satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第300話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとセラフィーヌさんのお話が終わりました。今回はすこーし時を戻して、一方その頃、やります。
ティール達の会話があった同時刻だと思ってくださいませ。


《L side》
ティール達から少し離れたベンチに座り、私としーくんは仲良くたこ焼きを食べていた。
周りはカリッと狐色に焼き上がり、中はとろりとしていていながらも、タコの存在感を感じられる一品……大変美味である。
「しーくん、ちゃんと冷ましてから食べるんだよ?」
「ん! ふーふーするからだいじょーぶ!」
一生懸命、たこ焼きを冷まそうとするしーくん、滅茶苦茶可愛いなぁ。
頑張って冷ましても、流石に中までは冷ましきれず、時折熱そうにしつつも、美味しそうに頬張るしーくん。
あぁ、これぞ眼福です……!
「……あぁ、そこのお嬢さん、少しよろしいかな?」
「? 私ですか?」
顔を上げると、そこには紳士的な雰囲気のある老人が立っていた。夏だというのに、ワイシャツにベスト姿というエレガントな装い。どこかのご貴族様だろうか。
白にほんの少しの青を垂らしたような薄水色の髪、片目には黒い眼帯をしている。
「この街のギルドの長……ルーメン殿はどちらだろう? ご存じないかね?」
なるほど。ルーメンさんのお知り合いかな。
私の腕章を見て、ギルド関係者だと見分けたのだろう。ルーメンさんの知り合いなら、それくらいのことは事前に知っているだろうし、それで声をかけたのなら、尚更だ。
どことなく、こうした声かけにこなれている気もするが、まあいい。問題ないだろう。
「申し訳ありません。私は把握してませんわ。……あの、少々お待ちいただけますか? 係の者に連絡してみます」
「おぉ、そうかい? 急いでないからゆっくりで構わないよ」
あはは……連絡するくらい、すぐ終わるけどな。
しかし、このご老人。どこかで見たような……どこでだろう?
会ったこともないはずの老人に既視感を覚えながら、アラシ君に連絡をしてみる。数コール後、訝しげな様子で返答が返ってきた。
『……今度はどこで誰を何人吹っ飛ばした?』
「やだなぁ。私からの連絡がそればっかりみたいじゃーん」
『実際! お前からはそれしか連絡受けてねぇから!! 全部、事後報告しやがって!』
「でも、平和だろぉ?」
『ぐ、ま、まあ……今のところ、大きな問題は起きてねぇけど。……で? やらかし報告じゃないんならなんだよ?』
こほんと咳払いを挟みつつ、アラシ君が問いかけてきた。
「聞きたいことがあるの。ルーメンさんの居場所、知らない?」
『ルー爺? 俺の隣にあるテーブルで茶とイカ飯食ってっけど』
……イカ飯ってイカにお米詰めたやつだよね? なんでそのチョイスなのよ。
『知らねぇよ。俺じゃなくてルー爺に聞け』
「うん、ごめん。ついこう……突っ込んでしまった。じゃなくて……あの、ルーメンさんに会いたいってご老人がいて」
『……老人? ちょっと待ってろ』
と、アラシ君の声が一度途切れる。通信が切れたわけではないので、単に声の届かないところにいるのか、聞こえないようにしているのかの二択だろう。
『悪い、待たせた。その老人って片目に眼帯着けたおじいちゃん?』
「うん。そう。で、そこそこ身なりのいいおじいさま」
『OK……え? あー……うん。でも、それだとすれ違いに…………あぁ、なるほど。了解。ラルにも伝えるわ。……ってことで、ラル』
「ん。はいはーい?」
『その人、本部まで連れてきてくれだってさ。ルー爺もイカ飯食べ終わったらラル達の方に向かうからって』
連れていくのは構わないが、ルーメンさんも向かうのか。それだとこの人混みの中、入れ違いになる危険性がある。どちらかは動かない方がいいのでは?
『あと、ルー爺の方は精霊使ってラル達を見つけるから問題ないってよ』
「……なるほどね。便利なことで」
ルーメンさんの精霊か。今のところ、使い捨てゴーレムと兎のクルス君、ダンジョンの案内人ユウアちゃんしか知らない。ゴーレムとユウアちゃんはないだろうから、使うとしたら、クルス君なのだろうか。
探索向きとは聞いてないけど……?
『ルー爺が言うんだ。ラル達は言う通りにしていいと思う。……あと、これは関係のない話なんだが』
