satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第337話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとブライトの話が途中で終わっちゃいました。また明日ってことになってます。
つーことで、ちょっとした空き時間に海行くぞー! 夏っぽいぞー!!
ラル「スプランドゥールの夏祭りあったやん」
レオン「花火もあったしな!」
ティール「そっちの方が夏だった気が。今回、泳いだりする訳じゃないよね?」
うるせー!! 海も夏だー!!
ラル「強引が過ぎる」


《L side》
服装を元に戻し、セイラさんの帰りを待つ間、アンジュさんの用意してくれたお茶を嗜んでいた。
ちなみに、アンジュさんとメアリーさんは部屋に保管されている様々な衣装の話で大盛り上がりしていた。いや、主に大盛り上がりしているのはメアリーさんで、アンジュさんが一つ一つ丁寧に説明しているだけなのだが。
「この装飾はとても繊細で見惚れてしまいます……! このレース、綺麗ですね~♪」
「丁寧に刺繍されたそのレースは先程のドレスにも用いられていますよ。そのようなデザインをセイラ様が好まれていた頃のものですから、あちらの袖口にも似たようなものが」
「はわぁ~! 勉強になります!」
細かなところまで観察し、質問していくメアリーさんも流石なのだが、それ全てに解答していくアンジュさんも流石である。
そんな様子を見ていたツバサちゃんがリランを撫でながら、こてんと首を傾げる。
「アンジュさんも服作り、好きなんですか?」
「うんにゃ? アンジュさんはセイラさんが好きなだけ。セイラさんが楽しそうに話してくれてたから、それを覚えてるんだと思うよ」
確か、それを教えてくれたのはゼニスさんだったか。「セイラ様の側付きであるアンジュはセイラ様のことなら何でも知っている」と。なぜそのような話になったかまでは覚えてないけれど、私が純粋にアンジュさんのことを質問した時だった気がする。
「たっだいま~♪」
と、許可取りしに行っていたセイラさんが帰ってきた。
満面の笑みで「許可貰いました!」と言わんばかりの笑顔である。
「その様子だと、問題なかったみたいですね」
「はい♪ 沖合いには行かない約束で」
時間も時間だし、水着なんてものも持ち合わせていない。元々、泳ぐつもりなんて全くないし、問題なさそうだ。
ティールもその場にいたので、行ってきなさいと伝えてありますよ。とは言え、まだ二人でお話ししてるみたいなので、もう少し私とお話ししましょう♪」
お話ししましょう=お着替えしてもらっていいですか、では……?
そんなの嫌なんだけど。
「お話ししたいのは山々ですが、海に行くのなら軽く準備しないと」
「あ、その辺は大丈夫ですよ。ラルちゃん達はその身一つで行けるよう、こちらで全て手配しますから♪」
あぁ……用意がいい。流石、セイラさん……こういう時は用意周到だ。
ティールのママ、すごいんだねー?」
「あらあら。そんなことはありませんよ♪ ラルちゃん達はお客様ですもの。お客様をおもてなしするのは、家主としては当然のこと。……まあ、ここの家主はブライトなんでしょうけれど」
ティールのパパ」
「はい。今はブライトが忙しそうなので私が代わりにやってるだけ。というか、ブライトにおもてなしの心があるかも不明ですが。……ところで、雫くん」
「うゆ?」
ティールのママとか、ティールのパパとか、長くありません?」
……セイラさんが何を言いたいのか、なんとなく分かった気がする。
しかし、肝心の本人は何度か首を傾げる。
ツバサちゃんとレオン君も不思議そうに行く末を見守る中、しーくんは「ながくはないけど」と答え始める。
「わかんなくなるかも? ティールがいっぱいなんだもん」
本人を呼ぶ時はもちろん、セイラさんやブライトさんを名指しする時も「ティール」をつけていればそう感じてしまうのも不思議ではないか。
「なら、私のことはおばあちゃんでいいですよ。ブライトはおじいちゃんですね~♪」
「ほあ。でも、ティールのママ、ルーメンおじいちゃんやアズおじいちゃんみたいじゃないよ?」
「いいんです。だって、雫くんはティールをパパって呼ぶのでしょう?」
「うん。よぶときある」
「パパのママはおばあちゃんで、パパのパパはおじいちゃんなんですよ。だから、間違いじゃないんです」
「おあ。そーなの?」
「はい。ですから、遠慮せずに呼んでいいですからね~♪」
「分かった! おばあちゃん!」
「きゃー! なんか感激です!! もっと言って~♪」
理屈としては間違ってないとは思うが、セイラさんは『おばあちゃん』なんて年ではないように思う。本当にそれでいいんだろうか。
いや、確かにティールはしーくんのパパ代わりだけども。その理屈でいけば、セイラさんやブライトさんはしーくんの祖父母になるけども。
「セイラさん、とっても嬉しそう~♪」
「あれじゃん? 初孫みたいな?」
随分と早い初孫だこと……
この場にティールがいたら、あのセイラさんをどうにかこうにか止めに入るんだろうが……私にはそれはできそうにないので、そのままにしておく。
『るー!』
「……? スイちゃん?」
いつ、どこから入ってきたのか、気がつけば私の頭上にふよふよと浮かぶ謎の液体──ティールの相棒の一人、スイちゃんがいた。
『てぃー、ごふんご、ごーりゅーするっていってこいってー! だから、きた!』
「ふぅん……ブライトさんとの話、終わったのかな」
『わかんないけど、ごーりゅーするって』
まあ、そうか。スイちゃんは二人の会話を聞いているはずもない。しかし、合流すると言うのなら、少なくともきりのいいところまでは終わっているのだろう。
「んじゃ、正面で……いいんですよね、セイラさん?」
「はい♪ ちゃあんと準備してますよ~♪」
「ってことだから、ティールには正面玄関っていうの? そこで待ってるって伝えてくれる?」
『あいあいっ! しょーめん!』
スイちゃんはくるりと旋回し、跡形もなく消えてしまう。扉の僅かな隙間から出入りしているのかと思っていたけれど、瞬間移動みたいな感じで出入りしていたらしい。
本当に神出鬼没である。
「口挟む暇なかったけど……スイって確か、ティールの剣の?」
「そそ。ティールに伝言頼まれてたみたい。……じゃ、準備はいいですか~? 行きますよ~?」
「はーい!」
「あんあんっ!!」
「いつでもいける!!」
よっしゃ、行きますかね~

