satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第318話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ミルティアさんのあれこれを聞いた後、ラルさん、ミルティアさんに拉致られました。そんなこんなで、女の子同士の秘密のお話回。
まあ、変なことはないので大丈夫大丈夫。


《L side》
次に目を開けた時、私はミルティアと共に外にいた。ほんの少し、暑さの残る夏の夜の下で、私は街外れにある丘の上に連れてこられたらしい。ここからはスプランドゥールの街が見下ろせる、そんな所。
その近くには湖と崖のような高い丘のような、そんなところもあって。
「なぜ、こんなところへ」
「……そうだね。ここなら、父様やウィルくん達にバレないだろうし、何より私の思い出の場所の一つだからかな?」
私からそっと離れたミルティアは街を一望できるところまで歩み寄り、こちらに背を向ける。
そうだ。街ではミルティアの気配を辿って、アルフさんとウィルさんが来ているんだったか。二人はいつも逃げられていると言っていたけれど、ミルティアが意図的に逃げていたから?
「……私に話ってなんでしょう?」
「ん~……大したことじゃないんだけどね」
と、私の方を振り向き、はにかみながら答える。
「改めて、あなたと……ラルちゃんとお話ししたいなぁって思ったの」
「……はぁ」
なんで私なんだという疑問は消えない。
それに、話とは何かという疑問については答えになっていないように思う。
「急かさない急かさない♪ ちゃんと順番にお話しするよ。……まず、私が話したいなって思った理由は、洞窟で話したと思うんだけど、未来で……ラルちゃんにとっては現代か。要は、永い時を超えて私の過去を視る子が現れるなんて思わないでしょ? そんな子とゆっくり話してみたいなって思ったの」
単なる興味本位で私と二人になったってことになりますが??
「それにね、お礼もしたかったの。父様とウィルくんに伝言、伝えてくれたでしょう?」
……確かに、それは私と二人にならないと言えないか。あ、いや、待て?
「……洞窟で話した?」
洞窟での会話……もっと言えば、私と精神世界(?)で話した内容を把握しているのか。
「うん♪ さっきも説明した通り、私は魔素、魔力を通じて物事を見聞きできる。加えて、ラルちゃんが触ったあれには私の魔力が含まれているもの。ちゃあんと把握しているよ? もちろん、ラルちゃん達が今日、たっくさん楽しんでたことも、ね?」
……洞窟はともかく、今日の様子も見られていたのか。別に変なことをした自覚はないけれど、この妙な恥ずかしさはなんなのだろう。
「……うふふっ♪ 安心して? 事細かに見ていたというよりは、夢心地っていうのかな。そんなふわふわっとした感じで見てたから!」
何をどう安心しろと。何がどう違うというのだろう。……いや、この件について深く追及するのはやめておこう。変に広げてしまうと、こちらに被害がありそうだ。
私は気持ちを切り替える意味でも軽く咳払いをして、ずっと気になっていたことを聞いてみることにした。
「なぜ、過去の人物である貴女が未来を知っていたんですか? 未来で私が貴女の過去を視ると」
「それはね。私もラルちゃんと似たような能力を持っているからだよ」
「私と?」
ミルティアは小さく頷くとパチッと片目を閉じ、そっと人差し指を口許に持っていくような仕草をした。
「神と人の間に生まれたからなのかな。……私は『夢見』って能力を持っているの」
私と似た能力。
そして、夢、か。
過去や未来を夢として見る的な……?
「惜しい~♪ 過去のことは見れないの。『夢見』はね、未来の出来事を夢として見るの。いつ、誰が、どんなことが未来で起こるのか……それを夢として見る能力だよ」
なるほど。
その能力で私が未来で過去を視ると知ったわけか。だからこそ、過去で私と話すための準備もできたわけだ。
「そういうこと。元々は世界のために準備していた『女神の祝福』を作っていた過程で、その未来を知ったの。そして、その未来通りになるようにと細工を施したってわけ♪ まあ、その未来を見る前から予感みたいなものはあったんだけれど」
? というと?
「うーん。説明しにくいんだけどね? なんだろ。そこにいるわけがないんだけど、誰かいるような……そんな感覚? 違和感みたいな。そんなのを洞窟内で感じてたの。で、後日、夢見でラルちゃんのことを知って、納得したんだ~♪」
私の能力はあくまでそこにあった─或いは、起こるだろう─出来事を視るだけ。つまり、過去や未来に私の意識を飛ばして、その場で見届ける訳ではない。だから、当時のミルティアが私の存在を感知するなんてあり得ない。
実際は勘違いか何かだと思う。しかし、ミルティアはその違和感の正体が私であったと疑わなかった。だからこそ、こうしてミルティアと話ができている。
「もちろん、その時は夢見に出てきた女の子が来世で仲良くなる子だ……なんて分からなかったけどね?」
そこまで分かっていたら怖すぎますけど?
ミルティアはにこっと微笑み、「ちなみに」と話を続ける。
「この時代では……って言えばいいのかな? この子の親、アルフォースが同じ能力を持っているんだよ。そして、この子も将来的には能力を引き継ぐの」
