satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第320話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびり待機してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラル&ミルティアとの会話パートが終了しました。今回は残された二人、ティール&ルーメンコンビです。
いやはや、二人きりはひっさびさですね!


《Te side》
「! ラル!?」
ぼくの声にこちらを見やるラルの顔は、戸惑ったような表情を浮かべていたものの、そのままミルティアによって、どこかへ連れていかれてしまった。
い、いきなりすぎる……!
「大丈夫じゃよ、ティール。ラルはミルティア様と話をしに行っておるだけじゃ。そのうち戻る」
と、落ち着いた様子でお茶を飲む。
ルーメンさんは、最初からこうなるって分かっていたんだろうか? いや、多分、さっきの言葉からして、どうなろうともミルティアの行動は止められないと達観していたに近い?
「ルーメンさんはラルが連れてかれるって分かってました?」
「ふむぅ……ラルの話を聞いて、ミルティア様はラルと話したいとお考えなのでは……というところまでは分かっていたかの。……じゃが、あのように強引な手段を用いるとは思っておらなんだ」
そこはルーメンさんも予想外だったってことか。
ルーメンさんは困り顔で自分の髭をそっと撫でる。
「いやはや、ミルティア様とは過去に二度、話をしておるが……ワシが思う斜め上の行動をここまでなさるとはなぁ。本人は大層、楽しそうではあったがの」
そう言われて、先程までのミルティアを思い出す。
悪戯と称しツバサとして入ってきたり、ルーメンさん達との出会いだったり、半ば強引にラルを連れ出したり……その、何て言うか。
「話に聞いていた以上に天真爛漫と言いますか……嵐みたいなお方ですね」
おとぎ話の女神と同一であると誰が思うのかってくらいギャップがある気がする。
「否定はせんよ~……それにワシもあの方の子孫。どうも勝てる気がせんのじゃよ。……じゃから、ワシらはここで二人の帰りを待つとしようぞ」
「あはは……ですね」
二人の行き先に心当たりもないし、あそこまでするってことは、ミルティアは本当に二人きりを望んでいるってことだ。
いざって時は、雷姫さんだってついているし、問題ないだろう。
……うん、大丈夫。多分。
「ほっほっ♪ 今宵はチェスはやめておこうかの。その様子じゃと集中できんじゃろ?」
「……そ、うですね」
大丈夫だってのは分かってるつもりけど、どうしても気になってしまう。こんなんじゃ、勝負なんてできっこない。
ルーメンさんの言葉に甘えさせてもらい、今日はお話だけにしてもらおう。
「ごめんなさい。そうして貰えるとありがたいです」
「構わんさ♪ 早速なんじゃが、ワシから気になることを聞いてもよいかの?」
「あ、はい。ぼくで答えられることなら」
「祭りの様子を見てても思うたんじゃが、ツルギはティールに随分と懐いとるようじゃなぁと思うてな」
ぼくとしてはそこまでじゃないと思っているんだけど、他人から見たらそう見えるのか。
でも、まあ……ツルギを捕まえたときもラルがツルギを弄ってたし、実際にそうなのかな。比べるのも変な話だけど、ツバサがラルを慕うみたいな関係ってこと……?
「みたい、ですね? ぼくとしてはラルとも仲良くなってほしいな~って思わなくもないんですけど」
初めはツンツンしているように見えたし、なんなら、ラルの仲間ってことで好かれてもなかったぼくは仲良くなれたし。そこでツルギにも人懐っこいところもあるのだと分かった。
ラルとツルギはお互いの出会いと第一印象が最悪だったけれど、今後の展開としては仲良くなることも不可能では……ない、と思いたい。
「うーむ。それに関しては諦めた方がよいかもしれんの」
「えっ」
「見た目は種族のこともあり、父親であるアルフォースに似とるんじゃが、性格に関しては幼い頃のセラのよう似ててなぁ」
あ~……っと? それって、まさか?
幼い頃のセラフィーヌさんはぼくの母上を姉と慕うくらい懐いていたと聞く。で、父上に対する評価って確か……そこまでよくなかったような?
「うむ。セラもライトを嫌ってはおらんし、別の意味では慕っておるんじゃろうが……如何せん、大人となった今でも事ある毎にライトにつっかかるんじゃよ。そんなセラに似たツルギじゃ。……その先は分かるじゃろ?」
現状、仲良くなる可能性は低い、か。
ラルも口ではツルギと仲良くしたい的なことを言ってても、ツルギの反応がいいからって彼を挑発し、からかうのをやめない。まあ、ラルのあれは愛情表現の一つみたいなところあるけど、今のツルギにそれは分かんないよなぁ。
「可能性として、ツルギが成長し精神面でも大人になれば。或いは……なんてことはあるかもしれんの。まあ、こちらも望み薄ではあるか~」
「あ、はは……そうですよね」
