satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第310話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で説明する物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、アリアちゃんが展開していた泡だらけ通路を突破し、なぜかいちゃいちゃしてるラルとティールでした! なぜだ!?
さて、今回では前回の種明かしと双子捕獲作戦の話をすると思われ!


《L side》
ティールの力を使い、アリアちゃんの妨害(?)である泡攻撃を突破した私達。その後、多少の事故はあったものの、概ね予定通りだ。
謎にティールが真っ赤になって大慌てしてたけど……それもまあ、予想の範囲内と言えよう。きっと、私の上に意図せず乗ってしまって、思考がショートしたのだ。……だって、あんなの日常なのだから。
「で、さっきのやつ、説明してくれるんだよね?」
噴水広場へ向かうため、私の隣を歩くティールが訝しげに問いかけてくる。
「うん。なんで私のところにワープしたのかの説明だよね?」
「そう。君のところに……ワープ……しちゃった理由」
おいおい。なんで今、赤くなるんだ。何を思い出してるんだよ、こいつは。本当に男子高校生みたいな思春期爆発させとんのか? 嘘だろ。紳士が泣くぞ、ティールさんや。
「一応、言っておくけど。別に変なところ、触られてないから。安心していいよ」
「そ、そう……なら、よかった」
そんなこと気にしてたのか。今更かよ。
……こほん。
気を取り直して、なぜ“テレポート”なんて使えないはずのティールが私のところへワープしてこれたのか。
理由は簡単だ。ティールに装備品だと言ってつけた、ピアスが作用している。
「それ本当は二つで一つの魔法具なの。もう一方を身に付けている相手のところに移動できるってやつ」
「ってことは、ラルもピアスを……? 穴、空けてたっけ?」
「うんにゃ? 私のはネックレスにしてある」
私は胸元からネックレスを引っ張り出すと、ティールに見せる。そこには小さな石が嵌め込まれた鍵モチーフのチャームがついている。本来はピアスにしようと思っていたのだが、私が普段しないので、急遽ネックレスのチャームに変更したのである。
ティールのも鍵モチーフのピアスにしてあるよ」
「そ、そうなんだ……これ、具体的にはどういう条件でワープするの? 見境なくするわけじゃないよね?」
んなことになったら、呪いの道具になりかねんわ。
「まあ、簡単に言えば、互いに相手を強く念じる。以上」
「……それだけ?」
私は頷く。
もっと言えば、互いのことを信頼し、且つ、同時に強く念じる必要がある。
「『奇跡の洞窟』の探検したとき、ティールがいなくなったでしょ」
「いや、あれは君がいなくなったんじゃない?」
「どっちでもええわ! そうでなくても、ティールはふらっといなくなるじゃん。そのとき、パッと合流できたらいいなって思ってさ。なんとなく作ってみた」
「すぐにふらっといなくなるの、君だけど……けどまあ、意図は理解したよ。そっか。あのとき、ラルに助けてって思ったから。……でも、お互いのところを行き来できちゃうんなら、ラルがぼくのところに行っちゃう可能性もあるんじゃ?」
「それはない。ワープ先の指定をするためにはチャームに触れる必要があるから」
手順として。
一、ペアのチャームを互いに身に付ける。
二、転送先にいる一人が自身のチャームに触れ、相手を強く念じる。
三、転送される側も同様に相手を念じる。
四、思いが重なった場合、転送先にいる相手のところへワープ可能。
こんな感じである。発動条件をこうも複雑かつ、限定的にした理由としては、悪用されないようにするためってのが一番である。仮に片方を誰かに拾われたとしても、事故ってワープされない、しないようにするためなのだ。
「互いを強く思い合う、か……ねぇ、ラル?」
「うん?」
「ぼく、さっきまでその条件を知らなかったよね。それでも発動するって信じてたってこと?」
「信じてたって言うか……確信してたよ。あの場の状況を考えれば、ティールは私を思わないわけないってね」
あそこには少なからず野次馬……もとい、参加者がいた。誰もがあそこを通りたいと思う人達の集まりで、アリアちゃんの泡攻撃を受けてしまった被害者も含まれていた。
そんなところに突然、泡攻撃を受けずに通過した者が現れ、手助けしたと思われる人物も目の前にいるのだ。そりゃ、怒涛の質問責めしたくもなるだろう。あの子はどうして切り抜けられたのかと、問い質したくもなると思う。
そうなれば、ティールはどう考えるか。ご丁寧に説明して、その場を切り抜けようなんて考えない。まず、私に助けを求めるはずだ、と。だから、何も言わずに私はあちら側へと渡ったのだ。
