satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第329話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラル達は海の国へ向かうべく、スプランドゥールの街を旅立ちました。
海の国の登場人物達を登場させられるかは分かりませんが、その辺は追い追いとな。


《L side》
私達の乗る馬車には当たり前だが、私の他にもメンバーがいる。
ティール、しーくん、レオン君、ツバサちゃん、リラン(犬の姿)である。アラシ君は護衛のために騎竜と呼ばれるでっかいトカゲ(?)のような翼のない竜(?)のような、そんな移動動物に乗っている。私達の馬車と並走しながらなので、窓から私達と会話することは可能だ。
そして、馬車の中は見た目以上に広く、私達の座る席はゆったりできるようになのか、広々としたスペースが確保されていた。そして、なぜか小さい子が遊ぶようなスペースが設けられ、しーくん、ツバサちゃん、リランの二人と一匹はそこできゃっきゃっと楽しそうに遊んでいた。
馬車にそのようなスペースが必要なのか首を傾げたくなるが、まあ、しーくんが楽しそうならいいか。……うん。
そんなきゃっきゃっしている子供達を眺めつつ、私はレオンに今回の件の話を持ちかける。
「ルーメンさんから聞いてたけど、海の国ではレオン君がツバサちゃんの付き添い役なんだね?」
「おう♪ あっちじゃ、アラシのやつは騎士団の仕事がメインで、ツバサの護衛っつーか、付き添いができないからな~? まあ、俺だった理由としてはアリア達が別の仕事やら予定やらがあって、適任者が俺ってだけ♪」
レオン君曰く、アリアちゃんはギルドでのお仕事、シエル君とミユルちゃんは各々実家の手伝いがあるそうな。
「ボク、アリアお姉ちゃんにいろいろ、もーっとおしえてもらいたかったのにー」
私達の話を聞いていたらしいしーくんが残念そうにぷくっと膨れっ面を見せる。
そう焦らなくても夏休みが明ければ、簡単に会えそうな気もする。しかし、それはアリアちゃんの都合次第でもあるか。
「アリアちゃんの特訓があったからしーくんもレベルアップしたもんね~」
「うん! みんなでびしょびしょになったの!」
と、誇らしげに教えてくれる。
……それがよかったのかは謎なので、言及しないでおこうと思う。
「わふっ!」
「わわっ!?」
突然、リランがしーくんにすり寄っていく。単純に甘えたいからやっているのかと思ったが、ツバサちゃんがニッコリと笑い、リランの頭をそっと撫でた。
「リランが頑張ったね、だって♪」
「ほあ! リラン、ありがとー!」
「わふんっ♪」
どうやら、リランなりの労いだったようだ。いつもの構ってアピールとの違いが分からないけれども。
リランのすりすり行動からしーくんとツバサちゃんは再び、自分達の世界へと戻っていった。
それを見た私はレオン君に向かってちょいちょいっと手招きをし、近寄るように促した。彼は不思議そうにしつつも、こちらに近づいてくれ、耳を傾けてくれる。図らずとも、三人で内緒話をするような感じになり、自然と声も潜める。
「例の噂、皆も知ってるの?」
「あ~っと……俺とアラシは把握してるぞ。ティールのじいちゃんが原因でティールとツバサが婚約関係にあるってやつだろ? んでも、ツバサはそれを全く知らない」
「ぼくが言うのもあれだけど、中心人物であるツバサは何にも知らないの?」
「おう、なーんにも、な。ルー爺に言わせれば、ツバサには海の国の社交界に集中してほしい。だから、余計な情報は必要ないんだと。噂の沈静化のためにもそっちがいいだろって判断みたいだぜ?」
ふーん……確かに一理あるかも。
ツバサちゃんはよくも悪くも素直。嘘はつけないタイプの人間だ。そんなツバサちゃんに噂の情報が耳に入ったら、商品を宣伝云々どころではなるかるかもしれない。それに、ツバサちゃんに変な気遣いをさせたくないってのも理由にありそうだ。
「噂の件を聞いたときは面白そうなことになってんな~って思ったけどさ。ティールは見てて飽きないよな? 俺が戦場で死闘を繰り広げてる中、ティールはなーんかツルギにも懐かれてるし? そのせいでラルに嫉妬されてるし? 面白すぎだな、ティールは♪」
「いや、言ってる意味が分からないんだけど」
レオン君はニマニマと笑いながら、婚約者の話と合わせて、ツルギ君の件も突っ込む。言われた側のティールは若干、呆れたような何とも言えない目をしている。
ここからの話は子供達に聞かれても問題ないと判断し、私は盛大なため息を漏らしつつ、窓枠に頬杖をつきながらちらりと隣の相棒を見た。
「確かにティールが面白いし、見てて飽きないのは今更だけどさぁ~?」
「は? 何言ってるの、ラルは」
