satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第296話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、遂にアルフさん登場です!
番外編では主役級に活躍する可愛い神様ですが、まさかまさか、本編にまで来てしまうとは!
そんな神様とラルのお話です。お楽しみください。


《L side》
ウィルさんが私達から離れ、アルフさんと二人きりになった。もうどうしていいか分からないし、なんなら、私から話したいことは今のところないので、黙って突っ立ってることしかできない。
「ウィルくん酷いなぁ。僕は何にもしないのに。……さて、とりあえず、座って話そっか」
と、アルフさんは近くのベンチへ目線を送る。断れる雰囲気でもなく、私はおずおずとベンチへ腰を下ろした。
「さて、何から話そっかな~……まずは僕の正体を明かした理由についてからかな?」
それは……ウィルさんが言ってた、ふーちゃんの正体に気づいたから、ですか?
「うん、流石だね。それが主な理由だよ」
「でも、誰かに話してないし、あくまでそうだろうなって思っただけなのに……?」
そう。私は自己完結する形でフウガ君の正体を考察したに過ぎない。それを思考しただけなのだ。それを誰かに話すつもりも、口にするつもりもない。
「その辺、すっごくややこしいから説明はしないけど……つまりね? 僕の『正体について思考する』こと自体、危険なんだ」
「危険?」
「うん。そもそも、僕って大昔に色々しちゃったせいで天界では問題児扱いされててね? その結果、地上にすむ人間に正体を明かしてはならぬ!……っていう制約があるんだ」
あっけらかんととんでも発言してないか、この神様。
「でまあ、その制約は口伝だけでなく、思考も含まれてしまう。だから、今回、僕の正体に勘づいてしまったラルちゃんには近々、神によるコンタクトがある。口封じをするためにね」
次々ととんでも発言してないか、この神様!?
いや、それだけの理由で口封じされてたまるか! というか、口封じって何されるんだ。
「上の奴ら、容赦ないからね。最低でもラルちゃんの記憶抹消くらいはすると思う。……神ってのは、そういう奴らだから」
ほんの少し、アルフさんから冷たいものを感じ、思わず身震いする。
私は優しい神様しか知らない。友達として接してくれる、優しい神様しかいない。
もちろん、それは一面でしかないのだろう。色んな人々が生きるように、神にも色々あるのだろう。
それでも、そんな神の都合で、私の記憶が奪われるなんて許さない。許したくない。
「とは言え、ラルちゃんの中にいる雷姫がそんなこと許さないとは思うけどね? でも、そんな雷姫も所詮は神に創られた道具。いくら雷姫が強くても、僕らには勝てっこない」
『……ふん』
どこまで、抗えるのだろう。
いや、きっと抗う余裕すら与えてくれないんだろうな。理不尽に、好きなようにされてしまう。ちっぽけな人間ごときが神に勝てるはずもないのだから。
「安心して、ラルちゃん。僕は君の味方だ。言ったでしょ? 守るために現れたって」
アルフさんはそっと優しく私の頬を撫でる。そして、柔らかな笑みを見せた。
「……奴らに先を越される前に僕が手を打つ。そのために、ラルちゃんの目の前で正体を明かしたんだよ」
「アルフさん、一体何を」
「じっとしててね」
突然、アルフさんが私の頭を優しく叩く。それは、親が子供をあやすみたいに、自然なもので。
私は訳が分からず、目を白黒させる。これに意味があるのだろうか。これが理不尽な神の手から守る手段だとは思えなかった。
しかし、雷姫はアルフさんの行為を理解したのか、私を庇うように半霊体状態で姿を見せ、アルフさんを怒鳴り付ける。
『貴様! マスターに何をする!』
「わあ! そんなに怒らなくったっていいだろう? 君の主人を守るためにやったんだよ?」
『そんなのは理解しておる! が、我の許可もなく、勝手に加護を流したことに腹を立てておるのじゃ。気分が悪い! 我の!』
お前のかぁい!
……ん? 加護、とな?
「えぇ? 雷姫にすぐ馴染むように調節したつもりなんだけどな」
『そこではない。許可なく入ってくるなと言っておるのだ』
「ら、雷姫。加護ってなに? 私、なんにも感じないよ」
『む。神は人の子に力を分け与えることがある。近い例で言うと……『ばふ』効果とやらに似たものじゃ』
バフってことは悪いものじゃないんだ。
「うん♪ 僕が今、与えたのは『神隠し』の加護だよ。その名の通り、神の手によって存在を隠す加護。効果があるのは、僕を敵視する神のみだと思ってくれていい。だから、ラルちゃんが今まで会ってきた神様や、僕に普通に接してくる神様には効かないようにしてある。……要は何が言いたいかって、ラルちゃんは今まで通り、楽しく幸せに暮らして大丈夫ってこと!」
