satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第298話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界な物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、アルフさんとのお話、そしてウィル達ともお別れしました。
今回はちょいと視点変更をし、別の人とのお話をします。
まあ、変えるなんて一人しかいないけどな!


《Te side》
粗方、祭りの探索をし終わった頃。
ラルがちらりと空を見上げ、「そろそろ本部戻るかぁ」と呟いた。
楽しい時間はあっという間だ。もうそんな時間なんだな、とぼんやりと考える。
「ま、急ぐ必要はないし、のーんびり戻ろっか~」
「はーい!」
「何か食べたり、やりたいこともしながらでいいからね。それくらいの時間はあるから。……ティール、お前はもうリンゴ系統のものは食べるなよ」
あ……ハイ。
食べ納め、したかった。けど、ラルに睨まれてしまっては、もう食べるのは難しいかな。ぐぬぬ……ラルの意地悪。
「ラルちゃん、ティールくん♪ お祭りは楽しんでいる?」
ぼく達の後ろから誰かが呼び掛けてくる。その声に振り返ってみれば、そこには袴姿にレイピアを携えたセラフィーヌさんが立っていた。
「あ、どもども! セラフィーヌさん♪」
「こ、こんにちは」
「こんにちはー!」
「あらあら♪ はい、こんにちは。雫くん♪」
イグさんの計らいで時折、セラフィーヌさんに訓練してもらっているラルは、変に緊張せずに挨拶を交わしている。雫は言わずもがなというやつで、いつもの人懐っこい笑顔で挨拶をしていた。
そして、ぼくはというと、当初と大して変わらない。何か関わりのある人ではないし、特別お近づきになるような人でもないからだ。
「どうかしら? お祭りを楽しんでる?」
「えぇ。ご覧の通り、十分に楽しませてもらってますよ。これ以上ないってくらい遊びました」
「ふふっ♪ それはよかった」
「セラフィーヌさんはどうしてこんなところに? お仕事ですか?」
ラルの質問にセラフィーヌさんは「そんなところかな」と頷く。
「見回りも兼ねて、色んなお店の相談事を聞いて回っていたの。まあ、それも終わって本部に戻るところでラルちゃん達を見かけて、話しかけたんだけれどね?」
セラフィーヌさんもギルドの一員だと聞く。見回りや店の相談事も仕事の一環なのだろう。
なんて考えていると、どこか楽しそうに笑いながら、セラフィーヌさんは話を続ける。
「それにしても、丁度いいところにラルちゃん達がいてくれてよかった。実はお話がしたいなって思っていたの」
「ほう? 話ですか?」
「そう。……正しくはティールくんと、ね?」
……え、ぼく?
ラル以上に接点のないぼくと一体何を。
「できれば、二人きりでお話ししたいんだけれど……今からいいかしら?」
え、え? 今から? ぼくとセラフィーヌさんが話すの? なんで!?
訳がわからないぼくとは対称的に、ラルはどこか考え込む仕草を見せるも、すぐに考えがまとまったのか、にこりと笑って「いいですよ」と快諾。
「ちょ、ラル!? ぼくの意思は!」
「え、必要だった?」
「いるでしょ! ラルとセラフィーヌさんならともかく、ぼくとだよ? 君が決めることじゃなくない?」
「じゃあ、聞くけどさ。ティールとしては断る理由なくない?」
な、ないけど……
「だよね? それなら、次に気にするのは待たされる側の私としーくんの都合。でも、こちらとしても別に急いでないし、断る理由はない。なら、OK出してもいいじゃん」
う、あ、そ、そうだけど! そうなんだけど!!
「大丈夫だよ。心配するようなことはなーんにも起きないって。……じゃ、セラフィーヌさん。私達はあちらのベンチで待ってますので、ごゆっくり♪」
「ありがとう、ラルちゃん♪ そんなに時間は取らないから」
「はーい。まあ、その辺はお気になさらず。気が済むまでうちのティールと話してください。……よし、しーくん、あっちで最後の腹ごしらえだ! たこ焼きパーティーするぞ~♪」
「わーい! たこやきパーティー!」
あ、ちょっとー!?
トントン拍子で─しかも、当のぼくは置き去りに─何もかもが決まってしまい、その場に取り残されてしまった。
ど、どうしろって言うんだ……?
