satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第293話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、輪投げしたり、悪者退治をしたラルさんでした。一話を通して、ラルがかっこよかったね? 意図してなかったけど。
ということで、今回もまた、ラル、ティール、雫の屋台巡りです。そろそろ、別の風を吹き込みたいよ?


《L side》
私達は屋台探索しつつ、たまーに悪者退治もしながら─その度にアラシ君から小言を言われているが─祭りを楽しんでいた。
現在、私達はちょっとした休憩スペースに腰を落ち着かせ、各々、屋台飯に舌鼓を打っているところです。
しーくんはフライドポテト。ティールは例のリンゴヨーグルトゼリー。私は焼きそば。
「ラル、さっきのすごかったね! ぱしってやって、ばんって!」
「相手の攻撃を受け流して、反撃しただけだよ。……それにしても、捜せばいるもんだね、悪党」
「君の場合、祭りを楽しむって目的だったはずなのに、悪党捜しに変わってるからね?」
大丈夫です。お祭りも十二分に楽しんでますので!
「あのね? 祭りを楽しむ人は武器を装備しないんだよ?」
と、ティールは私の腰に目を向ける。そこにはいつもの黒のベルトが巻かれ、そこに雷姫が装着されていた。
いや、もうここまでくると、雷姫を出したり消したりするのが面倒になってしまったのだ。そのため、いつもみたいに雷姫装備してしまった方が楽ってもんでして。
「アラシ、もう諦めテンションだったよ? 誰をどこでぶっ飛ばしたって聞いてきたから」
「もう、失礼しちゃうよね? 吹き飛ばしてないのに」
「そこじゃないから。ぼくはアラシに同情する」
「そう言うなら、ティールが私を止めたら?」
ティールはスプーンを咥え、じぃっと私を見つめる。そして、行儀悪くも、そのスプーンを私に向けてきた。
「……ラルはさ、ぼくの制止で止まるつもりはあるわけ?」
「まあ、ないね」
「だろうね。……ま、正直、ラルは悪いことをしているわけじゃないから、ぼくは止めないよ。でも、余程の事がない限り、手も貸さない」
「ふふん♪ ティールのそういうとこ、好きぃ♪」
「はいはい。ありがとう。……雫は楽しめてる? ラルが脱線しまくってるけど」
美味しそうにポテトを頬張るしーくんは嬉しそうに頷く。
「こーやって、ラルとティールとおでかけするの、たのしーよ! こんなおまつりも、はじめてだから、たのしい!」
そう言われてみれば、そうかもしれない。
夏休みに限らず、長期休暇中は稼ぎ時と言わんばかりに私とティールは家を留守にする。そのため、こんな風に風物詩を楽しむこともあまりない。いや、ないわけじゃないが、三人で、というのは本当に珍しいかもしれない。いつも、チームの誰かも一緒にいて、或いは、ギルドの人達がいて……大勢で騒ぐのが普通で。
「思えば、三人でお祭り回るの、初めて?」
「あぁ、そうかも。そもそも、三人で遊ぶこと自体が久しぶりだ。……蔑ろにしていたつもりはないけれど」
そうだなぁ。こういう時間も案外、大切なのかもしれない。
「ごめんね、しーくん。私ら、勿体無いことしてたかもしれない。普段からこうやって、遊んであげられてなかったね」
「う? ボク、ラルとティールがそばにいてくれるだけで、すごくうれしーよ? それにね、ながいおやすみのとき、ふたりがいなくても、そうじゃないときは、いつもいっしょだもん」
うぐうぅぅ!! うちの子、天使なんだけど! いや、天使通り越して、仏様では!? 神様だよ、神様!!
「しーくん、私の知らない間に成長しすぎだよぉ? もっと甘えておくれよ~! 我儘におなり!?」
「うりゅ? ボク、いーっぱいおねがいしてるよ? ワガママ、いってるよ?」
「あはは。ラルはもーっと我儘言ってくれって言ってるんじゃない? ぼくもそう思うよ。……だから、今日は雫のしたいこと、全部しような」
「! うんっ! じゃあ、こんどはヨーヨーつり、したい!」
「分かった。これ、食べ終わったら行こう。ね、ラル?」
「もちろん! 屋台のヨーヨー、全部ゲットじゃ~♪」
「それは迷惑だからやめろ」
分かってるわ。冗談だよ。

