satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第341話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ちっさくなったティールとお話をすこーしだけしました。ラルだけにはちゃんとお喋りしてました。他とは話す機会なかったな。
ということで、今回は他の方々とはどうなのかが見れますよ~!


《L side》
アラシ君、レオン君、メアリーさんがそれぞれツバサちゃんの部屋に戻って来ると、メアリーさんが申し訳なさそうに、且つ、全力で頭を下げてきた。
「大変申し訳ありませんっ! お嬢様がこのようなことを……っ!」
「……っ!」
メアリーさんの突然の謝罪にティールは驚いたのか、さっと私の影に隠れてしまう。
「今のティールに言っても通じませんから、そこまで頭を下げなくても。……それで、ブライトさん達は?」
「はい。状況を詳しく伺いたいと仰っておりました。ラル様達にサロンまで来て欲しいと伝言を承っております」
サロン……サロンって言うなら、ブライトさん達の居住区寄りのエリアにある部屋か。
「俺とレオンでティールの両親に説明と謝罪に行こう。メアリーさんはツバサを頼みます。……ラルは部屋の場所、分かるんだよな? 案内を頼んでいいか?」
「いいよ。実際に見てもらった方が早いだろうから、ティールも連れてくね」
「おう。そっちの方がいいだろうな。……はぁ。物理的な被害はよくあったけど、こういうのは珍しいなぁ」
物理的な被害とは……?
私が首を傾げていると、アラシ君が苦笑気味に教えてくれる。
「アバウトに言えば、壁破壊したり、物を浮かせて飛ばしてきたりだ」
「魔力暴走怖すぎかよ」
巨大な魔力を持っているが故、コントロールが効かなくなるといった事態を引き起こすのだろう。それが一般的なのかは分からないけれど。
今度から風邪を引いてるツバサちゃんには近付かんどこ。
私はティールの頭を優しく撫でながら、同じ目線になり、にこっと笑う。
ティール君、今からお父さんとお母さんに会いに行こっか。お話があるんだって」
「と、ちゃ……と、かーちゃ、と?」
「うん。私も一緒だから、大丈夫だよ」
「……わかった」
気が向かなそうではあるものの、なんとか了承を得られた。私が手を伸ばせば、ティールも手を伸ばしてその手を掴んでくれる。
「じゃ、行きますか。こっちだよ」

