satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第354話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとブライトの話がようやく! 終わりました!! いえーーい!
ってことで、今回は一時離脱していたセラさんの話に戻ります。セラさんのお仕事とはなんでしょうかね~?



《Te side》
セラフィーヌさんが部屋を出てしばらく、父と言葉を交わしていたが、例の仕事話とやらもあるので、きりのいいところで切り上げることにした。
「じゃあ、ぼくは部屋に戻ります」
「……? お前はセイラのところへは行かないのか?」
「い、行く必要あります……?」
だって、父さんとセラフィーヌさんとで仕事の話をするのだ。それにぼくは関係ないし、お邪魔では。
そう思って、自分の部屋に戻ろうかと思ったのだが、父さんの中ではそうではないらしい。
「私だけ出向くと、セラさんにあらぬ疑いをかけられる気がしててな」
「……そういう?」
「気がするだけだがね。お前の時間が許されるのであれば、着いてきてくれるとありがたい」
どこまで信用ないの……セラフィーヌさんの中で! あと、それを自覚しちゃってる父さんも、父さんだけどね!?
しかしまあ、特別何かしなければいけないこともないし、父さんが不憫過ぎるので、着いていくか。

二人で母の部屋の前に来てみれば、おぼろ気はあるものの、母上とセラフィーヌさんの楽しげな声が聞こえてくる。
「随分と楽しそうですが、何の話をしてるのでしょう」
「さあ? いつもこんなものだ。内容は知らんし、興味もない」
「二人はいつもこんな感じで?」
父さんは黙って頷く。
女子って、いくつになってもお喋りが好きなのかもしれない。ラルもクラスの子とか、ギルドの女性達、ステラやリーフらとよく楽しげに話している。内容なんて他愛ないものばかりで、意味なんてないのかもしれない。
「私もそうだが、セイラはセラさんが幼い頃からの付き合いだ。そして、あの二人は本当の姉妹のように仲もいい。それなりに話も弾むのだろう」
「そうなんですね」
ルーメンさんに見せてもらったアルバムにも、幼いセラフィーヌさんと若い頃の母上が写っている写真があった気がする。二人とも楽しそうにしていたし、今も楽しそうに話しているから、父さんの言う話も嘘ではないのだろう。
現に母上のことをお姉様って呼んでたしね。幼い頃と変わらず、お姉さんみたいに思ってるんだろうな。
父さんが部屋の扉をノックすれば、母上の「どうぞ~♪」という声が聞こえてくる。その言葉を聞いてから、扉を開いた。
「あら? 来てくれたのはブライトだけじゃないのね♪ いらっしゃい、ティール♪」
「ライトくん、ティールくん! お話は終わりましたか?」
二人はソファに座り、テーブルに並べてあるアクセサリーを吟味していたらしい。テーブルには、ヘアアクセの類いが何個も並べてあり、セラフィーヌさんの手にも一つ握られていた。
ぼくはいつも通り、挨拶代わりにそっと頭を下げる。
「夜分に失礼します、母上。……セラフィーヌさんは先程ぶりです」
「お陰様で。でなければ、セイラの部屋になど出向きません」
「まあ、そうでしょうね?」
楽しそうにクスクス笑うセラフィーヌさんの横で母上はどこか不満そうである。理由ははっきりしている。ぼくだ。
ティール? お母さんだーって言ってるでしょう?」
「人前なので許してください」
「あら。セラちゃんは身内みたいなものなのに?」
「ぼくにとっては身内ではないです。……お二人は何を?」
「ん? あぁ、お姉様に似合うアクセサリーを見繕っていたの。ティールくんはどう思う?」
と、セラフィーヌさんは母上の髪に合わせるようにアクセサリーを見せてくれる。
パールがいくつも散りばめられていて、海底に浮かぶマリンスノーみたいなアクセサリーだ。
「お姉様の髪をアップにして、これを着けてもらうの。似合うでしょ?」
「ぼくはそういうの疎いのでよく分かりませんが……お似合いだと思います」
「はわあ~♪ ティールが似合うって言ってくれるんなら、これにしようかしらっ! ブライトー! どうですかー!」
父はちらっと母上を見るも、大して興味もないのか、特に反応もなくソファに座る。そして、テーブルの上のアクセサリーを眺め、再び母上を見た。
「いいんじゃないか。お前らしくて」
「流石、ブライト。テンプレートな褒め言葉ですね~♪」
「そもそも、ここに並ぶもの全て、お前好みのものしかないだろうが。似合わないわけがないだから、私に聞くな」
「やっだ~♪ 愛する夫からの意見も欲しいではありませんかっ♪」
……息子の前でいちゃつくの、やめてくれないかな。恥ずかしい。
