satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第281話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどんぱちしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、謎に戦闘が始まりました! 唐突だね!! 面白味もない表現しかできないので、単調な戦闘シーンですみません。これ、毎回言ってんな?(汗)


《L side》
どうすれば、イグさんとソイルを倒せるか。
取れる方法としては三つ。
先程のようにソイルを封じ、二人でイグさんだけを狙うか。
その逆で、イグさんを封じ、二人でソイルだけを狙うか。
チーム戦であることを捨て、一対一を挑むか。
一つ目はさっきやってみて、見事に失敗している。もう一度やってみてもいいが、打開策がない限り、同じ結末を向かえるだろう。逆もまた然り。そもそも、スイちゃんやセツちゃんの足止めでイグさんが止まるだろうか? 否。さっき、逃げてきたセツちゃんを見るに、難しいように思える。
そして、最後の策はあり得ない。一人で勝てる相手ではない。むしろ、即全滅エンド待ったなしである。まあ、ティールだけなら、二人に対しても有利属性だし、どちらを相手してもなんとか食い止めてくれるだろうが、私が属性的にも腕力的にも不利だ。倒せる未来が見えない。
結論。思い付いた三つとも、勝てる未来が見出だせない。
なら、どうする?
「……二人に勝つという仮定を捨てるしかない、な」
「……ラル?」
どっちかだけでも倒す。それなら、多分、できる。そして、その確率が高いのは……決まっていた。
「ソイルだけでも二人で倒そう。そして、イグさんも倒せたらラッキーくらいの気持ちで」
「それは構わないけど……ぼくらがソイルを狙うのはイグさんも考えてるんじゃない?」
「それはそう。だから、イグさんは私が止める。……“ドール”!」
「はぁい! お呼びですか、マスター!」
ぽんっと軽やかな効果音が聞こえてきそうな感じで、本当にゆるーく出てきた。私の分身は弾けるような笑顔で敬礼する。
ドールならイグさんに怯んで逃げることはない。勝って戻ってくるか、負けて消えるかの二択。
「任せてもいいかな、ドール」
「マスターの命とあらば、私はどんな敵にも立ち向かいますよ!」
「じゃあ、任せる。目の前の敵……イグニースの相手をしてこい」
「かしこまりました、マスター!」
ペロリと舌舐りをすると、ドールはイグさんに向かっていくと、軽やかに飛び上がり、上から拳を繰り出した。イグさんはそれを容易く受け止め、ニコッと笑った。
「おお♪ ドールとやるのは久々だな?」
「えへへ♪ 私はこうして出てくる機会もありませんから。……では、お相手願います、イグニース様♪」
「いいぜ、どれだけ強くなったのかお手並み拝見といこうか!」
ドールが上手くイグさんを引き付けている内に、こちらもけりをつけないと。できれば、ドールがやられてしまう前に、だ。
「やるぞ、ティール」
「うん。速攻で片付けるよ。……やれ、セツ」
『あいさー!』
再びセツちゃんを使い、ソイルの足元を凍らせていく。足元からじわじわと凍っていく様を見て、ソイルは先程のように胸元のリボンを庇うように覆い隠す。
「そんなの意味ない。私が斬り落としてあげる」
「コオォ……」
私の斬擊を危惧してか、腕を硬化させるも、そんなもので雷姫の斬擊を防げるわけがない。
「斬り伏せろ、雷姫!」
『うむ』
雷姫の“身体強化”と電気の力を利用し、力任せにソイルの両腕を斬り落とした。……が、私の刃はリボンまでは届かず、そこに残ったままだ。
……まあ、これでいいんだが。
「──的が見えていれば、射貫くのは容易い」
私の後ろでは剣を納め、代わりに弓矢を引くティールがいるんだもの。これで、終わりだ。
私が横へ飛び退くと同時にティールが水の矢をいくつも放つ。それら全てはリボンを……そして、胴体すらも貫き、ソイルをばらばらに破壊した。
「……うー!」
もちろん、コアは破壊されていない─そもそも、上級精霊のソイルのコアはリアさんが所有しているので、今回の場合、破壊の概念すらないんだけれど─ので、ソイルは無事。ばらばらになったのは、ソイルがちびゴーレムになっただけです。はい。
悲痛な鳴き声……泣き声、か。泣き声を上げながら、リアさんの元へ逃げ帰ってしまった。
「……な、なんか、あんな風に逃げられると罪悪感すごいね?」
ティールが弓から剣へ持ち変えながら、こちらへとやってきた。
「戦闘にだもの。罪悪感なんて無視じゃい。……あとはイグさんだけか。とりあえず、ドールを呼び戻して……っ!」
突然、背筋に寒気が走る。次いで、前身から力が抜けるような感覚が襲ってきた。ティールが慌てて、私を支えてくれる。
「これは……一歩、間に合わなかったみたいだわ」
私達がソイルを倒すのと同時にイグさんもドールを倒したのだ。それを感覚的に感じ取った。