「ツルギ君の件はいまいち、納得できないんだよねぇ? こんなティールのどこがいいんだ、ツルギ君は」
「本当に何言ってんだ、君は。まさか、さっきの見送りで名前を呼ばれなかったの気にしてるの?」
「そんなことないですけど」
「嘘つけ。そんなことあるって顔してる」
ティールが私の好感度上げてくれないんだもん。そりゃ、不満にも思うでしょ」
仮に私がツルギ君にやさし~く話しかけても、ツルギ君の気持ちが変わらず、不機嫌になってしまうのは仕方ない。なら、他人から私の印象操作を図るしかないのだ。
「しようとしたさ。でも、ラルの話題を出しても露骨に嫌がるから、ぼくにはどうしようもないというか。……つまり、好感度上げるなんて無理なんだって」
「うっそだろ……? 無理ゲーってことぉ?」
「そこまで難易度上げたの、君自身ですけどね」
あのときはあぁ言うしかなかったんだもん! そうじゃなきゃ、被害が別ベクトルに向く可能性があったから! それなら、私にヘイト向けとけば一時的な凌ぎになると……それがここまで続くのは予想外だよ。くそ。なんたる執着心……と言っていいのか。
「にゃはは♪ 外野の俺としては滅茶苦茶面白かったけどな~♪」
他人を楽しませるエンターテイメントではないんだよ……これは。
……この話をこれ以上続けてしまうと悲しくなりそうだ。もうやめよう。
私は窓に目を向け、そこから景色を一瞥する。森の中なのか山道なのか青々とした木々が延々と続いていた。そして、騎士としての仕事(護衛)を全う中のアラシ君の姿もあった。
そんなアラシ君にも噂の話をしたくて、窓を開けて彼の名前を呼んでみた。すると、こちらを一瞬だけ見やり、すぐに前を向く。
「なんだ? 危ねぇからあんま顔出すなよ。今のところ危険は感じないが、何もないとは言いきれな─」
「いや、そんなことよりさぁ」
「あぁ!? そんなことより!?」
言われなくても、周りに危険がないのは知っている。こちとら、数多のダンジョンをクリアしてきたんだし、その辺の危機察知はお手のもんですわ。とはいえ、フォース君には劣るけどね。……いや、そんな話をしたいわけではなく。
「ねぇねぇ、アラシ君は噂を聞いてどう思ったの? ティールに嫉妬とかするの?」
「!?!?!?」
まさかこんな時に聞かれると思わなかったのか、明らかに動揺しまくるアラシ君。
ほお? この感覚は久々だな。面白い。
自分でも分かるくらいニヤニヤしながら、再度、アラシ君に問いかける。最初は無視しようとしていたのだろう。しかし、私があまりにもしつこく聞くものだから、耐えられなくなったらしい。騎士のアラシ君ではなく、いつものアラシ君の表情に戻り、キッと目を吊り上げる。
「だあぁぁ!! うるっさいな、お前! 別に嫉妬なんてしてねぇわ! デマだって分かりきってるのに嫉妬なんかする訳ねぇだろ!?」
「ほーん? じゃあ、デマを広げた原因のアルドアーズさんとか貴族様には? 根も葉もない噂で盛り上がってるのは貴族様だもの。その方々に怒りはない?」
「怒りって……あったとして、アルドアーズ様に怒れる訳ねぇだろ。あの方は国の重鎮だぞ?」
アルドアーズさんはそうだろうな。あんな素敵な性格してるけれど、ティール曰く、アルドアーズさんは国の偉い人らしいからね。
「じゃ、後者の方々は?」
「あ?」
「だから、見知らぬ貴族様方が面白おかしく、ティールとツバサちゃんの婚約云々の話を広めてるのが現状でしょ? それに対してイラついてないのかって話」
「そりゃあ、そいつらにはとうぜ……っ! その顔やめろ!!」
わはは♪ 今のは失言でしたねぇ?
つい話の流れで本音が漏れてしまったアラシ君。慌てて否定したところで、口をついて出た言葉は取り消せないのである。
「そうだよねそうだよね~♪ ツバサちゃんの騎士、Knight様としては、そんな不届き者は許せませんよなぁ? いいんじゃない? もっと怒りなよ~♪」
「うっせ! うっせ!! ニヤニヤすんな!」
「これはニヤニヤせずにいられませんって。よきかな♪ よきかな~♪」
「よくねぇぇぇ!! くそ! 窓閉めろ! 馬車で大人しく座ってろや!!」
顔真っ赤にしながら否定されても面白いだけなんだよなぁ。
「ったく、何してるのさ。ラルは」
「え、後輩いびり?」
「わあ……す、素直に言うね?」
えへへ~♪ 本当のことなので~♪



~あとがき~
忘れちゃってる方のために一言。
レオン君の言う戦場とは追試のことです。

次回、海の国到着。

アラシ君含む騎士団の方々が乗っているであろう騎竜。イメージはあれです。ファンタジーに出てくるようなおっきい乗れるタイプの爬虫類です。なんていうか、恐竜のパキケファロサウルスみたいな感じのやつです。あんな感じの見た目をしてて、人が一人乗れるくらいの大きさのやつみたいな?
多分、そんなんです。はい。そんなんだったはず。

ではでは。