複雑な心境のまま、ぼくも空いているところに座れば、母上はどこか嬉しそうに微笑む。
「ところで、二人でここに来てくれたってことは……ちゃあんと仲直り、したんですね?」
「ま、まあ……仲直りっていうと、そうなのかは分からないですけど」
「話はした。今後、お前の期待通りになるかは知らん」
「ならなかったら、セラちゃんのビンタが待ってるだけですよ~♪」
笑顔でとんでもないこと言ってない?
母上は冗談だとしても、セラフィーヌさんは本気でやりかねない気がするのは気のせいだろうか。とは言え、言われた当人は大して気にしてないようで、無反応だ。
「元はと言えば、ライトくんがちゃーんと話をしないのが悪かったんですけどね~?……ライトくん? 今、目を逸らしました?」
「はて。気のせいでは?」
「いーや! 絶対に逸らしましたっ! 図星だったんでしょうっ!?」
「気のせいです」
わーわーわー!?
またさっきみたいになるのだけは避けなければ。話が進まないし!
「ぼ、ぼくも父を避けていたので、父上だけが悪いわけではないですので……っ!」
「うふふっ♪ 大丈夫ですよ、ティール。この二人はいつもこんな感じで話してるので。案外、普通ですよ?」
「そうそう。……ライトくんに対してはいっつもこんなもんだから。気にしなくて大丈夫よ?」
……気にならない方がおかしくない?
とは言えず。
「さてっと! 本題に移りますか~♪」
他愛ない(?)話で場が暖まったところで、セラフィーヌさんは父上に仕事の話をするためか、バッグからファイルを取り出した。
「……あの、ぼくは退席しましょうか?」
父上の懸念していたものも問題なさそうだし、今度こそ仕事の話をするのなら、いない方がいいだろう。……と、思ったのだが。
「あら、ティールもいてもいいんですよ? せっかくですし」
「ですが、母上」
「問題ないですよ。重要な話をするわけでもないですから♪ セラちゃんとブライトの仕事の話なんて大体決まってます」
そんな母上に続いて、セラフィーヌさんも微笑みながら頷く。
「お姉様の言う通りです♪ ってことで、ライトくん。はい」
セラフィーヌさんは取り出したファイルそのまま父上に差し出した。それを黙って受け取った父は、ファイルから一枚の紙を取り出し、じっと眺めた上で、「いつものですか」と呟く。
「はい。いつものです。……悔しいですが、これに関しては、ライトくんの方がセンスありますからね。悔しいですがっ!」
「…………ふむ」
父上は不満げなセラフィーヌさんには反応を示さず、ファイルから取り出した紙、数枚を吟味するように眺めていく。
ぼくがいても大丈夫ってことは、何か大切な仕事をしているわけではないんだろうが……だとしても、何の話をしているんだろう?
「二人は今、私のドレスを考えてくれているんですよ?」
ぼくが不思議そうにしていたせいか、母上がニコニコと微笑みながら教えてくれた。
「今度、出席するパーティー用のドレスをセラちゃんとブライトが考えてくれてるんです。……今までのドレスも二人が考えてくれたものばかりなんですよ?」
そうなんだ。
……そういえば、セラフィーヌさんは服飾関係の仕事も請け負っているんだったか。だから、母上のヘアアクセもあれこれ選んでいたんだな。あのアクセサリーもセラフィーヌさんが考えたものなのだろう。
しかし、父上もって……?
「父上が服飾のデザインにも造詣が深いとは知りませんでした」
「いえ。別にブライトはデザインとかできないですよ?」
「……今、母上のドレスを考えてるのですよね?」
「はい。私のドレスを考えてくれてます。……でも、服に興味なんてあるわけがないでしょう、この人が」
頭がおかしくなりそうだな。 じゃあ、父さんは今、何してるの!?
「だ・か・ら♪ 私のドレスを考えてます♪ なんでか知りませんが、私に似合う物を見繕うのはセラちゃん以上に得意なんですよ、ブライトは。……というか、ティール? ブライトのことはちゃんとお父さんって呼ぶんですねー?」
「素が出ただけなので、お気になさらず。今は関係ないので」
なるほど。父上が母上に似合うものを特別な知識もなく、感覚だけで見つけられるから、セラフィーヌさんは悔しいって言ったのか。
「私も呼ばれたいです!」
「うるっさいなぁ。……母さん、これでいいですか」
「なげやりですー! お母さん、悲しい!」
ぼくが母上呼びを貫く理由、いい加減分かって欲しいな。全く。
どうでもいいやり取りをしている中、父とセラフィーヌさんの仕事の話は進んでいるらしかった。セラフィーヌさんは父から返された紙……ドレスのデザイン画を悔しそうに眺めていた。