ブライトさん達に指定された部屋に入れば、そこにはブライトさんとセイラさん、そして、ティールの従者であるアルベルトさんの三人がいた。
「きゃあ~♪ ティールが! ティールがあの可愛らしい姿に! 見てください、ベルトくんっ! あれが噂の天使時代のティールですよっ!!」
「ほ、本当にティール様のお姿が幼くなられて……ど、どうしましょう、セイラ様!」
「ぎゅーってすれば大丈夫です! ティール! お母さんですよ~♪」
こんな時でも通常だなぁ……セイラさん。
しかし、ティールはそんなセイラさんの言葉に答えることはなく、私の手を強く握りながら俯いてしまう。
話したくない……のだろうか。
「……四人とも、まずは座りなさい。ゆっくりでいいから、事の顛末を話してくれるかな」
こんな時でもブライトさんは冷静だ。
セイラさんの暴走……いえ、いつもの行動とはいえ、押され気味だった私達はブライトさんの落ち着いた声にハッとさせられる。
そして、私達は席に……ついたのは私だけで、アラシ君とレオン君はシンクロした動きでそのまま土下座し、ティールはいつの間にかセイラさんに奪われていた。
……あれ、いつの間に?
「ほんっっっっとに!!!」
「ツバサがすんませんでしたぁぁぁ!!!」
「……頭を上げてくれないか。起きてしまった事はどうにもならないが、これからは考えられる。まずは話をしよう」
と、真面目な話をしている横では……
「ぷにぷにです! もちもちしてます! はあ~♪ 可愛いです、とっても可愛いですよ、ティール~♪」
「や、やあぁぁっ! やだ、はなしてー!!」
セイラさんはティールを抱き締めたまま、頬をつんつんしたり、すりすりしたり、やりたい放題である。
「セイラ様、ティール様をお離しください。その、とても嫌がっているように見えますが……?」
「嫌も嫌も好きの内ですっ♪ あ~ん♪ 可愛いっ♪」
「やだあぁぁぁ!!」
……地獄絵図か、これ。
しかし、ブライトさんはともかく、セイラさんもそこまで慌てた様子はない。むしろ、現状を楽しんでいるように見えた。
我が子が小さくなってしまったと言うのに、能天気過ぎではないか?
「アラシさん、レオンさん。説明を頼めるかな」
大暴走のセイラさんは気にも止めず、ブライトさんは二人に側の椅子に座るように促しつつ、説明を求めた。
二人もおずおずと頭を上げ、促された通りに近くの椅子に座ると、ティールの現状について話し始める。
ティールがあぁなったのは、ツバサが魔力暴走を引き起こしたせいでして……」
「その暴走が起きた時、一番近くにいたのがティールだったんすよ。だから、ティールに影響が出てしまったんだと思います」
意図せず、ツバサちゃんの魔法にかかってしまった……その結果、幼児化し、記憶も失ったと。
「ふむ。……しかし、全てを失った訳ではなさそうだな。我々の事は認識しているらしいし、当時のティールに戻ってしまったため、それ以降に得るはずの記憶がないのだろう」
冷静に現状を分析する辺り、ブライトさんらしいと言えばらしいのだが……
「ブライトさん、落ち着き過ぎてませんか?」
「? と言うと?」
「実の息子が幼児化して、記憶もその頃まで巻き戻ってるなんて……そうある事態ではないでしょう?」
仮に私だったら、成長したしーくんがある日突然赤ちゃんに戻ったら……まあ、セイラさんのようにきゃーきゃーするだろうが、それ以前に狼狽えるだろう。滅茶苦茶驚くし、どうしたら元に戻るのかと真っ先に考える。
しかし、ブライトさんにはそれがない。いくら、感情が表に出にくいとはいえ、流石に無さすぎではないか。
「それはそうなんだが……その、ツバサさんもセラさんの子なのだな、と」
「うふふっ♪ そう言えば、ブライトも昔、似たようなこと、セラちゃんにさせられましたもんね~♪ まあ、ティールとは違って、記憶はありましたけれど」
「「「えっっ??」」」
私達は思わず、声を揃えてセイラさんを見る。
嫌がるティールを膝に乗せ、セイラさんは懐かしむように口を開いた。
「当時、私は実際に見てないのが残念なのですが……聞くところによれば、本当はケーキを大きくする魔法をかけようとしたんですって。……ですよね、ブライト?」
「……あぁ。元はセラさんが絵本で見たお菓子の島に行きたいから始まったんだがな。そんな島、あるはずもないから、ケーキでも大きくしたらどうだと言った」
その結果が……?
「なぜか私が子供になってしまったのだ。セラさんと大差ない位の年齢まで、な」
「……そう言えば、ブライトさん、セラフィーヌさんにたくさん魔法かけられたって」
ケモ耳生やされたり、性転換させられたり……その中には今回と似たような経験も含まれていたのか。
「そうなんです。だから、ティールがこうなったとしても、私達は納得はしても、あまり驚きはしてないんですよ? あのセラちゃんの娘だもの。こういうこともありますよ~♪ ……それに、ティールもずうっとこのままではないのでしょう?」
