satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第299話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界な物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとセラフィーヌさんがお話し始めました。
ラルは神様とミルティアのことやらを話すのに対し、ティールは自身に纏わるお話でした。
今回も前回の続きです。


《Te side》
「……実はね、お父様はライトくんとお姉様からティールくんの修行先を相談されたの。そこでレイ学への留学を勧めたのが始まり」
両親が信頼しているルーメンさんに、息子の今後の相談をするのは当たり前なのかもしれない。
「お父様、サフィアおばさまが亡くなってから、ティールくんとライトくんの関係が悪くなってるのを気にしてたみたいでね? 何かあったときのために準備をしていたの。その一つとして、レイ学への留学を勧めたんだと思う。……きっと、サフィアおばさまとの約束を守るために」
生前、お祖母様が言い残していたとこの前、ルーメンさんから聞いていた。
家族をお願いします、と。
誰よりも優しくて、家族を想うお祖母様からの遺言をルーメンさんは守ってくれていたんだ。
「でもね、その頃のライトくん達はティールくんに強制的にここへ行け、なんてしたくなったみたい。だからこそ、レイ学だけじゃなく、他の学校のパンフレットもたくさん用意して、ティールくんに決めさせたのね」
両親はぼくの意思を尊重し、いくつもの学校のパンフレットを用意してくれていた。親に決められたものではなく、自分で選択しろと……後悔のない選択をと父上に言われた。
しかし、疑問が残る。
「なぜ、ルーメンさんはぼくがレイ学を選ぶって分かってたんでしょうか。探検に興味を持っていたからと言って、確実に選ぶとは限らないですよね?」
「そうね……お父様がなぜそう確信していたか。……理由は二つあると思う。一つは今、ティールくんが言ったように探検への興味かな」
じゃあ、もう一つは。
セラフィーヌさんは楽しそうにニコッと笑うと、口を開く。
「もう一つは、お姉様。ティールくんに留学の話をするとき、お姉様ならレイ学を勧めると分かってんだと思うわ」
……母上が。
そういえば、留学の話を持ちかけられたとき。……もっと言えば、数あるパンフレットを渡されたとき、母上は一つのパンフレットをぼくに見せてきた。それがレイディアント学園のものだった。
ここでなら、探検について専門的に学べると力説された上で、離れ離れは嫌だと滅茶苦茶泣かれたことを思い出した。
あの頃から、ルーメンさんに誘導されていたんだな。きっと、ぼくも父上も母上も、みーんな。
「お姉様はちょっと分からないけど……ライトくんは途中で気づいてたと思う」
「え? それはルーメンさんのペースだってことにですか」
「えぇ。それでもティールくんのためにってそのままにしてたんじゃないかしら? いくら家の仕来たりでの修行といっても、幼い息子を見知らぬ土地に一人で放り出したくはないもの。少しでも信頼の置けるところへ送り出したいと思うのは、ライトくんの思いやり」
全然、干渉してこなかったくせに。
留学先を決めたときだって、大した反応なかったくせに。だから、ぼくのことなんて、どうでもいいのかと思っていた。
でも、ぼくを知らんぷりしていたわけじゃないんだな。見てなかったわけじゃなかったんだな。
父上は……父さんは父さんなりにぼくのことを考えてくれていたんだ。
「ま、それを口にしないせいで、ティールくんが勘違いしそうだったから、今のこのタイミングでネタばらししちゃったってわけ♪……だから、ね? あまり、ライトくんを嫌わないであげて?」
「……え?」
どこか困ったように、そして、心配するような声色に、ぼくは思わず聞き返してしまった。
「民の気持ちは誰よりも理解できるくせに、一番理解しなきゃいけない家族の気持ちには鈍感。あと、自分一人が頑張ればいいとか訳の分からない理由で、黙々と仕事しまくって、且つ、他人をまーったく頼らないまんま仕事しちゃうような……にぶちん朴念仁野郎なライトくんだけどっ!」
最後の方はほぼ悪口なのではと思ってしまうが、セラフィーヌさんのその言葉は熱を帯びていた。
ルーメンさんのときも思ったけれど、凄い言われようだな。うちの親。
「……それでも、ティールくんのことを想っているのは確かなの。不器用だけど、ちゃんと大切にしようって……ライトくんなりに考えてくれているから」
「はい。分かってます」
「そう。それならよかったわ。……これで更に関係が拗れるようなことがあれば、今度こそ、ライトくんのこと、ぶっ飛ばすところだったわ♪」
あ、あはは……ご冗談を。
……冗談だよな?
「あの、セラフィーヌさん? セラフィーヌさんにとって、ぼくの父ってどういう存在というか……どう思ってるんですか?」
話の端々から、どこか父上をけなしているというか、扱いが雑に感じるというか。
その辺りが気になってしまい、聞いてもいいものかと思いつつも、聞いてしまった。
ぼくの質問に、セラフィーヌさんはぽかんとしていたが、すぐに考え込むような仕草を見せる。そして、ぽつりと一言。
