satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第315話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルとティールがルーメン親方の部屋へと訪問し、なぜか雑談タイムになってしまったところからです。今回も雑談しかしません。多分。


《L side》
この際だ。伝説の探検家、赤獅子様の武勇伝でも聞いておくか。何かのネタになるかもしれない。いや、どこで活用するんだって話ではあるが。
「ルーメンさんって過去にアルドアーズさんとコンビを組んでたんですよね」
「うむ。そんな時期もあったなぁ」
「では、お二人でダンジョンの攻略や討伐なんかも?」
「それはもう数えん切れんくらいにやってきたかのぉ……? ダンジョンに大量発生したモンスター討伐やら、空き家に住み着いたモンスターを倒したり……そういえば、あやつが勝手にはぐれて勝手に捕まったことがあったな」
あやつ……アルドアーズさんか。
当時を思い出したのかルーメンさんがニヤニヤと笑い始め、私達に説明し始めた。
昔、とあるコレクターが住んでいたらしい屋敷(空き家)に巣くうモンスター討伐の依頼を受けることとなった二人。
その屋敷は主の趣味なのか、とにかく罠だらけ。更に何のアイテム効果なのか、中では魔法が使えない区域になっていた。なんでも、そこの元主さん、色んな呪術アイテムを集めるコレクターだったらしく、その何かの呪術が発動していて、魔法が使えない空間となっているのではないかとギルドの受付嬢に説明を受けた。
「とはいえ、アズは聖剣使い且つ技使用者。ワシも魔法戦闘よりも打撃戦を好む方でな? 大した障害ではないと思い、アズと共に件の屋敷へ赴いたわけさ」
朝練でもご老体とは思えない筋肉を見ましたもん。……ルーメンさん、昔から脳筋プレイがデフォルトなのだろう。
「屋敷に到着してすぐ、手厚い歓迎を受けたんだが……それはもうアズと共にさっさと蹴散らしてやってなぁ♪ 屋敷の探索はワシの特技を活かして順調に進めていった」
ルーメンさんの特技?
「元来、兎族は聴覚に長けておる。それを応用したもので、ワシは周囲の音や空気の流れを聴き、罠や敵の位置を把握できるんじゃよ♪ まあ、雫のような探索能力には負けるし……確か、セイラさんも索敵は得意分野じゃったかな。彼女のそれにも劣るが、何もないよりはましってもんさ」
ほあ~……なるほど。
特技と称していたってことは、兎族の人達皆ができるわけではないのだろう。ルーメンさんのはあくまで、自身の長所を活かすための方法を探り、特技として身につけたってことだ。
「ということで、ワシが探りつつ屋敷内のモンスターを狩っておったんだが……アズの阿呆め、ワシが忠告する前にうっかり罠を発動させてしまってな。ヤツの足元に大穴が空き、まっ逆さまじゃよ」
……うっかり、か。
ちらりと隣の相棒を見る。
見られた相棒も何やら心当たりがあるのだろうか。私と目が合った瞬間、即座に目を逸らしてきた。
ティール君。アルドアーズさんのお孫さんってことですね。そういうところ、引き継いだってことでよい?」
「よくない。引き継いでない。たまたまですっ!」
ふーーーん???
「ほっほっほっ♪ 落ちたアズはその屋敷の地下まで落とされたらしくてな? アズ曰く、落ちた先は牢屋の中。周りには無数のモンスターに取り囲まれておったようじゃ」
地獄かよ。
檻のお陰でモンスターに襲われることはないが、裏を返せばそこから出ることも叶わないのだ。しかし、アルドアーズさんは技使用者。檻の中から攻撃を仕掛けるくらい造作もなさそうだが。
「それなんじゃが、そこでは聖剣の二振りを剣として顕現させることができんかったらしくてな? ヤツは為す術なかったらしい。そこで冷気状態で漂っていた雪花をワシの元へ送り、本人は牢屋で大人しくする道を選んだ」
まあ、できることがないんならそうなるか。
アルドアーズさんの元を離れたセツちゃんは、ルーメンさんの名前を叫びながら屋敷内を飛び回った。その声を聞いたルーメンさんと無事合流し、アルドアーズさんの救出へと向かったわけだ。
「雪花に案内された先には先程説明したような光景が広がっておってなぁ……牢屋に無力なアズが囚われ、それを狙い続けるモンスター達……さながら、アズが囚われの姫に見えて、つい『なんでお前、囚われの姫になってんだ』と問いかけたもんじゃよ」
状況的にはそう見えても仕方はない、か?
まあ、アルドアーズさんが本当に姫になり得るかはさておき。
