satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第312話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、狐に化けていた双子をラルとティールがゲット(?)し、『神子探し』は幕を閉じました。お祭りも今回で終わるかな。


《Te side》
ツルギ達に招かれたステージの上で花火を観賞した後、二人は祭りに来てくれた人々に向けてメッセージを残すのか、その場に残るらしい。そのため、ぼくらは一足先にステージを後にする。
ラルは先程の花火を思い浮かべているのか、目をきらきらさせながら満面の笑みを見せる。
「知ってはいたけど、花火凄かったね! 綺麗だった~♪」
「そうだね。女神祭自体が大きなお祭りだし、花火も派手なのかも」
「私も花火、作ってみよっかな。火薬の配合するの、楽しそうだよね……♪ どんな色になるのか、どんな形に見せられるのかって考えるだけでも楽しいんだもん」
さっきから目を輝かせているのはそれのせい!? 嘘だろ!?
「い、家を吹き飛ばす気なの……?」
「んもう! 流石に冗談だよ~♪ あぁいうの、きちっと指導受けなきゃ成功しないって」
いや、爆発物やら薬品やら何かと危険物を生み出す君なら、花火を作るくらい簡単なんじゃ……とは言わず。だって、言ってしまったら、我が家がどうなるか分かったもんじゃない。
「よかったわねぇ、あなた達~♪ 神子様の祝福受けられてねぇ♪」
「二人仲良くするんだよ~」
「え、あ、はい……?」
本部へ戻る途中、ご老人からそんな風に声をかけられた。初めは『神子探し』を勝ち抜いた─という表現が正しいかは分からない─ために、そんな言葉を送られてるのかな、と思ったのだけれど。それが一回や二回じゃなく、色んな人─多分、現地の人達が主─から似たような言葉をかけられたのだ。
ざっくりまとめてしまうと、「羨ましい」「仲良くしてね」「お幸せに」等々の言葉がぼくらに向けられていた。……羨ましいってのは理解できるが、仲良くとか、お幸せにって言われるのはなぜなのだろう?
ラルもそれらの言葉の意味を知らないようで、不思議そうにしながらも、適当に相槌を打っていた。
「おかえり! ラル! ティール! いちばん、おめでとー!」
本部へ戻ると、開口一番に雫がまるで自分のことのように喜んでくれていた。ぴょんぴょん跳び跳ねる雫をラルは嬉しそうにお礼を返し、彼と目線を合わせながら頭を撫でた。
「舞でのしーくんの活躍、見てたよー? 凄かったね! 頑張ったね~♪」
「!! そなの! ボクね、い~っぱい! がんばったのー!」
興奮気味に鼻を鳴らす雫に内心苦笑しながらも、ぼくもラルに倣ってその場にしゃがんで目線を合わせた。
「雫、上手になったね。力の使い方」
「んっ!! れんしゅーしたの! まだ、ティールみたいにしゅしゅしゅっはできないけど……でもね、できるようになるからね! できるようになったらね、またみせるからね!」
「そっか。それは楽しみだな」
厳密に言えば、ぼくと雫の能力は違う。それでも、似たような力があるのは確かだ。
それでなくても、我が子の成長が嬉しくない親なんていない……ってことだと思う。
誇らしげに話す雫の姿がとっても嬉しくて、つい構い倒したくなるけど、それをするのはぼくじゃなくて、ラルの役目だろう。
予想通り、ラルは雫をぎゅーっと抱き締め、言葉にならない何かを口にする。
多分、うちの子天使だ~……とか。そんなのだろう。
ひとしきり楽しんだ後、ラルはようやくルーメンさんの方を見上げた。存在忘れてたのではレベルで無視してた気もするが、きっと気のせいである。
「……これで、今回の依頼は終わりですか?」
「うむっ♪ ワシからスカイへの依頼はこれにて完了じゃよ。三人とも、ご苦労じゃったな~♪」
「そうですか。……半分くらいはいいように使われている気もしますが」
「ほっほっほ♪ それはお主の気のせいじゃよ」
