satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第275話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃっとしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、前々回と懐かしの人物とのお話し会でした。いやはや、本当に久し振りでしたねぇ。
今回はまた新しい?話になります。
いや、新しいかは分からんけども……スプランドゥールの夏なのは変わらないので、新しくはないかもしれない……(汗)


《L side》
フォース君と共に、とても美味しい甘味─フォース君は若干、グロッキーになっていたが─に舌鼓を打ち、カフェを後にする。
外に出た瞬間、夏独特のもわっとした熱風の洗礼を受けてしまう。店内が快適だったから、外が余計に暑く感じた。
「フォース君、この後はどうするの? せっかくのスプランドゥールだし、観光して帰るの?」
「お前、おれの性格知ってて言ってんなら殴るぞ。もちろん、このまま帰るが?」
軽いジョークじゃないですか。冗談が通じない奴めぇ~
「大体、夏祭りかなんか知らんけど、人多すぎんだよ。くそ暑いのに、この人混みの中をよく出歩けるよね。ご苦労なこった」
「数日後、人混みの中で警護の仕事がある私にそれを言う?」
「だからだよ。労いの言葉もあんだろ」
労いと言うか、御愁傷様ですのテンションでは?
「そうとも言うね。つか、おれにその仕事が回ってこなくてよかったとすら思ってるし。……じゃあな」
「一言余計よ。……またね」
フォース君はひらりと手を振ると、人混みを避けるように路地裏へと入っていく。彼の場合、あの手この手で移動手段を用いて、ここから離脱できる。いやはや、羨ましい限りである。
「……さて、私も戻るか」
親方もフォース君も答えは焦らずに、という感じだった。実際問題、今日明日に答えを出す必要はない。もう少し、一人で考えてみよう。……どんな答えでも、私が納得できるように。

