satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第362話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界わちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から女神祭も始まり、ライトこと、ブライトとセラさんの楽しそうな(?)屋台巡りが始まってます。
今回は新たなメンバー、セイラを迎えに行くところからですな。


全ての曲目が終わり、セイラとパートナーは観客に向かって、ペコリと頭を下げる。
「最後まで聴いてくださり、ありがとうございました! そして、まだまだ続く女神祭をどうぞ、お楽しみください♪」
にこやかに挨拶を終えたセイラ達はステージを後にする。
どうやらステージの演目的にも、ここで一区切りついたようで、観客達もぞろぞろと立ち上がり、移動を始める。もちろん、この場に残って、この後にあるだろうステージを待つ人達もいる。
ライト達の予定だと、この後はセイラと合流し、セラフィーヌの自由時間まで三人で祭りを回るはずだった。
「ライトくん、お姉様を迎えに行こ?」
「そうですね。……とは言ったものの、どこにいるんでしょう?」
「ふっふっふ~♪ そーゆーときはセラにお任せ! ちゃーんと調査してあるんだから♪ こっちこっち♪」
セラフィーヌは、事前にセイラから聞かされていたステージ裏へと歩みを進める。少女の後ろをライトも黙ってついていく。
「あ、いたよ! お姉様!」
ステージ裏は当然ながら、関係者以外いないため、人混みもなく、すんなりセイラの姿を見つけることができた。
彼女はライト達に気付いていないのか、先程まで共にステージへ上がっていた男性と親しげに談笑しているところだった。
感謝でも述べているのか、男性がセイラの手を取り、笑顔で何かを話している。それにセイラも笑いながら応じていた。
共にステージに上がり、そのステージを成功で収めたのだ。演者の二人が終了後にその功績を讃え合うのは普通である。
なんてことない、ありふれた光景だ。
ありふれた光景のはずなのに、ライトの心境は複雑だった。どこかモヤモヤした何かを感じている。
いつもなら、何かを思うことはないはずなのに。
「……? ライトくん?」
ライトの雰囲気に何かを感じたセラフィーヌは彼を見上げる。彼の表情はいつもと変わらないものの、じっとセイラ達を見つめていた。
そして、セラフィーヌの呼び掛けに答えず、彼はセイラ達の方へと歩いていく。セラフィーヌのことも頭にないのか、その場に放置したまま行ってしまった。
「ライトくん!」
『あわわ! いーちゃ、どしたのら!』
水泉自ら、剣の姿から液体になり、セラフィーヌの頭上をふよふよと浮く。これでも、今回のライトの仕事がセラフィーヌの付き人であることは理解していた。付き人ということは、側にいてセラフィーヌを守る人のことだ。それを知っていた水泉は自身の判断でライトから離れたのだ。
『ふぃー、いーちゃ、どしたの?』
「わ、わかんない」
残されたセラフィーヌもライトの行動は理解できなかった。仕方ないので、彼から遅れて水泉と共に後を追いかけることにした。

