satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

気ままな神様達の日常記録 vol.11

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっております。前回、ファウスがアルフ様のお怒りに触れてしまい、あわや大惨事になりかけました! そして、大掃除です!



☆さくっと登場人物紹介のコーナー☆
アルフ:転生の神様。穏やかな性格でにこにこしながら、みんなを見守る優しいお方。怒ったところを見たことがない。

ファウス:力の神様。ずぼらな性格で部下である制御者達(特にフォース)からの信用度は低い。部屋がめっちゃ汚いことで有名。

ウィル:生命の神様。人懐っこい性格。フォースを本当の弟のように可愛がり、皆の頼れるお兄ちゃんでもある。

ミィ:アルフに仕える蒼い目をした白猫であり奥様。誰にでも優しい性格。アルフさん大好き子猫。

フォース:制御者の一人で、最高位の色を制御する。クールな性格で制御者達のリーダー的存在でもある。ゲームは滅茶苦茶強い。

エレル:制御者の一人で色は青。底無しに明るく、トラブルメーカーな存在。ゲームは苦手。

ユウ:制御者の一人で色は緑。物静かな性格で真面目な青年。ゲームは普通の腕前。

ラウラ:制御者の一人で色は白。どこか皮肉屋で掴めない性格をしている。ゲームはそこそこやれる腕前。





★天界の魔窟、大掃除大作戦★
「──と、いうことで! 今から、ファウスのお部屋の大掃除を始めたいと思いまーす!」
頭に三角巾、汚れないためにエプロンまで装備したアルフ様が、やる気満々に宣言する。そして、アルフ様の頭の上にちょこんと乗るミィも、やる気十分なようで、にっこにこであった。
そして、付き合うこととなった兄貴と制御者の面々も、渡された三角巾&エプロン装備に戸惑いつつも、各々反応を示す。
「……お、おー?」
「なんで、こうなったんだろ」
「あはは♪ 謎だねぇ?」
三角巾&エプロン装備でおずおずと拳を突き上げる、エル。
三角巾を結びながら、頭上にはてなを浮かべている、ユウ。
そして、こういうものに参加するイメージのないラウラですら、きちんと装備を整えて楽しそうに輪に加わっていた。
そして、おれと兄貴は互いに顔を見合わせ、苦笑していた。というか、苦笑しかできない。
……なんでこうなったっ!?
「あ、あの、ルフさーん! いくつか質問してもいいでしょーか!」
「うんっ! どうぞ、ウィルくんっ!」
あれ、いつものアルフ様……?
いや、でも、いつもならマスターを呼び捨てで呼んだりはしない、か。
「さっきまで、あの馬鹿にめっちゃ怒ってたけど、もういいの?」
と、アルフ様の手によって、天井にぶら下げられたマスターを指差した。
おれ達用にとエプロン等を取りに行き、戻ってきたトキにはある程度、いつものアルフ様に戻っていた。あの異常な威圧感も、どこへやらである。
「そうだね~……完全に収まったとは言えないけど、とりあえずは俺の気持ちも落ち着いたかなぁって。だから、ファウスの説教は一旦終わりってことで♪」
俺、ねぇ?
基本、少年姿のアルフ様の一人称は「僕」だ。「俺」なんて使うのは、元の姿に戻った時か、素に戻った時にしか使わない。
つまり、アルフ様の言葉通り、怒りは収まっていないんだろう。それに、さっきもマスターを呼び捨てにしていたし、ほぼ確定で、まだお怒り中だ。
「……じゃ、もう一個。ルフさん自ら、この部屋を掃除するって言い出したのはなんで? りゅっちが怪我しないようにするため?」
「うん。それが一番ではあるかな」
