satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第355話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、セラさんの仕事内容や、ブライトの意外な特技(?)が明らかとなりましたとさ。
今回からはセラフィーヌさん交えて、わいわいするぞ! わいわい!
前回みたいなシリアス話はない(予定)のでご安心を!


《L side》
……重い。
いつも以上に寝過ぎたせいか、体が重くてゆるゆると目が覚めた。ぼんやりした意識の中、私の右にしーくん、左にティールがいるのを確認し、どこか安心して再び目を閉じる。
………………いや、待て。ティール? なんで、ティール?
重いと感じたのは、ティールが私に抱きついて寝ているからだった。彼の腕が私に回されているから、いつもの目覚めにない重さが違和感に繋がったのだろう。
「いや! そうじゃなくって!! おい、ティール!? なんでここにいるの!? ここは君の部屋ではないですが!?」
無理矢理ティールの腕をほどき、私は体を起こす。昨日、ティールにあれこれ言った後の記憶があまりないけど、私はきちんとパジャマに着替えていて、ティールもパジャマには着替えていた。
じゃあなんで、こいつは私の横で寝てるんだよ。部屋は!? 部屋に帰ったのでは!?
ティール! 朝! 起きろ! そして、この事態を説明しろ!!」
「ん~……まら、なみゅい……」
「あぁぁ!? うるっせぇぇ!!! 起きろ、こんの寝坊助野郎がっ!!」
と、ティールを蹴飛ばした。それはもう力一杯。部屋のはしっこまで飛ばされるくらい、蹴飛ばしてやりましたとも。
いや、今更、ティールの添い寝ごときで心を乱される私ではないけども。
でも……私の記憶にないところで私に抱きついて寝てるんだぞ……? 意識しない方がおかしいだろ。これでも私、女の子です。女の子! 嫁入り前の!
起き抜けにイケメン(リアル王子様)が隣で添い寝(抱擁)してたら、驚きもするし、動揺もするやろ!?
「いったぁ~……なに……誰かの襲撃?」
「んなわけあるかぁ! なんでここで寝てるの、ティール!」
「……あ、おはよ、ラル。よく寝てたね~」
「あ、その節はどうも。……じゃ、なくて! なくてですね!! なんで、ここで寝てるの!」
私がパニックになってるのに、ティールは呑気に欠伸をもらしつつ、思案し始める。
ちなみに、ここまで騒いでもしーくんは、すやすやと夢の国へお出掛け中である。とんでもねぇ息子だな、大物の素質あるわ。
「昨日、ラルが二度寝した後、父上のところに話しにし行って……色々あって、両親とも夜遅くまで話してて……眠くなったから、部屋に戻って着替えて寝ようとして……でも、ラルの様子を見るの忘れちゃったから、寝る前に見に来て…………力尽きちゃったみたい?」
なるほど。ティールらしいと言えばらしい。私が変わらず寝ていることを確認したら、安心して眠気に負けたのだろう。実にティールらしい間抜けな一面だ。
「つまり、ここで力尽きて、私に抱きついて寝てたってこと?」
「………………抱きついて寝てたの、ぼく」
「寝てましたね」
「なんか夢で程よく暖かくて、妙に柔らかい何かを触ってた気がするとは思ってたけど……君だったの?」
「私だな、多分。後、何がとは言わんけど、やったな、お前。……セクハラで訴えていいか。勝てそうな気がする」
「ごめんなさいっっ!!!! 悪気は一切ございません! 他意もございませんっ!!」
寸分狂いもなく流れるような所作で正座をし、これでもかと頭を下げる。
所謂、見事な土下座であった。
「分かった。一発で許そう」
「甘んじて受けます」
「来い、雷姫」
「前言撤回っ! 無理!! 雷姫さんは無理!!!」
一気にティールの顔が真っ青になるものの、この世には男に二言はないという言葉がある。
つまり、そういうことだ。
私は手元に雷姫を出現させると、ひらりとベッドから飛び降り、刀をパッと構える。刀身には電撃を帯びさせつつ、狙いを目の前の大馬鹿者に定めた。
「問答無用。“雷撃一真”!」
「死ぬ! 死んじゃうってー!!!」
こんなんで死ぬわけねぇだろ!