「くうぅ~……っ! 袖の部分、ここの差し色を変えれば一段とお姉様が輝けるっ! 更にこの部分に刺繍を入れることで、お姉様の繊細で可憐な雰囲気を表現できます……っ!! 他のデザイン画もいくつも修正が……どれもこれも、いいものばっかり! んもうっ! なんなんですか、ライトくん! なんなんですかー!」
「なん……? セイラの夫です……?」
「ちっがぁぁぁうっ! いや、違わないけどっ! うー! 悔しい! 私も思い付かない訳がないのに、なんで思い付かなかったんですかねー!?」
ここでようやく父上は、少し困ったような表情を浮かべる。不満気なセラフィーヌさんにどうフォローしようか悩んでいるらしかった。
「……セラさんのデザインがいいから、元々の完成度も高い。だから、私もいくつか案を出せただけであって……セラさんのアイデアがあるから良いものが作れるんですよ」
「だとしても、ライトくんのアイデアがいいってことに変わりはないです! それが悔しいんですよっ! なんなんですか。愛の力ですか。愛の力ですかっ!?」
「愛の力だけで、よい服は生まれないかと」
「そこじゃないっ!! んもー! ライトくんの癖に、私よりもいい服を思い付くなんてー!」
ここでもマシンガンのように捲し立てた後、再びデザイン画に目を落とす、セラフィーヌさん。
「……でも、絵のセンスは相変わらずなんですね。こうして何度も描く機会があるんだし、少し位、上手くなってもよくないです?」
「知りませんよ……大体、私に描かせようとする意図が分かりません。なぜ、わざわざスペースを空けるのです?」
「そりゃ、ライトくんに描かせるためです。文字より絵の方が伝わるでしょう? 絵だけで伝わるかは別として」
と、セラフィーヌさんはぼくと母上にも見えるよう、デザイン画を見せてくれた。
セラフィーヌさんの描いたと思われるデザイン画の不自然な空白に、父上の描いたと思われるへにゃへにゃな絵が添えられていた。
「わぁ~……あいっかわらず、芸術性皆無ですね、ブライト~?」
「うるさい。今更どうにもならんのだ、これだけは」
「ぼくも絵を描くの苦手なんだよなぁ……遺伝かもしれませんね」
「……遺伝、するのか。そういう能力とは」
「今度、ライトくんとティールくんの絵、並べてみてみたいかも」
「あ! 私も見てみた~い♪ 二人とも、描いてくれません?」
「「絶対に嫌だ」」
ぼくと父が声を揃えて否定したところで、母上とセラフィーヌさんが楽しそうに笑った。
一頻り笑った後、セラフィーヌさんは、ぱぱっと荷物をまとめた。
「さて、と……仕事の話もできましたし、時間も時間なので、私はそろそろ部屋に戻りますね?」
「そうですか。いつもの部屋をご用意していますので、ご自由に」
「はーい♪ ありがとうございます♪ では、三人とも、おやすみなさい!」
……いつもの部屋?
「セラちゃん、こうやって王宮に来ることも多いから、決まった部屋を貸し出してるの。ほら、決まったお部屋があれば、突然来て、お泊まりするーってなっても、すぐに用意できるでしょ?」
な、なるほどね。
どこまでもうちと親交の深い家だな、ケアル家は。
部屋を出ていくセラフィーヌさんの背中を見送った後、母上は何か思い付いたのか、パチンと手を鳴らし、にこりと微笑んだ。
「そうだ。私達はもう少し、お話ししませんか? せっかく三人揃ってるんだもの。ティールのお話、聞きたいわ」
「ぼ、ぼくの?」
「そうだな。お前の探検隊の仕事話でも聞かせてもらおうか。……聞いたことがないしな」
意外と父上もノリノリだ……けど、聞きたいって言ってくれたんだもんな。
「と、特に面白いこともないけど……それでもよければ」
「大丈夫♪ ティールの話すことはなんだって聞くわ」
「こちらが言い出したのだ。聞いているフリはしないさ」
……じゃあ、話すか。
世界を救う大冒険とか、お宝を巡る争奪戦とか、そんな話はできないけど、唯一無二の相棒と各地を冒険した話くらいならできるからね。
ぼくは今まで両親に話してこなかった冒険の数々を話した。昔、両親がぼくにしてくれたような、たくさんの冒険譚に比べたら、なんてことないけれど、それでもぼくにとっては、立派な冒険の記録だ。
いつか、胸を張って誇れるような大冒険の話ができたらいいな、なんて思いながら、冒険譚を語りつつ夜は更けていった。



~あとがき~
セラフィーヌさんやセイラが勝手に喋るから、脱線しまくりやん。すまんぬ。

次回、色々あった日の翌日の話。
とりあえず、今回で幼児化事件関連の話は終わりです。長かった!

ブライトの隠れた才能の話。
元々、ブライトはもの作りの才能があるっちゃあります。まあ、アイデアを作り出すのではなく、それを形にする力があるといった方がいいんですかね?
例えるなら、難解な説明書があったとしても、それを読み解きながら、さも簡単に組み立てる……みたいな? 要は手先が器用なのだ。性格は不器用なんだけどね。

ではでは。