なら、ミィがこの部屋の前を通らないようにすればいいんじゃないか? その方が確実で、手っ取り早い気もする。
「お言葉ですが、アルフ様。今回片付けても、すぐに元通りになっちゃう気がしますよ~……?」
「現になってるしね? この前、片付けたはずなのに、これだもの。僕らの片付けがあっても、これじゃ、この大掃除も意味がない気がするなぁ?」
エルとラウラも、おれと同じ考えに至ったのか、素朴な疑問を口にしていた。
そして、その疑問はこの場にいる全員(マスターを除く)が思っていることでもあり、うんうんっと深く何度も頷いていた。
そして、それはアルフ様も同じで、ニッコリと笑いながら、二人の言葉を肯定した。
「そだね! でも、前にファウスの部屋について、会議の議題として出たことがあってね。ついでだから、それを今回で解決してやろかなって?」
……議題?
「あ~……そいや、いつだったか話題に上がってたかも。なんだっけ。議題名」
「『力のの汚部屋問題について』だよ、ウィルくん♪ 今回みたいに突然、廊下に雪崩が起きるのは危ないって話になったでしょ」
「それだー! かなり前だよね、それ。結局、議題に上がったはいいけど、本人不在でお流れになったやつぅ~♪……こいつ関連の話だったし、すっかり忘れて……あれ? か、かーくん? お、落ち着いて!?」
「おい、アホ。聞いてねぇが?」
兄貴の制止も無視し、おれは天井にぶら下がるマスターを睨み付ける。
「あ、すみません。俺も初耳です……ごめんなさい、フォース様。なので、そのお怒りは、しまっていただいてよろしいかな!?」
「しまえるか、くそがぁ!! この部屋の前に貴様を掃除してやってもいいんだかな! おれは!!」
即座に銃を創り出して、その銃口を哀れな、てるてる坊主へと向ける。
「ひいぃぃ!? 主人に武器を向けるなんて、不敬罪で逮捕ですよ、フォースさまぁぁ!!!」
「黙れ、腐れ神が!! こちとら、多方面の方々からスカウト受ける程、優秀な従者として名を通してますから! なんなら、すぐにでもお前のところ、辞めてやってもいいんだぞ!!」
「かーくん! ステーーイ!」
流石にまずいと思ったのか、兄貴がおれの邪魔をしてくる。がばっとおれに抱きつき、意味もなく、よしよしと頭を撫でてきた。
「落ち着いてください、かーくん! 俺としてもこいつに一発ぶちこむのは、大いに賛成だけども! 本人の許可なく攻撃はまずいっ!! 流石に!」
「うるせえぇぇ!! とめるな、ウィルにぃ! つーか、こんなことで罰が与えられるなら、おれはとっくの昔に消されとるわぁぁ!!」
「確かに! よし、一発撃っちゃえ、かーくん! 俺も加勢するぞ!」
ぱっとおれから離れた兄貴がびしっと馬鹿を指差した。
「『撃っちゃえ☆』じゃねぇが!? お前ら二人、後で覚えてろーー!!」
おれが引き金に手をかけた瞬間、パチンっと手を叩く音が部屋に響いた。思わず、音のした方を見ると、ニコニコ顔のアルフ様がいた。
「はーい。ファウスの粛清は部屋片付けてからにしてもらおっか? ウィルくん、フォースくん?」
……あっと、すみません。つい。
「いいよいいよ♪ 見てて面白かったから、OK! そういえば、流れで君達にも掃除、手伝ってもらうことになったけど、よかった?」
「あ、はいっ! それはもちろんっ! というか、うちのマスターの問題ですもん。私達がどうにすべきですし、むしろ、巻き込んで申し訳ないです……!」
「あ、それは安心して、エレルちゃん? 掃除中でもちゃあんと、ファウスにお仕置きするから」
全く安心できないような台詞を笑顔で告げながら、おれ達にとあるものを手渡していく。
「はい。これでどんどんお片付けしてってね!」

