satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第336話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとブライトが対面で話すところをお見せしました。今回もその続きじゃい。


《Te side》
「だから──」
父上が先の言葉を紡ごうとした瞬間、この部屋の扉をノックする音が辺りに響いた。その音にぼくは椅子から立ち上がり、父上の様子を窺えば、じっと扉を見て、微動だにしていなかった。
タイミング悪いな……とか思っていたりすんだろうか。顔や態度には全く出てないのだが。
「……誰だ」
「私で~す♪」
……母上?
父上が入れと言う前に扉を開け、顔を覗かせてきたのは紛れもなく、ぼくの母だった。にこっと笑い、ひらひらと手を振っている。
「あなたにお願いがあってきました」
「今でないと駄目か」
「すぐすみますわ♪ ラルちゃん達が海に行きたいと言っているので、例の場所、立ち入りの許可が欲しいのです」
海? ラル達、この後海に行くつもりなのか。なんとも突発的な……まあ、ここまでの移動は馬車に揺られていただけだし、夕食前の暇潰しのつもりなのだろう。
海……国が所有し、王である父上の許可のいる場所……例の海底遺跡付近の海か? いや、なんであれ、いきなり許可をくれと言われて、ほいっとどうにかなることでもないだろう。
「沖合いまで行かないのであれば」
「さっすが、ブライト。話がはや~い♪」
「そんなあっさりいいんですか!?」
そりゃ、海底遺跡に近付かなければ危険はないだろうが、だからと言ってそんな軽々と決めていい件か!?
「ラルさんがいるなら問題はないだろう。彼女のことはある程度信用しているからな。それに、お前も行くんだろう」
「……ぼくも?」
いや、全く聞いてないけど。そんな話になってるの、あっちは。
「仕事が絡むと察しが良いですね、ブライトは。あなたのお察しの通り、私がティールも一緒にと言ってあります♪ そちらの方が許可も取りやすいかなぁと思いまして」
「お前はよくもまあ、そんな悪知恵を働かせるものだ」
「うふふ♪ あなたの妻ですもの~♪」
「どういう意味だ」
そんな父上の問いには笑顔のみを返し、母上は再びひらひらと手を振った。
「私の話はこれだけです。後はごゆっくりどうぞ~♪ 二人の話が終わる頃にラルちゃん達も準備を終えるでしょうし、そうでなくても私が皆さんとお話ししてるのでお気になさらず。思う存分、お話ししてくださいな♪」
そう言い残し、母上は扉を閉めてしまう。
いつものことながら、勝手に決めてったな……
「セイラの強引さは変わらずだが……あれでラルさんに迷惑をかけてなければいいのだが」
多分、ぼくと別れた後はいつものように着せ替え人形させられてたと思う。今回はツバサやレオンもいるし、ラルにだけ集中して~……ってことはなさそうだけれども。
「後でぼくから謝罪しておきます」
「うむ。私も機会を見て伝えておこう。……さて、話が途中だったな」
そうだった。母上の乱入で忘れそうになっていたけれど、父上は何かを言いかけていた。ラル達には悪いが、母上の言う通り、話を終えてから合流させてもらおう。
父上がこほんと咳払いをし、口を開こうとした瞬間、再び部屋の扉がノックされる。父上が入室を促すと、身なりの整った父上の部下らしき男性が入ってきた。手には複数の資料のようなものを抱え、申し訳なさそうにペコリと頭を下げる。
「次から次へと……今度はなんだ」
「お、お話し中、申し訳ありません! 陛下にお伝えしなければならないことが……」
「それは急を要するものか?」
「恐れながら……はい」
「分かった。少し待て」
「畏まりました」
部下の男性から目を逸らし、ぼくを見る。
「すまない、ティール。どうやらここまでのようだ。……明日の夜、ここへ来なさい」
「……はい?」
「残念ながら、今日はもう時間が取れそうにないらしい」
と、ちらりと部下の方を見る。急用がどれだけ時間がかかるか分からないし、その後も予定があるのだろう。元々、父上は多忙な人だ。むしろ、今日この時間をここまで長く取っているだけでも驚きなのだ。
「先程の話を聞き、私もお前に伝えたいことがある。明日の夕食後、気が向いた時にでも来てくれたらいい。……私はいつでも待っているから」
そう告げた父上はほんの少し、口角を上げた。気を付けて見ないと分からないくらいの微々たる変化だった。
きっと、昔だったら気付きもしなかった。
「はい。……失礼します」
ぼくは父と部下の人に頭を下げ、執務室を出る。そして、執務室から少し離れた曲がり角を曲がったところで、壁に背を預け、ずるずるとしゃがみこんだ。
「はぁぁぁ~……緊張したぁ……」
業務連絡みたいな淡々とした会話ではない……ぼくの本音に触れるような会話を父上相手にする日が来るなんて、思ってもみなかった。とはいえ、始めこそ、口から心臓が飛び出るかと思うくらい緊張していたけれど、途中からは思いの外、普通に話せていたように思う。
二人きりの状況であそこまで会話が続いたのはいつぶりなのだろう。……もしかしたら、お祖母様が生きていた頃以来かもしれない。そうだとしたら、十年以上も前になってしまうけれど……それくらい、父上と長く話す機会なんてなかった気がする。
ぼくから話したいなんて言わなかったし、そんなぼくを見た父上も不用意に近付かない方がいいと思っていたみたいだし、当然と言えば当然だ。互いに話そうと思ってなかったのだから。
しかし、今日は違う。
「父上が話したいって言ってくれた……誤解が解けたから……かな。そうだとしたら、父上はずっとぼくと話したいって思ってくれてた……ってのは、自惚れすぎか」
単純に話が中途半端に終わってしまったから、改めてきちんと話したいだけかもしれない。伝えたいこともあると言っていたし、それも関係するのだろう。結局、何なのか分からずじまいになってしまったから。
「というか、今日はなんであそこまで話してくれたんだろ? ぼくの方は向き合うぞ~とは思ってたけど、父上はそんなこと知るはずもないよな」
大体、話題を振ってくれたのは意気込んでいたぼくではなく、父上だった。最近どうだ的な雑なパスは今までにもあるけど、今日はそういうのでもなかったし。……となると、前もって母上辺りに入れ知恵されてたとかだろうか。それならまあ、分からなくもないが。
「……ま、いつまでも考えてても仕方ないか。ラルと合流しなきゃ。……スイ、いる?」
『いるよー! いつでもどこでもすっちゃはいるぞー!』
それはかなり鬱陶しいな。
呼び掛けに応じてくれたスイは液体の状態でふよふよと宙に浮いていた。
王宮にいるときのスイとセツは、決められた保管室に置く決まりになっている。とはいえ、二人ともとても自由なので、大人しくそこにいてくれない方が多いが。
『てぃー、どーかしたー?』
「うん。ラルってどこにいるかな」
『るー? せいちゃのおへやだよ~! およーふく、たーくさんの!』
母上のか。ってことはまだ母上に捕まってる可能性が高い? それは……その、御愁傷様です。
「えーっと……スイ、ラルのところへ行って、五分後に合流できるって伝えに行ってくれる?」
『あいあい! るーとあそぶの?』
「皆と海に行くって話になってるらしくて、そこにぼくも含まれてるんだって」
『うーみ! すいちゃもいく!!』
「まあ、スイだけなら」
元々、聖剣は王が持つ決まりとなっている。今はぼくが修行中且つ、父上の計らいで、スイとセツを好きに使っているのだ。しかし、王宮に帰ってきている今、本来の所有者の父上の手元にあるのが正しい。つまり、保管室で大人しく保管されてるのが正しいあり方である。……けど、こいつらはとても自由人なので、その辺は曖昧というか、守られてない方が多いけれど。
とまあ、そんな理由で、勝手に二人とも持ち出すのは気が引けるって訳だ。もちろん、父上は気にしないだろうし、持ち出しても問題ないって言うと思うけど。一人置いとけば、何かあっても王の身は守れる。そして、スイとセツなら、セツの方が父上との相性がいいらしいので、セツがお留守番ってことになる。
……うん。ごちゃごちゃ述べたけれど、結局のところ、ぼくが二人揃うとウザったく思ってしまうので、嫌ってだけですが。
『わーい! せっちゃにじまんするー!』
やめて。修羅場になる。
あいつにバレた日には『なんでせっちゃ、おるすばんなのー!』って言われる。絶対。いつかのしりとり対決みたいになる!!
「スイ、セツに内緒にできないんなら置いてく」
『やだ!! ないしょする!!!』
「ふーん? 約束できる?」
『あい! てぃー、やくそく、する!』
「よろしい。じゃあ、ラルんところへ行ってきて、さっきの言葉を伝えてくれる?」
『まっかせろー!』
やる気満々─というか、遊ぶ気満々─のスイはぴゅーっと飛んでいってしまった。あの調子なら、数秒後にはラルに伝言してるかもしれない。
さて、ぼくはぼくで準備しないと。とりあえず、着替えないとな。