仮にラルが挑発行為をやめたとして、仲が進展するかと言われると、それもまた怪しいところである。ラルが何もしなくても、ツルギは何かしてくるからだ。襲撃がいい例だ。始まりはラルの一言でも、未だに続くのはツルギの執念深さとも言える。
「おぉ、そうじゃ。ツルギと言えば」
「? 他にも何か?」
ぼくは記憶の中に該当するようなものがあったっけと考えながら、脳内検索をしながらお茶を飲む。
うーむ。……特にヒットしないんだけどな。何かあったっけ?
「ツルギ本人から聞いたぞ? お主、ようやく自分の気持ちに気づいたようじゃな~♪ ラルに対する気持ちをな」
「ぶっ!?」
口に含んでいたお茶を思わず吹き出してしまい、おまけに盛大に噎せてしまう。
な、なな、なぁぁぁ!!??
「おっと。大丈夫かの?」
「っげほ。は、はっ…………だ、だい……大丈夫、です。ってあぁ!? ごめんなさい……っ!」
動揺からか滅茶苦茶、噎せまくって乱れた息を整えた。そして、ようやく我に返ったぼくは慌てて、テーブルに溢れたお茶を布巾で拭き取った。
ツルギ、なんつー爆弾をルーメンさんに渡してるんだ。やめて!? 渡っちゃいけない人に渡ってる気がするよ!?
ラルがルーメンさんとの交渉に慎重になるのも分かる気がする。こういうことがあるからですね!?
……いや、何言ってるんだろう、ぼく。落ち着け?
「すまんすまん、そこまで慌てるとは思わんかった。いきなりすまんかったの?」
「い、いえ……だ、大丈夫です。こちらこそごめんなさい。大袈裟に反応してしまって」
まあ、ぼくの心情的には相応な反応でもあるんだけれど……うぅ、なんだ。滅茶苦茶恥ずかしいな。えぇっと、話はなんだったか。
ようやくラルに対する気持ちに気づいたとかなんとかって話か。……これかぁ。
「……あ、えっと……そう、ですね。気づいた……です、はい」
自分の頬が熱くなるのを感じて、思わず俯きながら頷いた。そんなぼくにルーメンさんはどこか生暖かい目で「ようやくかぁ」と呟いた。やれやれ、遅いんだよ、みたいな雰囲気である。
……ぼくってそんなに鈍感だろうか?
『てぃー、きづくの、おそい!』
『いーちゃとおなじくらい!』
「スイ、セツ……いきなり出てきてなんなんだ」
どこから現れたのか、スイとセツがひょっこりと出てきて、ぼくの周りを飛び回り始める。いや、マジでどっから出てきた? 部屋に置いてきたはずなのに、なんでいるんだ?
「二人の言う通りじゃの。何を今更~♪」
「うえぇ!?」
「お主の両親……というか、特にライトの方はティールと同じ……いや、それ以上の鈍感さを発揮しておったからの。セラやカズキらが散々お節介せねば気づかんくらいじゃ」
散々、お節介……それは超がつくくらいの鈍感さ、かも? いや、人のこと言えないかもしれないけど。
「まあ、あの二人の馴れ初めは今は置いておくか。気になるなら、当人達に聞くがよい」
……聞きたいような、聞きたくないような。複雑な気持ちだ。大体、親の恋愛話をどんな気持ちで聞けばいいんだろう。そもそも、普通の会話するよりハードル高くないか?
まあ、ラルに相談したら、快く協力してくれそうだ。そういうの、好きそうだし。……いや、それはそれでどうなんだろう。友人の親の付き合うきっかけ話を聞かされる心情って……! 気まずくない!?
……いやいや、母上とガールズトークをしてしまうラルのことだ。なんら問題ない気がしてきた。ぼくの親友、こういったことに関しては心が強い……!
「して、ティールはラルに思いを伝えんのか?」
その問いにぼくはすぐに答えられなかった。ふと視線をテーブルに落とし、じっと考える。
ぼくはラルのことが好きだ。それは一人の女の子、女性として、好きってやつだ。それは分かっている。……でも。
「なんて言われるか怖いってのもありますけど、それ以上に王子であるぼくがラルに告白なんてしたら……今の関係が壊れちゃいそうで、それが一番怖い」
親友として、相棒として隣にいたラルがぼくの告白でどう思うか、どう思っていたのか……それを知るのが怖い。結局のところ、ラルに嫌われるのが嫌で、親友や相棒でいられなくなるのが嫌なんだ。
「ふむ、そうか。……はっはっはっ! お主も若いの~!」
あっれぇ? 真剣な話をしていたつもりなんだけどな~?
ルーメンさんが一頻り笑って、目尻の涙を拭った辺りで呼吸を落ち着かせる。
「いやはや、すまんなぁ……こうも歳を取るとつい、な?」
関係あるのだろうか、それ。
「そうだなぁ……ワシから言えることは一つじゃ。立場や身分などは気にせず、ティールの思うままに幸せを掴めばよい。昔、王家だったケアル家は自分達の幸せのために身分を捨てた過去もあるしの~」
その話、ツルギから聞いた気がする。でも、詳しい話は聞けずじまいになってしまったような。
「おや。ならば、この機会に少しだけ、陸の国が王権主義国家でなくなった理由を話そうかの」



~あとがき~
ラル&ミルティアも二話使ったんだもん! この二人も使いますよ!!

次回、ティールとルーメンの夜会話。後編。

こっちは和気藹々としてますね。まあ、経験値が違うからな! 伊達に毎夜、話し込んでねぇぜ!(笑)

ではでは。