「ごめんなさいね? 急にこんなことをお願いしてしまって」
「……あ、いえ。その、大丈夫です。彼女の言う通り、断る理由はないですし。それでぼくに話ってなんでしょう?」
セラフィーヌさんはほんの少し苦笑しつつも、にこりと笑った。
「大したことではないの。でも、ティールくんに謝らないとって思って」
……謝る?
ぼく、セラフィーヌさんに何かされたっけ。いや、記憶にない。第一、セラフィーヌさんとは接点がないと思ったばかりではないか。
「ケアル家とクランド家の繋がりを今の今まで隠していたこと……それを謝りたくって」
そんなこと……というか、それ、セラフィーヌさんは何も関係なくないか?
確かに、ぼくはレイ学に入学してから今の今まで、ケアル家との深い繋がりを知らなかった。しかしそれは、両親がぼくに言わなかっただけ……つまりは、知る機会がなかっただけのこと。そりゃ、突然知らされたときは、それなりの衝撃ではあったが。
「この街に来て、あなたの両親……ライトくん達の色んなことを知ったと思う。それらを知ったとき、ティールくんは『どうしたって父親から逃げられない』なんて思わなかった? 手のひらで操られているような、転がされているような……そんな感覚にならなかった?」
……それは。
「それね、誤解なの」
「誤解、ですか……?」
セラフィーヌさんは静かに頷き、困ったように笑う。
「何て言うか……ティールくんのその考えは真逆って言うのかしら。それをお父様は正そうとしないと思うから、私から話すわね?」
いまいち、話の流れが見えてこないけれど、まとめると、ぼくが感じたあれは、実際は全くの見当違いである……ということなのだろうか。
ティールくんはね、ライトくんの手のひらにいたんじゃなくて、お父様の手のひらに転がされていたってこと。ライトくんと一緒にね?」
……ん~?
つまり、なんだ? ぼくは父上にいいようにされてたんじゃなくて、ルーメンさんに誘導された父上に踊らされてたってこと? 
いや、これは言い方が悪いか。要は父上もルーメンさんに使われていたってことだ。多分?
ティールくん、留学先を決めるとき、色んな学校のパンフレットを見せられたと思うんだけれど、その中から留学先を決めなかった?」
ぼくはその問いに静かに頷く。
確かにそうだ。
修行方法として、年齢的な観点から学校へ通うことになったぼくは、他国の学校からレイ学を選んだ。
理由は単純だった。家から遠く離れられて、探検や冒険について学べると知ったから。
「ふふ……やっぱり♪ 流石、お姉様とライトくんの子供ね? お姉様達から話を聞いて、小さい頃から冒険や探検に興味があったんでしょ?」
「えっと……はい。そうですね」
「それ、お父様にはぜーんぶお見通しだったのよ。それを含めて、お父様はティールくんがレイ学に入学するように誘導したんだと思うわ♪」
ゆ、誘導って……本人はその場にいないのに。
戸惑いを隠せないぼくにセラフィーヌさんは少しだけ得意気な表情で笑う。
「お父様、そういうの得意なの。誘導尋問みたいこと♪」
誘導尋問された覚えもないんですが!?
……けれど、そうだな。
ルーメンさんは両親を使って、ぼくをレイ学に入学するように意識を向けさせたのだろう。
何をどうやってそうさせたのかはさっぱりだが……まあ、あのルーメンさんならやってしまうのかもしれない。というか、成功してるから、ぼくはレイ学に通っているわけなんだよなぁ。



~あとがき~
全てはルーメンさんの策略なんだよぉぉ!!!
ルーメンという名のラスボスかもしれん。

次回、ティールとセラフィーヌ。
もうちょい続きます。

ティールがレイディアント学園に通う理由というか、選んだ理由ですね。それが明らかとなりました。両親が選んだわけではなく、あくまでティールの意思によるものではありますが、それすらもルーメンさんが上を行っていた……みたいな感じですかね。
関係ない話ですが、ティールの父であるブライトの場合は当時の王様(父親)に「ここ行ってこい。ここ」と言われて、ルーメンさんのギルドに行ってます。ブライトとしては特に異論はないけど、そんな経験もあって、修行先を選ばせられるのなら、そうしてやりたいという思いもあったのかもしれませんね。
こうも子供のことを考えているのに、不仲になる理由が謎すぎる。お前ら、コミュニケーション不足か?? あれか? 思春期なのか??(笑)

ではでは。