というルーメンさんの言葉にラルは滅茶苦茶、文句言いたそうにするものの、ぐっと我慢。そして、再び雫を抱き締め、我が子を甘やかす時間へ戻っていった。
ティール」
「ん、お祖父様?」
少し離れたところでずっと黙ってこちらを見ていたお祖父様がちょいちょいっと手招きをする。ぼくは首を傾げつつも、そちらへ近寄る。
「どうかしたんですか?」
「……そうさねぇ、まずは称賛を。おめでとう、ティール。神子探しと言うやつはこうして神子を見つけること自体、あまりないことでね。それは誇るべきだ」
確かに、こんな広い街中から正解を探すのは至難の技だ。今回はラルの大胆な作戦とツルギ達と信頼関係(?)を事前に築いていたからこその勝利と言える。
「はい。ありがとうございます」
「で、だ。ルゥはもう最後まで話す気がなさそうだから、私から話しておこうと思う」
「え、あ……何、を?」
お祖父様はちらりとラル達を見て、ぼくに視線を移す。再び、ちょいちょいっと手招き。もう少し近付け、ということなのだろう。
ぼくがもう少しお祖父様に近付くと、ひっそりと話し始める。
「神子探しには『ジンクス』が存在するのさ」
「ジンクス?」
「うむ。……そもそも、神子は代々一人が担う。が、数十年に数年、二人になる年があり、その年に行われるのが神子探しという催し物であると説明をしたな」
ですね。本来、代替わり時のみ、複数人になるから、数十年に数回だけってことになる。でも、今回の神子は二人いるから、毎年開催されてるって。
「うむ。つまり、元々の神子探しとは希少性のある催し物なのさ。そういうものには大抵、噂が付き物でね」
「それがジンクス?」
お祖父様は静かに頷く。
「内容としては単純だ。神子を捕まえたペアが同姓なら永遠の絆を。異性なら生涯、幸せな生活を送れる……そのようなジンクスがある。誰が言い始めたのか分からんが、長年続く伝統のあるものだ。自然と言われてきたのやも知れん」
……え? え、つまり?
ティールとラルさんは生涯、幸せな生活を送れるだろうって話だ。よかったな~♪」
「ちょ、ちょっと待って!! ぼくとラルはそういうんじゃなくて……そ、そもそも! 幸せな生活って何!?」
「異性同士が幸せな生活を送るんだぞ。その意味合いなぞ、一つしかあるまい?」
にやにやとどこか楽しそうなお祖父様。
初めの口ぶりから、お祖父様は……いや、ルーメンさんとお祖父様はこれを知っていたのか。だ、だから、参加した方がいいとかなんとか言ってたとか!?
「もちろん、夫婦として幸せな生活を送れるという意味合いが強いんだが……安心せい。カップルとしても幸せになれるという噂じゃからなぁ」
「な、な、な……な、何を!」
「おや? 察しの悪い孫よなぁ? つまりだ。ラルさんとティールで末長く幸せになるとよいぞ♪ このジンクス通り、二人が結婚し─」
「わーー!!?? な、何を言ってるの、お祖父様!! ない! ないです!!」
「ふむぅ? 私としてはひ孫大歓迎なのだがなぁ?」
「だぁから! そういうんじゃ! ないっ! ですっ!!」
ひそひそ話をしていたつもりが、いつの間にか普通の声──いや、いつも以上の声量で話していて、ラル達もぼくらの方の様子を窺っていた。
「ほあ? どしたの、ティール?」
「え、また喧嘩……? いや、にしては、ティール、顔が赤くなって……?」
「なってない! なんでもないっ!!」
「うそー! ティール、おかお、まっかっかだよー?」
「気のせいだっ!! そっとしておいてくれ!」
あぁ、もう!! お祖父様のせいだ!
ジンクスの内容を教えるとしても、あそこまで言わなくたっていいじゃないか。あんなはっきりと言われたら、誤魔化せなくなる……っ!
「よ、よく分かんないけど、ティールは触れてほしくないみたい。しーってしてよっか?」
「わかった! しーっ!」
空気の読めるぼくの相棒はこれ以上触れてこず、雫にもやんわりと話しちゃ駄目っと諭してくれていた。
さ、流石、ラル……助かる。
ご老人二名はこの現状を予想していたのか、特に何かを言うことはなく、ただにこにこと眺めるだけだった。
……く、くそ。今だけはラルの気持ちが嫌という程に分かる。ルーメンさんめっ……!
