satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第339話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどたばたしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
海の国、滞在二日目になります!
ほのぼの日常が待ってるぞい☆
ラル「いやいや。そんなゆるゆる日常待ってるわけないよねぇ?」
……お楽しみに!!
ラル「逃げた」


《L side》
海の国滞在、二日目。
昨日はティールの両親でもあり、国の王、王妃のブライトさんとセイラさんに挨拶したり、セイラさんになんか弄ばれたり(?)、なぜか海に行って遊びまくったりしました。
海から帰ってきたら、準備されていたお風呂に入り、豪華な夕食、豪華なお部屋を堪能させてもらった。
ツバサちゃん、レオン君、私としーくん……それぞれの部屋が用意されていたのだが、なんというか……連日、あんな豪華なお部屋にいてもいいんだろうかと思ってしまう。
客間なのだろうが、ベッドは滅茶苦茶大きいし、ふかふかだし、ソファやテーブルもなんか高そうなのは分かるし……
「数年前にも泊まったけど、物を壊さないかヒヤヒヤするなぁ」
見るからに高価な家具や装飾品の数々。ルーメンさんに用意された部屋も普段なら泊まるようなところではないのだが、ここはその比ではない。
ルーメンさんのところはホテル。不特定多数人数が泊まる前提の部屋だし、それが商売である。しかし、ここはそうではない。
なんというか、装飾品から貴族の部屋だなーと思うのだ。場違い感が否めないと言うか。
……と、どうでもいいあれこれを考えていると、私の隣を歩くしーくんが不思議そうに見上げてきた。
「ラル、どーかしたの?」
「んー? なんでもないよ~? それよりも、しーくんはよく眠れたかな~?」
「うん! ベッドがふかふかでね、よくねた!」
なんせ、昨日は布団に潜った瞬間、ぬいぐるみを抱っこしてすぐ寝息を立てていたのだ。移動疲れもあるだろうが、海で大はしゃぎで遊んだのも大きいのだろう。
ティールはもうきてるかなー?」
「さあ……どうだろ?」
朝食は各部屋に運ばれてくるのかと思っていたのだが、何の配慮か「皆で食べましょ」とセイラさんの提案で食堂にお招きされている。本来、王族の人と共に食卓を囲むのはあまりよくなさそうな気もするのだが……その辺はセイラさんの拘りなのかもしれない。
ということで、食堂前でティールと待ち合わせしているのだ。しているが、超絶朝に弱いティールだ。時間通りに来ているか怪しいところである。
「いたー! ティール!」
「え、いるの!? あの寝坊助が!?」
食堂前の扉の近くで見知った人影を見つけたしーくんが一直線に駆け寄っていく。私も遅れてそちらへ近寄れば、しーくんの言う通り、ティールだった。
「おはよう、ラル。……何か聞こえた気がしたけど、気のせいかな?」
「え~? 気のせいじゃない?」
地獄耳か、お前。
ティール、ちゃんとおきれたのー? えらいねー?」
「ありがとう、雫。今日は時間ぴったりにベルトが起こしに来たから。……あいつ、朝から滅茶苦茶うるさくて、寝てらんないよ」
私でもティールを起こすのに苦労するのに、アルベルトさんは凄いな。流石、ティールの従者さん。
しかし、ティールから若干疲れの色が窺える。なので、アルベルトさん絡みで朝から何かあったんだろうなぁとは思う。となれば、おちおち寝ていられないってやつだったのだろう。仮にそうなら、御愁傷様です。
朝の挨拶もこの辺りで切り上げ、私達は扉を開けて、中へ入る。そこには朝からにこやかな笑顔を浮かべるセイラさんが席に座っていた。
「ラルちゃん、雫君、ティール。おはようございます♪」
「おはようございます、セイラさん」
「おばあちゃん! おはよーございますっ!」
「おはようございます、母上」
「……ふふっ♪ いやだわぁ、ティールったらぁ」
どうやら、「母上」ではなく、「母さん」をご所望のようです。……しかし、ティールはセイラさんの視線を気にせず、慣れた様子で席に座る。ガン無視するつもりなのだろうか。
「んもう、つれないですねぇ? まあ、いいでしょう。……さあ、ラルちゃん、雫君も座ってくださいな」
「あ、はい。……あの、セイラさん。ツバサちゃん達は?」
この場にブライトさんがいないのは想定内だ。前に泊まらせてもらったときもそうだったから、恐らく、今回も仕事しながら食事をしているのだろう。しかし、ツバサちゃんとレオン君がいないのはおかしな話だ。
まさか、私としーくんだけしか招かれていない……なんてあるはずもない。騎士団の一員であるアラシ君はともかく、ツバサちゃんとレオン君はセイラさんが誘っているはずなのに。
「ん~……実はツバサちゃんのメイドさん……メアリーさんから、ツバサちゃんが風邪を引いてしまったとお知らせがありまして」
「ツバサが風邪?」
「えぇ。聞くところによれば、そこまで酷い様子でもないようなので、一日安静にしていれば問題ないと。……その関係もあり、二人は部屋で食事をすると聞いています」
メアリーさん曰く、旅疲れと海でずぶ濡れになったのが原因ではと話していたらしい。
「ツバサお姉ちゃん、だいじょーぶ?」
「きちんと寝ていれば大丈夫ですよ。雫君がお見舞いに行ってあげたら、ツバサちゃんも少し元気になるかもしれないし、行ってあげてくださいな」
「ん! いく! ね、ラル、ティール。いってもいーい?」
「そうだな。この後、一緒に行こう。……で、いいよね、ラル?」
「……そうね。しーくんの元気パワーあげに行こっか。けど、迷惑にならないように大人しくね?」
「うんっ!」
程よいところで話が終わると、タイミングよく朝食が運ばれてきた。各々が好きなように食べ進め始める。
……風邪、か。昨日、なんとなく過ったそれは、今日なのか。
セイラさんの話し通り、一日で治る風邪なら、それが起こるのは今日しかない。
その事実にどこか苦しいと感じるものの、その些細な変化を悟られるわけにはいかない。
私は自身の感情を流し込むようにグラスの水を飲み干し、それについて考えることをやめた。