ほんのりオレンジに変わり始めた空。
そんなオレンジを映し出す海面は宝石のようにキラキラと輝いていた。
周りには私達以外おらず、貸切状態。
そんな国所有の海岸に私達はやってきた。
「「「──うーみだー!」」」
レオン君、ツバサちゃん、しーくんの三人は仲良く声を揃えて目の前の海原に向かい、大声で叫ぶ。それに呼応するようにリランも元気よく一鳴きした。
三人と一匹はそのまま波打ち際まで走り出し、楽しそうに遊び始める。
「まさか、魔道具で移動するとは……私、馬車か何かで行くもんだと思ってたよ」
「うん。ぼくも」
セイラさん……と言うか、セイラさんに頼まれたのだろうメイドさんに荷物一式持たされ、最後に手渡されたのは移動系の魔道具だった。
その魔道具には特定の場所を記録してあり、一瞬でその地へと飛ぶことができるらしい。ちなみに、帰りも同じものを使えば一瞬で帰ってこれるとのこと。
「これもルーメンさんのところのものだったりして」
「そうなんじゃない? なんかもうここまでくると、お得意様なんだろうな。ぼくん家」
『明けの明星』は一生潰れんわ。絶対。
私は持たされた鞄の中からレジャーシートを取り出して、適当なところに敷く。そして、シートの上に鞄を置き、自分も腰を下ろした。
「あれ。ラルは遊ばないの?」
「あの中に混ざったら最後、ずぶ濡れになるでしょ。嫌よ、そんなの」
全員、服を着たままなので、今のところは足を海につけ、バシャバシャと遊んでいるだけだ。しかし、あそこにはお転婆リランがいるので、ヒートアップすれば確実に全身濡れてしまうだろう。今のところは大丈夫そうだけれど。
ティールも私と似たような思考に落ち着いたのか、小さく笑いながら、「確かに」と頷く。そして、私の隣に座った。
「いつものティールなんだね」
髪や服を普段のティール─こっちに来た時のもの─に戻していた。外で遊ぶ(?)のなら、そちらの方が都合はいいだろうけれど、髪型まで元に戻す必要があったのだろうか。
「外だから。王子である必要もない」
「どうせ、一、二時間後にはあっち戻るのに?」
「こっちの方が楽なの。……それとも、ラルはあっちがよかった?」
「うん? うーん……? どっちでもティールはティールだし、好き嫌いないけど。……まあ、今の方が見慣れてるから落ち着くかな」
「そっか」
……え、何。この会話……この空気。
別になんてことない会話なのだが、どことなくむず痒いんだが。なんでだ!?
「そういえば、ラル」
「うん?」
「母上に何かされてない? ごめんね、強引で」
「あぁ……大丈夫。前回よりはされてないから。今回はほら、レオン君やツバサちゃんもいたし。セラフィーヌさんの話もしてたから」
そう考えれば、今回は比較的ましだったと思う。前回はフリル地獄だったし。
ティールこそ、ちゃんとブライトさんと話せたの?」
「まあ……一応。途中で終わっちゃったから、気のすむまで本心を語れてはないけどね。……けど、少しだけ話せた」
それは何より。
口下手なブライトさんと奥手なティールがどんな風に話したのか気になるけれど……その辺はティールが頑張ったのだろう。
と、思ったら、ティールは言いにくそうに宙を仰いだ後、苦笑いを浮かべながら口を開いた。
「実は……父上が話を振ってきて」
「ブライトさんから?」
「うん。なんでだろうね。普段なら、あそこまで深く聞いてこないはずなのに、あっちでルーメンさんと何を話したのかとか、それを聞いてどう思ったんだとか……そういうの聞いてきた」
