いた頃かな。返してくれるかな」
「ちょっと行ってみようか。雫も迎えに行かないとだし」
そだね。雷姫の回収ができなくても、しーくんは迎えに行かないと。
雷姫は……最悪、私が呼び戻せば勝手に帰ってこれるもんね。うん。そういうことにしておこう。
なんてことを考えながら、再びギルドの正面入口へと戻ってきた。そこには別れたときと変わらずの面々がいて、唯一の違いと言えば、リランが静かになっていることだった。
「ありゃ? リラン、寝ちゃったの?」
寝ていても雷姫は離さんとする意思なのか、がっちりホールドした状態である。
私の言葉に、ツバサちゃんが困ったように笑いながら小さく頷いた。
「泣き疲れたのか、さっき、こてんっと寝ちゃいました」
ふぅん……?
そんな状態のリランから抜け出すのは容易いはずだ。それでも大人しくホールドされているのは、リランを思う優しさなのだろう。
「雷姫、ただいま」
『む。マスターか。早うこの駄犬から我を助けよ』
「助けるけどさ。……でも、自力でも何とかなるんじゃないのぉ?」
『ふん。……無論じゃ。だが、下手に刺激して起きてこられても困る。ならば、マスターの帰りを待つ方が得策だと思うただけのこと』
あはは。まあ、そういうことにしておこうかな。
私はリランを起こさぬよう慎重に雷姫を抜き取り、腰へと装備させる。
「さて。一旦、部屋に戻るかな~? しーくんとティールはどうする?」
ツルギ君とセラフィーヌさんに挨拶をしていたらしいティールが私の方を振り返る。そして、少しだけ考える素振りを見せつつも、にこっと笑った。
「ぼくも部屋に戻るよ。着替えたいからね」
「ラルとティールがもどるなら、ボクもいっしょにいく!」
はいはーい。決まりだね。
ツバサちゃん達とは夕食を一緒に取る約束だけして別れ、私達は部屋へと向かう。
いつもの流れで約束してしまったけれど、セラフィーヌさんはよかったのだろうか……? まあ、今更だけど。

部屋に戻って、ベッドにダイブ~……といきたいところだったが、流石にシャワーの一つでも浴びないと気持ち悪い。何せ、今日一日は探検三昧とも言える日だったのだ。敵との戦闘も多かったし、何より洞窟に籠りっぱなしだったから、気持ち的にもさっぱりしたい。
「私、先にシャワー浴びてくる」
「うん。行ってらっしゃい」
着替えを手にバスルームへ。扉を閉めたことを確認して、身に纏っていた探検服を全て脱いだ。
鏡に写る自分をパッと見ても、そこまで目立つ怪我は見当たらなかった。疲労はあれど、痛みもそこまでないし、最後のベヒーモスの咆哮のダメージは問題なさそうか。
「数年前の私だったら、もっと怪我してたんだろなぁ」
普段はあまり実感はないけれど、過去に負けた相手を負かせたというのは、私達が成長している証の一つである。
とはいえ、嫌な思い出には違いないので、ベヒーモス相手は今後もあまりしたくはないのが本音なんだけれど。
浴室へ入り、何の迷いもなくシャワーの栓を捻る。暖かなお湯が体を撫でていき、ほっと一息ついた。
「……はぁ」
とりあえず、今回の依頼の一つはこれでおしまい。まだ女神祭関連が残っているから、手放しに安心はできないが、一応、大きな一つが終わったことによる解放感は感じていた。
……まあ、ミルティアの件は残っているんだけれど。
先程の報告でルーメンさんに明かしていない手札がある。それは、私が『女神の精神体と話した』という事実だ。それを上手く使えば、女神の真実とやらを明かせるのだろうか。
マント男との関係性。女神の罪。その他諸々。
「あはは……とはいえ、明かしていいものなのか微妙な気もするなぁ」
女神本人は親族……ケアルに伝える分には問題なさそうな雰囲気ではあったが。
……そういえば、女神の件以外にもまだ聞いていないことがある。
私達に課せられていただろう、試練についてだ。なぜ、そんなことをしたのか真意を教えてもらっていない。
それに、数いるボス級モンスターの中で、ベヒーモスを選んだ理由も不明なままだ。
……いや、見当がつかないわけではないのだが。あくまで、可能性の一つでしかない。たまたまということもありえなくはない。
しかし、ここまできて、『偶然』の一言で片付けるのも都合がよすぎる。きっと、何らかの理由が存在するはずなのだ。
その辺りも聞けたらいいんだけれど……
「どう話を展開していこう」
気を付けないとルーメンさんのペースに乗せられ、のらりくらりとかわされる可能性がある。本当に、気を付けないと。
はぁ~……やだやだ。口が上手い相手をするのは、神経を使う。しかしまあ、今回は私のペースで、聞きたいことを聞き出してやる。
なんせ、打倒ルーメンさんを胸に依頼を頑張ったのだ。あと少し、頑張らねば。

