satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第316話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回は雑談パート。つまりは寄り道みたいなもんです。
今回から! ようやく!! 本題に!!!
話的には全然進んでないもの。びっくりよ。


《L side》
ルーメンさんの昔話をいくつか聞きながら、約一時間くらい経った頃だろうか。不意に部屋をノックする音が響いた。
女神祭という一大イベントを終え、ギルドの人達も仕事を終えて休息しているはずだ。それなのに一体、誰が?
「入ってよいぞ~」
「はぁい♪ こんばんは、じいじ♪」
ルーメンさんに促され元気な返事と共に入ってきたのは、ツバサちゃんだった。涼しげな甚平風のパジャマを着て、ニコニコ笑顔でルーメンさんと話している。
「ツルギとしーくん達、ぐっすり寝ちゃったよ♪」
「うむ。そうかそうか~♪」
「うん。……ほえ? ラルさんとティールさん?」
と、ここで私達の存在に気づいたのか、首を傾げながらこちらを見る。
「ツバサ、こんな時間にどうかしたの?」
「報告に来たんですよ~♪ お泊まりで子供達を預かってるので。この時間でまだ寝れない子はじいじにあやしてもらう年も……あ、実はこのお泊まり会、毎年恒例行事? みたいになってるんですっ」
「なるほどね? 今年はルーメンさんの出番はいらないよって報告ってことだ?」
「つまりはそういうことですね♪」
ここに来た理由を問いかけたティールに笑顔で教えてくれるツバサちゃん。この光景はまあ、何でもない日常風景みたいなものだけれど。
……なんだろうな。この違和感。
私はどこに引っ掛かりを覚えているのだろう?
「ところで、お二人はなぜじいじのお部屋に?」
「え? え、と……それは」
ミルティアに呼ばれたからと素直には言えず、ティールは答えを言い淀む。ちらりと私を見て、どう答えるべきかと目で訴えてくる。
それくらい、適当に誤魔化してもいいと思うのだけれど、素直だなぁ。ティールは。
「……あぁ、仕事の話を少し、ね?」
「そうでしたか~♪」
すぐに答えられなかった彼に代わり、適当に答えておく。別に仕事の話なんて一ミリもしていないんだが、この際、どうでもいいというものだ。
「? ラルさん?」
少し思考を巡らせて違和感の正体に気付いた。漠然とした雰囲気の違いもそうだけれど、とある行動が以前の彼女と違ったのだ。
「ねえ、ツバサちゃん?」
「はい。どうかしましたか、ラルさん?」
「いや、あなたを『ツバサ』ちゃんと呼称するのは間違いかもしれません。……『ツバサ』の中にいる、あなたは誰ですか?」
問いかけられた彼女は驚いたように目を見開きつつも、私をじっと見つめてくる。あくまで自分から語るつもりはないらしい。
私は残りの二人の様子を窺う。
ティールは当然だが、戸惑ったように私と彼女を見ている。そして、ルーメンさんはいつもと変わらない笑みを浮かべ、沈黙を貫いている。
彼女もルーメンさんも言わないのなら、私が言おうか。
「私の知るツバサちゃんはノックはしても、返事は待たずに大好きなじいじに会いに来るんですよ」
初日にルーメンさんの部屋へと案内してくれたツバサちゃんがそうだった。ノックしてすぐに扉を開け、ルーメンさんの元へ駆け寄っていた。
「それにツバサちゃんとは違う気配をあなたから感じます。これは漠然としたものなので、根拠としては薄いですけれど」
「……」
「まだ足りないというのなら、私があなたの正体を言い当ててみましょうか?」
「……」
これにも答えるつもりはないらしい。ならば、肯定だと捉えるまでだ。
私が彼女の名前を発するため、口を開きかけた時。ルーメンさんの堪えきれない笑い声が聞こえてきた。そして、それにつられるように彼女もクスクス笑い始めた。
「ふぉふぉふぉ♪ 流石、ラル。こうも早くに見破ってしまうとはの」
「んふふ♪ ほんとだね~♪ そこまで付き合いがあるわけじゃなかったから、もう少し騙せるかなって思ったのに」
「え、えと、どういうこと?」
この場で唯一、理解していないのはティールだけだろう。まあ、仕方ない。ティールは彼女とは初対面だもの。
ティールとは初めましてですが、私とは二度目というべきでしょうか? 癒しの女神、ミルティア様」
私が彼女の名前を告げると、彼女はツバサちゃんらしくもない不敵な笑みを浮かべた。そして、パチンッと指を鳴らすと、彼女を包むような風が吹き始める。その風も一瞬で消え失せると、中から現れたのは変わらずツバサちゃん……ではなかった。
身長がぐんっと伸びて、私より少し低いくらいに変化し、服も甚平から白い狩衣のような和服へと変わっていた。
また、見た目も大きく変化している。髪はツバサちゃんと変わらない白髪の髪だが、長さは腰の辺りまであるロングヘアへと変わり、その長い髪の毛先を鈴の髪留めでまとめている。そして、頬に星の痣のようなもの、瞳は赤と青のオッドアイ
“時空の叫び”や洞窟で出会った、ミルティアそのもののだ。
「うんっ♪ ラルちゃんとは先日ぶり。そして、ティールくんとは初めましてだね♪」
「……へ? あ、はい、そう、ですね??」
