satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第359話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で奮闘してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回からセイラとブライトの馴れ初め話が始まってます。いやはや、書ききれるんでしょうかね?(笑)
頑張るぞいっ☆


ギルド前でセイラと別れたセラフィーヌは足早に真っ直ぐとある部屋へと向かった。
目的の部屋の前に来れば、堂々と扉を開け放ち、部屋の中へと入っていく。
「お父さまーーーー!」
「うおっ! セ、セラ!?」
セラフィーヌが入室した部屋、それは明けの明星の長─ルーメン親方の仕事部屋だった。そして、ルーメンはセラフィーヌにとっては実の父でもある。
ルーメンは突然現れたセラフィーヌに呆れつつ、お決まりの台詞で注意を促した。
「お父さんが仕事中の時は、必ずノックをしなさいと、いつも言っているだろう?」
「お父さま! あのねあのね!」
父の注意には耳を傾けず、セラフィーヌは無邪気に目を輝かせ、話をしたそうに見つめてくる。こうなってしまったセラフィーヌは相手の話を聞いてはくれない。
ルーメンは仕方なしにセラフィーヌに話をするように促してやる。
「……なんだい、セラ?」
「あのね! 今年の夏祭りには絶対、ライトくんをスプランドゥールにいさせてね!」
「? ライト?」
「うん! 去年みたく、どこかお仕事に行かせちゃダメだよ!?」
その言葉にルーメンは、去年の今頃を思い出す。
あの頃、急に舞い込んできたダンジョン調査の依頼。その調査のため、手の空いていたライトが受けることとなり、街を離れていた。結果、彼は一度も女神祭に参加していない。
そんな事情もあり、今年こそは参加させてやろうとルーメンは考えていた。第一、去年のダンジョン調査もライトではなく、別の人に行かせられないかと考えていたが、本人に言いくるめられてしまった結果でもあるのだが。
「今年はそんな予定はないよ。仮に似たようなことがあっても、ライト以外を人選するぞ、流石に。……しかし、なんでいきなり、そんなことを言い出して─」
「お姉様のためなの! 絶対だからね!? ライトくんにはお祭りのお仕事をさせるの! 約束!」
「お、おう……? 分かった……分かったが、なんで─」
「ありがとう、お父さま! じゃあ、セラ、今度はカズキさんとハルさんのところに行かなきゃなの! お邪魔しました!」
ルーメンの話を聞かず、また、説明もしないまま、セラフィーヌは部屋を出ていった。まさしく、嵐のようにやりたい放題した挙げ句、こちらの事情など考慮してはくれなかった。
「な、なんだったんだ……?」
「……またいつものお嬢様の暴走、でございましょうか?」
と、今までの経緯を黙って見守っていた執事、カルタムが答える。
執事の言葉にルーメンは肩をすくめ、どこか釈然としないまま、仕事を再開させる。
──ルーメンがセラフィーヌに事情を説明されるのは、もう少し後の話である。

