satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第313話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、お祭りに区切りを付け、その日の夜にあれこれしよう~……みたいな感じでした!
そのあれこれができるかは謎ですが、入り口には立ちたいと思ってる。思ってるだけ。


《L side》
女神祭は無事終了し、お祭りに来ていた参加者らも宿なり自宅なり帰っていく時間帯。
私達も部屋に戻り、各々着替えを済ませる。セラフィーヌさんから貰った和服も過ごしやすいのだけれど、流石にこれをずっと着ているわけにもいかない。可愛いけれど、普段着にはならないよなぁ。少なくとも、私はできない、かな。うん。
それはさておき。
着替えを済ませた私は、しーくんのお泊まりに必要なものをまとめ始める。といっても、ここには泊まりで来ているのだし、そこまで手のかかる準備でもないのだが。
少なくとも、着替えがあれば問題ないだろう。これを小さなバッグに入れて準備は終了だ。
「しーくん、他に何かいる?」
「ペンペン! もってくー!」
あぁ、ぬいぐるみのペンペンね~? いいよ。なくさないようにね?
「うん! ずっといっしょだから、だいじょーぶ!」
マジで寝るとき一緒だもんな。そこまで気に入ったのか、ラーメン食べてるペンペンぬいぐるみ……単なるおまけのぬいぐるみがここまで愛されるとは思わんよな。
しーくんのお供であるペンペンもバッグに入れてやり、ぐっと背伸びをする。
「そろそろ行くかぁ」
「ん! いくー!」
「じゃ、ソファでうたた寝してるパパを起こしてくれ~」
「はーい!」
服の恩恵があったとはいえ、暑い中、一日歩き回って疲れたのか、着替えて早々ソファに座って、うとうとしているティール。普段ならそのまま寝かせてやりたいけれど、そっと寝かしておいて事を進めてしまうのも彼の機嫌を損ねてしまいそうなので、起こしておこう。
「パパー! おきろー!」
「ぐえっ!?」
息子ののしかかり攻撃で起床したティールは、どこか困惑しながらもしーくんを抱っこして、こちらへと近寄ってくる。
「あ、準備、できた……?」
「うん。行くよ」
「はぁい……ん。ふぁあ……ふぅ」
「そこまで眠い? なら、無理に付き会う必要もないけど」
そこまで能力を使って貰ったわけでないけれど、一日活動し、自由なしーくんの相手もずっとしていた。流石にしんどかったかな。
ティールはもう一度大きな欠伸を漏らし、少しだけ考え込む。が、ゆっくりと首を振った。
「……いや、大丈夫。ラルの話、気になるし。急にルーメンさんと話したいなんてさ。絶対、何かあっただろ?」
「まあ、あるよ。ありました」
ティールの言葉に返答しつつ、忘れ物がないか確認して、部屋を出る。
ルーメンさんの部屋へ向かう前にしーくんをツバサちゃんのところへ送り届けよう。通り道だし。
その道中、私がなぜ、ルーメンさんのところへ行きたいと言った理由を話す。
舞を見ているとき、ミルティアの声を聞いたこと。そこでルーメンさんの部屋へ行けと言われたことを話した。
それらを聞いたティールは少し先を歩くしーくんに手を振りつつも、首を傾げる。
「ぼくにはなんにも聞こえなかったけど……ラルは聞いたんだ?」
「聞いてなきゃ、わざわざ約束までして出向こうなんて思わないよ」
「そりゃ、そうか。……ルーメンさんの部屋にねぇ? 原理はよく分からないけれど、そこに行けば全部分かるってこと?」
……恐らく?
理屈は不明だが、そこへ行けば会えるらしい。彼女の言葉を信用するならば、だが。
「血縁者だから、どうにかできる術があるってことなのかもなぁ。ぼくには見当もつかないけど」
私にも見当なんてついてませんけどね。
しかし、ティールの言う通りなのかもしれない。血縁者だからこそ、特別な魔法なり術なり使えたとしてもおかしくはない。
アルフさんだって、あの子なら何かしてても不思議じゃないとかなんとか言ってたし。元来、ミルティアとはそういう人物なのだろう。常に予想の斜め上をいく人というか、そういうやつ。
……そういう人、面倒くさいなぁ。常に斜め上をいくってことは、私の予想を越えてくるってことだもん。やりにくいったらないぞ。
「ラル! ティール! ついたよー!」
しーくんの呼び掛けで私達は顔を前へ向ける。
どうやら、私とティールがきりよく話し終える頃、ツバサちゃんの部屋の前へ到着したらしい。
じゃ、ノックするか。
と、二人の前に立ち、手を伸ばしかけた私だが、とある事に気付いてその手を止める。
ほんの少しだけ扉が開いているのだ。そして、その隙間からツバサちゃんとリランの楽しそうな声も聞こえてきていた。