「えぇっと……全てがいきなりで、ついていけないんですが。つまり、私は記憶を消されたりしないってことですか?」
「そういうこと! だから、雷姫? そんなに怒らないでよ。それに君は気づいてないみたいだけど、すでに似たような加護がかけられてるみたいだよ」
『……何!? マスター、我の知らぬところで浮気したのか!?』
え、知らない。思い当たる節もない。浮気してないですが。……いや、浮気ってなんだ!
アルフさんはじっと私を見つめると、困ったように笑った。
「この感じ、どうやらあの子の思い出の場所でもらってきたみたいだね? 我が娘ながら、大した子だよ~」
そういえば。
一気に色んなことが襲ってきて、ウィルさんに聞き返すのを忘れてしまっていたけれど。
ウィルさんは伝言の相手は俺だけじゃないと言った。ミルティアに関係する神であり、そして、それは自分の上司に当たる人であると。
そして、今の言葉。我が娘って。
「君と会ったときから、なんとなく気になってたんだ。あの子の力が周りを漂ってるからさ」
「……ミルティアの関係のある神……ミルティアは神の子……って、まさか。アルフ、さんはミルティアの父?」
「うん? ふふ。うん、そう。僕がミルティアの父親だよ」
父親がいるってことは、母親も存在する?
「そうだね。あの子の母は君と同じ、普通の人間だったから、寿命はとっくに終わって今は存在しないけれど」
……?
なんだろう。この引っ掛かるような言い方は。別に変なところはないように思えるけれど、何かがおかしい。
人間だったとか、寿命は、とか。
それだとまるで……
しかし、アルフさんの顔を見て、思考を止める。それ以上は考えるなと言われているようで、踏み込んではいけないものなのだと察した。
先程のアルフさんの例もある。これはもう考えない方がいいかもしれない。
『転生の娘の加護とは、なんなのじゃ』
アルフさんに向かって、訝しげに問い掛ける。そんな雷姫にアルフさんは「言った通りだよ」と答えた。
「簡単に言えば、悪意のある神からの攻撃を守る加護かな。そんな加護が君の心の奥深くにかけられてるんだよ。……実は、それもラルちゃんに接触した理由の一つでもあるんだ」
私にあるミルティアの加護が接触の理由?
「そそ。さっきも言ったけど、君の周りにあの子の力……もっと言えば、魔力をほんの少し感じたんだ。だから、僕の探し物の手がかりになるかなぁ~……なんてね」
探し物……そういえば、ウィルさんも言っていたな。探し物をするためにここへ来たと。
「ミルティアの力、加護。……探し物ってミルティアに関係する何かですか?」
「正解♪……十数年前からかな。年に一度だけ、あの子の気配を微かに感じるんだ。すでに死んでしまったはずのあの子の、ね。……で、ウィルくんが神様として復活してからここへ探しに来ているってわけ!」
ウィルさんの封印を解いたのは、私達が高校一年のときだ。つまり、今年で三年目となる大捜索ということになる。
「過去に二回、ここへ訪れてるんですよね。神様二人で探して、見つからないなんてこと、あります?」
「あはは~♪ 返す言葉もないよ。でも、気配が希薄で追いにくいのと、その気配が僕らから逃げているようでね。全く捕まらないんだ。今年もそんな感じに終わるのかな~……と思っていたところにラルちゃんが現れた」
……ミルティアの力を多少なりとも纏った私がいた。去年、一昨年となかったことが起こっている。
そういえば、ミルティアの思念体と話したとき、手を握られた。あのときに加護をつけられたのだろうか。私に触れた瞬間なんてあそこしかない。ティールにはなくて、私のみに加護があるのなら、あの場面しかあり得ない。
「一応、気配の出所に心当たりがない訳じゃないんだよ? でも、普段はまーったくその気配を感じないわけだし? それだと僕から会いに行けないからさ。ほら、僕は神様だし。理由なしに人の子と話しちゃ駄目だし?」
神様でもがっつり絡んでくる人は絡んでくるけれど……それはともかくだ。
アルフさん、私にはがっつり絡んでません? 滅茶苦茶話してません? それはいいんですか??
……まあ、今更か。これ。



~あとがき~
ラルに神様の加護とやらが付き始めました。これが神に愛されるというやつ? 流行りの転生無双シリーズかな??

次回、ラルとアルフさん。その二。

ラルの神様交流記録としては、概ね、空海と変わらないっちゃ変わりません。色んな人とお知り合いです。ただ、関り合いのない神もいるので、なんとも言えません。分かりやすいのはディアルガパルキアに当たる神様とは会ってません。だって、出会うきっかけとなる事件がこの世界では起こらないんだもの!
反対に湖の守り神とはお知り合いです。
ユクシーエムリットアグノムですね。その三人モチーフ神様とは知り合いです。仲良しです。はい。
そんな設定あるけど、本編じゃ出る予定ないけどな~……(笑)

ではでは。