「アズもまあ、不本意ではあったのだろ。『俺だって好きでやってないけど!? なんなら、ナイトになりたいわ!! お前、俺と場所変われよ!?』と叫んでおったな~♪」
一応、この時、たくさんのモンスターを目の前にしているはずなのだが、こんな余裕のある会話を実際にしていたんだろうか。
いや、そんな余裕があるくらいには二人とも強かったとも言える。
「ま、なんやかんやあったが、アズと合流した後は聖剣を顕現できない原因だった像らしい物体を壊し、ついでにアズの檻も壊して、二人でモンスター討伐。めでたしめでたしじゃよ♪」
囚われの姫になってもアルドアーズさんは強かった……ってことですかね。いや、そうなる原因は自ら産み出してはいるのだが。
「アルドアーズさんってそういう罠を踏みやすいんですか?」
「うむ? そうじゃなぁ……そんな印象はないが……どちらかといえば、ワシの魔法に巻き込まれて吹き飛ばされるイメージが強いかの?」
じゃあ、運が悪いのはそういう星の下にティールだけが生まれたってことか。
いや、待て。
「……アルドアーズさんって強いんですよね?」
「うむ。実力のある男であるぞ」
「それで、吹き飛ばされるんですか」
「面白いくらいにな♪」
アルドアーズさんの反射神経があれなのか、ルーメンさんがわざと吹き飛ばしているのか。謎である。正直、どっちもあり得そう。
「先日、白雪も言ってましたね。お祖父様、よく吹き飛ばされたり、埋まったりしてたって」
……つ、強いんだよね??
私のこの疑問にルーメンさんもティールも頷く。肯定はしてくれるらしい。しかし、聞いている限り、そのような気配は微塵も感じないのだが。
「ふむぅ。アズの名誉を取り戻す必要はない気もするが……ヤツの強さを証明してやろうかの。する必要はない気もするが。……当時、情報が出回っておらんかったブラックドラゴン討伐の話じゃ」
ドラゴン討伐。
モンスター討伐の中でもドラゴンは曲者だ。ドラゴンに分類されるものほとんどがボスクラスであり、驚異的な強さを誇る。個々の特徴はあれど、ドラゴンに共通するのは、固い鱗守られた強靭な体、鋭い爪から繰り出される攻撃。そして、空を制するに相応しい大きな翼。これらに加え、各々の特性を生かした攻撃を持つ。
今では様々な方法で討伐されるものだが、ルーメンさんの時代は攻略法が確立してなかったのだろう。
「旅の途中、普段はいるはずのないダンジョン内でブラックドラゴンが現れたと言う話を聞いてな? まあ、ダンジョン内におるのならともかく、そのドラゴンはダンジョンの外へ出て人々の土地を荒らしておってた」
その付近のギルドは大慌てでそのブラックドラゴンの討伐依頼を出し、腕の立つ探検隊や冒険者達に声をかけていたと言う。
しかし、情報が少なかった当時は進んで依頼を受けようとする人もおらず、見つかったとしてもドラゴンの強さに太刀打ちできず、命からがら脱出……そのような事態が続いていた。
そこにルーメンさん達が現れたということらしい。
「そこの領主らから話を聞いて、同情はしたが……流石のワシも手放しに引き受けようとは思えなくてな。如何せん、攻略方法の分からぬ相手。無茶をするにはちと厳しいと判断をした。……が、アズは『困っている女性達を放ってはおけない』と引き下がるつもりがないようでね。まあ、やるだけやるか、とワシが半ば折れる形で依頼を受けた」
「お祖父様らしいですね。困っている女性、ですか」
「ほっほっ♪ 困っておるのは女性だけではないんだがなぁ? して、依頼を受けたからには情報収集をと手分けして、あちこちからかき集めたもんさ」
ルーメンさんとアルドアーズさんは情報共有をすませ、準備を整えた。そして、次の日、ドラゴンが現れると言う森……だった荒野へと赴くこととなった。
「作戦は単純じゃ。二人で強力な攻撃を同時に叩き込む。それだけじゃよ。まあ、普段なら、アズが適当に敵を引き付け、ワシが強力な一撃をお見舞いするんじゃがな~……ブラックドラゴン相手にそれだけでは足りんと予測した。ドラゴンの鱗は固いからの。ワシの拳だけで届くか確証が持てんかった」
だから、二人で同時攻撃か。
ルーメンさんはゆっくり頷く。
「ワシが土魔法でサポートしつつ、アスが聖剣を巧みに操り積極的に攻撃した。そして、アズはドラゴンの『逆鱗』に攻撃することに成功したのさ」
ドラゴンのそれに触れてしまえば、大暴れしてしまう逆鱗ですか。わざわざそこを攻撃するなんて。
しかし、それを成功と言うからには、元より作戦に組み込まれていたのだろう。