~あとがき~
話が途中で途切れるのなんてお約束ってやつよ!

次回、海だぁぁぁぁ!!!!
夏らしいテーマだけど、時間経過考えると、海で遊べるの夕方なんだよな(笑)

突然ですが、スイとセツの相性の話!
ティールはどちらも同じくらいに扱いますが、強いて言うなら、スイの方が使用頻度は高いです。
対するブライトは断然、セツの方が高く、アルドアーズは気分で変わるタイプ。なんなら、スイセツよりも白雪を好むヤツです。
そもそも、この三人、同じ武器を使うにしても戦闘スタイルが違うんよね。
ティールは二刀流。
ブライトは今も昔も剣士。一本の剣でバシバシいけちゃう凄腕剣士さん。
アルドアーズは大剣使い。(今は知らん←)
同じ家で産まれて、同じ環境(?)、同じように学んでるはずなんだけど……こうも変わるんだなぁと。
純粋に師にしていた相手、適性等々が違うんでしょう。
ちなみに、三人以外で使用してるのは、作中だとラルだけですかね。彼女もどっちも扱えるけど、スイを好んで使います。理由は普段から持ってる魔力石が水属性だからです。
……え? なんでこんな話してるかって? ティールとブライトの話は後日やるから、語れないだけだよ!!

ではでは。