satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第278話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界な物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルがツルギ君とどんぱちしてた経緯とか、ツバサちゃん達、幼馴染み組が何かやるとか、なんか明らかになりました。
ラル「雑かよ」
今回は~……スカイとシリウス、二組での話です。


《L side》
「……そういえば、お二人はなぜここに?」
「あら、イグから聞いてない? 私達はとあるお仕事のために来たのよ♪」
聞いてねぇです……リアさんの口振りからして、ティールには話したみたいだ。しかし、ティールですら詳しい話は聞いてないみたいで、肩をすくめている。
ふむ。リアさんの仕事なら情報屋の方だろうが、イグさんも一緒となると、違うのか?
ちらっとイグさんの様子を窺ってみるも、相変わらず、嫌らしい笑顔のまんまだ。「理由を当ててみろ」と言わんばかりの面白くない顔をしている。
くっそ。また私で遊びやがっ……て?
そういえば、だ。ここに来てからいろんなことがあって忘れていたけれど、この依頼のきっかけはイグさんだったな。依頼主の代理として、私達に仕事の話を持ってきていた。そのとき、詳しく教えてくれないのは、イグさんの性格だからと思っていたが、よくよく考えたらおかしな話だ。
依頼内容をきちんと確認しろというのは、先輩である彼に教わった。そんな彼が不明瞭な依頼を後輩に渡すのはおかしい。いくら、私をいじめ……いえ、可愛がってくれているとはいえ、そんな基本を見落とすはずがない。
それに、だ。依頼主であるルーメンさんがイグさんを指名したのはいい。なぜ、イグさんだったのだろう?
共通の知り合いだったから?
……それもあるだろう。しかし、これは私達とギルドの間に交わされる依頼。知り合い同士だからと言って、部外者を間に挟むだろうか?
挟むはずがない。そんなことをルーメンさんがするとは思えない。となれば……だ。
「話は少し変わりますけど、イグさんとリアさんってここの関係者ですか? 例えば……『明けの明星』のギルドメンバー、とか」
「えっ!? イグさん達が?」
イグさんとリアさんは互いに顔を見合わせたかと思うと、楽しそうに笑い始める。
「あらあら♪ ダンジョン攻略したって聞いていたから、もしかしてとは思ったけれど……やっぱり、バレちゃったのね」
「みたいだな~♪ 流石、ラルだな。つーことは、あれか? ティールのご両親の話も知ってるわけだ?」
「え、あ、はい。まだここに籍を置いているとルーメンさんから伺ってます。それと……その、うちに来ないかと誘われてもいます」
「あら。流石、ルー爺様。手が早いわ」
「だな。ふーん。……大方、ラルはこの誘いをどうするのか悩んでるんだろ」
うわぁ……なんか知られなくない人にバレた気分。けどまあ、バレたんなら話さない方がおかしいか。どうせ、言うまで逃がしてくれないんだろうし。
「そうですよ。悪いですか」
「そう不機嫌になるなって♪ 俺達が相談に乗ってやるから。先輩として、な?」
相談に乗ってほしいなんて言ってないですけどねぇぇ!!!
……ま、ギルドメンバーの人に内情とか聞けるいい機会だと思うか。そう思うしかない。
『てぃーとるー、おはなしするの? なら、すいちゃ、ごっちゃとあそぶ!』
『せっちゃも! せっちゃもー!』
どこから飛び出してきたのか、スイちゃんとセツちゃん(水と冷気状態)がティールの周りを飛び回る。
ティール、二人を帯剣してなかったよね」
「してなかった。……おい。呼んでもないのに出てくるのは反則なんじゃないの?」
『すいちゃ、いつもてぃーといしょ!』
『いしょ! いしょ!』
「……一緒、ね。『いしょ』って聞くと別の単語が思い浮かぶからやめてくれ」
ティールの話には興味ないらしく、スイちゃんとセツちゃんはすでにリアさんの方へと飛んでいってしまっている。
「あらあら? 二人は何がしたいのかしら?」
『ごっちゃ! ごっちゃとあそぶ!』
『りっちゃのごっちゃとあそぶの!』
リアさんと……ついでに、イグさんは二人の声が聞こえていない。だから、遊びたいと騒ぎながら、ぐるぐる飛び回る二人を不思議そうに眺めるだけだ。
「話の途中にすみません。その、えーっと……スイとセツがリアさんのソイルと遊びたいって」
「なるほどね。もちろん、構わないわ♪ 皆、出てきて~?」