朝食を済ませた後、セイラさんと別れた私達はそのままの足でツバサちゃんの部屋へと向かった。
しーくんはツバサちゃんが心配なのだろう。頻りに「だいじょーぶかな」と呟いていた。その度にティールが「大丈夫」と頭を撫でて安心させている。
「母上……おばあちゃんも言ってたろ? 一日寝てれば、よくなるって。だから大丈夫」
……こんな時にあれなのですが。
「おばあちゃん呼び、受け入れたんだ?」
「ぼく的には微妙な気持ちではあるけどね。でも、母上がいいって言うし……雫を家族として受け入れてくれるんなら、いいかなって。言い方は変だけど、ぼくやラルに何かあっても守ってくれる家族がいるなら、安心できるだろ?」
それはそうかもしれない。
セイラさんがそこまで考えて、おばあちゃん呼びをさせているのかは分からない。しかし、少なくとも、しーくんとティールの関係を受け入れてくれているのだとは思う。
「過保護でお節介なところはあるけど、母上はいつだってぼくらの味方になってくれるからさ」
「そうだね。実体験だもんね」
「……うるさいよ」
照れんな照れんな。
そんな他愛ない話をしつつ、ツバサちゃんの部屋まで来ると、扉の前なのに中が騒がしいのがなんとなく伝わってくる。中で病人が寝ているはずなのだが、なぜこうもバタバタしているのだろう。
ティールと首を傾げつつも、とりあえず扉をノックしてみる。すると、すぐに扉が開けられた。
「あら? ラル様、ティール様……それに雫様も。……もしかして、お嬢様のお見舞いへ?」
この後使う予定なのか、使った後なのか、額に乗せるための氷嚢を片手にメアリーさんが出迎えてくれた。
私達はペコッと頭を下げ、控え目に挨拶を交わす。
「おはようございます、メアリーさん。その、もしかしなくても、です。ツバサちゃん、どうですか?」
「まあ……わざわざありがとうございます♪……先程、処方されたお薬のおかげか、熱が下がり始めたようで、落ち着いてきたところです。少しであれば、お話しもできるかと思いますので、よろしければ」
メアリーさんに促され、私達はそろそろっと部屋へと入る。
ベッドにはツバサちゃんが半身を起こし、お粥らしきものをゆっくり食べていた。その近くにはドラゴン姿でそわそわしているリランと、どこかに電話中のレオン君の姿があった。
ティール様、申し訳ありません。客人という立場でありながら、王宮の皆様にはご迷惑をおかけしまして……」
「あぁ、いえ。病気はどうしようもないですよ。むしろ、何かあれば遠慮なく頼ってください。力になりますから」
「恐れ入ります」
「ほあ~……? ラルさん、ティールさん……? あれ、しーくんもいる……? おはようございます~」
静かにお粥を食べていたツバサちゃんがこちらに気づき、ふわふわしつつも、手を振ってきた。そんなツバサちゃんの言葉にリランとレオン君も私達に気付いたらしく、挨拶代わりにリランは尻尾を振り、レオン君は片手を上げた。
「おはよう、ツバサちゃん。体調はどう?」
「はい。王宮のお医者様がくれたお薬でだいぶ、楽になりました~……ティールさん、ごめんなさい。ご迷惑をおかけして」
「メアリーさんにも言ったけど、気にしないで。何かあればぼくでも使用人でもいいから、何でも言ってね」
「何から何まで……ありがとうございます……っ、けほっ」
「はわ! ツバサお姉ちゃん、だいじょーぶ?」
しーくんがツバサちゃんの側まで駆け寄り、心配そうに見上げる。そんなしーくんにツバサちゃんも心配をかけまいと気丈に微笑む。
「だいじょぶだよ~♪ これくらいの風邪、寝てれば治るからね~」
「ほんと……?」
「うん。ほんとほんと」
そうは言われても、完全に不安が抜けきらないようで、じっとツバサちゃんを見上げたままだ。そんなしーくんにリランも「大丈夫」と言わんばかりにすりすりと顔を寄せていく。
「そう言えば、レオン君はどこに連絡を?」
「ルーメン様です。明けの明星で製作されている即効性のある解熱剤の手配をお願いしているんですよ」