周りの家具や壁が破壊されないよう細心の注意を払いながら、的確にティールだけを狙わせてもらった。それくらいの冷静さは持ち合わせている。
雷姫の電撃で痺れているティールを横目に、私は先程のティールを発言を思い出し、柄にもなく顔が熱くなるのを感じた。
程よく暖かくて、柔らかいって……つまり、そういうことだよね?
「…………夢で何触ってんのよ、変態」
「ふにゅ~……? ラル、どしたの~?」
「なーんでもないよ、しーくん! おはよー!」
我ながら、強引な切り替えだと思う。
けど、そうしなければ変な方向に思考がもっていかれそうな気がしたのだ。だから、仕方ない。
せめてもの慈悲で麻痺治しのポーションティールに飲ませてやる。麻痺から回復したティールは散々謝り倒した後、着替えに戻ると言い、一旦私達の部屋を出て行った。
「ね、ラル? なんでティール、いーっぱい、ごめんなさいってしたの?」
「私にいけないことをしたからだよ。私にって言うか、女の子にしちゃいけないこと?」
「ほあ……そなの」
「しーくんも駄目だからね。無闇に女の子に抱きついちゃ駄目だからね? 今はいいけど、十年後くらいは駄目だからね!?」
「ゆ……?」
「……さて、私達も着替えようね~?」
「うゆ? わかった! きがえ、する!」
しーくんは女の子を誘惑するような美少年にならなければいいんだが……しかし、あのティールの息子だ。素質はあるんだよな、多分。まあ、それはそれとして。
私達は身支度を済ませ、朝食を食べるべく、食堂へと向かうことにした。

食堂につけば、そこにはセイラさんがいた。そして、セイラさんだけではなく、なぜかセラフィーヌさんまで来ていた。
「え、セラフィーヌさん……? なんで?」
「セラおばさん! おはよーございます!」
「あら、ラルちゃんに雫くん! おはよう~♪ 数日ぶりね~♪」
い、いや、確かに数日ぶりだけども。
「皆さん、おはようございま~……あ! お母さん!」
挨拶をしながら入ってきたツバサちゃんは母親の姿を見つけ、パッと顔を輝かせながらそちらへと駆け寄っていく。ツバサちゃんと一緒に来たのだろうレオン君と、今まで朝食はこちらに顔を見せなかったアラシ君が食堂に顔を出した。
「なんでアラシ君いるの? ご飯、騎士団の人達とじゃないの?」
「あ~……そのつもりだったけど、セラおばさんが来たから、その挨拶がてら、今日はこっちで取ることにした」
と、眠そうにしつつ教えてくれた。
「風邪を引いたって聞いてたけど、大丈夫そうね?」
「うんっ! 今は元気っ~♪」
「それはよかったわ♪」
もしかして、セラフィーヌさんがいる理由を知らないのは私だけ?
他の面々は特に不思議がる様子もなく、各々席に着いていた。私だけつっ立ってるのも何なので、適当に空いている席に座り、セラフィーヌさんに海の国への訪問理由を投げ掛けてみる。
セラフィーヌさんはツバサちゃんを撫でながら、こちらを見てニコッと微笑む。
「実は仕事関係で、前日の夜にこちらに来ていたの。ティール君に伝言を頼んでおいたから、てっきりラルちゃんも知ってると思っていたのだけれど……もしかして、聞いてない?」
ティールから? いや、何も……?