「ん……そう、ね。私から大切なお姉様をかっさらった泥棒お義兄ちゃん、かしら」
「……へ?」
「もしくは、お姉様を泣かせた大馬鹿野郎とも言えるかもしれないわね」
違いが分からないくらい、酷い言われようだ。あと、あれだ。セラフィーヌさん、母上のこと、大好きなんだな。多分、父上よりもずっと好きなんだろう。だからこそ、父上の扱いが雑なのだ。
とはいえ、先程の……真面目な話をしていたときの発言に嘘はないと思う。だからまあ、結論としては、セラフィーヌさんは父上のこと、ある程度は理解し、信頼しているんだろう。母上を思う気持ちには負けるけど……ってことなんだな。
そいや、ツルギもどこか似たような雰囲気あったな。セラフィーヌさんとツルギ、親子だな。……うん、そういうことにしておこう!
「はぁ……正直なところ、ライトくんは言葉が足りないのよ。これ、昔からずっとなんだけれどね?」
「え、あ、はい……?」
あれ。もしかしてこれ、父上に対する愚痴になってる?
「ブライトという人物を知れば、家族思いの人なのだと分かるんだけれどね~……あの人の場合、愛情表現が極端なの。例えばよ?」
「はい」
ティールくんがライトくんと話し合っても結局、分かり合えなかった。その結果、ティールくんは王子としてではなく、探検隊として生きていくと決めるでしょう?」
例え話が飛躍してるな~……ルーメンさんにも離反しても問題ないとかなんとか言われたけども。
「もしそうなったら、ライトくんはティールくんと親子の縁を切るくらいはすると思うのよ」
「…………は!?」
いくらなんでも、そこまでするのだろうか。いや、確かに探検隊として生きていくのなら、『王子』である必要はない。そこまでは理解できる。……が、親子の縁まで捨てる必要もなくないか。え、ないですよね?
「た、例え話! これは例え話だからね?」
「あ、はい。大丈夫です。分かってます……その、流石に驚いちゃって」
「そうよね。でもね、ライトくんはそれくらい平気ですると思うのよ。探検隊として王族、王子の肩書きは足枷になりかねないものだから。それらを捨てるには『絶縁』は手っ取り早いやり方だもの。……極端すぎるけれどね? 流石のライトくんもこれはやらないと思うわ」
と、こほんと咳払いを一つする。
「とにかく、ライトくんがどんな行動をしてもそれは、ティールくんを思っての行動だって知っててほしいの」
「……えぇ、と、はい。それは大丈夫です」
絶縁がぼくのためとは思えないけれど……まあ、うん。父上の考えも分からなくはない、かな。分かるだけで、理解も納得もしないけれど。
「心配しなくても大丈夫♪ 絶縁なんてお姉様が許すはずないし、私だって敵に回すって分かってるはずだもの~♪ ふふっ♪ お姉様の敵は私の敵なんだから♪」
口調はとっても明るいのに、目は全く笑っていない。うん、セラフィーヌさん、本気なんだな。
セラフィーヌさんの黒い一面を見てしまった気もするが、すぐに元の雰囲気に戻ると、今度は笑顔で「これで私からのお話はおしまい」と告げる。
「せっかくのお祭り中にお時間取らせてごめんなさいね?」
「いえ。こんなところではありますが、セラフィーヌさんとお話ができてよかったと思います」
「そう? それならいいんだけれど」
ルーメンさんからだけでなく、セラフィーヌさんからも両親の話が聞けてよかった。
「じゃあ、私は先に戻るわ。ティールくん、この後のお仕事頑張ってね? ラルちゃんにもよろしく伝えておいてね♪」
「はい。ありがとうございました」
セラフィーヌさんはくるりと踵を返すものの、何か思い出したのか、ぼくの方をちらりと見た。
「そうそう。……もし、ライトくんと話すことがあったらでいいんだけれど、私からの伝言、伝えてくれる?」
「伝言……父上に?」
「えぇ。ほら、ティールくん達ってスプランドゥールの仕事が終わったら、海の国へ帰郷するのよね? 実は私も仕事で行く用事があってね。……それでライトくんに『久しぶりにい・ろ・い・ろ……と、話したいことがあるから、よろしくね』って伝えてほしいの」
……色々の部分だけ、なかなかに強調されていたような。気のせいだろうか。
「あ~……と、その伝言、父上に伝えておきますね」
「うん♪ お願いします♪」
これは、気にしてはいけない気がする。よし、気にしないでおこう。
改めて、セラフィーヌさんの背中を見送ったぼくは何度か深呼吸をして、ラル達の待つ方へ歩を進めた。



~あとがき~
なんか無理矢理納めた感が凄い。

次回、一方その頃します。
視点は戻してラルちゃんです。

誤解しないでほしいのですが、別にブライトとセラフィーヌさんは仲悪くないと思うんですよ。ただ、彼女の中の優先順位があれなだけで。不仲ではないです。
普通に仕事の話もできるし、なんなら世間話もするし、相談事もお互い(あれば)するので、信頼関係はあります。あった上で、あんな扱いです。はい。
これは本編に関係ないけど、こっちじゃブライト、一言も話してないのに、こうイメージの一人歩きが凄くて笑う。そして、偶然にも父親であるアルドアーズと同じ運命を辿っておられる。不憫な……(笑)

どっかで話したかもしれませんが、この夏休み編、スプランドゥールで終わりません。ティールの里帰りがあるんだ……夏がなげぇ。

ではでは。