satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第274話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、親方と電話越しではあるものの、お話をしたラル。今回はフォースとです。
やーやー! 久し振りだなぁ!
フォース「おれとしては、あと一年は休暇もらえると思ったけど」
本編出ない=休暇言うな。


《L side》
私は先に来たアイスティーをお供にこれまであったこと……もとい、ギルド勧誘の件を話す。
私の話を静かに聞いていたフォース君は、─真夏だというのにホットコーヒーチョイス─コーヒーを一口飲み、興味なさそうにそっぽ向く。
「まぁた、変なやつに目ぇつけられてんのな。流石、リーダーだよ。人を惹き付ける何かがあるんだねぇ」
「そういう話だったっけ」
そう問いかけるが、彼は小さく肩をすくめるだけだ。完全におちょくってやがりますね、このお兄さんは。
「結論から言えば、入る入らないはおれが決めることじゃねぇ。お前が勝手に決めろ」
「冷たい。けど、正論ではあるし、そう言われると思ってたよ」
フォース君に直接関係はない。ならば、彼の返答は「どうでもいい」となるだろうと予測していた。それでも、彼に話したいと思ったのだ。彼はよくも悪くも私の意見をすぐに受け入れてしまう人ではないから。
「……だがまあ、おれがお前だったら願い下げだね」
「断るの? 大きなメリットもあるって分かっていて?」
「おれの性分なんでね。少人数ならともかく、大人数の集団で群れるなんてごめんだ。例え、それがおれに利があったとしても、だ。その利のため、苦痛に永遠と耐えるなんて最悪。終わりがない地獄なんて真っ平さ」
「永遠て……大袈裟な」
と思ったが、フォース君にとって、それは比喩でもなんでもない。実際、その通りではある。
「それに話を聞く限り、そこまでおれにメリットないし。なら、入る必要もないのでお断り。……おれだったらだけど」
そりゃ、そうだろうよ。
チームのためというよりは、基本、自分主体で考える人だ。言われればやるけど、自分が必要ないと思えばやらないし、他人にも言わない。フォース君はそういう人だよ。本当に。
いやまあ、全く人のことを考えないわけじゃないけど。
「おれ視点でメリットなくても、お前視点のメリットは大いにある。んでもって、お前は他人のためなら自分を捨てられる。……あぁ、だからこそ、悩んでるのか?」
親方と同じで、痛いところを突いてくるもんだ。
「今では一応、ギルドには所属せず好きなことしてきたわけだし? 今更、どこかに入るのも変な話かなぁって」
「いやいや、フェアリーギルドに片足突っ込んでる自覚があるから、引け目を感じてんだろうが。素直に吐き出せ。めんどくせぇ」
……ぐぬぬ
「どーせ、お前のことだからピンク妖精に話したんだろ。んで、あいつのことだから、後押しされたろうが。なら、気にする要素はどこにもないように思うが?」
「滅茶苦茶、的確だなぁ!? 知ってたけどね!?」
親方に連絡した話はしてなかったのだが、なんでもお見通しのフォース君にはバレバレである。しかも、連絡した結果すらもバレバレで。
「言われる前に先回りで言うぞ。仮にお前が他メンバーに話したとして、だ。あいつらはお前の意見を肯定しかしない。スカイはリーダー主体のチームだからだ。リーダーが絶対のチームだ」
そうっすね。はい、理解してます。
真面目に話を聞いてくれるのは、ムーンかクラウだけ。いや、ムーンだけがきちんと考えてくれるだろう。とはいえ、彼は最終的に「リーダーが決めた道へ共に歩みます」という姿勢だ。ある意味、ティールと同じスタンスである。
「まあ、今回の場合、受け入れたら今以上によくなる可能性が高いだけで、断ったとしても悪くなることはない。結論、お前の好きなようにすればいいとしか言えん」