剣技大会でアルフォースさんに耳打ちされた言葉の真意はそういうことか。
アルフォースさんが神の血を継いでいるとは聞いていない。となると、能力を持って生まれたのは偶然なのか。ツバサちゃんが引き継ぐのは……偶然と片付けていいかは分からないけれど。
「ま、ツバサが使えるようになる頃、私の意識は完全に消えて、融合しちゃってるけどね」
「……え?」
「ん? 特別、変なことはないよ。だって、私はもう死んでるんだもん♪ 今は、色んな条件が重なって出てこれているだけで『いつか』消える存在ってだけだよ~♪」
自然の摂理に沿うのであれば、そうなのだろうけれども。いや、だからと言って明るく言うことなのだろうか。こうして存在しているのも奇跡みたいなものの手前、とっくに割り切れてるのかもしれないけども!
私が不思議そうな顔をしていたのだろうか。ミルティアは真っ直ぐな瞳でこてんっと首を傾げる。「どうかした?」みたいな顔をしている。
「……ナンデモナイデス」
そんな顔されてしまえば、私から何かを言うのも変な話だ。反応に困るとはこのことである。
「私の能力の話はとりあえず終わりかな? 話が脱線しちゃったけど、改めて。……父様とウィルくんに伝えてくれてありがとね」
……あぁ、そうか。その話をしていたんだったか。
何度も言うようだが、私は特に何かをしたつもりはないし、何度も感謝される程のことはしていない……つもりなのだけれど。
「……貴女の口から直接伝えた方がよかったのでは? すでに死んだ存在で、消える運命にあるのなら、天界の掟とやらに縛られる必要もないのでは」
この質問にミルティアは困ったように笑う。
「うーん。まあ、それもそうなんだけれど……でも、天界のおじさま達は私は意識すらも存在していないことになっているの。それなのに父様やウィルくんに会いに行ったら、私の意識が存在してるってバレちゃうかもしれないでしょ? そうなったら、この子に迷惑がかかっちゃうよ」
それは……かつて、貴女が禁忌を犯した女神だから?
「うんっ♪ そして今は、普通のどこいでもいる可愛い女の子だしね?」
先程までの困り顔はどこへやら。自信たっぷりに笑い、くるりと回って可愛らしいポーズを取る。
そんなことをしても、今の姿は『ミルティア』で普通のどこいでもいる可愛い女の子『ツバサ』はどこにもいないんだけれど。
私からの同意が得られなかったのが不思議なのか、ミルティアは小さく首を傾げつつも、曇りのない笑みを見せた。
「あれれ? 私もツバサも可愛いでしょ? 一応、今代の私も可愛いって自覚してるつもりなんだけどな~♪」
「それ、自分で言うことではないです」
「そっかな~? ラルちゃんもよく言ってたと思うんだけどな~?」
「あれは悪ふざけに決まってんでしょうが」
否定してくれる人物がいて成立する定番のボケみたいなもんだよ! 鉄板ネタ的な!? いや、堂々とネタって言いたくないけど!!
ミルティアはなぜかニヤニヤと笑ったまま、「そっかそっか~♪」と納得してしまう。
そして、一呼吸置き、ふわりとした笑顔に戻る。
「……とまあ、どんな形であれ、父様やウィルくんに私の気持ちを伝えられてよかった。これで未練なく消えられる」
「それは」
「まあ、もうちょっとここにいるけどね! 多分、この子が成人するまでは、こうして出てこれると思うし~♪」
意外とおるやんけ。少ししんみりしてしまった私がアホみたいだよ!
哀愁漂う雰囲気は一瞬で消え失せ、ほんわかムードへと塗り変わってしまった。
こういうところはルーメンさんみたいだな。……いや、ルーメンさんがミルティアに似ているのか。
「さて! 私が話したかったことはこれで全部かなぁ~……もし、ラルちゃんから何かあれば聞くよ?」
「私が貴女に……?」
「うん。なんでも聞いて♪ 人生の先輩としてでも、女神としてでも。なんでも答えちゃうっ」
なんでもは怖いな。ポロッと知らなきゃよかった新事実もこの人の口からなら、簡単に飛び出してきそうだ。
「……私に加護をかけた理由を伺っても? アルフさんから伺いました。貴女から加護を貰ってるって」
「うん♪ 洞窟でお話ししたときにね~♪ 与えた理由かぁ……未来のため、かな?」
未来?
「うん。なんかラルちゃん、トラブルいっぱいなんだもん。ラルちゃんに何かあったら、この子が悲しむでしょ?」
しれっとさらっととんでも発言したなぁ!? 「トラブルいっぱいなんだもん」!?
ミルティアから貰った加護は、悪い神から身を守るものだってアルフさんに教えられたけど。将来、そんな悪い神とやりあう日が来る可能性があるって思われているってことだよな?
……い、嫌だぁ。平穏に過ごそう。神様に楯突くような未来を歩まないように頑張ろう。
「まあ、あんまり気にしなくて大丈夫だよ? 保険みたいに思ってくれれば」
保険、ね。
「……後、一つだけいいですか」
「もちろん!」
「この時代の貴女……ミルティア様は世界のために自身の命と引き換えに光……魔素を作り、争いを終わらせたと伝わっています。その時、死ぬことの恐怖は感じなかったのですか?」



~あとがき~
なんか……謎にミルティアさんにペース持ってかれてる感。私まで振り回されてる気がしてきたぞ?(笑)

次回、ラルとミルティア。
あとちょっとだけ続くんじゃい。

今のところ、ラルが悪い神様と対峙するシナリオは存在しないです。一応、平穏な生活を送れる……はず。多分。恐らく……きっと?

ではでは。