satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第280話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で話してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、お悩み相談室だったところが、道場に切り替わったところです!
ラル「意味が分かりませんが」
私も分からん! ノリだな!
ってことで、まさかの戦闘です! よろしくお願いします!!


《L side》
すっとぼけるイグさんは、この状況をニコニコ眺めていたリアさんからソイルを借りる話を持ちかけていた。当然、リアさんはOKを出し、鞄からしゅるりとリボンを取り出している。
「じゃ、いつもみたいにリボンを結びましょう♪ ハンデもいつも通り、ラルちゃん達が決める?」
そうですね。そうします。
最近はご無沙汰ではあるが、数年前はこうやって対戦するのはよくやっていた。その際、ハンデはこちらで設定するのがお決まりなのだ。
まず、大本のルールとしては単純である。
二対二のチーム戦。
チームのどちらかが戦闘不能になったら終了。つまり、私とティール、イグさんとソイル、二人やられた方の負け。ちなみに、ゴーレムであるソイルのコアを破壊するわけにはいかないので、─私達に破壊できるかどうかは置いといて─リボンを代替品として扱う。
そして、このルールにハンデを設けるのである。もちろん、私達よりもお強いイグさんサイドに、だ。イグさんサイドというか、イグさんにだけど。
ハンデは三つ。
使用武器は大剣のみ。
魔法使用不可。
ついでに剣技も使用不可。
以上、三点のハンデを設けさせてもらう。
この三つを聞いたイグさんは、とても分かりやすく困ったように笑いながら不満を漏らす。
「流石に厳しいだろ~? 剣技はともかく、魔法は使ってよくね?」
「ははっ♪ 何を仰いますか。こちらとしてはこれでもゆるーいハンデだと思ってますよ? それでもご不満なら、武器も使用不可で素手だけで戦えって言いますが?」
「それは買い被りすぎってやつだよ。んじゃ、このまんまでいいわ~」
余裕綽々な顔で何言ってんだ。本当に素手だけでやれって言われても問題なく対処するくせに。するくせに!!
「ラル、露骨に顔に出てるよ~?」
「あらあら♪」
わざとだよっ!!
私とイグさんのやりとりを楽しそうに見ていたリアさんは、先程取り出した青色のステンリボンをちびゴーレムの一体に手慣れた手付きで、首もとでフレンチボウにして結んでいた。
「これでよし、と」
「うー!」
リボンを付けられたゴーレムはどこか誇らしげに胸を張る。それを見た他のゴーレム達は肯定の意思を示す拍手をする。
『ごっちゃ、にあう!』
『かっこいー!』
……えーっと、かっこいい、のかな?
フレンチボウってお花みたいな結び方だし、どちらかと言えば可愛いのでは?
「スイとセツの基準を当てにしない方がいいよ」
それは……そう、かもしれない。
「ラルちゃん、ティールくん。ソイルの力配分はどうしましょうか?」
あぁ、そっちも決めないとか。
本来、ソイルは二メートルくらいのゴーレムなのだが、普段は多くのちびゴーレムに分裂している。その特性を生かし、合体するゴーレムの数で性能が変わるのだ。
大きくなるほど攻撃力が上がり、機動力は下がる。反対に小さくなるほど攻撃力は下がり、機動力が上がる。
ちなみに、これらの特性はソイルだけでなく、召喚されるほぼ全てのゴーレムに言えることであるのだが。
……さて、話を戻そう。
確か、『奇跡の洞窟』では、中盤あたりから突破までに時間はかかっていた気はする。
「アイアンゴーレムが出てきた辺りだよね? 思ったより素早くて大変だったなぁ」
「あら、そうだったのね? それなら、復習としてある程度、素早さは残しておきましょうか」
「ほーう? となると……大体、五、六割だったか? それくらいなら、『奇跡の洞窟』の敵と同等の強さになんじゃねぇかな」
野生のゴーレムとリアさんのソイルを同等に扱うんじゃないよ。別物だと思うんですけど!
「ラルの言う通りかも。力配分はそれくらいでも、ソイルの方が厄介なのは変わらないです」
「いいんだよ。ちょっと上の方が特訓になるだろ?」
屁理屈だぁぁ!!!
私の抗議なんてどこ吹く風で、リアさんはソイルの大きさを六割サイズ─大体、140センチくらい─へと変えていく。全ての準備を終えると、合体に混ざらなかったゴーレムたちを連れ、リアさんは隅へと移動する。
そして、私達もそれぞれ適当に間合いを採った。
「スイ、セツ」
『ほいな!』
『おー!』
ティールは水と冷気だった二人を剣へと変化させ、軽く振るう。それを見た私も手元に雷姫を出現させる。
『なんじゃ、マスター……おや。今回の相手は炎鬼かえ?』
「そうです。成り行きでこてんぱんにされるらしいです」
『ほう。成り行きとは恐ろしいものよなぁ』
そうですね。お付き合い願います、雷姫さん。
『ふん……まあ、あまり乗り気ではないのが。……よかろ。マスターの命じゃ』
乗り気じゃないんだ。珍しい。
『……マスター、この前の探検で大いに我を使ったろう?』
あぁ、そういう。大丈夫、あれ以上のことはしないよ。ツルギ君との戯れ以上仕事以下の出力で行くつもりだからさ。