流石、明けの明星。なんでもあるらしい。
私が明けの明星の商売範囲の手広さに震えていると、ティールが「そろそろ行こうか」と問いかけてきた。
「これ以上の長居はツバサの体に障るだろ?」
「……え、あ、うん。そう、だね」
帰るの? このまま?
例の事件が起こると思っていたのだが……あれ。今日じゃ、ない?
若干、混乱気味な私をよそに、ティールはツバサちゃんの近くにいるしーくんにも呼び掛けた。
「雫、帰るよ」
「ん! ばいばい、ツバサお姉ちゃん」
しーくんがこちらへ戻ってきて、ティールが部屋の扉を開く。このまま退出の流れかと思ったのだが、ふとその動きが止まり、「ちょっと待ってて」と言い残して、ティールが部屋へと戻っていく。
「伝え忘れてた。ツバサ、メアリーさん」
……あぁ、やっぱり今日だ。
それを悟った瞬間、ティールの腕を掴みそうになる。アルフォースさんの話を聞いて、覚悟を決めたはずなのに。行って欲しくないと思う私がいる。
この期に及んで……往生際が悪い。嫌になるな。
ティールはツバサちゃんのベッド近くまで歩み寄り、その横にあるチェストの引き出しを開ける。
「ここのベッド横のサイドチェストに呼び鈴があるので、何かあればこれを鳴らしてください。誰かしら来るようになってますので」
「ん……ふえ……へぁ……」
「? ツバサ?」
「──ふぇっっっくしゅんっ!!!」
「っ!?」
ツバサちゃんの体がの周りが一瞬、淡く光ったかと思うと、何かが爆発したかのように白い煙が辺りを包み込んだ。
「……ティール」
「わわっ! ティール! ツバサお姉ちゃん!」
「お嬢様!」
「んえ!? 何、なんだぁ!?」
突然現れた煙にこの場にいる全員──否、私以外が驚いたように声を上げる。煙で何も見えないが、誰かが倒れた音も聞こえた気がした。
「お、お嬢様!?」
「もしかして、ツバサのやつ……熱上がったんじゃ!?」
「あんあんっ!」
二人と一匹の反応を見るに、こういうのは一度や二度じゃないらしい。いや、今はそんなことよりも。
私は近くにいるしーくんを抱き上げ、まずは近くの扉を開け、次に脳内マップと自身の気配察知を頼りに窓まで辿り着くと、全開にしてその場に座り込む。これで風の通り道ができて、すぐに煙も晴れるはずだ。
「ラル……ティールは? ツバサお姉ちゃんは?」
「……」
しーくんの問いに私は答えられなかった。
素直に「分からない」とも、気休めに「大丈夫」とも言えなかった。
分からなくないし、大丈夫でもないのを知っていたから。嘘をつく余裕すら、今の私にはないらしい。
煙が晴れるまでそこまで時間はかからなかったように思う。恐らく、十秒程度だ。
視界がクリアになり、目に飛び込んできた変化は二つだ。
一つ目はベッドの上で目を回して倒れるツバサちゃん。
二つ目は……
「……?」
ベッドのすぐ側に座り込み、キョロキョロを辺りを見回す子供がいる。その子供が現れた代わりにティールの姿は消えていた。
「……え、と。この、子は……?」
「その髪の色、服……まさか、ツバサの魔力暴走……で?」
「うゆ?……ティール、なの?」
ティールの名前を聞いた男の子はしーくんの方を見る。
水色でふわっとした髪、くりっとした黒目は不安に揺れ、じっとこちらを見つめていた。
「てぃーる……は、ぼく、だけど……きみ、だぁれ?」



~あとがき~
もらったプロットに闇なんてなかったのに、今はなんでこうも闇が見え隠れするの(笑)

次回、ちったいティールとあれこれ。

年齢操作って創作の定番ネタの一つだと思ってます。本来なら、ちっこくなった相手を
「あらまあ、かぁいいねぇ( *´艸`)」
「子供扱いするなー!(*`ω´*)」
ってするためのもんだと思うんだけど(偏見)、残念。そうはならないのが、私です。
理由は以前にも語った通りなので、言いませんが……私もきゃっきゃっできる話を書きたかったね!!←

ではでは。