「ただいまー!」
ルーメンの元を後にしたセラフィーヌが次に訪れたのは先程、ライト達が作業をしていた資料室だった。
三人とも、まだ仕事をしていたのだろう。それぞれが机に向かい、書類作成に勤しんでいた。
ハルがにこりと笑いながら、セラフィーヌを出迎える。
「お帰りなさい、お嬢。ご機嫌はすっかり直ったみたいですね?」
「お姉様とデートしたからね!」
「流石、セイラさん。お嬢のご機嫌を直す天才だな~♪」
「そうですね。それに関して言えば、セイラの右に出る者はいません」
「ちげぇねぇわ~♪」
なんて雑談をするカズキとライトの方にセラフィーヌが近づき、ライトの隣に立つ。
「ライトくん」
「はい。……って、また俺?」
「うん。お父さまが呼んでたよ」
「親方が? 今日の親方補佐はカルタムさんのはずですが。……俺、何かしたっけ?」
「わかんない。でも、早くーって言ってた」
全く思い当たる節のないライトはしばらく考え込むものの、やはり、心当たりはないらしい。
「ん~……? まあ、いいか。行けば分かるだろ。……すみません、先輩。行ってきます」
「おう。行ってらっしゃい」
「こっちは気にしないで大丈夫だから。何したか知らないけど、気を付けなよ?」
「は、はい。……いや、気を付けようにも、本当に心当たりがないんですけど。……お嬢も伝言、ありがとうございました」
「うん!」
ライトが部屋を出ていくのを見守ったセラフィーヌは、先程まで彼の座っていた席に座る。そして、開口一番、「二人に話があるの!」と真剣な眼差しを向ける。
「は、話? 俺らにですか?」
「うん! というか、お願い? ライトくんには内緒のお願いがしたくて!」
この言葉に二人は、先程の話が全て嘘であると悟る。ライトを部屋から追い出すための口実だったのだ。それならば、ライトに心当たりがないに決まっていた。
「お願いってなんですか?」
「あのね、ライトくんにお姉様の気持ちを気づかせてほしいの!」
「「…………えぇっ!!??」」
「ライトくんに自覚してほしいの! ライトくんにとって、お姉様がどんな存在なのか分からせたいの。……お願い、協力して!」
「……とは、言いますけどね、お嬢。ヤツにそれをさせるのは、至難の技といいますか……難易度高すぎやしませんかねぇ?」
「カズキ先輩の言う通りです。それができてるなら、お嬢は毎度のようにライトに詰め寄ってないし、とっくにあの二人の仲は進展しているのでは?」
「そ、そうなんだけど……でも、完全に気づかせるまではしなくても、ちょっとでもできないかな?」
ハルとカズキは唸りながらも黙ってしまう。
それができれば、苦労はない。まさにこの言葉通りであった。
「そもそも、なんでいきなり、そんなことを言い出したんです? いや、いきなりではねぇけど……お嬢がここまでお願いするってことは、何かあったんですか?」
「お姉様が悲しそうだったんだもん。ライトくんのお友達でいれるだけで幸せなんてウソ。……セラ、お姉様にはずっと笑っててほしいし、幸せになってほしいんだもん!」
「あ~……なるほど。お嬢はほんと、セイラさんが好きっすねぇ?」
カズキの言葉にセラフィーヌはふんっと鼻を鳴らし、誇らしげに胸を張る。
「当然! だから、夏祭りまでに何とかしたいの!」
セラフィーヌが夏祭り、ことに女神祭に拘る理由は少し考えれば一つだけ思い当たった。
「もしかして、お嬢、女神祭の神子探しのジンクス、使おうとしてます?」
カズキがそう告げれば、セラフィーヌは満面の笑みで頷いてみせた。
そして、彼の隣で話を聞いていたハルは少し首を傾げ、ジンクスの内容について、思い出しながら話していく。
「ジンクス……って言うと、神子を捕まえた人には幸運が訪れるってやつっすか?」
「うんにゃ? それは捕まえた人に与えられる、ご褒美的なやつだろ。ジンクスっつーのは~……あれだ。簡単に言えば、捕まえた二人の絆が深まる的なやつ」
本来はもう少し、事細かく語り継がれているのだが。今はそこを話す必要はないと判断した。
カズキの語るジンクスで合っていたのを示すため、セラフィーヌは嬉しそうに何度も頷く。
「それってつまり、お姉様とライトくんが、セラとお父さまを捕まえたら、ずっと仲良くなるんでしょ!」
純粋無垢な笑顔を二人に向ける。
セラフィーヌは言葉通り、二人に仲良くなってもらいたいのだ。そのきっかけとして、神子探しのジンクスを利用したい。その思いで二人に協力を仰いでいた。
そんな意図を読み解いたハルは一人静かに納得し、同じくカズキも何度か頷く。
「あ~……そういうことかぁ」
「こうなったお嬢は、誰にも止められねぇかんな。なるべく頑張ってみますわ」
「そうっすね。……あまり期待しないでくださいね、お嬢? 相手は、あのライトなので」
「うん! 大丈夫! よぉし、セラも頑張るぞー! 全てはお姉様のためっ!」
二人の協力者を得たセラは気合い入れのため、これ見ようがしにガッツポーズをした。それを見た二人は苦笑を漏らす。
「……お嬢、セイラさん信者過ぎじゃね?」
「否定できないっすね。あの二人が出会った当初、こうなるとは思ってませんでした」
「俺も~」



~あとがき~
セラフィーヌちゃん、やりたい放題(?)してます。

次回、祭り前日の仕上げ。
セイラとブライト、それぞれの仕上げ行程(笑)をお見せします。

現状、語らなければならないことはないので、さっさと終わります。
今後の展開に期待じゃい!

ではでは。