satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第314話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ツバサちゃんの部屋でお泊まり会をする雫を送り届けたところで終わりました。
今回は夜会話。どっきどきだぜ!
ラル「話がどこまで進むのか?」
ど、どっきどきだぁ……(滝汗)


《L side》
ルーメンさんの部屋までは何事もなく、無事に到着した。そして、当然のようにティールが扉をノックする。
「失礼します、ルーメンさん」
と、一言残して、躊躇いもなく扉を開ける。これが約二週間通い詰めたティール君の成長ってこと!? 初日は探検隊連盟のお偉いさんぞ! ってビビってたくせに!
すんなり入っていくティールに着いていく形で私も部屋へと入る。部屋には仕事机に向かうルーメンさんの姿があり、私達を見るとにっこりと微笑んだ。
「おぉ、ティールにラルか♪ すまんが、少しだけ待っていてもらえるかの? 実は仕事が片付いておらんくてな。まあ、すぐ済むから、二人はソファで待っておれ♪」
「えっ!? ごめんなさい! そんなときにお邪魔して」
「よいよい。お主らのせいではないからなぁ」
ティールと会話をしながら、何やら書類を作成していくルーメンさん。ティールのあの驚きようからして、普段は仕事を終わらせている時間なのだろうか。
先程、ルーメンさんに促された通り、ソファへ腰掛け、ルーメンさんの仕事が終わるのを待った。
真剣に仕事している人がいる手前、大声では話せないが……これはこれで沈黙が痛い。目のやり場に困ると言うか、落ち着かないと言うか。いや、そう思うのは私が緊張しているせいか。この親方部屋という空間に慣れていないせいなのか。
「あ、あの! ルーメンさん!」
「む? どうかしたかの、ラル?」
「待っている間、お茶の用意、してもいいですかね。黙って待ってるのあれなので」
どうにも座ってられなくて、ついついこんな申し出を口走ってしまった。ルーメンさんは一瞬、ぽかんとしつつも、嫌な顔を一つせずに「構わんよ」と了承してくれる。
「むしろ、なんだかすまんねぇ? ワシがやるべきだろうに」
「いや、二人のお時間のところ、急に押し掛けたのは私の方なんで! え、えーと、道具、使わせてもらいますね~?」
そう。本来はティールとルーメンさんのための時間なのだ。邪魔なのは私なんだよなぁー!?
くっそ、ミルティアの言葉さえなければ、ここには来ないのに!
お茶の準備─何もしないのもあれだと思ったらしいティールも手伝ってくれた─を終えるのと、ルーメンさんか仕事を終えるのはほぼ同時だった。
ルーメンさんがソファへ座り直し、私が勝手に用意したお茶を一口啜る。
「ふむ? アルフォースの淹れる茶もなかなかだが、ラルも上手いもんじゃなぁ~」
「まあ、普段は学生と家事をやってるもんで……?」
……関係、あるかは分かんないけど。
「あの、ルーメンさん。本当にお仕事の方は大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃよ、ティール。さっきの書類はアズに投げつけるための書類じゃしなぁ」
アルドアーズさん?
ってことは、本来はなかった仕事ってことか?
「あの阿呆のせいで海の国である噂が立っているらしくてなぁ? それのせいでやらねばならない書類仕事が増えたんじゃよ。アズのやつめ、冗談も程々にせよと何度も言うとるんがなぁ?」
「……お祖父様」
「まあ、大したことはないがのぉ。……大したことはないが、やつは明日、はっ倒すかのぉ」
大したことあるのでは?? 主にアルドアーズさんにとっては!
しかし、楽しそうに笑うルーメンさんに何も言えず、アルドアーズさんには素直にはっ倒されてもらうしかなくなった。申し訳ないけれど。
「……して、ラル。今夜はどうしたのかの? お主も祭りの後で疲れておるだろうに、わざわざ話とは?」
そう問いかけるルーメンさんの表情には何かを誤魔化そうとする意思も、隠そうとする意思も……何も感じなかった。本当に何も知らない、不思議に思っているそんな表情だ。
その顔から察するに、あれを聞いたのは、私だけだった……のだろう。
「……実はお祭りの時……厳密には舞を見ている時、声を聞いたんです」
「む。声、とな?」
「はい。『今夜、ルーメンの部屋で』と。……ミルティアの声で」
ルーメンさんはぱちくりと目を瞬かせると、自身の髭を撫で始める。
「……ふむぅ。ミルティア様の声を。……ワシには何も聞こえんかったが」
「はい。さっき、ティールにも言われました」
「そうか。……しかし、合点がいった。舞の途中、ラルが何やら難しい顔をしているなと思うていたんじゃ。先程までは舞について考えておるのだろうと思っていたんだが。……ミルティア様の声を聞いたからだったんじゃな?」
えぇ、まあ。はい。
……舞の仕掛けについて、考えなかったわけではないが、魔法が関わっている以上、深く考えるのをやめた。……とは、言わないでおこう。