我々の拠点とも言えるホテルの一室へと戻ってくると、流石のティールも起きていて、優雅な休日とも見て取れるようなくつろぎっぷりである。
「おはよ、ティール」
「うん。おはよ。……お帰り、ラル」
「ただいま」
ティールは手元の懐中時計をちらりと見ると、それをしまいながら立ち上がる。
「そろそろ約束の時間だけど、出れそう?」
約束……あぁ、もうそんな時間なのか。そんなギリギリに帰ってきてしまっていたとは思ってなかったが。
「思った以上にあのデザートが強敵だったか」
「? デザート?」
「いや、こっちの話。……えっと、アラシ君との約束だよね? 大丈夫。このまま行けるよ」
「そう? なら、このまま行こうか」
ほーい。
確か、アラシ君と数日後に行われる夏祭りについての話し合い……だったかな。話し合いなんて言うけれど、きっと大した話はないと思う。
「未だに詳しいお祭りの内容、知らないんだよね。ぼくら」
「はっはっは~……それな。いいんだろうか、それで」
もちろん、大雑把な内容なら知っている。夏祭り……女神祭がどんなものなのかも知っている。が、それはあくまでも大雑把な知識でしかない。当日の動きとか、護衛対象であるツバサちゃん達がどう動くのかも謎のままなのだ。
今日の話し合いでそれくらいは教えてもらえると……いいな。でも、あのルーメンさんの依頼だもんな。悲しいかな、詳しいことは後で分かるぜスタンスのような気がしてる。
私とティールは他愛ない話をしながら、話し合いの場である部屋の前へとやってきた。
とりあえず、ノックをしてみると部屋の中からアラシ君の返事が聞こえ、扉が開けられる。
「よ、二人とも。呼び出して悪かったな」
いつものアラシ君……ではなく、騎士姿のアラシ君だ。これも仕事の一つなのだろう。
「ううん。むしろ、わざわざ時間作ってくれてありがとう。アラシ、最近忙しそうだったからさ」
「まあな~……ま、親父から高校上がったら仕事増やしていくって聞かされてたから、文句はねぇよ。これも必要なことってね」
わは~♪ 次期団長さんの言うことは違うね。
「ラルのそれはおちょくってるようにしか聞こえねぇよ!」
「んなことないよ。被害妄想ってやつだよ。……さぁて、時間も惜しいでしょ? さっさと始めよう」
「え、俺が悪いの?」
「ラルに勝てるなんて思っちゃ駄目だよ、アラシ」
「……そうだった。久しぶりにくだらねぇやり取りしたけど、こいつはそういうやつだわ」
あら、失礼な。
どこか納得がいかない様子のアラシ君だったが、文句を言う素振りはなく、部屋にあるソファへと腰かける。私達も彼に続いて向かいのソファへと座った。
「ぼくらの依頼にあったのは、ツバサ達の護衛だったよね」
「そう。今回の話では祭りでの仕事の割り振りの話をしたくてな。街の警備は俺ら……騎士団の方でもやるから、そこら辺のすり合わせをと」
情報の共有をするってことね。
「そう。で、当日の警備の位置なんだが……これ、見てくれるか?」
アラシ君が取り出したのは街の地図だ。区画ごとに色分けがされており、一目で警備範囲を表した地図なんだろうなと理解できる。
これを見て、一つの疑問が浮かぶ。大体が同じくらいの範囲なのだが、とある場所……街の待ち合わせスポットとも言える噴水広場周辺だけが滅茶苦茶広い。他のところと比べ、倍はあるのではと思ってしまうくらい広い。
「……アラシくーん? このひろぉい警備範囲はなんでしょぉか?」
私が問いかけると、彼はとても言いにくそうに私から視線を外し、ぽりぽりと頬を掻く。
「あ~……そこ、お前らの場所」
これ、いじめられてる? よそ者だからっていじめてないですか? 怒るよ!? ボイコットするよ!?
「や、お前らって神子様……ツバサとツルギの警護じゃん? あいつら、あちこちに行く予定だから、図で表そうとすると自然とこうなるんだよ」
アラシ君は困ったように笑いながら説明してくれる。その目は嘘をついているようには見えない。見えないけれど、それにしたって広すぎるのでは?
「あくまで、二人の行動範囲を表しただけ、なんだね? それにしても広いなぁ。これ、ぼくら二人だけで大丈夫なのかな」
「大丈夫じゃない? 二人がサボタージュしない限りは」
「あはは♪ そんなことあるわけないだろ? 二人ともラルみたいに逃げるような子じゃないよ」
……そうだよね。少なくとも、ツバサちゃんが任された仕事を放り出すようには見えない。とはいえ、この広さは異様ではなかろうか。サボり云々は冗談だけど、絶対に何かしら明確な理由はあるはずだ。「あちこち行くから」という適当な理由ではなく。
だって、アラシ君、あからさまに目を合わせようとしてくれないですもん。
「と、とにかく、だ。ツバサ達がそこら辺を自由に動くってのだけ把握しといてくれ!」
アーラーシーさぁぁん??
「当日になりゃ分かる!」
「もう! みぃんなそう言う!! それ、嫌いなんだけど!!?? そこまで隠されると、当日になんかあっても責任取れねぇぞ!!」
対策を取ろうにも詳細を教えてくれないのなら、手の施しようがない。もちろん、任された以上、最善は尽くすし、あらゆる事態に備えて準備はする。しかし、それにも限度ってものがある。
「いや、だって、ルー爺がお前らにはそれを突き通せって」
「ルーメンさんのそういうところ、嫌いなんですけどぉぉぉ!!」
「まあまあ、ラル。落ち着いて。今に始まったことじゃないよ。それに、君も薄々こうなるって分かってたろ?」
「うるせぇ! 分かってたから余計にムカついとるんじゃい!」
「分かってるなら、アラシに八つ当たりしないの。大人気ない」
大人じゃないからいいんだよ。くそが。
「はぁ~……ちょっと出てくる。すぐ戻るけど、二人で続き話すか、雑談でもしといて」
「了解」
「お、おう……」
なぁんで、日時が近づいても秘密主義貫くの? なんで??



~あとがき~
……あれ? 想定してたところまで行ってない、だと??

次回、どんちゃん騒ぎ。

なんか、久しぶりにアラシ君出てきた? あれ? 久しぶり?
久しぶりに出てきたのに、ラルの八つ当たり受けるなんてついてないな、ごめんね??

ではでは。