「うん……振り出しに戻してくれてありがとう……!」
話が振り出しに戻ったところで、店員のお姉さんが「お待たせしました~♪」と頼んだものを持ってきてくれる。
「真夏のひんやり雪遊びでございます♪ それでは、ごゆっくりどうぞ」
頼んだそれと百点満点のスマイルを提供した店員さんは、さっさと別の仕事へと戻っていく。いやはや、完璧なムーブである。
「ラルさん、ラルさん? これ、なんすか」
「真夏のひんやり雪遊びですが」
大きなボウルのようなガラスの器にはアイスやかき氷、フルーツ等々で見事に表現された小さなビーチが広がっている。
例えば、砂浜はオレンジ味のかき氷。海は青色のクラッシュゼリー……だろう。そのゼリーにフルーツで器用に作られた動物達が楽しそうに遊んでいた。砂浜にはアイスの雪だるまや山を表現しているであろう、抹茶アイスもどーんと置かれている。
なんというか、一言で表すなら、夏の思い出の一ページを冷たいスイーツで表現しましたっ!……みたいなやつである。
「これ、おれが食うの?」
「奢ってやるって言ったからね。遠慮すんなよ、お兄さん」
「新手のいじめか? くそったれが」
「まあ、私も食べるよ? 流石に」
「当たり前だ。馬鹿」
フォース君は無慈悲にもフルーツアニマルにフォークを突き刺し、口へと運ぶ。
そこから行く? 普通。
「おれが食えるもんなんて、これくらいだからね!?」
「だとしても、こんなに可愛い動物を最初に食す必要はないよぉ……かわいそう」
「結局、全部食うんだろうが。どれ食っても一緒だろ」
間違ってはないが、楽しむ心と言うものがあってだねぇ?
「うっせ。話を戻すぞ」
……振り出しに戻したくせに?
「こっからはまた別の視点で話すって意味だ。メリットとデメリットの話でもしてやるよ。せっかく、メリット云々を引き合いに出したわけだし」
おお、なるほど?
「現状、デメリットは話に出てきてないなら、強引にデメリット探すしかない。例えば……そうだな。集団に属するということは、自由な時間が減る可能性がある。フェアリーギルドに呼びつけられてたのが、その……なんだっけ?」
忘れんな! 明けの明星な!?
「そうそう。その、明けの明星のじーさんによく使われるようになるかもしんねぇ。そのじーさん、妖精と似た感じの人なんだろ? なら、今後も想像できんだろ」
……そうなると、今と大して変わらないのでは?
「つかさ、お前がギルドに所属したとして、あの妖精の呼び出しが減るとは思えんが」
甘さ控えめな抹茶アイスに手を出し始めるフォース君の口から、とんでもない言葉が聞こえてきたような。
「今だってフェアリーギルドにいるわけじゃないのに、事ある毎に呼ばれてるだろ」
「た、確かに?」
そ、それは少々、面倒なんですが……?
「おれは明けの明星を知らん。そのギルド特有の何かがある可能性もある。まあ、デメリットなんてそんなもんだろ」
プレゼンするのに、あえて悪い箇所を提示する必要はない。だから、私は明けの明星に入った場合のデメリットが不明瞭なのは少々不安要素ではあるかもしれない。
とは言え、現状デメリットよりもメリットが大きいのは確実である。受けた方が私達のためであるのは重々承知している……つもりだ。
「何をそこまで気にするんだかねぇ? 気にしてるっつーか……あれか? 美味しい話には裏があるみたいなの、考えてんの?」
私の心を読めるくせに、あえて聞くのは何なのだ。嫌がらせか?
「そういう意味合いは全くないけど……ま、色々悩めよ、若者。悔いのないような選択をしろ。先輩からの助言」
「他人事だなぁ……実際、その通りなんだろうけどさ」
私の言葉に肯定するように、彼はにっこりと笑う。
「どちらを選んでも不正解はない。お前が納得して出した答えなら、誰も文句なんて言わねぇよ。ま、そもそも言う権利もないか」
「……そうだね。ティールにも似たようなこと言われた」
「それだけお前を信用してるんだろうぜ。……ラルなら、きちんと向き合って決められるってね」