ライトが二人に多少なりとも近づけば、会話の内容が耳に届くようになった。相変わらず、男性がセイラの手を握り、興奮気味に話しかけているところだった。
「──流石、各地を渡り歩き、演奏をしているだけはありますね。話に聞いていた通り、とてもお上手で、音も合わせやすかったです!」
「いえいえ、そんなことは。……また、機会がありましたら、ご一緒しましょう? お声をかけてくだされば、どこにでも行きますよ? 私♪」
「本当ですか! 是非! いやぁ、それなら今度は、僕とセイラさんだけでなく─」
「談笑中に失礼。彼女をお借りしても?」
二人の会話を遮り、ライトは繋がれていた手を振り払うようにセイラの手を取って、自分の方へと抱き寄せる。
突然の出来事にセイラは呆然とし、男性もまた、目を丸くしていた。
「は、わ……え、ライト? どうして」
「……それとも、彼女とまだ何か?」
セイラの言葉に反応はせず、じっと男性の方を見る。自分にしては感情的になっていると感じつつも、それを抑えることができなかった。
一方、ライトの行動に男性は訝しげに見つめ返すものの、セイラが嫌がる素振りも見せず、身を委ねているのを見たからか、特に追及もせず、首を横に振る。
「いえ。私達の演奏は先程で終わりですから。セイラさんが大丈夫であれば、私は問題ないですよ」
「そうですか」
「ええ。……では、セイラさん。今度は妻を交えて、三人で演奏しましょうね」
「はい。是非♪ ウィスちゃんに元気な赤ちゃん産んでねってお伝えください」
「もちろん。では、僕はこれで」
楽器を携え、男性はこの場から立ち去った。
セイラは思い出したかのようにパッとライトから離れ、先程の行動について問い質した。
「ライト! さっきのは何なの? 急にあんなこと……その、びっくりしちゃったじゃん!」
びっくりして何も言えなかったし、混乱しちゃったんだけど、とセイラは文句を続けた。ライトはばつが悪そうにしつつも、そう言えば、と話を無理矢理変えていく。
「さっきの人は?」
「え? あー……クリフさんだよ。お友達の旦那さんなの。私の友達、ウィスちゃんって言うんだけど……ウィスちゃんも私と同じ音楽家の子で、いつもはクリフさんと二人で活動してるの。でも、ウィスちゃん、今、妊娠してて、仕事を休んでて。その代わりを私が引き受けたの」
「……つまり、あの人は知り合いの音楽家ってことか?」
「そそ。音楽仲間ってやつ? まあ、知り合い程度の仲だけど。それがどうかした?」
「いや。何でもない」
そうは言いつつも、先程まで感じていたモヤモヤが消えていることに関して、内心不思議に思っていた。
いつもと雰囲気が違う彼をセイラも不思議そうに見つめるものの、ふととあることが気になり、こてんと首を傾げる。
「それよりもライト。セラちゃんは? 今の時間、一緒じゃなかったっけ?」
「…………あ、やべ。置いてきた」
「はっ!? なんで置いてきたの!? 大変、探さなきゃ……!」
セイラがどこかへ駆け出そうとした瞬間、物陰からひょこっとセラフィーヌが顔を覗かせた。
「だいじょぶだよ。すっちゃんとここにいるから」
『いるのら』
ほっと胸を撫で下ろすセイラとは対称的に、ライトはセラフィーヌと目線を合わせ、ペコッと平謝りする。
「お嬢。……置いていってすみません。それと、水泉もお嬢の側にいてくれて、ありがとう。助かった」
「うん。この後、たこ焼き買ってくれたらゆるしたげる」
不満げなセラフィーヌはむすっとしたまま、たこ焼きを要求する。ちなみに、ルーメンから預かったお金では足りない。つまり、たこ焼き代をライトが支払えという要求である。
「はい。買います……買わせていただきます」
「よろしい」
とは言うものの、やっぱり置いていかれた件はセラフィーヌにとっては不服だった。未だに不満そうにする少女に、セイラが苦笑しつつ、セラフィーヌの頭を優しく撫でた。
「まあまあ♪ きっと、ライトもわざとじゃないよ。美味しいたこ焼き買ってもらって、許してあげよ?」
「む~……まあ、お姉様がそう言うなら!」
「じゃあ、この後は美味しいたこ焼き屋さん目指そうね♪ その前に荷物まとめてくるね!」
セイラは関係者専用のテントに入り、数分もしないうちに着替えも済ませ、自身の荷物を持って、テントから出てきた。
「よぉし! 行こっか、セラちゃん」
「うん!」
二人が手を繋ぎ、ライトの前を歩いていく。
それを後ろから眺めつつ、再び水泉を剣に戻して装備し直した。その際、水泉が誇らしげに話しかけてきた。
『いーちゃ、つきびとしないから、すっちゃしたの。ほめてー♪』
「あ~……うん。偉い偉い」
『わー! ざつだー!』
「いつもだろ」
『むゆ~……あ! ねー、なんでさっき、きゅーにせいちゃんとこ、いったの?』
この質問にライトは一瞬黙る。そして、首を傾げ、「……なんでだろうな」と呟いた。



~あとがき~
ここら辺、によによしながら書いてます。我ながら、キモオタクすぎるムーブで笑う。

次回、三人で祭り回る。
次回からは好き勝手タイム(訳:私のオリジナル展開)スタートです。

作中で年齢明かしてないですが、セラさんは十一歳。(唯一、年齢明かしてる人)
ライトとセイラは十代後半くらい。
多分、現在のラルやティールとほぼ同じ年。

ではでは!