セラフィーヌさんと、どのタイミングで話したのか知らないが、少なくとも私はそれら類いの話を聞いていない。
「あらま。真面目なティールくんだから、教えてるものだと思っていたわ。ごめんなさいね?」
「あ、いえ。セラフィーヌさんは悪くないですよ。……私が知らなくても、問題はないですし」
「もしかして、ティール……セラちゃんの伝言の内容のせいで、伝えるの忘れちゃったのかも? セラちゃん、意味深な伝え方でもしたんじゃない?」
「え~……? そんなつもりはなかったですけどね~?」
セラフィーヌさんは首を傾げ、不思議そうにしている。心当たりはないように見えるが……
「ちなみに、どんな内容だったかお伺いしても?」
「構わないわよ。『久し振りにい・ろ・い・ろ話したいからよろしく』って伝えたの。ね? そんなに意味深な感じではないわよね?」
……いや、十分に意味深です。
セラフィーヌさんからあれこれ聞いていると、再び食堂の扉が開かれた。
ここに来ていないのはティールだけだから、ようやくティールが来たらしい。
……と、思ったが、ティール以外にも二人、この場に現れた。
一人はブライトさん。もう一人はゼニスさんだ。
ゼニスさんはブライトさんが来たから、着いてきただけかもしれないが、ブライトさんがこちらに来るとは珍しい。というか、ティールと一緒に入るなんて更に珍しい。
「あら、三人とも、おはようございます♪ もしかして、ティールがブライトを連れてきてくれた?」
「いいえ。廊下で鉢合わせしたので、そのまま共に来ただけです。……むしろ、ゼニスが父上を連れてきたんじゃない?」
「私ですか? いえいえ。陛下が珍しく朝食をこちらで取ると伺ったので、仕事の打ち合わせがてら、お供させてもらっていただけですよ。まあ、セラフィーヌ様へのご挨拶が本命ですが。……このような場所にて失礼致します。ご無沙汰しております、セラフィーヌ様」
騎士らしい所作で一礼するゼニスさんに対し、セラフィーヌさんはニコニコと笑顔で返した。
「こちらこそ、ご無沙汰しております♪ そして、ライトくんをここまで連れてきてくれてありがとうございます」
「これもまた仕事ですので」
「……頼んでないがな」
「それはそうでしょうね。仕事話のついでにお供したまでですから。ついでです。ついで」
と、ゼニスさんは席についたブライトさんの背後に控える。本当についでなんだろうな。
……そういえば、さっきはどたばたしていたから聞きそびれたけど、昨日の夜、ティールはブライトさんと話をしたって言ってたっけ?
だからだろうか。今までの緊張感が幾分か解れているように感じた。
「……ティール、ブライトさんと仲良くなったの?」
私の隣に座るティールを見て、問いかける。彼はどこか照れ臭そうにしつつも、小さく頷く。
「仲良くなったかは知らないけど……まあ、前よりはよくなったと思う」
「……そっか。よかったね」
「…………うん」
スプランドゥールで掲げたブライトさんと「向き合う」ができたようで何よりだ。
さて、全員が席に着けば、どこからか朝食が運ばれてきて、それぞれが好きなものに手をつけ始める。
これは前からそうなのだが、王族だからと堅苦しい雰囲気はなく、のんびりと言うか、のほほんとした雰囲気が漂っている。言ってしまえば、どこにでもある一家団欒のようだ。
ツバサちゃん達は幼馴染み同士、楽しそうに話しているし、セラフィーヌさんとセイラさんはお互いの家族そっちのけで盛り上がっているし、ブライトさんは相変わらずの無口で黙々と朝食を食べ進めている。とは言え、時折、背後のゼニスさんに話しかけているので、頭はすでに仕事モードなのかもしれない。
「……話には伺ってましたが、セイラさんとセラフィーヌさん、仲がよろしいんですね?」
「えぇ♪ だって私のだーいすきな自慢のお姉様だもの♪」
「あら、嬉しい♪ 本音を言うと、今でもそう思ってくれてるの、すっごく嬉しいの」
「当然です! お姉様は私が幼い頃から、よくしてくださってくれたんですもの。……本当なら、お姉様とは毎日でも話をしたいくらいですけれど、流石にお互いの立場や、仕事があるから……たまに話す時くらい、楽しくありたいです」
ふーん……まあ、セイラさんは時々、強引なところもあるけど、誰にでも優しいし、思いやりの心がある人だ。人に好かれやすい性格をしていると思うし、長い付き合いで馬も合えば、家族みたいに繋がれるのだろう。
「……そう言えば、昨夜、父に久し振りと言ってましたよね。それなら、母とも同じ期間、会えてなかったんですか?」
「うん? 確かに、ライトくんとは久し振りだったけれど、お姉様とはそうでもないわ」
「そうね~……数ヵ月前、セラちゃんが学園に招待してくれた以来かな?」
「そうですね。春にあちらにお呼びした以来ですね♪」
学園? 春?
セラフィーヌさんの学園となれば、レイディアント学園……私達の通う学園だろう。今年の春、セイラさんがレイ学に招待されていた?
春に部外者を招待するような何かあっただろうか……?