掃除を始めて、数十分。
アルフ様から手渡された『それ』を使って、スムーズに掃除は進んでいた。
「凄いですよ、これー! めっちゃ楽ですもん!」
と、エルは感動しながら、本来、図書館にあるはずの本、数冊をぽいぽいっと手元の袋へと投げ入れる。袋は大きさを変えることなく、全てを収納した。
「だね……中に入れたものを自動的に任意の場所へ移動する『移動袋』。……これなら、担当決めて、袋に入れるだけで片付く」
ユウは感心しながら、紙屑を玉入れのように移動袋へとぽんぽん捨てていく。
その隣では、エルと同じように本をまとめていたラウラも満足げに頷いていた。
「入れるものさえ、間違わなければいいからね。……でも、アルフ様もこんなもの、いつの間に作ってたんだろうねぇ? あ、エレルちゃん。これ、君のかな」
「ありがと、ラウラ~♪ でも、ラウラ、こんなのに参加するなんて、珍しいねー?」
ラウラから手渡された本を袋へとしまいつつ、こてんと首を傾げる。
「あはは。逃げられるなら、さっさと逃げてたよ♪ でも、無理でしょ。逃げる隙がない」
「まあ、そだね! いつもはお優しいアルフ様があんなに怒ってたもん。流石のラウラも駄目だったか~」
「あれから目を盗んで逃げようなんて、無理無理」
と、二人が見る先には、謎の置物をマスターに向かってぶん投げるアルフ様がいた。
置物はマスターに当たる寸前でふっと消える。
「あっぶなぁ!? 片付けるにしても、投げる必要性を感じないですけど!!」
「え~? だって、こうしないとお仕置きにならないし~♪ ミィを怪我させた罰でもあるし~♪ 黙って受けててよ~? まあ、当たることはないよ。ファウスのその袋にも、皆の持ってる袋と同じ魔法をかけてあるもん」
「それは理解してる。その範囲を俺に当たるギリギリにするのは必要か?」
「必要」
「ねぇよ!! まじで当たったらどうすんだ、アルフお前ぇ!?」
「間違って当たったとして、死にはしないでしょ? ファウスも神様だもーん。あと、治してくれるかは知らないけど、ウィルくんもいるし、だいじょぶ、だいじょぶ♪」
気軽な口振りとは裏腹に、時計らしきものを握ったアルフ様は、超豪速球でそれをマスター目掛けて投げた。身動きの取れないあいつにできることなんて、無意味に体を縮める程度である。
「あ、こんなところに固そうな石、発見っ♪」
「なっ!? やめろ。それだけはやめろ……死ぬ! 当たったら死ぬっ!!」
「うるっせぇぇ! 黙って、てるてる坊主の仕事を全うしていろ!!」
おれはその場にあった電気ケトル─ちなみに、電気なんてこの部屋に通ってない─を掴み、マスターに向かってぶん投げた。
それは苦しくもマスターに当たらず、袋によって吸収されてしまった。
「チッ……軌道がずれたか」
「フォースさん!? お前、もうやってることが殺人ギリギリでは!?」
神様なんて基本、死なねぇだろ。殺人になりゃしねぇわ。そもそも、人ですらねぇだろ。
「いいなぁ。俺もクソジジィに何か投げたーい。……あ、りゅっち。それ、持ち上げてほしいかも」
「みゃ!」
兄貴とミィは協力して、謎の小物類を集めまくっている。時折、手頃な小物を掴んでは握り心地を確かめているため、やる気は十二分にあるらしい。
「馬鹿息子!! 便乗すんな! とめろ! お前の弟をとめろ!!」
「かーくんのやりたいことは極力、させてあげたい系お兄ちゃんなので無理です。後、こんな機会でもないと、貴様を屠れんだろうが」
「……お前、本性、出かかってるけど?」
「てへ☆ つい、うっかりぃ」
多分、兄貴のそれはわざとだな。
……こうして、アルフ様のお力添えもあり、片付けは順調に進んでいった。
数時間後、綺麗に整えられたマスターの部屋には干からびた神様が転がっていたと噂が流れるが……まあ、それはきっと気のせいだ。忘れてくれ。



~あとがき~
ファウス退治にノリノリな兄弟やべぇな。

次回、ウィルさんとミィちゃんとフォースくん。
ファウスをいじめるのにノリノリだった二人が出てくるお話です。

フォースがぶちギレ(?)てファウスに銃を向ける辺りは私も楽しくなって、滅茶苦茶なことをするフォースくんを書いてしまいました。悪ノリ、よくない。
実際のところ、フォースは制御者でなくても他の神様の使いでもやっていけるポテンシャルはあるんだよね。
まあ、あんなこと言ってたり、主にとんでもない行動してたフォースですが、結局はファウスの元を離れないんですけどね。
ツンデレってよりは、今後の心配と今まで受けた恩義という半々の気持ちで側にいます。

ではでは。