どうやら、私のことが心配で乗り気になれなかったらしい。私の返答を聞いても、煮え切らない態度のままだが、雷姫から文句が飛んでくることはなく、そのまま黙ってしまった。
抗議しても意味がないと判断したのだろうか。或いは、問題ないと判断したのだろうか。……後者であることを祈る。
「ラル、初手はどうする?」
「ソイルの動きを止めて、二人でイグさんを攻めてみようかなって。……ま、倒せる気はしないけど」
「それはぼくも思うよ。……でも、分かった。足止めは任せて」
OK。任せる。
「作戦会議は終わったか~? そろそろ始めるぞ~!」
「はい! ぼくらはいつでも大丈夫です!」
「うっし! じゃあ──始めっ!」
イグさんの合図に私とティールは走り出す。ティールに関しては、走り出した瞬間にセツちゃんを剣から冷気へと戻してソイルへ向かわせていた。
「セツ、頼んだ!」
『あいあい! まかされたぁ!』
冷気のセツちゃんは一直線にソイルへ飛んでいき、一瞬の間に足元を凍らせてしまう。
セツちゃんによって動きを封じられたソイルは、胸元のリボンを守ることを優先したのか、両腕でリボンを覆い隠すような防御姿勢を取る。
とりあえず、ソイルはあれでいい。次は……っと。
「せあぁぁっ!!」
「はあぁっ!」
「お、来たなぁ? よっと♪」
私とティールの斬擊を大剣を使い、上手くかわしていく。それでも、私達は何度か攻撃を仕掛けるが、イグさんは大剣で受け流したり、受け止めて反撃してきたりと、簡単に対処していった。
分かってはいたが単なる斬擊じゃ、こんなものか。それなら、技を出してみるか。
私は少しだけ距離を置き、電撃を放とうと試みる。が、それに気づいたイグさんはティールとのやり取り位置を変えてきた。
自分には当たらないように配慮しつつ、当たったとしてもティールも巻き添えになるような立ち位置へ移動したのだ。
『あの小僧、嫌らしい位置におるの』
「だね。……ティール、邪魔すぎる」
巻き添え覚悟で放ってもいいが……こんな冒頭から相棒を失うリスクを負う必要はない。
「ちょ、イグさん! なんで追いかけてくるんです!?」
どうにかしてイグさんから距離を取ろうと動くティールだったが、それを許してくれる程、敵は甘くない。にやにやしながら、─時に攻撃も交えつつ─追いかけていた。
「雷姫の電撃は強力だろ? 食らうならお裾分けしようかなぁって?」
「いりませんっ!」
イグさんの攻撃をスイちゃんで受け止め、攻撃を殺しつつも横へと移動。通常なら、ここで距離を取るか、技で牽制しつつ離れるかできる。しかし、イグさんが大人しくさせてくれるわけもなく。
数歩離れたティールにぴったりとマークしてしまっている。これでは一定間隔空けるのは至難の技だ。
このまま待っていても、埒が明かない。ここは勝負に出るか。……ティールの体力と実力を信じよう。
ティールなら、避けてくれる!
「先に謝る! 当たったらごめん!!」
「えっ!?」
刀身に電気を溜めつつ、イグさんとティールに近づく。そして、それを放出する──はずだった。
私が技を出す瞬間、イグさんは地面を蹴り上げ、私に向かって砂を掛けてきた。単純な妨害行為。しかし、これ以上にない不意打ちだった。
「くそっ!」
私は思わず目を瞑り、数歩後ろへと下がった。そして、イグさんは大剣を巧みに操り、背後に迫っていたティールの斬擊を受け止め、力任せに退ける。
「いってぇ……あっ、しまった! セツ!」
私達二人を引き離した後、イグさんはソイルの方へと向かい、ソイルを捕らえていた氷を壊した。ついでと言わんばかりに、ソイルの周りに漂っていたセツちゃんに斬擊をお見舞いする。もちろん、剣ではなく、実態のない冷気状態のセツちゃんにはなんの効果もない。が、セツちゃんはただの冷気ではない。意思のある冷気だ。気迫に満ちたイグさんの斬擊を目の前にしたら、驚きもするというやつで。
『ぴゃー!! こあぁぁぁあ!!』
と、叫びながらティールの元へ戻ってきてしまった。
「怖いって……今は冷気だし、剣の状態でも何度もやりあってるだろ。今更何を言ってんの」
『でも! こあかったもぉん!』
「そーですか」
セツちゃんの言動に呆れつつも体を起こし、私の方へ近づいてきた。
「ラル、目は大丈夫?」
「かかってないから大丈夫。あれ、目に当てるつもりなかったんだろうね。くそが。腹立つわ」
ソイルのリボンが無事なのを確認したイグさんはこちらをちらりと見ると、ニヤリと笑う。「振り出しに戻ったな」とでも言いたいのだろうか。分かってるわ、ボケ。
二人で何度か近づいて攻撃をしてみたけれど、決定打にはならなかった。どうする? 最も勝つ可能性のある策はなんだ。
「……にしても、ラルはまだ教わってねぇんだな? ま、あっちも忙しいから仕方ないか」
「は? なんの話ですか」
「あ~……いや。今は関係ない話だな。これが終わったら話す」
はぁぁ???
……落ち着け。イグさんの話を気にしていたら、こちらがやられるだけだ。今は考える必要はない。
さあ、どうする?



~あとがき~
おわんねぇっすね。

次回、スカイVSイグ&ソイル戦。
きっと後編。次回で終わる……予定!

洞窟探検でバトルは終わりだと思っていた私です。どうやら、終わりじゃなかったらしいです。

ではでは。