satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第297話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界な物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ラルとアルフさんの会話をお送りしてます。今回もその続きですね。
ところで、ラルの貰った加護。それを活かす話はありますかと相方に伺ったところ、今のところは未定と返答をいただきました。
まあ、学園っぽさ溢れる(?)このお話に不要っちゃ不要ですもんな。
ということで、隠れスキルゲットしたラル。
よかったな、ラル。
ラル「……よかった、のか?」


《L side》
「驚いたよ。魔力を纏っているだけでなく、あの子からの伝言を聞くことになるなんて思ってもみなかったよ?」
あぁ、伝言な……あの伝言、ウィルさんだけでなく、アルフさん宛てでもあるんだったか。
「なぜ、ミルティアは自分の父親へではなく、ウィルさんにしたんでしょう。それに、なぜ『幸せだった』なんて伝言をあなたに向けたんです?」
「ウィルくん宛にしたのは、ラルちゃんがウィルくんと交流があったからじゃないかな。そっちの方が伝わるじゃない?」
まあ、確かに?
あの場で私の父に宛ててくれと言われても、それは誰ですかと聞く羽目になる。こうやってアルフさんが接触してくれたからいいものの、それがなかったら、一生伝わらない可能性すらあったわけだ。
しかし、ミルティアはどこで私とウィルさんの関係を知ったのだろう。あの場でウィルさんの話を切り出したのは、ミルティアからだ。私からではない。
「ミルティアはどうしてウィルさんと知り合いだと分かったんでしょうか。あれが初対面だったのに」
「うぅん……ごめんね? それは神である僕達からはなんにも言えないや」
出た出た。神様の禁止項目。
じゃ、これ以上は何も言うまい。
「あと、二つ目の質問なんだけれど……」
どこか言いにくそうに、頬を掻きつつも、苦笑気味に口を開いた。
「昔の僕は……今みたいな僕じゃなかったから……かな?」
それ、答えになっているのか?
思わず首を傾げると、アルフさんは小さく笑い、話を続ける。
「ウィルくんから聞いたことあるかな。神様って、人みたいな感情を持たないんだよ。ないとは言わないけど、どこか機械みたいで淡々としてるって言えばいいかな。もちろん、ウィルくんみたいに最初から豊かな神様も存在するけれどね。……僕は、そうじゃなかった。あの子が死ぬまで、人らしい感情なんてなかったんだ」
「ミルティアが死ぬまで、ですか?」
「うん♪ 信じられないかもしれないけど、僕は天界でも一位二位を争う程、冷酷で厳しい神様で有名だったんだよ?」
どの辺が……? 申し訳ないが、今のアルフさんを見ていても、全く想像ができない。できないが、雷姫が角が取れたとか、昔はそんな姿じゃなかったとか言っていた。きっと、雷姫は昔のアルフさんを知っているから、そんな言葉が出てきたのだろう。
「……けれど、あの子が死んで、ようやく僕は理解したんだ。人の愛情、恋慕、慈しむという心をね。そんな感情を理解したと同時に後悔した」
アルフさんは少しだけ苦しそうに顔をしかめ、それでも無理矢理、笑みを見せる。
「自身の子に親らしい愛情をかけてこなかったんだ。むしろ、厳しく接してばっかりだった。そんな僕の態度が我が子の人生を台無しにしてしまったんじゃないかって……すごくすごく、後悔したんだよ。でもね」
そっと目を閉じ、一呼吸置いたときには、アルフさんの表情は晴れていた。一人の父として、優しく柔らかな笑みだ。
「ラルちゃんからあの子の伝言を聞いて、そんな思いも拭えた。本当にありがとう」
「……いえ、私は何もしてません。伝えろと言われたから伝えただけです」
「そんなことはない。その行為がずぅっと後悔を感じていた僕を助けたんだよ? だから、ありがとうって言わせてよ」
……本当に私は何かしたつもりはないけれど、言って満足できるなら否定するのも変な話だ。別に間違ってはないと思うし。
「ところで、あの子は他に何か言っていたかい? よければ教えて欲しいな」
ミルティアとの会話ねぇ……?
彼女のお願いを話すのも変だし、特別、何かを言っていたかと言われると……何もないような気がする。
「……そういえば、ミルティアは近いうちにもう一度会うかもしれないと」
「え、ラルちゃんと?」
「た……多分? でも、もう『奇跡の洞窟』へ行く予定なんてないし、ミルティアと縁のある場所へ行く予定もないので、前みたいな手法は使えません。だから、会うなんてことないと思うんですが」
そもそも、あれだってあの女神の涙にミルティアの思いが強く残っていたからこそ起きた現象のはずだ。そんなものが世界各地にあってたまるかって話だ。
しかし、アルフさんは笑って冗談だと流すことはなく、少し考え込むと、にこりと笑う。
「あの子がそう言うなら、そうなんだろうな。きっと、ラルちゃんはもう一度、逢うんだよ」
「もう亡くなってるのに? それとも、あのときみたいに強い思いが宿る何かに触れる機会があるとでも?」
「どうだろう。手段は分かんないけど……でも、あの子は神としては色々と規格外だったからなぁ♪ 死して尚、自分と会話できるような何かを一つや二つ、残してても不思議じゃないかな?」
んなことあるぅ? 楽観的すぎるだろう。
「それに今日は女神祭。あの子を祀るための祭りだ。……そんな日だからこそ、奇跡くらい起きるかもよ?」
……奇跡、ね。
くすっと笑い、アルフさんはベンチから立ち上がると、パチンっと指を鳴らして、くるりと回った。すると、アルフさんからフウガ君へと姿が変わった。
「さあ! そろそろウィルくん達のところへ戻ろ~♪」
「え、あ……はい」
まだ聞きたいことはあるけれど、ティールやウィルさんにはすぐ戻ると言ってしまっている。これ以上は言い訳がしにくいな。
というか、だ。
本来の話し相手であるウィルさんが先に戻って、私が戻らない理由ってなんだ!? なんて理由つけてるんだ、ウィルさん!