大暴れを始めたドラゴンからルーメンさんのサポートを受けつつ、距離を取ったアルドアーズさんは、体勢を整え、再びドラゴンへと突っ込んだそうだ。
「攻撃するには近づく必要があったからの。ワシが足場を作り、アズがそれを用いて接近……大暴れをし続けた結果、疲れを見せたドラゴンの隙をアズは見逃さなかったんじゃろうな。あやつは上手くドラゴンの背に飛び乗り、それに合わせ、ワシもドラゴンの懐へ飛び込んだ。そして、二人で攻撃を浴びせたんじゃ。上下からの強力な一撃を受けたドラゴンは流石に耐えきれんかったのじゃろう。あっさり消えてしまったわい」
依頼を受けた理由は不純に思えるが、強さは本物。何より、ルーメンさんとの息が合わなければ倒せなかっただろう。
本当にいいコンビだったんだろうな。
「……私だったら、一人で突っ込んでるかもしれない」
自分の実力を過信しているつもりはない。しかし、ルーメンさんが語ってくれたような方法で倒せるのかは分からない。
多分、もう少し慎重に動きながら、且つ相棒であるティールには後方支援してもらうんだろうな。まあ、いつもの手法ではあるけれど。
「ラル、そういうところね。そういうところ」
「えぇ? 未知なる相手とのバトルは基本的にそういうスタイルでやってるじゃん。あわよくば、私一人で倒せたらラッキーくらいのイメージで」
「ラッキーじゃなくて、しれっと倒そうと奮闘するでしょ。だから、危ない目に遭うんだろ」
……ひ、否定はしない。
そりゃ、前衛が最も相手の攻撃を受ける。比例して、危険な目にも遭う。当然である。
結果、前衛である私の危険度が増すわけで。ティールはそれをよしとしなくて。
まあ、私が必ずしも前衛である必要はないけれど。でも……最悪の事態になるんなら、それは私でなければならない。それが私の役目だと思うから。だから、私が前衛でいれるときは前に出る。そうすれば、少なくとも私の想定する最悪は回避できると思うから。
「……ラル。流石に怒るよ」
「うげぇ? エスパーかよ、お前」
「違うけど。でも、ラルならそう考えるって分かるんだよ。……何年、隣にいると思ってるんだよ。全く」
へーへー……そーっすねぇ?
そんなティール君なら分かるだろうに。私の考えが変わらないってことにも。
「……あのなぁ」
「うっさい! うっさい! そうならないための努力を惜しむつもりはないし、惜しんだつもりもない! 大体、私がやべぇなって思うような依頼、意地でも持ってくるもんか! 安心しろ!」
ティールは私をじとっと睨みつつ、わざとらしくため息をつく。
「そういう問題じゃないけど。……馬鹿ラル。なんで分からないかなぁ? そんなんだから、リアさんとかに滅茶苦茶怒られるんだよ」
「うるっせ。この世には優先順位とやらが存在するんだよ」
「その順位、即刻変えてほしいものだね」
「変えない。私がリーダーでティールが相棒で、私の親友で、仲間である限りはね!」
「頑固」
「うるせぇ、過保護が」
「……ぷっ」
……あ。
脳内で話題がスライドしてしまっていたが、元々はルーメンさんの話を聞いていたんだった。
私達の平行線な喧嘩をくつくつと笑いながらルーメンさんは眺めていた。
「いやぁ、すまんすまん♪ ワシからすると、二人とも頑固で過保護じゃと思うがの~♪ いやはや、仲が良くて結構結構♪」
その言葉に私とティールは互いに顔を見合わせると、首を傾げる。
あのやり取りのどこで仲良し認定されているのか分からない。どこ?
「ごめんなさい、ルーメンさん。ぼくら、勝手に熱くなってました……話の途中だったのに」
「おん? いやぁ、話はきりよく終わっとるし、終わってなかったとしてもアズの話なんてどうでもよいぞ?」
……やっぱり、アルドアーズさんに対する扱い、雑だよな。あんなに息ぴったりなコンビ話聞いたのに。
それとも、そういうスタイルが二人にはあっているあのだろうか?



~あとがき~
なげぇなげぇ!!
喧嘩させたくてさせたけど、やらなきゃよかった感! 何とか頑張って入れたアルドアーズのかっこよい戦闘話が霞むが!?←

次回、そろそろ本題に。

アルドアーズの話もあったのに、なんかこう……それはどうでもよくなる感じになってしまった。申し訳ねぇ。
で、ちょいちょい話題に上がり、問題になるラルちゃんの無茶行動について。
正直なところ、ティールも人のこと言えないだろうなとは思うんですけどね? 彼もまた、ラルに危険が及べば、自ら飛び込んでどうにかしようとするので。なんで、人のこと言えないんだわ、お互いに。
だからこそ、お互いに頑固で過保護なんだろうなと思います。ルーメンおじいちゃんの台詞はそういうことよな。←?

ではでは。