「うん? 他に何かある?」
『この後、俺は舞の準備でここを離れるから、ラル達の通信に応えらんない』
「あぁ、そうか。もうそんな時間か」
元々、本部に向かう途中で小休憩を挟んでいた。そりゃ、舞の時間も着々と近づいているよね。
老人を連れて、本部に到着する頃には、いい時間になっていそうだ。
『つまり、お前の後始末もできなくなる。余計なことはすんなってことで』
「はーい。善処しまーす」
『言ったな? 本当だろうな?』
おう。まあ、保証はしねぇがな。
どこか文句を言いたそうにしていたアラシ君の通信を一方的に切り、目の前のご老人にルーメンさんの居場所が分かったと告げる。
「本当ならすぐにでもお連れしたいのですが、実はこの場には私の友人も来ているのです。その友人が戻るまで、お待ちいただいてもよろしいですか?」
「もちろん。元々、こちらがお願いしている身だ。それくらいいくらでも待とう。それにお嬢さんのような可愛らしい子の頼みはいくらでも聞けると言うもの」
……はあ、そう、ですか?
これが紳士的な対応なのだろうか。レディーファースト、みたいな……? いや、違う気がする。
ご老人はふと辺りを見回し、にこりと笑った。
「こんな老いぼれの助けをしてくれる礼に何かプレゼントさせてほしいのぉ。……少し待ってておくれ?」
「え、いや、そんな悪い……ってもういない」
意外と身軽なおじいさまだな。止める隙すら与えてくれなかった。
おじいさまは近くにある飴細工の屋台へ向かい、数分後に戻ってきた。その手には繊細な細工を施された飴が数個ある。
「ほれ。適当に選んでしまって申し訳ないが……お嬢さんのご友人にも分けとくれ」
「ほわー! すごーい! きれー!」
兎、小鳥、バラ……どれも綺麗で可愛らしいけど、チョイスはどれも女の子向けな気がする。友人って、女の子だと思われているのだろうか。
まあ、ティールのことを彼とか、男だと判断するようなものを口にしていないせいでもあるか。まあ、困るものでもないし、放置していよう。
差し出された飴細工を受け取りつつ、しーくんにも見せてやっていると、私達の名前を呼ぶ相棒の声が聞こえてきた。
「ごめん! 待たせた!」
おや、噂をすればなんとやら。
ティールは申し訳なさそうにしながら、こちらへと駆け寄ってきた。それと同時に、私達と一緒にいるおじいさまにも目が合うわけで。
「え?」
「おや?」
そりゃ、びっくりするよな。自分のいない間に見知らぬご老人と仲良く(?)なってしまってるんだもの。いやでも、勘違いしないでくださいね? これはお仕事の一環なのです、ティール様! 決して、変な人に絡まれているわけでも、捕まっているわけでもなくてだな……!
「そのことなんだけど、ティール。ちょっと話があって……」
ティール! ティールじゃないか~♪ こんなところで会うとはな。奇遇じゃの~」
「アルドアーズお祖父様こそ! こんなところで何をしているのですか!?」
おじいさま? おじいさまって……あの、お祖父様?
「え、ティールのお祖父さん? この人が?」
待て。待ってくれ? ティールのお祖父様ってことは、つまりだよ? 前国王のアルドアーズ王ってことぉ!?
「……はっ! 私の感じた既視感は間違ってなかったのか!」
ここへ来た初日、ルーメンさんのアルバムにあった一枚の写真。若かりし頃のルーメンさんとアルドアーズ王が写っていた。それかぁ!!
一人で騒ぐ私に対し、ティールはどこか冷ややかな目線を向けてきた。
「何、納得してるの?」
「いやぁ、このおじいさまどこかで見たなーって思っててさぁ」
「あ、そう……?」
「うゆ? このおじーちゃん、ティールのおじーちゃんなの?」
純粋無垢なしーくんは素朴な疑問をティールに投げかける。複雑そうな表情を浮かべつつも、ティールは渋々といった様子でゆっくり頷いた。
「う、うん……そうだね。この人はぼくのお祖父様なの」
「はわ~! そーなんだー!」
「なんだ。お嬢さんのご友人とはティールのことかぁ~♪ して、ティールや。なぜ、ルゥの街におるのだ?」
「それはこっちの台詞です! というか、先程、言いましたけどね!?」
ティールの血族としては、なかなかに濃い人がいるもんだなぁ。



~あとがき~
ちょいちょい名前やら醜態を晒してきましたが、これがアルドアーズ本人です。

次回、アルドアーズとスカイ。

やっとご本人の登場です。
これがアルドアーズだ!!(二回目)

ではでは。