リアさんがぽんぽんと地面を叩くと、小さなゴーレム達がわらわらと群がっていく。そして、ゴーレム達はスイちゃんとセツちゃんに一直線に向かう。
「うー!」
『ひさしぶりなのら!』
『げんき~?』
「うー!!」
『あっちですいちゃたちとあそぼ!!』
「うーー!!」
なんだろう。この、なんとも言えない光景は。例えようのない光景はなんだろう。
何も知らない人々が見たら首を傾げそうだが、ありのまま伝えよう。ちびゴーレム達とスイちゃん、セツちゃんがきゃいきゃい遊び始めた傍ら、私達は中庭にあるベンチと近くにある切り株を椅子代わりにし、本格的に話を始める。いや、始める前に一言。
「イグさん達がここのメンバーなんて聞いてないんですけど」
「うん? まあ、メンバーつっても、表向きはフリーで活動してるんだよ。……それに聞かれなかったし?」
イグさんはどかっと切り株に腰を下ろしながらフッと笑い、返答する。表現するなら、どや顔ってやつである。非常に腹立たしい。
大体、なんの前情報もなく、「明けの明星のメンバーなんですか?」なんて聞く人いない。いや、そもそも、だ!
「じゃあ、聞いたら答えてくれてました? 答えませんよね。実は〇〇ってギルドにいるんだよね~なんて、言うはずがねぇですよね!?」
「あっはは! まあな! 聞かれていてもフリーだって言うつもりだったわ♪」
じゃあ、「聞かれなかったし?」なんて言うな! そういうの、余計な一言って言うの! 分かります!?
「ラル。これ以上イグさんに突っかかっても話も進まないよ。ほら、座って座って?」
分かってるよ!!
ティールに促されるまま、不満たらたらではあるが、素直にベンチに腰を下ろす。そんな私の隣にリアさんもそっと座った。
ティールくんの言う通りよ、イグ。あんまりラルちゃんをからかわないの」
「悪い悪い♪ つい、な~」
「つい、で、後輩いじめて何が楽しいんだよ、くそが」
「ラル。stay」
う……ぐぬぅ。
「こほん。……それで、今回ぼくらにそれを教えてくれたってことは、聞かれたことに答えるつもりはあるって解釈でいいですか?」
「いいぜ。答えられないこともあるだろうけど、基本的には答える」
出た。秘密主義……ここに来てからあらゆる人に隠されてばっかだから、なんかもう慣れてきてしまった。というか、何を秘密にされていて、何を明かされているのか曖昧な気分ですらある。
「じゃ、お二人がギルドメンバーであることを隠している理由とか、リアさんが探検隊引退しているのに、籍を置く理由とかお聞きしても?」
「えぇ♪ なら、私から。私が籍を置いている理由は『情報屋』という商人として活動しているからよ」
養護教諭として働く反面、情報屋としての顔も持つリアさんだからこその理由というわけか。
「あとは……たまにルー爺様に頼まれて、新人教育の一環として魔法指導もするわ。流石に槍の指導はできないけど」
「で、メンバーであることを隠してる理由だっけ? 簡単に言えば、自由に動くため、だな」
イグさん曰く、明けの明星は世界でも有数のギルドの一つ。ギルド名を聞いただけでも、警戒する悪党はいる。そいつらの油断を誘うための『フリー』であるという肩書きらしい。
「一部を除いて、俺らがメンバーであることは伏せられてるってわけ。要はあれだ。覆面警官とか秘密警察?……なんかそんなんだ」
例えが雑では。
「この立場、情報屋としても役立つのよ? ほら、剣技大会で大暴れしたタイガくん、いたでしょ? 彼がいい例なの」
……あぁ、イグさんが派手にやっつけたやつか。
「その人、探検家ライセンス剥奪されたって誰かが言ってた気が……?」
「あ、その後、何か悪いことして捕まったらしいよ。夏休み入る前だったかな」
え、そうなん。そこまでは聞いてなかった。……それ、もしかして。
リアさんが絡んでいるのでは、と思いつつ隣を見る。すると、私の視線に気づいたのかウインクを返してきた。
「うふふ♪ ちょっと興味本位で調べてみたら、ね?」
出てきたのか。良くないあれこれが。そして、それらを密告した、と。いや、密告したという表現より、報告したが正しいかもしれない。
この話はこれ以上掘り下げても、精神的によろしくなさそうなので、ここまでにしておこう。
「……ま、俺らの話はこの辺でいいだろ。本題入ろーぜ? 後輩のお悩み相談室の時間だぞ~」



~あとがき~
この四人の話、どこまで続くんでしょう。

次回、スカイとシリウス。その二。

もう二度と名前が出てこなさそうな名前が出てきました。覚えてましたか、タイガって名前。剣技大会の昼休憩辺りに出てきてますので、お時間のある方は探してみるのも一興かもしれません。かっこいいイグさんも見れますよ。(宣伝)

ではでは。