先日ぶりと答えるか。
となると、私と洞窟で会ったことを覚えている?
ルーメンさんは改めてミルティアに向き直ると、恭しく頭を下げる。
「ミルティア様、お久し振りでございます」
「うん♪ 一年ぶりだね、ルーメン」
二人の会話から、この対面は初めてではないと窺える。つまり、ルーメンさんはこうなると知っていた。だから、私がミルティアの言葉を告げた時、一人で納得していたのだろう。
「……ねえ、ラル? ちょっと状況が理解できないんだけど。どういうこと、これ?」
あー……うーん?
どう説明したものかと考えていると、ティールは一人で勝手に思考を暴走し始める。
「っていうか、ミルティアって死んだんじゃなかったっけ? それなのに目の前に現れたってどういうこと? そ、それって一般的に言うあれ? 化けて出る的な……っ!?」
一般的に言うかは知らんが??
一人で勝手に思考を巡らせ、その巡らせた先で勝手に怯えているこのアホをどうしたらいいんだろう、私は?
「あ~……とりあえず、ティール。うっせぇわ。黙れ」
と、勝手にあわあわしているティールの背をぶっ叩いておく。そこまで強く叩いたつもりはないのだが、ティールは痛みに小さく呻き声を上げながら、体を小さくさせた。
「ひ、酷い……」
「このまま放っておいても、変な方向に怯えるだけじゃん。馬鹿だな、ティールは」
「うるさいよ……えと、ミルティア……さん、でいいのかな」
「うん。なにかなっ?」
「死んだはずの貴女がツバサの体を使って、ここにいる理由をお聞きしてもいいですか?」
彼の疑問にミルティアはにこやかに答える。
「もちろん。そこは気になるだろうから、答えるよ♪ といっても、難しいことはなーんにもないんだけどね? 私の転生体がこの子……ツバサ・ケアル。そして、そのツバサ・ケアルの中にこの私……つまり、この子の前世であるミルティアの意識が残ってるだけだよ?」
数秒、ミルティアを見つめたティールはどう思ったのか、私の方を見て、首を傾げた。
「……『だけ』ですまされる情報量だった?」
「多分、そんなことはないと思うけど、理由としては単純だとは思う。ミルティアの転生体がツバサちゃんってこととツバサちゃんの中にミルティアが残ってるって話なだけだし」
「いや、言葉は理解できるよ? できるけどさ……?」
ティールが言わんとしてることは分かる。
そんなことがあるのかって話だろう。あり得るのだろうか、という。
元々は神様で、そんな神様が人として生まれ変わるなんて、と。
しかし、ケアルの始祖はミルティアだ。少なからず、ツバサちゃんは神の血を引き継いでいる。だから、縁として残っている以上、あり得ない話ではないのだろう。
第一、目の前にあり得てるんだ。納得するしかないし、受け入れるしかない。
祖先帰りという言葉もある。そういうことなのだ。うん。……本来の意味合いとは違う気もするけど。
話を戻そう。
「私からもお聞きしても?」
「いいよ~♪」
「なぜ、貴女は私達のことをご存知だったのですか?」
私達が名前を名乗る前から、ティールのことを『ティールくん』と呼び、さも知っているのが当然のように振る舞った。
そして、私と初めて会った時もそうだ。あの時はそこまで思考が働かなかったが、別れ際に『ラルさん』も呼ばれた。まあ、それだけなら、精神世界だからなんてご都合主義的理由でも納得はしたのだけれど。
でも、そうではなかった。つまり、何らかの理由、手段でミルティアは私達を知っていたのだ。
「私は普段、ツバサの中で眠っているのだけれど、その間に色んなものを視ているんだよ。だから、二人のことも会う前から知ってたの♪ なんだろ? 例えるなら、夢を見ている……そんな気分かな」
「夢で見て、知った……?」
いや、それはあくまでものの例えで、実際は違う方法で知ったはずだ。
「あぁ……あのおとぎ話が関わるのか。最後の方の一文」
「え?」
ここに来てよく耳にすることになった『癒しの女神の祈り』では、女神は光になったのだ。恐らく、そこが関係している。
……ミルティアは枯渇した魔素を増やそうと奔走していた。そして、最後は子供を……家族を守るために自らも光、即ち、魔素へと姿を変えた。
その魔素が世界に散らばったとなれば、それらを通して、世界の事象を見聞きすることも可能なのかもしれない。
「わー! 凄い! 大正解♪」
ミルティアはぱちぱちと嬉しそうに手を叩き、何度も大きく頷く。
「うんうんっ♪ この子の中で見てたときから思っていたのだけれど、ラルちゃんは聡明な子なのね~♪」
「……あ、りがとうございます?」
なんだろ。ミルティアが現れてから、この人のペースに飲まれているような気がする。
だが、それはそれとして。
結局のところ、ミルティアがここに現れた理由と私に伝言を残して理由が不明のままだ。
なぜ、ミルティアは再び、私の前に現れたのだろうか?



~あとがき~
ミルティアさんが子供っぽい件について。
初登場時の方が大人だったし、神様っぽかった気がするのは気のせいか。

次回、ミルティアとお話しします。

この辺、回収していなかった伏線やら事実やらで情報量が凄いことになってきます。頑張ってついてきてねっ!!←
ゆーて、ミルティアに関することばっかだとは思いますが。

ではでは。