フウガ君に手を引かれながら、皆の待つ型抜き屋へと戻ってきた。
「あ、ラル、おかえりー! みてみて!」
開口一番、何を言われるのかと内心びくびくしていたのだが、そんな心配は不要だったらしい。しーくんが得意気にお菓子の詰め合わせセットを見せてきた。
かたぬきでもらったの! きれーにできたごほーびだよ!」
「へぇ~……ってことは、大成功したんだ。おめでと、しーくん♪」
しずちゃん、めっちゃ器用やん……俺らの中でも断トツだったんだけどぉ」
「ですね。器用さで負けた」
どうやら、私達が話している間、ウィルさんとティールも型抜きに挑戦したらしかった。しかし、彼らの目の前の欠片達を見れば、何があったのかは容易に想像できた。
ティール君、集中力はあるけど、器用さが足りなかったなぁ」
「まあ、そうですね。というか、ウィルさんも似たようなものでしょう」
「最後の方、面倒になったねぇ……あれが敗因だったよ」
「で……ラルの方の用事は大丈夫そう?」
あ、え~……うん! 大丈夫!
あの、ウィルさん? ティールとしーくんになんて説明をしたんですか。したんですか!
「よぉし! 二人も戻ったし、祭り探索、再開しよー!」
「おー!」
ウィルさぁぁん!?
──その後、どうしても気になったのでウィルさんに聞いてみた。適当に誤魔化してティールに勘づかれるのも嫌なので、フウガ君が二人に幻覚を見せ、私の後を追いかけたのは正直に話したという。
そして、私を追いかけた理由が「どうしても私と話がしたかった」としたらしい。
ある意味、どれも間違ってはない。そこに隠されたものはあれど、ウィルさんの話したものはどれも真実である。
本当に隠したい事実を隠すために嘘と真を織り混ぜるとは、ウィルさんもなかなかに策士である。
普段、そんな雰囲気ないくせに。

さて。
型抜き屋を後にし、その後も何店か一緒に楽しんだ。そして、ウィルさんとフウガ君は本格的に『用事』をすますため、ここでお別れとなった。
「ふーちゃん、またあそぼーね! やくそくっ」
「うんっ! やくそく!」
と、しーくんとフウガ君が仲良く抱き合う。こんな短時間で仲良くなれるのは無垢な子供の特権だ。……片方、無垢な子供ではないんだが。
「いやはや、微笑ましいですな~♪」
「そうですね~」
何も知らないティールは呑気でいいな!
正体を知ってしまった私としては、結構、複雑なんですけど。この約束、守られる日は来るのか。来なさそうだなぁ……



~あとがき~
最後、雑に終わらせてしまった。

次回、とある方とのお話。
お楽しみに。

とりあえず、アルフさんとウィルはここで退場です。今後、どっかに出てくるかな……?
ウィルはともかく、アルフさんが本編に出てくることはあるんだろうか……? わからぬ。

ではでは。