そっかぁ。……その期待は重いけど、嫌な重さじゃないかもね。
「ありがとう。話、聞いてくれて」
「お~……で? 他にもあるわけ?」
あはは。流石、フォース君。
ある意味、こっちの方が本命には近い、かもしれない。聞きたくても聞けなかったやつだ。
「がらっと話は変わるんだけどね? フォース君はスプランドゥールで信仰されてる女神様って知ってる?」
天界に住む彼なら、私達の知らないミルティアを知っているだろうかと思っていた。昨晩、ルーメンさんと話して、フォース君に聞く必要はない気もしたけど、一応、別視点の意見……もとい、情報も聞いてみたかったのだ。
フォース君は少しだけ考える素振りを見せた後、ぼそっと呟くように口を開く。
「……ミルティア様か」
「そう。その人、フォース君の口から話せる?」
「話せなくはない。……が、多分、お前が知っている以上の事は知らん」
「読んだ? 私の心、読みました?」
「いんや。その名前が出てくる時点で、おれは何も言えんよ。……上で話せないし、ここで話すのもよしとは思えないんでね」
ま、確かにそうか。じゃあ、心で話そうかな。
私が黙ったまま微笑むと、その意図を察したらしいフォース君は盛大なため息をつきながらも、さっさとやれとでも言うように手をひらひらさせた。
フォース君がそう言うってことは、ミルティアが罪を犯した神であると知っているんだ?
「まあ、それくらいの知識はある」
どこまで話せる?
「大して話せない。下っ端のおれごときが口にしていい方でもないんだよ」
ふーん? そっかぁ。つまらん。
「何がだよ。……つか、なんでミルティア様を気にするわけ」
「ちょっとばかし、調べる機会があって?」
「ふぅん。……ま、仲間のよしみで一つだけ。あのお方がしていたとある仕事は、おれがやってる仕事の一つと似ていたらしい、とだけ」
フォース君の仕事? 色々あるけど?
「そこはノーコメント。さっきも言ったけど、おれも詳しくは知らんし。ま、仮に知ってても話さないがな」
ぐぬぬ。ま、禁忌を犯した神様の話をするのはご法度だろうとは思ってましたよ。
「思ってて聞く辺り、性格悪いな」
「えへへ。……あ、あと、一つだけ。ウィルさんって今、何してる?」
せっかくだし、ね。
ミルティアの言付けもあるし、もしここで会えるなら伝えてあげられると思ったのだ。
ここでウィルさんの所在を聞かれるとは思ってなかったのだろう。フォース君にしては珍しく、きょとんとした様子で小さく首を傾げた。
「兄貴? 仕事か何かでここには降りてきてるみたいだけど、詳しいことはおれも知らない。なんで兄貴のことを?」
「ちょっと話したいことがあって。内容的には急ぎじゃないんだけどさ」
「ふーん? ま、いいけど」
私の話そうとしない雰囲気を察してくれたのか、これ以上踏み込んでこなかった。
「フォース君、ありがと。色々聞いてくれてさ」
「別に。……礼を言うくらいなら、目の前のクソデカ甘味をどうにかしてくれ」
はいはい。食べるってば~……んもう、せっかちな奴め。



~あとがき~
ラルとフォースを久し振りに会話させたいと思っただけで、特に意味はなかった今回の話です。
というか、端から見たらこの二人、デートしてるのでは? 一つのスイーツを二人で食べてるんだよね? え??

次回、ラルとティールとアラシ君の話し合いです。
約束してたってやつですね。いつしたんすかね←

フォースはミルティアさんと面識はないので、大して情報は持ってません。そもそも、二人は生きていた……というか、存在していた時代が違うので。なんで、フォースは話を聞いたことある程度だし、深くは知らん。なんなら、今のラルやティールの方が色々知ってるまであります。
まあ、フォースの場合、その二人から色々知ってしまう可能性はありますけど。とは言え、それらを口にして、世に広めるメリットが彼にないのでしないけどね。

ではでは。