もちろん、伝えて渡ってもよかった。むしろ、そちらの方が確実ですらあった。それでも、ティールなら問題ないと思ったのだ。
だって、私とティールは相棒だから。そんな根拠のない自信もあって、問題ないと確信していた。
「あの状況下でティールが私に助けを求めないわけないでしょ。心で強く思ったんじゃないの? ラル、助けてって♪」
「う……ま、まあ、その通りだよ。なんか、見透かされてて凄い恥ずかしいけど」
ふふん♪ 当然でしょ。
「それで? これの実験結果としては成功ってこと?」
「そだね。概ね、成功と言えると思うよ。きちんと完成したらまた付き合って貰う」
「……今度は空中にワープしないことを祈るよ」
流石にそれはもうないと思うけど。
ワープの原理の種明かしをし終える頃には、噴水広場まで戻ってきた。
舞のステージは残ったままだが、演者は誰一人いない。当然、参加者もまだ街中を探し回っているのか、私達の辺りには見当たらない。
ティール、残り時間は?」
「ん~と、あと十五分くらい」
うん。ショートカットしたお陰で、予定より早く到着できてる。迂回していたら、ギリギリだったもん。
なんやかんや色々あったものの、普段の仕事より体力も気持ち的にも余裕はある。そうなるように二人で行動していたのだから、当然の結果と言えよう。
「よし、作戦について簡潔に伝える」
「了解。何をしたらいい?」
「それなんだけど、ティールはこれと言った何かする必要はない。強いて言うなら、この後姿を見せるだろう双子の片割れを捕まえて欲しい。確実に、ね」
ティールはぽかんとした表情のまま首を傾げる。あれこれ言いたいことがあるのは分かる。でも、今は何も言わずに信じていただきたい。
「捕まえるのはいいけど、そう言うってことはここに現れるって思ってるんだよね。ツバサ達が」
「うん。少なくとも、ツバサちゃんは来ると思う。で、彼女を捕まえれば自然とツルギ君も現れるよ。彼はお兄ちゃんだから」
「……その根拠は?」
実のところ、確実に現れるという証拠も根拠もない。それは初めから予想していた部分だ。それでも、もしここに姿を見せてくれたのなら、捕まえる自信はある。それだけは確信しているのだ。
「ん~……そうだね。ツバサちゃんは私のことが大好きだから、かな?」
「……それだけの理由で上手くいくって思えるわけ?」
「いく。ツバサちゃんは私が大好きで、ツルギ君はティールが大好きだからね」
「何度聞いても意味分かんない……けど、君がそう言うなら、信じるよ。というか、それしかやれることもないからね」
そゆこと。
腹を括ったらしいティールは私と背中合わせになると、辺りを警戒し始める。どこから飛び出してきてもいいようにと周囲を見回し始める。
それは私も同じで、眼鏡を装備して、ティールとは反対方向に目を向ける。双子を見逃さないようにじっと観察していく。
気になることが一つだけある。
これが始まってすぐ、私を見ていた精霊がいた。その精霊はこちらを気にかけるようなそんな視線を向けていた。もちろん、この催し物中、ずっとそれを感じていたわけではないから、絶対なんて言えないけれど。
「……みっけ」
私の視線の先には民家だろうか。シンプルな建物がある。そこの白い壁の突起物─今回のために取り付けられたものだと思われる─に壁の色と同化するように狐が一匹鎮座していた。その狐は遠目から見てもかなり疲労しているのが窺えるものの、こちらから目は離さないようで、じっと見つめてきていた。
時折、感じていた視線と同じものだ。
「……ティール、五秒後に」
「分かった。任せる」
この作戦が成功するか否か。私にしては珍しく、ある種、出たとこ勝負なところはある。
さあ……運試しといこう。



~あとがき~
え、終わらん……(汗)

次回、ラルを見つめる狐は……?
『神子探し』完結! お楽しみに!

今回はラルとティールのあれこれに突っ込む必要はないと思うので、ラルが作ったワープ道具の話の補足をします。
あれは分類的に魔法道具。詳しく書きませんでしたが、使われてる石が魔力石でして。人の思い(考え)を読み取る精神系の魔法と転移系の魔法を組み込んでると思ってくれれば。
そもそも、この世界の道具っていくつか種類があって、ややこしい。って私は思ってます!←え
その中でも多分、魔法道具(もしかしたら、『魔法具』表記してるかもしれん)と魔道具(別称:魔具)が一番ややこしいなと。名前似とるし。
魔法道具は魔法を組み込んだ道具のこと。
魔具は魔法を使えない人々が代わりとなる技を出すための媒体の総称。
一言で表すなら、こんな感じかなと。
……って、私は解釈してまぁぁす!!
合ってるかは相方に聞いてください。きっと、Twitterで答え合わせしてくれるんで←

ではでは。