satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第328話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルVSツルギ戦、ファイナル!
ってな感じにやりました。まあ、今回の夏休み編『スプランドゥール)で行うのが最後ってだけで、今後も全くないのかと言われると未定としか言いようがない。ツルギ君が再登場すればまたあるかもしれませんね。
ということで、今回でスプランドゥールともお別れ(の予定)です。


《L side》
ここを旅立つ前にまあ、色々ありましたが……ツバサちゃんが私達を探しに来たということは、そろそろ出発の時間なのだろう。
「じゃ、部屋の荷物取りに行こう。すぐ戻るからツバサちゃん達はここで待っててくれる?」
「はい。分かりました!」
双子を置いて、私達は約二週間お世話になった部屋へと向かう。
最初は二週間も……なんて思ったけれど、過ぎてしまえばあっという間だったように思う。いや、本当に色々あった。
ツルギ君に数え切れない程襲われるし、誘拐未遂事件に巻き込まれたり……いや、ここまではある種、ちょっとした非日常で片付けられる。しかし、仕事先でこの土地の女神様の秘密を知ってしまうし、新しい神様と知り合いになってしまうのは誰も思うまい。
極めつけは新たなギルドに入ることになるとは。いやぁ……色々ありすぎだ。
それにきっと、私に限った話でもなく、ティールやしーくんは私と違う経験を多くしたはずだ。
願わくば、この経験が私達の成長に繋がればいいのだけれど。
部屋には荷物をまとめておいたバッグがベッドの上に数個並べてある。それを各々が手にし、ぐるっと部屋を見渡す。
ここの部屋にもお世話になりました。初日、ティールがなかなかいい値段のする部屋だと言っていたので、二度と泊まれない可能性すらある。自宅に戻ったとき、物足りなさを感じないか不安になる。
思えば、今年の夏は贅沢している。この後はここ以上に豪華なティールの家に泊めてもらえるし、そこでもご飯とか普段やらなければならない家事等々、こちらが気にする必要がない。……いや、本当に普段の生活に戻れるのか? 約一ヶ月、家事らしいことやらないぞ、私!?
……まあ、その辺の心配は帰ってからしよ。この旅はまだ終わりではないのだし。
と、気持ちを切り替え、私はティールとしーくんの方を振り向く。
「よし、忘れ物はない?」
「うん! なーい!」
「大丈夫だよ」
よし、じゃあ行きますか!
お世話になった部屋とも別れを告げ、私達はツバサちゃん達の待つ、中庭へと戻った。