単純に閉め忘れたのだろう。不用心なって思わなくはないが、まあ、ここはギルド内だ。問題はないだろう。
『マスター』
突然、何の前触れもなく雷姫が話しかけてきた。半透明状態で私に抱きつく様に覆い被さり、苦い顔を浮かべて、扉を指差す。
『即刻、それから離れろ。ついでだ。パートナーらと共に数歩下がるがよい』
な、なんで急に。
『阿呆がしでかすからだ』
……あぁ、うん。なるほど?
詳しく語ろうとしない雷姫だが、何となく察した。ここは彼女の言う通り、離れた方がよさそうだ。
ティール、しーくん。ちょっと扉から離れようか。雷姫様のご指示なので」
「それは離れるべきだな。雫、こっちおいで」
頭にはてなマークを浮かべるしーくんをひょいっと抱っこしたティールは言われた通りに扉から離れる。しかも、滅茶苦茶、真剣な表情で。
まあ、そうなるわな。
「あんあーーーーん!!!」
私達が扉から離れた直後、バーンッと盛大に開かれた扉から白い影が元気よく飛び出してきた。雷姫の忠告がなければ、この影の体当たりに直撃していただろう。
白い影改め、犬姿のリランは本来いるはずの私達を探しているのか辺りをキョロキョロを見回している。
特別離れているわけではないが、猪突猛進リランちゃんには見えていないみたいだ。
「あうん?」
「わー! もうっ! 駄目だよ、リラン! 急にドアに突撃したら危ないでしょ!?」
『ふん。真剣に駄犬の教育をせんか、白狐の小娘め。マスターが怪我をしたらどうするつもりなのだ』
あんなんで怪我なんてしませんけどぉ!? そこまで弱くないんだけど!
リランを追いかけ、ツバサちゃんも部屋の外へと出てきたみたいだ。そして、すぐ横にいた私達にも気が付くと、パッと柔らかな笑みを浮かべる。
「あ、ラルさん! ティールさん! 先程はお疲れ様です♪」
「やぁ、ツバサの方もお疲れ様」
「こんばんは、ツバサちゃん。今夜はしーくんをよろしくね」
「はいっ! もちろんですっ♪ しーくんもいらっしゃーい!」
ツバサちゃんはティールに抱っこされているしーくんを見上げながら挨拶を交わす。しーくんも嬉しそうに笑顔を見せて、大きく頷いた。
「あいっ! よろしくおねがいしますっ!」
「ふふっ♪ うん、よろしくお願いしますっ♪ ところで、よくリランの突進を避けられましたね? これ、不意打ちみたいでしょう? なので、当たっちゃう人、多いんですよね」
あぁ、被害者はすでに存在しているんだな……そういえば、ツバサちゃんのお家にお邪魔した時もアラシ君が餌食になっていたような。
「実は雷姫がリランが体当たりで出迎えるから避けろって教えてくれたの」
「そうだったんですね! 流石です、雷姫さん♪」
『ほ、褒めても何もないぞ、小娘』
照れんな照れんな。
「ありがとう、ツバサちゃん。ツバサちゃんが褒めてくれたから雷姫が喜んでる~」
『な、マスター!?』
「えへへ~♪ それなら、よかったです!」
素直って偉大。可愛い。
私は尊敬の意を込め、ツバサちゃんの頭を撫でる。まあ、満面の笑みを浮かべる天使が天使だったからって理由もなくはないけれど。
撫でられている本人は当然だが、理由が分からず、不思議そうではあったが、撫でられるのは嫌ではないらしい。尻尾と耳をパタパタと動かして、幸せそうにしていた。
「さて、と。じゃあ、明日の朝、迎えに来るね。それまでよろしくお願いします。うちのしーくんはいい子だけど、何かあったら教えてね? 真夜中だろうが迎えに来るし、仮にしーくんを狙う不届き者を成敗するので!」
と、ここでティールにぺしっ頭を叩かれた。呆れ顔で私を見て、盛大なため息を漏らす。
「親馬鹿も大概にしてくれ。恥ずかしい……けどま、ラルじゃないけど、何かあったら部屋に来てね。ツルギやメアリーさんもいるし、大丈夫だろうけど」
「はい♪ 分かりました!」
「おやすみ! ラル、ティール!」
おやすみー! 今晩、いい子にするんだよぉー!
部屋の前で手を振る我が子に手を振って応えながら、私達はツバサちゃんの部屋を後にした。
……さて。
この後はある種、胃が痛い案件のような気がしてきた。一応、心構えはしておくべきだろう。
また、あの女神と会う……かもしれないのだから。



~あとがき~
ルーメンおじいちゃん出てこないんだけどぉ!? なぜ!!

次回、ラルとティールとルーメンの夜会話。再び。
三人は二回目かな?

忘れた頃にやってくるペンペンぬいぐるみ。
最早、雫のパートナーですよ。この旅であと何回出てくるかな、ペンペンぬいぐるみ(笑)
どうでもいいけど、ペンペンぬいぐるみの初登場回はアリアちゃんと雫、ラルの休日回です。よかったら見てみてね☆

ではでは。