一時の休息後、いつも通りの時間に夕食を取るべく、食堂へとやってきた。そして、いつもと変わらず、ケアルの双子と合流をする。
ここに来てから、ツバサちゃんとツルギ君とご飯を食べるのが習慣化されているが、よくよく考えて、親であるアルフォースさんと一緒でなくていいんだろうか。今日はセラフィーヌさんもこちらへと帰ってきてるのに……所謂、一家団欒という食事をしなくてもよいのだろうか、と思ってしまうのだ。
ま、その辺に突っ込むのは野暮かもしれない。私に一家団欒なんてものを語れるはずもないのだから。
……いやいや? 別にチームやギルドの皆で食べるご飯もある意味、一家団欒かもしれないけれど……一家、なのか。あれらは?
「ラル? 何、微妙な顔してカレー見てるの? 嫌いなものでもあった?」
「別に。嫌いなものはないけど……」
一家団欒って何だろうね、という問いかけをここで投げるのはあまりにも場違いである。あまり家族と仲良しではない相棒に、家族の話題は微妙過ぎる。一般論として話してくれるとは思うけど、なんか心配されそう。何か、別の話題はなかろうか……
ぐるりと辺りを見回せば、ふととある疑問が浮かぶ。
ここの夕食はバイキング形式で様々な料理が並ぶ。和洋折衷様々な種類の料理を好きなような組み合わせで食べられる……バイキング形式なのだから、そんなものかもしれないけれど。しかし、今夜はそうではないらしい。大して考えてなかったけれど、異様にカレー料理が多い。スタンダードなカレーから、キーマカレーグリーンカレービーフにチキンに色々。
かくいう、しーくんやツバサちゃん、ツルギ君も各々好きなカレーに舌鼓を打っているところである。
「……なんでこうもカレー一色なの?」
「アリアが多種多様の香辛料を持ってきたって話だよ。カズキさん達に聞いた」
……へぇ。
アリアちゃんがどこからギルドのバイキングを賄えるほどの香辛料を手にしてきたかも気になるところだが……それよりも彼の言動で気になったことがある。
ティール、いつの間にカズキさん達と交流を深めてるの。初日、あんなに睨んでたくせに」
次の日にはけろっとしてたとは思うが、それでもカズキさんと親交を深めようとしていたとは知らなかった。
「アップルパイ効果?」
「アップルパイ怖いな!? あのさぁ、もしも私が敵に捕まったとして、交渉の場にアップルパイ持ち出されたらどうするの」
「え……どんな状況だよ、それ。仲間とアップルパイを天秤にかけても、仲間の方が大切だろ」
言い出しっぺの私にも分からん。
「超人気店の限定アップルパイをくれてやるから、リーダーは寄越せ的な……なんかそういう交渉するかもしんないじゃん」
「なるほどね……じゃあ、アップルパイ貰おうかな」
にゃにおう!?
「で、敵が油断している間にラルを助けて、敵は全滅させる。で、いこうかな」
馬鹿馬鹿しい話題ではあるのだが、私よりもアップルパイを先に取るのは何なのだろう。そこだけは気に食わん。
「あの……そこは私を助けてからアップルパイ奪取でもよいのでは?」
「アップルパイって言った方が敵が油断しそうだから」
「……さいですか」
彼は彼なりの理由があった……ということで、いいんだろうか。うん、いいんだよね?
ティール、アップルパイとくらべちゃダメだよ! ラルのほうが、だいじっ!」
どこから話を聞いていたのか、しーくんが膨れっ面でこちらをじっと見つめながら、抗議する。そんなしーくんにティールは「大丈夫。例え話だよ」と楽しそうに笑った。
「本当にそうなったときは真っ直ぐ、ラルを助けるから。安心して、雫」
「むー……やくそくだよ!」
「はい。約束」
いや、アップルパイと私の命を天秤にかける状況なんぞあるわけないけどね?
「敵の人達、ティールさんがアップルパイ好きってどこで知ったんでしょうね?」
「あっはは! そんな奴らに捕まるラル、だっさいな~?」
「ツバサちゃんは真面目に考えなくていいから。ツルギ君は笑いすぎです。実際問題、そんなのに捕まってたまるかぁ!」
……なんて、どうでもいい話に花を咲かせつつ、和気あいあいとした夕食を楽しんだ。
私自ら撒いてしまったとは言え、こうも真剣に考える純粋天使二人には恐れ入りました。



~あとがき~
本当、どうでもいい話ほど、楽しいもんはねぇな!

次回、スカイとルーメンさんによる夜会話
答え合わせの時間よ!

短編というか、超短編みたいな感じで適当に書いた今回の話。覚えていなくていいやつばっかでしたね。えぇ。
次回は真面目に話すと思うんで、箸休め程度に楽しんでいただけたら、幸いです。

ではでは。