近くにあったヨーヨー釣りのお店で心行くまで遊んだしーくんは、そこでゲットした─当たり前だが、貰ったヨーヨーは一つだけである─青と白のグラデーションが可愛らしいヨーヨーで楽しそうに遊んでいた。
「しーくん、ヨーヨーは振り回さないでね? 周りの人に当たっちゃうと危ないから」
「ん! だいじょーぶ!」
流石に肩車中に、ヨーヨー遊びされるのも危ないので、今は自分で歩いてもらっている。
そんなしーくんは、私と手を繋ぎながら、ぽよぽよと弾むヨーヨーに夢中だ。
はぁ……うちの子、可愛すぎです。可愛すぎて、天に昇っちゃいそうだよ~♪
とまあ、私がしーくんで舞い上がっている横で、ティールはティールで別のものに舞い上がっているらしく。
ティール、ずーっとしあわせそーだね!」
「そうだね。ここに来てから、いくつ目のリンゴ飴食べてんだろうね?」
「ボク、しってるよ! いつつめだよ!」
あらぁ~♪ ちゃんと数を数えられて偉いねー! でも、五つはいくらなんでも食べすぎだよな??
ティール、それで最後にしてくれ」
「ふぇ!? 酷い!」
どこが!? むしろ、五つも許してた私は慣用だと思うんだけれど!? せめて、リンゴ飴以外にも食べてほしいんですけど。例えば……そうだな。
「──はい、ふーちゃん。ベビーカステラだよ~♪」
ベビーカステラは甘味だからなぁ~……リンゴ飴とそう変わらない……ん?
どこか聞き覚えのある声に私は歩みを止める。そこには兄弟なのか、あるいは親戚同士なのか……一人の青年と一人の子供がお祭りを楽しんでいた。
「わぁい! ありがと!」
青年からベビーカステラを手渡された猫族の子供─後ろ姿なので、男女の見分けがつかない─は、美味しそうにカステラを口に含む。
「ふぉしたの、ふぁる~?」
「お前は一度、リンゴ飴を食べるのやめろ」
「……んっ。いや、仕方ないだろ。タイミングが悪かったんだって。それで? どうかした?」
「いや、あれ。ウィルさんっぽいなぁって」
「ウィルさん?」
「ほあ! ウィルお兄ちゃん、いるの!?」
いやいや、まっさかなぁ~? こんなところにウィルさんがいるわけないよね! だって、あの人は神様だもん。こんなところで遊んでるわけ……
「ウィルお兄ちゃんー!」
「あ、しずちゃん! ラルちゃんとティールくんも~! やほやっほー!」
……遊んでたわ。
しーくんの呼び掛けに、私達の存在に気づいたウィルさんはこちらに向かってぶんぶん手を振ってきた。これがフォース君ならガン無視するところなのだろう。なんなら、今なら彼の気持ちも理解できそうですらある。
「ウィルお兄ちゃん! どして、ここにいるのー!」
「えー! 夏だし、お祭りは押さえとくイベントじゃなーい?」
きゅるんと悪ふざけモード全開のウィルさん。久しぶりに会ったけど、この人、こういう人だったなぁ。
「あの、ふざけてます?」
「うんっ!……まあらそれはそれとして。実は、ちょっとした探し物をしててね。あと、ふーちゃんの保護者役も兼ねてここに来てたんだ」
と、ウィルさんの後ろからひょっこり顔を出したのは、先程の猫族の子だ。
ふわりとした銀色の髪を腰の長さにまで伸ばし、藍色の甚平がとてもよく似合っている。見た目やふーちゃんというあだ名から、普通に考えれば、完全に女の子なんだけれど……
「ふーちゃん、お姉さん達にご挨拶できる?」
「うん! はじめまして、フウガです! いつもウィルお兄ちゃんがおせわになってます!」
……男子だなぁ。名前的に。
「ふーちゃん、はじめまして! しずくです!」
「男の子、だよね?」
「男の子っすね。可愛い見た目してるけど……これが噂の男の娘ってやつだ」
これがウィルさんの趣味だとしたら、完全に引くんだが……そこのところどうなのだろう?



~あとがき~
新キャラ、フウガ君。

次回、ウィルとフウガ。
お楽しみに~♪

ウィルが本編中にラル達と話すのは初めてか? そもそも、ウィルが頻繁に本編に出てくるようなキャラでもないのですが。
そんな彼と新キャラと三人がどんな会話を交わすのかは今後をお楽しみに。

ではでは。