satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第294話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、三人でお祭りを楽しむ中、ウィルとフウガと名乗る少年が現れた!
そんなお二人と三人とのお話です。


《L side》
男の子のフウガ君にところどころ女の子ちっくな雰囲気を感じるのはなぜなのか。単純にフウガ君の好みなら何も言わないけれど、ウィルさんがやらせてるのだとしたら……少し、いえ、かなりドン引きいたしますが。
私の訝しげな視線にウィルさんは慌てたように弁明する。
「……待って? 俺の趣味じゃないよ? そもそも、ふーちゃんは俺の子ですらないからね??」
「人類みな、俺の愛すべき子供達とか言うような人の言葉、信用できないです」
「信用してよ、ラルちゃん! あと、そんな俺が連れてるんだから、それに当てはまらない人種なのは分かるよね!?」
……そっち系か。まあ、そうだろうなとは思ってましたが。
つまり、フウガ君もウィルさんのお仲間、天界の人ってことだ。それがフォース君みたいな従者側なのか、ウィルさんみたいな神様側なのかは分からないが……ふむ。
「俺の知り合いの人……まあ、ふーちゃんの親なんだけど、その人に頼まれて、ふーちゃんとここに来ただけなんだよ~! ふーちゃんの見た目もその人の趣味だからー! 俺の趣味じゃないのは理解して?」
「え、と、必死ですね、ウィルさん……?」
「や、だって! そう思われるのは心外だからね! あと、かーくんに誤解されたくないもん! ふーちゃんもなんか言ってください!?」
と、なぜかここにいないフォース君に嫌われたくない一心でティールに訴えまくるお兄ちゃん。けど、すでに手遅れな気がするのは黙っておこう。
しかしまあ、珍しいこともあるものだ。
ウィルさんは地上に仕事でいるときは基本、単独行動を好む人だ。連れ歩くにしても、信頼しているフォース君を側に置くことが多い。
そんな人が知り合いに頼まれたという理由で、ここへ来る理由が分からない。探し物と言っていたが、それをするなら、子供なんて不要だろうに。……ま、フウガ君も天界に住む人なら、その姿は偽りなのかもしれないが。
それに、ウィルさんは上手く隠しているのかもしれないが、所々にフウガ君を気遣うような仕草が見え隠れしている。と、いうことは、だ。フウガ君は従者ではなく、神様である可能性が高い。そして、ウィルさんよりも地位が上の神様である。
私の知ってる中で、ウィルさんよりも地位の高い神様。且つ、ウィルさんを好きに扱えそうな人ってのは……時折、ウィルさんの話に出てくる上司さん、なのだろう。恐らくだが。
「……! えへ♪」
私の視線に気づいたフウガ君が無邪気に笑いかけてくる。私もまた、そんな彼ににこりと笑う。
『これはまた……珍妙なことを』
……え?
思いがけないタイミングで雷姫の声が聴こえてきた。が、それ以上は何も言わず、沈黙を貫く。
雷姫が反応するってことは、私の仮説は仮説ではないのかもしれない。確かめるには、本人……に聞くのは怖いな。ウィルさんにでも聞いてみるのが一番だろう。ウィルさんには例の伝言の件もある。どこか、タイミングを見て、二人きりになりたいな。
「ねえ、ウィルお兄ちゃん!」
「ん? なんですかー?」
「しずくくんと、いっしょにあそびたいなーって! いいでしょ?」
「え? 俺は構わないけど、しずちゃん達は大丈夫? 三人でのびのび楽しんでたんだよね。俺ら、邪魔にならない?」
「ボクはいーよ! ボクもふーちゃんとあそびたいっ!」
え、まあ、しーくんがそう言うなら……
「ぼく達も問題ないですよ。一緒にお祭りを回ろうか?」
「やったー! ティール、ありがとー!」
「ありがとー! ティールお兄ちゃん!」
もしかして、チャンス来たのでは?
キャッキャッとはしゃぐ二人とティールから少しだけ離れ、ウィルさんの肩をちょんっとつつく。
「ウィルさん、少しいいですか?」
「ん? どしたの、ラルちゃん」
「この後、ウィルさんと二人きりでお話ししたくて」
ウィルさんは不思議そうにするものの、ニコッと優しく笑ってくれる。
「もちろん、いいよ。そだな……適当に回って、抜けられそうなときに抜けちゃおっか? あ、もしかして、時間かかるような話? それなら、改めて時間作るよ」
「いえ。そこまで長話するつもりはないので、それで大丈夫です」
「オッケー! じゃ、後でね!」
よし。これでミルティアからのお使いも完遂できそうだ……ん?
誰かの視線を感じて、とりあえずぐるっと見渡してみる。が、特に怪しい気配も視線も感じない。気のせいだったのだろうか。まあ、雷姫やティール、ウィルさんも反応しなかったのだし、気のせいなんだろう。ついさっきまで、悪党退治してたのが悪かったかな。
──この時、私は全く気づいていなかったのだ。彼、フウガ君に時折、見られていたことに。