セイラさんがアラシ君へ視線を移して問いかける。彼は思いがけない昔話に驚いていたが、セイラさんの質問にこくっと頷き返す。
「え、えぇ……ツバサが原因でこうなったわけですので。あいつが元気になりさえすれば、元に戻してくれるかと」
その解答にセイラさんは満足げに頷き、ブライトさんも納得したように小さく頷く。
「セラさんの時も、大半が時間経過で戻れていたからな。そんなものなのだろう」
「ですです♪ 仮にツバサちゃんが駄目でも、セラちゃんやルーメンお爺様がなんとかしてくれますもの。大丈夫大丈夫♪ ケアル家は魔法のエキスパートの集まりですからね~♪」
「や、確かにその通りっすけど……」
流石のレオン君も同意はするものの、戸惑い気味である。
二人が妙に落ち着いていて、いつも通りだったのは、─引き起こした人は違うけど─前科を知っていたからだったのか。
「……っ~! や! もう、やっっ!!」
真面目な話をしていると察していたのか、ここまで黙っていたティールが再び、いやいやし始める。
子供の癖に滅茶苦茶空気読むやん、こいつ……昔から、こんなんだったのか。
「あらあら? 私はぜーんぜん、嫌じゃないですけどね~♪ こーんなにティールのこと、大好きですもの~♪」
「っ! や、やなのは、やなのっ! やだっ!」
「お母さんはティールをいーっぱい甘えさせたいんだけどな~?」
「……セイラ、いい加減にしろ。ティールを離せ」
バタバタ暴れていたティールだったが、ブライトさんの言葉……いや、声を聞いた途端、ぴたりと動きを止める。
「あら、そんな言い方はないでしょう? あなたもぎゅーってしたいんですか? それならそうと言えばいいんですよ?」
「……私は単に嫌がっているから離せと言ったまで。したいとは言っていない」
「素直じゃないですねぇ」
セイラさんがティールから手を離すと、彼はすぐにセイラさんの膝から降り、私の元へ一直線に駆け寄ってくる。そして、隣に座ると、私に抱き着いてくる。
「ラルねぇっ!」
「な、なぁに?」
呼ばれる度に精神抉られる感覚がするのは気のせいだろうか。……気のせいであって欲しいが。
「もう、やだ。……ここ、いたくない」
……こりゃ、思っていた以上に重症かもしれない。
「あと、五分……いや、三分。三分だけ、時間ちょうだい? もう少し、お話しすることがあるの。それとも、ティール君だけ、お部屋の外で待つ?」
「…………んーん。がまん、する」
我慢強いのも、この頃からだったのだろうか。……そう思うと、どこか悲しくもあるし、納得してしまう部分もある。
「陛下。明日はともかく、今日はどうしましょう? 幸いにも本日はティール様の公務はございませんが……」
「ん。あぁ……そうだな」
と、どこか思案するように沈黙するブライトさん。しかし、それもほんの数秒で、ちらりとティールに目を向ける。
「二人の話によれば、ツバサさんの体調が戻れば問題ないのだろう。なら、特別何かする必要はない。……が、そうだな。アルベルト、今日は王宮の出入りを制限させろ、と、ゼニスに伝えておけ」
「畏まりました」
「アラシさん、レオンさん。君達にはツバサさんの看病と何かあった時のためにルーメン殿に連絡を頼めるかな」
「分かりました」
「承知しましたっ!」
アラシ君とレオン君の返事を聞き、ブライトさんはそっと立ち上がる。今後というには大それた話もしてないが、今日の方針については話し終えた。これで終わり……なのだろう。
「陛下、ティール様自身は如何に……!」
「セイラかラルさんに任せておけばいい。どうやら、この中でラルさんが一番信頼されているらしい。……ラルさん、お願いしても?」
「え、あ……私は構いませんけど」
「すまないね。……話は以上だ。何かあれば報告してくれ」
そう告げると、ブライトさんは踵を返し、そのまま部屋を出て行ってしまう。
「んもうっ! ブライト! こんな可愛い我が子を見て、その態度はないと思いますー!」
……そこじゃなくないか?
よくも悪くも、ブライトさんは通常運転ってところか。
はてさて、どうしたものか。



~あとがき~
思った以上に暴走してやがるぜ、セイラめ。

次回、セイラとちったいティール。
いやいやの理由が分かる……かも?

特にそんな予定はないとは思うけど、ブライト青年とセラお嬢のどたばた日常話とかおもしろそうやなと思います。まあ、純粋に私がそういう日常話に餓えてるだけかもしれん(笑)
本編には出てきませんが、設定としていくつか存在しているので、ある程度どんな感じになった等々把握しているつもりです。何がどうなってブライトに魔法かけるねんって毎回思ってますし、ブライトも動じなさすぎやねんと思ってます。
これまた、本編には出てきませんし、相方と話したこともないですが、セイラも何回か被害に遭ってそうだなと勝手に思っていたり。
でも、ブライトやギルメン程の被害には遭ってないんやろな。
……という、勝手な想像でした。

ではでは。