「う~ん……ドールも筋はよかったし、前より強くなってるぜ。けど、あともーちょいだな!」
「言ってろ。どうせ、ドール相手にも全力で遊んでたくせに……!」
大してダメージもなく、楽しそうに笑っているイグさんを見れば、ドールは本当に足止めしかできてなかったと見える。なんなら、イグさんが「遊び」にしなかったら、一瞬で終わってたのではとすら思える。
どこまでも強い。本当に手が届かないと思ってしまうくらいに強いな、あの人は。
「ラル、大丈夫?」
「今のところは、まだいける……問題ない」
……と、強がってみるものの、気分は最悪だ。
ドールの召喚には私自身の体力と精神力が必要だ。つまり、それらがドールを構成する成分とも言える。ドールが無傷で戻れば、大したダメージはないが、ドールが倒されてしまえば、私にもダメージが跳ね返る。
本当なら、膝をついてしまいたい。地面に寝っ転がって、負けましたと叫んでもいい。それくらい追い詰められている。
でも、そんな弱音を吐いたところで、勝ちもしなければ、負けもしないんだ。
「まだ、終わってない。目の前の敵を討つことに集中しろ」
「……分かった」
ティールの顔から心配の色は消えないが、とりあえず、戦闘続行する意思を見せる。そして、私を庇うように前に出て、イグさんの剣を正面から受け止めた。
「ラルはドールの退場により、体力の限界。……さて、ティールはこの状況をどうカバーするつもりだ?」
「……くっ!」
「このままじゃ、後ろの相棒は守れないぞ?」
鍔迫り合いから自ら引くと、攻撃対象を私に切り替えてきた。大柄な体格でどう動いているのか不思議なくらい、素早い身のこなしで、私の目の前に迫ってくる。
いつもなら、こんなの簡単に避けられるんだけどなぁ……
「しまった! ラル!!」
いつも以上の力を使わないと雷姫に伝えてしまった手前、限界を超えての力の供給は望めない。これが切羽詰まった命のやり取りなら、雷姫も手伝ってくれるんだろうが……今回はそうじゃない。どうやっても説得は不可能だ。
でもまあ、まだ動けなくなったわけではない。
「っ!」
「ほお?」
ギリギリのところでイグさんの剣を避け、転がるように……というか、完全に足がもつれてその場に転んでしまうものの、そのまま転がって距離を取った。
「げほっげほっ!……うへ、口に砂入ったぁ」
「おお! ラル、根性あんな~?」
「だって、まだ負けてないもん。……ね、ティール」
「!」
「せやあぁぁぁ!!!」
少しの隙でいい。イグさんが私を見てくれていたら、それが隙になる。
イグさんの背後に回り、スイちゃんとセツちゃんを用いた斬擊。相手の隙をついた不意打ちだ。
「……やるじゃん♪」
死角からの攻撃。それにも関わらず、イグさんは完璧に対応して見せた。大剣と自らの体幹を駆使し、ティールの剣をしのぎきった。
「今のはよかったぜ、ティール。並大抵のやつなら、あれで倒されてたかもな~♪」
「くっ──うわっ!?」
一瞬の剣での競り合いの最中、今度はティールの隙をついて、さっと足払いした。剣に集中していたティールがそれを避けられるはずもなく、見事にその場に転ばされてしまう。
ティール!」
とっさに雷姫を握り直し、イグさんに突進を仕掛ける。と、同時に失敗したとも思う。
ここは動くべきではなかった。遠くから牽制として、遠距離攻撃をするべきなのだ。
なぜなら、今のは私は大して体も動かないし、普段のような素早い動きもできない。そんな状態で敵に近づいたらどうなるか。
「ん~……やっぱ、ラルの課題は『体力』だな」
突進をひらりとかわされたかと思えば、背中に衝撃が伝わる。「あ、蹴られた」と悟った時には、起き上がろうとしていたティールの上に覆い被さるように倒れるところだった。
「え、ちょっ……ぐえ!?」
「ぐうっ……!」
「両者、ほぼ同時に倒れて試合終了、だな。それとも、ここから起き上がって再開すっか?」
起き上がって彼の顔を見るまでもない。くっそ腹立つ顔をしているに違いない。
こっから再開するわけねぇだろ。分かりきったことを聞くな、バカ兄さんめが。



~あとがき~
終わったー!
本当はもう少し続けてもいいんですが、長くなりそうな予感しかないので、やりません。

次回、試合の反省会のような、雑談回というか。なんかそんなんです。(適当)

どっかの話で、VSイグニースの勝率は大して高くないとラル自身が語るシーンがあります。半々くらいかな、みたいなやつ。
なので、イグさんという人物は(基本的には)二人にとって勝てる相手ではないのです。
じゃあ、誰なら勝てるんやって話しになりますが、多分、スカイだとフォースしかいないかなぁと思います。まあ、やつも途中から、戦闘自体めんどくさくなって負ける方向に持っていきそうな予感もしますけど。
ま、それくらいイグニースという男は強いんだなーと思ってくれれば幸いです。
……いや、ラルとティールも強いんだけどね。一応(笑)
……と、ここまでこのあとがきを書き終わって、この話題、どっかでした気がしてきました。まあ、これくらいしか言うことがなかったってことで、許してくだせぇ。

ではでは。