satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第304話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で観覧してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、舞が始まる~……みたいなところで終わりました。
ラル「前回のあとがきにあった次回予告、もう一度言ってみてよ」
え? 何か言ったっけ??
ラル「え?」
……え??


《L side》
ぽろんとミユルちゃんのハープの優しい音色が響いた。
すると、噴水周りの縁の方から花が急速に成長し、美しく花びらを広げる。
花がいきなり咲いたのは、ミユルちゃんの力だろう。けれど、この花が舞に彩りを添えるためだけに咲いたとは思えない。
それに、あの形……洞窟で見たものに似ている気がする。
「洞窟? 奇跡の洞窟?」
「そそ。ティールがビビってたやつに似てない?」
「一言余計! でも、そう言われると似てるかも?」
「おや。ティール達は『エコーフラワー』を知っとるのかい?」
エコーフラワー?
「主に奇跡の洞窟で見かける花ですね。普通の花とは違い、特定の花びらを触ると、周囲の音を録音したり、再生したりするんです。……あそこに咲いているのは少し違いますけれど」
つまり、噴水周り花と洞窟で咲いてるエコーフラワーとは少し違うってことだろうか?
アルフォースさんはにこりと笑うだけで、それ以上は説明しない。見ていれば分かる、とでも言いたげである。
それを信じ、今は目の前の舞を見てみるとしよう。
完全に咲いたエコーフラワーは私達にスピーカーとなる花びらを向け、曲を奏で始める。
その曲が流れ出し、アラシ君達も各々の楽器を用いて曲を紡ぎ始め、精霊役達もどこから取り出したのか小さな打楽器を曲に合わせて、楽しげに鳴らし始めた。
そんな中、ツバサちゃんとツルギくんは神楽鈴へ魔力を流し、ツバサちゃんは扇子へ、ツルギ君は双刀へ変化させていた。
二人はこれ以上にない真剣な面持ちで曲に合わせ、舞を始めた。
ツバサちゃんは扇子を華麗にそして優雅に魅せ、ツルギ君は刀を繊細にかつ力強く用いて観客を魅了していく。
「──♪」
「──♪」
二人はステージで舞ながらも、唄を奏でる。
それは聞いたことのない言語で、どんな意味なのかさっぱり分からなかった。
「あれはどこの言葉だろうね……?」
ティールにも分からないんなら、私にも分かりません。
「そりゃあ、そうだろうね。あれは女神に捧げる唄だからの。あの歌はミルティアが用いていたとされる天の言葉を主に使っておる」
天の言葉……つまりは、天界の言葉?
それなら、ウィルさんやフォース君にならなんて言ってるのか分かるのかな。
「主にってことは、他の言語も使うってことですか?」
「無論さ。私達の言語もしっかりと使われておるよ?」
アルドアーズさんの説明通り、少しずつ、私達にも分かる言葉が聴こえてくる。
「……“母なる光よ集え”」
「“我らの元へ”……」
二人の言葉に反応するように身に付けていた帯飾り──『女神の涙』が光り出し、小さな緑の光の玉を作り出しては、その光が空へと昇っていく。
私だけでなく、周りで同じようなアクセサリーを持つ人々からも全く同じ現象が発生していた。また、無数の光は緑一色だけではない。白、赤、黄色、青……何色もの光の玉が辺りに漂い、淡く輝いている。
それらの光はツバサちゃん達の舞に合わせるかのように、彼女らのいるステージへと集められていく。その仮定で光達は互いに共鳴し合うように、一つ二つと繋がり、やがて小さな光は、ステージを覆ってしまう程の大きな木へと変化していた。
元々は光だからか、ステージ付近は淡く発光しているだけで、ステージ上にいるツバサちゃん達を隠してしまう程ではない。それでも、そこにあると思ってしまうくらい、存在感を感じずにはいられなかった。
「うむっ♪ 今年も上手い感じに幻影が作れたの~♪」
「なぁ、ルゥ? あの大木、大昔にあったとされる『世界樹』がモデルか?」
「そうじゃよ。ツバサ達のリクエストでな。あれを作りたいと言われてしまってなぁ~? おかげで、材料集めに緑色を多く必要としたわい」
……材料ってのは、女神の涙のことだ。つまり、私達の依頼にあった緑色を多めに採取してほしいってのは……これを作るため?
「相変わらず、孫に甘いな」
「おや? そこはお互い様じゃろ?」
「……否定はせんわ」
おじいちゃん同士の話は置いておいて。
光の大木が完成し、ずっと演奏の手伝いをしていた精霊役のしーくんが持っていた鈴をどこかへしまうと、すっと両手を前に突き出した。そして、何やら力を込め始め、集中モードになる。
あの様子からして何かの技を使おうとしているのだろうが……一体、どんなものを?
しーくんは普段、支援系統の技しか使わない。攻撃技等が使えない訳じゃないけど、如何せん力の加減が苦手なのか、百の力で使っちゃうのだ。そんなところも可愛いのだけれど。
言い換えるなら、じょうろでのんびり水やりしようと思ったら、ジェット噴射並みの強さで辺りを吹き飛ばしながら水やりしちゃった、みたいなやつだ。
「“アクアリング”!」
バッと手を横に広げると、しーくんの周りに大きな水の輪が出現する。本来、“アクアリング”は回復技だが、今はバトル中ではない。となれば、本来の使い方をするために使用したはずがない。
「……だいじょぶ。れんしゅーしたもん」
と、しーくんが呟いた。いや、この距離だ。本当に聴こえるはずがないのだが、そんな風に口が動いた気がしたのだ。
