satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

気ままな神様達の日常記録 vol.13

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっております。今回はフォースと昔の友人達のお話。



☆さくっと登場人物紹介のコーナー☆
アルフ:転生の神様。穏やかな性格でにこにこしながら、みんなを見守る優しいお方。

フォース:制御者の一人で、最高位の色を制御する。クールな性格で制御者達のリーダー的存在でもある。能力を用いて、心あるものと会話することができる。

ルリ:綺麗な青色の小鳥。フォースの友達でもあり、現在はアルフさんの従者の一匹。

ガーラ:煜くような銀色の狼。フォースの友達でもあり、現在はアルフさんの従者の一匹。





★転生の神に仕える、もふもふ達★
ここは天界。様々な神が住まう世界。
そんな天界に存在する休憩室の一つで─座り心地のよいソファや、快適そうなベッド等々が置かれた謎の場所─おれはソファに寝そべりながら、一人、読書をしていた。
下ですることもなければ、ここですることもなく、単純に暇潰しのためにいるってだけだ。珍しく、誰も絡んでこないし、話しかけにも来ない。
まあ、こう頻繁に行き来していれば、仲間達からも物珍しさも消えるってもんなのかもしれない。というか、物珍しくされる方が変な話でもあるか。おれは元々、ここにいるわけで──いや、生まれてからずっと、ここにいるわけじゃないけども。
……少し、昔の話になる。
おれは元々は人間で、神様に仕えるなんて立場ですらなかった。本当にどこにでもいる……とも言えないけど、力を持って生まれてしまった少年だった。
そのせいで友達をなくしたり、兄貴と別れたり、人でなくなったりと色々あったけど、結果的にこうして平和に暮らしているもんだから、人生ってもんは分からない。
……って、待て待て待て。おれはなんで感傷に浸ってるんだ? 久々に一人でいるせいか?
そうだとしたら、おれも焼きが回ったもんだが。
「……ぴぃ♪」
「がうっ」
……あ?
体を起こして、入り口の方を見れば、銀色の狼と青色の小鳥がこちらへと近づいてきていた。心地よい鳴き声と共に頭には言葉が流れ込んでくる。
『はぁい♪ カル♪ お久しぶり』
『ははっ! オレの嗅覚のお陰だな。感謝しろ、ルリ!』
『はいはい。ありがとうございました~』
『感謝が雑だな!?』
「ルリ、ガーラ。……久しぶり。戻ってたのか」
二人はおれのことを本名で呼ぶ、数少ない友人だ。
なぜなら、二人はかつて、カルマだったおれが、なくしてしまったはずの友達だから。
なくなったはずの二人がなぜ、こうして天界でのんびり、おれと会話をしているのかと言えば、アルフ様のお陰である。
と言うのも、今の二人はアルフ様の従者として存在しているのだ。つまり、アルフ様の仕事を手伝う従者……ある意味、おれと同じ立場になったとも言える。
そういえば、友達がそうなった理由を知らない気がする。
ふとそんなことを考えている間に、ルリが軽やかに飛び回る。そして、おれの膝にふわりと着地すると、嬉しそうに笑った。
『えぇ、ついさっきね。アルフ様から指示された魂の回収がある程度、終わったから、その提出と報告を兼ねて、戻ってきたの』
『天界で会うのも、随分と久しぶりだなぁ? お前とはすれ違うばっかだし』
ふんっと鼻を鳴らし、不機嫌そうにそっぽを向く。そんなガーラを苦笑しながら、そっと撫でてやる。
「そりゃ、今のおれはここじゃなくて、地上にいる方が多いから。でも、最近は学校が休みだから、ここにいる方が多いけどね」
『知っているわ。それ、『夏休み』って言うのよね?』
『あん? だから、地上の森やダンジョンにガキ共が彷徨いてやがるのか?』
多分、そう。
ガーラを撫でつつも、こいつの頭の上に移動して、ちょこんと座ったルリを見る。