海の国へはルーメンさんの用意してくれた馬車で行くことになっていた。なんでも、海の国へ定期取引をするため、ギルドの人達や騎士団の人達も一緒に行くらしく、そのついでに私達も送ってくれるそうな。ちなみに、帰りもルーメンさんの計らいで用意してくれているとのこと。
至れり尽くせりだが、海の国へと取引がなくても、ツバサちゃん達の同行もあるし、元より送迎はするつもりだったのではと予想している。
「適当に移動手段考えなきゃいけないかなぁとか、最悪、家の人に迎えに来てもらおうかとも思ってたから、ありがたい話だったよ。ありがとう、ツバサ」
「いえいえ♪ 私達の方こそ、あちらではお世話になります!」
ツバサちゃん達が寝泊まりする場所は私達と同じく、ティールの実家……つまり、海の国の王宮である。ツバサちゃんの同行が決まった際、ティールがセイラさんに連絡して交渉した。いや、交渉したというか、「泊めてあげられるよね?」みたいな確認の連絡みたいだったけれど。
元々、あちらにはルーメンさん経由で話が通っていたので、その辺りの用意は問題ないらしい。
「気にしないで? ぼくらもここでたくさんお世話になったからね。あっちでは部屋は有り余ってるし、ご飯とかも気にしなくていいよ」
「はい。ありがとうございます♪」
「あ、おーい! こっちこっち~♪」
こちらに向かってぶんぶん手を振っているのはレオン君だ。その側には騎士団服のアラシ君もいて、更にはルーメンさん、アルドアーズさんの姿もあった。
となると、私達が最後か。
「ごめんなさい、お待たせしました」
「よいよい♪ こちらもたった今、荷物の確認や出発の準備を終えたところじゃ」
ルーメンさんの言葉に私は馬車をちらりと見る。スプランドゥールへ来た時とは別の馬車だが、こちらはこちらでなかなか立派である。
護衛兼合同訓練のためか、騎士団の人達もいて、それなりの団体での移動になりそうである。
「ラル達の準備ができとるなら、そろそろ出発するかのぉ?」
「そうですね。私は問題ないですが」
と、私はティールを見る。彼にはツルギ君がぎゅっと抱きついてしまっているのだ。
ティールは困ったように笑いながらも、ツルギ君の頭を優しく撫でる。
「じゃあね、ツルギ」
「ん……」
彼の言葉に頷きはするものの、離れる気配はない。しかし、このままでいるわけにもいかないと思ったのだろう。ツルギ君はそっとティールを見上げた。
「ねえ、ティール」
「ん?」
「また、遊びに来てくれる……?」
「あ~……そう、だな。……すぐには難しいけれど、いつかね」
「……そっか」
ギルドに加入するのは来年。したとしても、ここへ毎日通うわけでも、住み込みで働くわけでもない。現状、ここに来る予定は今後もないし、そう頻繁に会えるものではないだろう。それをツルギ君は理解しているから、しょぼんとしてしまっているのだ。
そんなツルギ君を見たティールは少しだけ考えるような表情を浮かべ、すぐに何かを思い付いたのかふっと笑う。
「そうだ。ぼくらの予定が合うなら、ツルギがあっちに来た時に会おうか。ツルギさえよければだけど」
「! ほんと!?」
「もちろん。それまでに何して遊びたいか考えておいてね」
「うんっ! わかった! 絶対だよ!」
「うん。約束する」
なんだ、この光景は。
私もツルギ君にあんな笑顔向けられたいんですけど。なんで、顔を会わせる度に決闘してたんだろ、私……?
「お~♪ ティールのやつ、ツルギにめっちゃ懐かれてんじゃーん? いいねぇ、微笑ましいねぇ?」
「それよりも、その隣でラルが恨めしいって顔してるのが気になるけどな、俺は」
「私だってそれなりのコミュニケーションしてきたつもりなのにー!」
「は? なんの話だよ」
くそぅ……まあ、人には相性ってもんはあるし、子狐がじゃれあってくるみたいであれはあれで楽しいからいいか。……そう思うことにする。
ティールとツルギ君が円満にお別れができたところで、私達は馬車に乗り込む。
が、ティールが馬車に足をかける直前、その足を止め、アルドアーズさんの方を振り返った。
「そう言えば、お祖父様は一緒に帰らないのですか?」
「ん? まあ、ちぃとやることがあるのさ。心配せずともいつか戻ると伝えておけ」
「いや、心配はしてないです。お祖父様が戻らないなら戻らないで、こちらは困りませんので」
「あぁ……なんと言うことだ。孫が冷たい」
「通常だよ、これが」
「ほっほっ♪ ティール、お主らを迎えに行く際、この阿呆は縛ってでも連れていくからの。ライトにはそう伝えておくれ♪」
「あ、はい……え、縛ってでも?」
「縛ってでも」
あの目は本気のような気がする。本気で縛ってでも連れていくつもりなんだろうな。朝練の生き埋め(?)や引き摺り回しの刑がいい例だ。
それを横で聞くアルドアーズさんは平然としていて、どう考えているかは私には分からなかった。それはティールも同じだったのか、何とも言えない表情を浮かべながら、馬車に乗り込んだ。
全員が馬車に乗り─アラシ君は騎士団のお仕事のためなのか、馬車には乗らず、外から護衛に回るらしい─、ツバサちゃんがひょこっと窓から顔を出し、ルーメンさん達に向かって大きく手を振った。
「じいじー! ツルギー! 行ってきまーす!」
「うむ♪ ラル、レオン、アラシ。ツバサのことを頼んだぞ~♪」
「うっす! まっかせてくださいよ~♪」
「じゃあ、ルー爺、行ってきます」
レオン君はいつも通りの笑顔を見せ、アラシ君は騎士としてなのか礼儀正しく会釈しながら答える。
ティール! 雫! またねー!」
「ツルギお兄ちゃん! ばいばーい!」
「……ラルさん、睨まないでくれませんか。怖いです」
元気いっぱいにお別れの挨拶をしてくれたツルギ君に手を振って応えていたティールが私をちらっと見て呟く。
「ツルギ君があからさまに私を見ないで、二人に挨拶してるのが羨ましいんだよ。嘘でもいいから何か言えって思うじゃん?」
「それ、ぼくに言わないで?」
分け隔てなく愛想よくした方が得するぞ、ツルギ君。まあ、私に媚売ったとして、得するかは分からないけれども。
私達を乗せた馬車は騎士団の人達に守られながら、たくさんの荷物を乗せた馬車を引き連れ、海の国へと出発したのだった。



~あとがき~
スプランドゥールの巻、終わった!!

次回、夏休み編の後編とも言える海の国の章に突入!
スプランドゥールよりは長くならないと誓います。えぇ、誓いますとも!

夏休み編スプランドゥールの章っていつからやってるんだろーと思い、確認しました。
夏休み編に突入したのが、171話(2020/7/17)でした。つまり、ほぼ二年かけてここまでやってきたってことですな。というか、レイ学話数の約半数はこのスプランドゥールの話では?? そうなると、最早、タイトル詐欺を疑いたくなるが!? 一体、いつになったら学校の話に戻れるんだ!(笑)

ではでは。