「今晩、ワシの部屋に、か。……ふむ。なるほどのぉ?」
どこか納得したように何度も頷くルーメンさん。対して、私達は意味が分からず、困惑するばかりだ。ここは説明を求めたいところだが……なんだろう。凄く嫌な予感がしている。
その予感を裏付けるように、一人で納得し終えた目の前の老人は、物思いに更ける顔からいたずらっ子の顔になった。
「そうじゃな。ラルの聞いた言葉の真意はもう少しすれば、明らかとなるじゃろ♪」
……落ち着け。予感はしていただろう。
してた、けどもっっっ!!!??? まっった、これかよぉぉ!!!!
叫びたい衝動を抑えるのに必死な私を知ってか知らずか、ルーメンさんは楽しそうにお茶を飲みながら、「せっかくじゃし、雑談でも楽しむか」とこれまたとんでもないことを口にする。
「『声の主』が現れるまでにちと時間はある。その間、ただ黙って待つのもつまらんじゃろう?」
その時間とやらはいつ来るんですかねぇぇ!?
「話……なら、ギルドの話聞いてみたいです。うちのギルド、事あるごとに事件しか起こらないので、他ってどうなのかなーって」
ティールくぅぅん!? 何、しれっと始めてるんだい!?
「む? しかしまあ、プリンは何があっても動じぬ男故、事件らしい事件は聞かぬがの?……あぁ、セカイイチが絡むとどうしようもないがなぁ」
「そうですねぇ。セカイイチ絡みの事件は絶えません」
私がおかしいのかな。そういうことか? ここはもうだまーって雑談に耳を傾けるべきなの? そういうことなの!?
あれこれ文句言いたいけれど、場の空気が雑談楽しもうの空気なので、私は何も言えない。
「事件か……まあ、ここもそれなりに人数はいるし、ゴタゴタやちょっとした騒動は日常茶飯事かのぉ? そうじゃな、プリンのセカイイチ絡みに似た話でもしよう」
親方のセカイイチに似たようなことがここでも起きるの? 地獄では?
「名付けるとすれば人参ムース事件じゃ」
ますます、親方のセカイイチ事件簿に似たような話題の予感……っ!
「これはワシがまだ若かった頃……セラも幼かった頃の話じゃ。滅多に手に入らん人参を料理長が手に入れたらしく、それを使って試作品と称し、ワシらにムースを作ってくれたんじゃよ」
ルーメンさんによると。
料理長さんがギルドメンバー分のムースを完成させ、仕上げの飾り付け用のフルーツを用意すべくムースから目を離した。その僅かな時間でムース全てが失くなってしまったと言う。
料理長さんはそれを見て、大激怒。当然である。頑張って用意したムース全てが失くなっているのだから、お怒りになるのも当たり前である。近くを通ったギルドメンバーさんを手当たり次第に問い詰めるものの、犯人は見つからなかったそうな。
「どんな尋問だったのか分からぬが、そこをたまたま通りかかったんじゃ。しおしおに干からびておった弟子から事情を聞いたものの、ワシも犯人に心当たりはなくてなぁ? ……あ、いや、実際には犯人かもしれぬと過ったヤツはおったんじゃが。事件の起こった時間帯、そいつは離れた場所におるはずで、犯人にはなり得ぬと思うてな」
……ふむ? その言い方だと、結果的にその人が犯人だった?
「ほほぉ? ラルは聡いの~♪ 結果を言えば、その通り。しかし、当時はワシらは犯人を見つけられんかった」
「じゃあ、誰が見つけたんですか?」
「セラじゃ。たまたまギルド内を歩いていたセラが犯人を見つけたんじゃよ。これまた、たまたまその辺を散歩しておった犯人を、な?」
事件を知らなかったセラフィーヌさんだったが、いつもと違う見た目のその犯人を不思議に思い、即捕獲。その見た目の変化とは汚れた口許だったという。
それを持っていたハンカチで拭ったセラフィーヌさん。そして、その場に居合わせたギルドメンバー&ルーメンさん。ここで犯人の特定に至るわけか。
……ふと、ここで、一つ思ったことがある。
「幼いセラフィーヌさんでも捕まえられる犯人……それ、人じゃないですよね。多分」
「うむ。人ではない。……しでかしたのがワシの精霊、クルスじゃからな」
『奇跡の洞窟』に現れた、あのやる気なさそうなウサギの精霊か。
「あいつ、人参が好物でな? どこで嗅ぎ付けたのか、人参ムースを狙っていたらしく、誰も見ていない隙を見て、ぺろりと平らげてしまってなぁ。一応、犯人……いや、犯精霊も見つかり、クルスは説教コース。料理長の怒りも収まりはしたが、弟子達はとんだとばっちりを受けてしまったという話じゃ」
そういうところ、フェアリーギルドと大して変わらんな……?



~あとがき~
セカイイチ事件簿、どんだけの事件数を納めているのか気になるところ。

次回、雑談タイム。そのに。

本当はここら辺(雑談パート)、全部丸投げされてたんですけど、「こういうネタがあればぷりーず」という要望に応えてくれました。
私「なんかわちゃっとしたネタくれ!」
相方「わかった!」
みたいな感じ。ありがたや。
相方はネタの書庫ですね。羨ましい。
くれたネタをどう繋げるかは私がやってるんで、普段よりは適当なところもありますがその辺は大目に見てくれ!←

ではでは。