と、ここで会話に参加してこなかったブライトさんがちらりとセイラさんを見る。
「そのような話、私は聞いてないが」
「あら、伝えてませんでしたか?」
不思議そうにするセイラさんに、ブライトさんは無言で頷く。真面目なブライトさんのことだ。こういう事柄に関しては、実は言われたけど、忘れてます~とかではなく、本当に知らないんだろう。
今度はセラフィーヌさんが不思議そう首を傾げた。
「あら、ライトくんには手紙を送ったはずですけれど。『一日だけ、お姉様をお借りします』って」
「それについては記憶しています。が、学園訪問だとは記載されてなかったので、いつものダンジョン探索かと」
「あらあら? そんなことは一言も書いた記憶ないですねぇ」
「そうでしょうね。私にもありませんから」
「おかしいですね~? 私はあの手紙に『今度の剣技大会にお姉様を招待するので、一日だけ、お姉様をお借りします』って書いたつもりなんですけどね~?」
「そのような長文ではなかったと思います」
……なんかバチバチしてる?
喧嘩でも始まったのかと思ったのだが、セイラさんは至極落ち着いているし、ゼニスさんも止める様子がない。なんなら、こういう時、慌てそうなティールですら二人のやり取りを眺めながらパンを食べていた。
そんなティールをつつき、耳元でこそっと呟く。
「……これ、放置していいやつなの?」
「うん。母上に言わせれば、あれが二人の普通なんだってさ」
へえ~……? じゃあ、私も黙って眺めるか。
セラフィーヌさんはふと何かを思い出したのか、じっと疑いの目でブライトさんを見つめる。
「というか、ライトくん? まさか、その日、お姉様が王宮に一日いないことに気付かなかった、なんてことはないですよねぇ? ねぇ? ライトくん?」
「……ゼニス」
「ここで私ですか? そうですね……私は陛下にお伝えした記憶はないです。お伝えしようと思ったのですが、セラフィーヌ様やセイラ様に止められたので。なんなら、私も当日は王宮にいませんでした」
セラさんとの会話を逃れるためにゼニスさんに振ったブライトさんだったが、新たな事実に多少なりとも驚いたようで、数秒だけ固まる。そして、コーヒーを一口飲み、ボソッと呟いた。
「…………お前、いなかったか?」
「いませんでした」
「そうか。…………あの日、私は何してたんだったかな」
「私の記憶通りのスケジュールなら、執務室に籠っておられたのでは?」
「……あ~……そうだな。籠っていた気がする」
大抵、籠ってません? ブライトさん。
しかしまあ、ブライトさんの籠っていたってのは、マジで数日間、部屋に籠るやつなので、シャレにならんのだが。
「ラ~イ~ト~く~ん? 私から目線を逸らして、ゼニスくんに責任転嫁ですか~?」
「それを言うなら、伝え忘れるセイラに非があるのでは」
「お姉様が悪いんですか~? ライトくんがお仕事漬けの毎日を送って、お姉様と話す時間を作らなかっただけじゃないですか~?」
「作らなかったら作らなかったで、こいつは勝手に部屋に突撃するような人間なんですが……?」
……なんか、終わりの見えないやり取りをしているような。
セラフィーヌさんとブライトさんが不毛なやり取り(?)をする中、ツバサちゃんは何やら思い当たる節があったのか、「あ!」と声を上げ、ブライトさんをじとーっと睨むセラフィーヌさんに問いかけた。
「お母さんが『大切なお客様』って言ってたの、セイラさんだったの?」
「ん? えぇ、そうよ♪」
「私、ゼニスくんとアンちゃんを連れて、皆の通う学園の剣技大会を見に行ってたの。ティールが出てなかったのは残念だったけれど……ツバサちゃんのパフォーマンスやレオン君、アラシ君の活躍は見てました♪ とーってもかっこよかったです♪ もちろん、ラルちゃんとお仲間のフォース君でしたっけ? 二人のことも見てました~♪」
……ははっ、あれを見られてたのか。お恥ずかしい限りで。
なんてことない朝食終え、なんことのない一日が始まろうとしていた。
……ブライトさんとセラフィーヌさんは朝食が終わるまでずーっとやり取りしてたけどね。



~あとがき~
なげぇ! なんことのない(?)一日の朝がなげぇ!

次回、とある日の日常。

ティールって意外とラッキーなスケベ的な事象に遇うこと多いな。ついこの前(スプランドゥール編)でもやってましたし。
こんな短期間に何やってんだろうな、あいつめ~(笑)

ではでは。