ふむ。ブライトさんがねぇ……?
申し訳ないが、ブライトさんはそれらを思っていても口にすることはない。私の知る限り、ティールと会話を交わそうとしていなかったし、したとしても、事務的で淡々としたやり取りのみだったからだ。
となると、誰かしら間に入っているな。
「母上に何か言われたのかな、そういう話をしなさいって」
「あり得なくはないけど……多分、ルーメンさんの方じゃない?」
直近でルーメンさんはティールと話をたくさんしていたし、ブライトさんとも今回の滞在等々の件で何かしら話す機会はあったはずだ。その中でブライトさんにティールとの会話を促されたのではないだろうか。
「ぶっちゃけ、セイラさんには過去に何度も催促されてると思うんだよね。でも、現状は変わっていない。……だとすれば、別の人物が介入している可能性が濃厚だと思う。なら、そういうことできるの、ルーメンさんだけじゃないかな」
「……そういえば、ルーメンさんにぼくと父上の関係に首突っ込むぞって宣言されてた」
「じゃ、確定。ルーメンさんの仕業です」
「仕業って……いや、間違ってないけども」
とことん、お世話好きというか、策略好きというか。いや、私も人のことは言えないが。
ティールとブライトさんの場合、お互いに嫌悪しているわけではないし、よくなることはあれど、これ以上拗れることはないだろう。少なくとも、ティールが前向きになれている間は、だが。
「明日……明日の夜、また話すことになってる。父上が話したいことがあるって」
「そっか。……大丈夫そう?」
「うん。大丈夫……だと、思う」
そう話すティールの瞳は不安で揺れているように見えた。まだ心のどこかで、ブライトさんを信じきれていないのだろう。
仕方ないのかもしれない。
何年も関り合いを避けてきたのだ。それが、今日明日でぽんっと変わることではない。何事にも整理する時間は必要だし、順応するにも時間はかかる。
けれど、ほんの少しでも背中を押せるのなら。
俯き気味なティールを覗き込むようにして、柔らかく微笑んだ。
「だーいじょぶ! ブライトさんは嘘をつく人じゃない。ティールも知ってるでしょ? どこまでも誠実な人だってさ」
「……うん」
「そんな人が明日、話すって約束したんだ。ティールにその気があるなら、ブライトさんはきちんと応える。……ティールもそうだもん。相棒の私が言うんだから、間違いありません。信じろ、私を」
「……なんか、適当すぎない?」
「そんなことないよ。……なぁに? もしかして、私の言うこと、信じられない?」
「そうじゃないけど」
「なら、大丈夫。……前から言ってるけどさ。私はいつだってティールの味方だよ」
私は立ち上がり、彼の正面に立つ。
他人の私が言える範囲なんて底が知れている。もしかしたら、私が何を言っても気持ちは晴れないかもしれない。
しかし、言葉にして伝えるだけでもほんの少し力になれるのなら。何度だって同じ言葉を紡ぐ。例え、平々凡々な言葉だとしても。
「……何かあったら、一緒に解決策探すよ。一人で悩む必要なんてない……でしょ?」
「……うん。ありがと、ラル」
「いえいえ」
まだどこか堅いけれど、いつもの笑顔を見せてくれた。
せっかく海に来ているのだ。ずっと沈んだ気持ちのままなのも勿体ないもんね。



~あとがき~
海で遊べなかった……(笑)

次回、今度こそ、海で遊ぶ。

なんか雑なのはこの辺がきちっと計画を立ててないからです。『海で遊ぶ』くらいのテーマしかない(笑)

ではでは。