「メインイベントも終わったし、私らの仕事もまあ、終わったみたいだし、そろそろ部屋に戻ろうか」
女神祭も落ち着きを見せ始めた頃、ラルがぼくらに提案する。ぼくとしては反対する理由もないので「はーい」と返事をする。そんな横で、雫が何かを思い出したのかパッと顔を上げた。
「あのね! おとまりかい、するの! ボク、いってもいい?」
「お泊まり会? しーくんと……他は誰?」
「んとね? ツバサお姉ちゃんとツルギお兄ちゃんのところでね、せいれいやったみんなと、いっしょなの!」
要約すると、今回一緒に舞を踊った人達とお泊まり会をツバサのところでやるから、参加したい……ってことかな。
「そーなの! ツバサお姉ちゃんのおへやであそびながらねるの!!」
あ、遊びながら寝るのか~……それはとても凄そうな会だ。ちびっこ達が集まって遊ぶって……パワフルな会になりそう。
ぼくとしては、同じ建物内にはいるし、問題はないように思うけど。
ラルも似たような答えに行き着いたのか、雫の話ににこっと笑って頷く。
「いいんじゃない? しーくんもお友達ともーっと仲良くなるいい機会だから、楽しんできて。……でも、ツバサお姉ちゃんやツルギお兄ちゃんを困らせるようなことはしちゃ駄目だよ?」
「うんっ! わかった!」
「よぉし! それなら、部屋に戻ってお泊まり会の準備しよっか?」
「はーい!」
話もまとまったところで、今度こそ部屋に戻る……かと思ったのだが、次はラルが何やら難しそうな顔で考え始める。
「ルーメンさん」
「む? なんじゃ、ラルよ」
「急なお願いなんですけど……今晩また、私もご一緒しても? ティールと貴方のお話し会に」
ど、どうしたんだろう。急に。
この提案はルーメンさんも予測してなかったようで、不思議そうに彼女を見つめていた。が、それを口にすることもなく、ルーメンさんはラルの申し出を了承する。
「ありがとうございます。……ティールもごめん、いきなり飛び入り参加みたいになっちゃって。……嫌だった?」
「ううん。ぼくは構わないけれど。……でも、なんで?」
「ちょっと、ね。……詳しいことは後で言うよ」
何か気になることでもあったんだろうか。それなら、今ここで聞いてしまえばいいのに、なんでわざわざ夜に話す機会を貰ったんだろう。……ここでは言えないような話ってことなら、説明はつくけれど。例えそうだったとして、それって一体……?
「……ねぇ、ラル? 大切な話なんだろなってのは予想できるけど、お祖父様も一緒かもしれないのに、大丈夫そう?」
お祖父様はルーメンさんに会いにここへ来たみたいだし、元々、ルーメンさんと約束とか合ったかもしれない。
……なんて、心配をしたのだけれど、ルーメンさんは大笑いで否定した。
「問題あるまい! アズはこの後、祭りの余韻に浸りながらふらふらと遊びに行くに決まっておる。今更、ワシと染々話すこともないしの~? それにワシと話すより、若い娘と話したいだろう?」
「それは当然だなぁ♪ ってことだから、私のことは気にせず、三人で話すがよい♪」
「お祖父様、せめてぼくらの前でそういうことは言わないでください。……今度、父上に会ったらお伝えしておきますね」
「それはそれは……しばらくあちらには帰れんな」
大して気にしてなさそう……本当に言うぞ、ぼく。
「……それではこの後改めて、お部屋にお伺いします。失礼します」
と、ラルは軽く一礼すると、ギルド方面へと歩き出した。雫もラルの真似をした後、彼女の背を追いかけていく。
……真面目な話、なのかな。それが何かぼくには分からないけれど。
「まあ、考えても分かんないものは分かんないよね。……それじゃあ、お祖父様。またね……でいいのか分かりませんけど、また。あまり、派手に遊ばないでくださいね」
「ははっ! それは保証しかねるな♪」
してくれ、頼むから。



~あとがき~
無理矢理納めたせいで、若干長い。

次回、祭り後の夜。
夜会話まで行けるかは謎。

ジンクス通りに生涯幸せに、仲良くなれるかは、二人次第ですね。楽しみ楽しみ。

ではでは。