「ルリ。入ってきた口振りからして、おれに会いに来てくれたんだろうけど……アルフ様へ報告は?」
『それはすでに済ましてあるわ。帰ってきてすぐ、ガーラが「カルマの匂いがする」って、はしゃぐものだから、さっさと終わらせてきたの♪ それに次の仕事の話は、アルフ様の仕事が一段落してから、改めて教えてくださるそうだから。今はカルと一緒にいられるわ♪』
「……そっか。それならいいんだ」
『おいこら。記憶を改竄するな。お前もそこそこ、はしゃいでたろうに』
「あはは。ガーラ自身が、はしゃいでたってのは訂正しないんだ?」
『……そこまで浮かれてねぇってだけ訂正させろ』
分かった分かった……ごめんって。
でも、よく、おれの匂いなんて分かったな?
天界は広いし、多くの神や従者達が行き交う。その中で、おれの匂いに瞬時に気づくのは、至難の技のように思う。ガーラが匂いに敏感だとしてもだ。
おれが不思議そうにしていたのだろうか。ガーラが得意気な笑みを浮かべた。
『オレの嗅覚なめんな! どこにいたって、お前の居場所くらい当ててやれるぜ?』
なんだろう。素直に喜べない返答が来たな。
「……おれ、そんなに特徴的な匂いでもする?」
『大丈夫よ、カル。ガーラはそれくらいしか取り柄がないってだけ。カルの匂いだけ、特別に匂うわけじゃないわ。それに今回は助言もあったしね?』
「助言?」
『……こっちに帰ってきてすぐ、ひっつき虫に会ってな。そいつにお前がいるって聞いたんだよ』
どこか不服そうなガーラに対し、ルリはけらけらと楽しそうに笑う。
ガーラの言う「ひっつき虫」とは、エルのことだ。エルはガーラの毛並みを気に入っているのか、ガーラを見かける度、こいつをもふもふしようと突っ込んでくるらしい。
『あの子、ガーラのこと好きよね♪ 会う度にくっつくんですもの♪』
『くそ。気安く触ってくんじゃねぇよ。……カルマからも言っておけ! オレが何度言っても聞きやしねぇ!』
『ガーラの言葉に適当に返しながら、ずーっと撫でてたものね~♪』
神の従者になったからだろう。二人は念話を使って、おれ以外とも言葉を交わせるようになっていた。それは嬉しくも思うし、どこか寂しくもあって。
「あ~……うん。まあ、言うだけ言っとくよ。絶対に聞かないと思うけど」
『くっそが!!』
『やぁね。好かれてるんだから、素直に喜びなさいな?』
『けっ! お前はいいよな。無闇に触られなくって』
『私は小さいもの。彼女、遠慮してくれてるのよ』
『オレにも遠慮しろや!!』
『直接言えば?』
『言っても聞かねぇんだっての!!!』
エルのモフる攻撃に、ガーラは手も足も出ないらしい。まあ、こいつのことだ。本気になれば振りきれるだろうけれど、そうしないのは優しさ、なんだろう。昔から、なんだかんだ言いながら、優しかったから。
とはいえ、先程エルと出会し、モフる攻撃をされたのならば、おれはほどほどにしてやった方がいいのかもしれない。
そう思い、そっと手を離すと、なぜかガーラに滅茶苦茶睨まれた。
「……え、やめるなってこと?」
『そうだよ。カルマは別。……んなことオレに言わせんな!』
『カル! これはね、照れ隠しよ、照れ隠し。カルに撫でられるのは気持ちいいから、いいってことなのよ?』
「そうなんだ。じゃあ、もっとしてやらないとな~?」
『があー! 調子乗んなー!!』
口ではそう言いつつも、おれに身を委ねている辺り、かなりの天邪鬼だ。
おれはルリと目を合わせると、小さく笑い合った。



~あとがき~
動物多めでお送りしました。
今回の番外編の中だと一番みじけぇっす。

次回、フォースと友人達の話。後編。

フォースの生前、カルマ時代を知る数少ない二匹でございます。そして、お分かりかと思いますが、ルリとガーラ、レイ学限定キャラです。
また、フォースが動物に好かれたり、優しかったりする理由は彼らという友人がいる為ですね。過去に彼らと遊び、優しくされた経験があるため、制御者となった今でも動物は好きだし、無条件に優しくします。

ではでは。