しーくんは“アクアリング”から小さな水の玉を作り始める。それも一つ二つではなく、数えきれない程だ。
前はあんな繊細な操作はできなかったはずなのに。ティールみたいにやろうとしても、なぜか大量の水を出してしまって、周りを水浸しにしていたのに。
「上手くなってる。凄く」
「……うん。私達が見ない間にね」
「ふぉっふぉっ♪ 雫の見せ場はこれからじゃ。アリアとの修行の成果、きちんと見てやりなさい♪」
ルーメンさんの言葉に私は再度、しーくんを見つめる。
真剣な表情で作り出した水の玉をどこかに狙いを定めていた。ぴたり、と標準を合わせ、あの子はパッと顔を輝かせると、複数の水の玉を辺りを漂っていた光目掛けて発射させる。一つ、また一つと水が光を捕らえていく。
そっか。そうなんだね。しーくんは……雫は、強くなったんだね。私が思っている以上に強く。そして、早く成長している。
「これは……放っておいたら、私達よりも強くなっちゃうかも」
「……あはは。それはまずい。まだ、自分の子供に負けらんないな」
うん。そだね。
しーくんの手によってほとんどの光が水に捕まった頃。ツバサちゃんとツルギ君は自身が持っていた神具を宙へ放り投げ、互いの道具と入れ換える。つまり、ツバサちゃんが刀をツルギ君が扇子を手にした。
それと同時に辺りに鈴の音が響く。すると、精霊役の子達の持つ楽器が虫取り網に変化した。
「なんで、虫取り網?」
「あれがツルギ達の持つ神具の力だよ。使用者の意思によって、他の神具の形を個別に変えてしまうのさ」
うん。……それは分かるが、なぜ網にしたのだ。優雅な舞のために楽器を用いてあるのは分かる。が、そこに網て。
「網は何かを捕まえるために使用するものじゃろ? この場で捕まえなければならないものとは、なんじゃろうなぁ?」
……まさか。
ルーメンさんのにやりと笑った。それだけで、この頭を過った考えは嘘ではないと裏付けてしまう。
しーくんを含め、精霊役の子供達は皆、虫取り網を片手に辺りを漂う水の玉(光入り)を次々と捕まえていく。それも満面の笑みで、楽しそうに。しかし、無作為に集めているわけではなく、同色だけを集めているみたいだ。赤は赤、青は青、みたいに。
無邪気な精霊達の手によって、同属性の光達は、網の中で少しずつ大きくなっていった。
網の中で大体、大人の顔程に大きくなった水を子供達はそっと両手で包み込むように持ち上げる。そうして、子供達はゆっくりとだが、全員がステージに上がり、神子二人を囲うように位置取りし始める。
子供達全員が二人を囲うように円になると、再び、扇子と双刀を宙へ放り、本来の持ち主へと投げて返した。
二人が同時にそれらをキャッチすると、一際大きな音で鈴が鳴り響き、背中合わせになる。
「“光よ、我らの言の葉を聞き届け”」
「“光よ、我らにその真の姿を示せ”」
ツバサちゃん、ツルギ君の順で文言を言い終えると、足元には巨大な魔法陣が出現した。その魔法陣が強く輝くと、子供達の持っていた水の玉がパチンっと次々に弾け、中から本物の動物の形をした精霊達が現れた。
精霊達の体は先程の光の色と同じで、赤や青、白や緑等の色をしている。
しーくんらが集めた光達が、ツバサちゃんとツルギ君の魔法によって精霊へと変化したのだろう。
光を精霊へと変化させた二人は再び、舞を再開させる。子供達もまた、呼び出された精霊達と共に楽しそうに踊り始める。
舞と曲が盛り上がりつつ、恐らく終盤に差し掛かっているのだろうと感じ始めた頃。
子供達の周りで踊っていた精霊達はパートナーとなっていた子供の頬にキスをすると、そっと傍を離れ、幻影の大木の頂上を目指して空を駆けていく。
精霊達が木の天辺まで辿り着くとパッと消え、それと同時にアラシ君達の演奏、ツバサちゃんとツルギ君による舞が終了した。
辺りが静寂に包まれた瞬間、幻影の大木の頂点がキラリと光る。そこから少しずつ、木が光の粒になって、空から雪のように降り注ぎ始めた。もちろん、雨や雪と違って実体のない光だから、直接触れはしない。
それでも、思わず手を伸ばしてしまいたくなるほど、とても幻想的で、華やかで、儚い光景だった。
「最近、こういう光景に恵まれるなぁ」
確かにそうだ。『奇跡の洞窟』で散々、幻想的な光景を見てきたと思ったのに。全く、それを軽く上回ってくれるじゃない。
ティールに話しかけようと口を開こうとした瞬間。そっと私の耳元で誰かが囁いた。
「っ!?」
「……? ラル?」
反射的に後ろを振り返るものの、そこには誰もいない。……いや、周りには人はいる。だが、少なくとも、私の耳元で囁く程の至近距離に人はいなかった。
誰だ。……いや、違う。私は知っている。あの声の主を、知っているはずだ。
「どうかした? 大丈夫?」
「……んーん。ごめんね、なんでもないの。大丈夫」
心配そうなティールに安心させるようにそっと微笑む。そんな私にティールも何も言わず、「なら、よかった」と笑ってくれる。
本当はなんでもなくない。それは多分、ティールにもバレている。が、私が口を割らないと分かっているからこそ、引いてくれたのだろう。
「……あの、声、は」
聞いたことのある声。つい最近、聞いた。
その声はこう、呟いた。
─今夜、ルーメンの部屋で─
……と。はっきりと、言った。
そして、その声の人物に言われていた。
近いうちにまた、逢えるだろう、と。
──ミルティア、貴女は私に何を伝えたいんだ?



~あとがき~
え、ここ最近長くね……?(滝汗)

次回、ゲームします。←!?

言いたいことはないですね。
うん……うん。(汗)

ではでは。