ウィルさんとフウガ君という新たな仲間を迎えた私達は、五人で色々な屋台を見て回ることになった。
まあ、主にしーくんとフウガ君がキャッキャッしているところを三人が見ているだけなのだが。
……いや、今はとある屋台の前でちょっとした小競り合いしています。
「マジで、やめろ! いい加減にしてくれぇぇ!!」
「せっかくの祭りだよ!? 今日楽しまなくていつ楽しむのさぁぁ!!」
「さっきので最後にしろって言ったよね! リンゴ飴は禁止ですーー!!」
「えぇぇぇ!!??」
えぇ!?……じゃないんだよ、馬鹿!
最早、そう仕組まれているのかと思いたくなるくらい、自然な動作でリンゴ飴の屋台に行くから驚きだ。慌てて腕を掴み、がっしりと捕まえて正解だった。
「あはは~♪ ティール君のリンゴ好きもここまで来ると病気だねぇ? 不治の病ってやつだ」
「ウィルさん! こいつのリンゴ大好き病、治してください。私、そのためならなんでもしますからぁ!」
「ごめんね、ラルちゃん。なんでも治せる俺でも、こればっかりは無理だよ。俺がかーくんめっちゃ好きなのと一緒で、一生付き合ってもらう病気だね。つまり、俺と同志だね、ティール君!」
「あれと一緒にされるのは心外ですね」
「あれぇ!? 意外と毒吐くね!?」
これ以上、ここで騒ぐとこちらが不審者扱いされる。さっさと移動しよう。
「ウィルさん、こいつ運ぶの手伝ってください。ほら、歩け歩け!」
「りょーかい♪ ほら、ティール君。こっちだよ~♪」
「うぅ~……二人とも意地悪だ~」
うっちゃい! 駄目ったら駄目!
「おかえり、ラル! ティール、つかまえられた?」
ふらふらっといなくなろうとしたティールを追いかけた一方で、しーくんとフウガ君には近くの金魚掬い屋で遊んでもらっていた。……どうやら、ここでは掬って遊ぶのが目的で、獲るのは目的ではない屋台らしい。
「ごめんね。捕まえられたから、次行こうか? どこか行きたいところ、ある?」
「ん~……とね。あ、ラルお姉ちゃん、あれ何?」
フウガくんが指差したのは型抜き屋だ。
あそこの屋台では、大人子供問わず、真剣に小さな板から決められた形をくり貫こうと必死になっている。
「型抜きって遊びだよ。溝が予め掘られてる板状のお菓子をその形通りにくり貫くんだ。花だったり、家の形だったりね」
「あ、俺も知ってる~♪ 一般的にはお金がもらえるんだよね! ま、あそこはそうじゃないみたいだけど~」
ふむ?
ウィルさんの言う通り、あそこはお金を渡すのではなく、ランクによってもらえるものがお菓子だったり、おもちゃだったりするようだ。
ま、子供にお金を渡すのは道徳的によろしくないとかで、そういう取り決めでもあるのかもしれない。そうなると、あそこの大人達は子供に頼まれ、おもちゃを獲ろうと必死なのかもしれないな。親って大変だ。
説明を聞いたフウガ君は目をキラキラさせ、「やってみたい!」とウィルさんへ告げる。そして、しーくんも興味津々なご様子で、じーっと私の方を見てきた。
「……じゃ、次はあそこだね?」
「やたー! ありがと、ラル!」
「ふーちゃんもしずちゃんと一緒にやろうね~」
「うん! どれにしよっかな~♪ しずくくんはどーする?」
「んとね……えっと~」
小さな子に型抜きは難しいかもしれないけれど、意外と器用なフウガ君─先程、輪投げで見事な命中率を披露してくれている─と、なんでも夢中で取り組むしーくんだ。もしかしたら、失敗せずにできちゃうかも。
……型抜きって終わるまで時間かかるよな? それなら、今がチャンスか?
隣のティールをつつき、そこっと耳打ちする。
「私、今からウィルさんと密会してくるから、二人を見ててほしいんだけど」
それを聞いたティールは少し首を傾げ、呆れ顔を見せる。
「密会なら、ぼくに報告しないでよ……まあ、いいけど」
「ありがと。まあ、密会と言うか、単純に二人で話をしたいだけなんだけどさ。心配しないで」
「分かってる。心配なんてしてないよ。ほら、いってらっしゃい」
深く追求しないでくれる、ティールが好きだよ。説明できたら、後でします……!
「よし、ウィルさん。今からいいですか?」
「うん。今がいいタイミングっぽいもんね。いいよ~♪」
三人……正確には、フウガ君としーくんだが、気付かれないようにその場から離れる。
「? ふーちゃん、どーかした?」
「……ううん! なんでもないっ!」
──気付かれないように離れた、つもりだったのだろうか。もしかして、今、フウガ君に見られていた? まあ、見られていても問題はないのだが。
あの、フウガという神様は、私に何かあるのだろうか。……私は特に用はないんだけどなぁ?
私は特に気にする必要もないと判断し、さっさとそこから離れたのだった。



~あとがき~
ちょこちょこ怪しい動きをするフウガ少年でした。

次回、ウィルとラル。

私、型抜きってそこまでやったことがないけど、あれ難しくないですか?
すぐに割れてしまった記憶しかない……(笑)

ではでは。