satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第365話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ブライトとセイラの若かりし頃のデート(?)風景でした。
今回は本筋に戻り、神子探しの回だ!
え、セラさんとルーメンさんの神子神楽?
……ご、ご想像にお任せします。
ラル「作者の乏しい想像力じゃ思い付かなかったんだと」
ひえん。
まあ、セイラやブライトはきちっと見てますんで。凄かったなーって思ってますんで!
ラル「そういう問題じゃないやろ」


『神子神楽』とは、女神ミルティアに感謝を捧げる舞である。
これを目当てに訪れる観光客も多い。
それ程までに、スプランドゥールの女神祭は有名であり、その祭りのメインイベントともいえる『神子神楽』が、ギルド前のステージにて披露されていた。
二人の神子の洗礼された動き、奏者らの奏でる音楽の調和に、観客達は感嘆を漏らす。
そして、普段の二人を知るセイラとライトも同様だった。
「凄いね」
「……だな」
言葉もないとはこの事なのかと思う程、今の感情を表す言葉が見つからなかった。
そんな神秘的な光景を目の当たりにした後、セラフィーヌとルーメンが高らかに宣言するのは、『神子探し』開始の合図。
神子探しのルール、禁止事項、捕まえた人に神子からの特別な祝福があること等を観客……もっと言えば、参加者達に説明した。
それらを話し終えたセラフィーヌは、大きく手を広げながら満面の笑みを浮かべ、ルーメンは力強い笑みを見せる。
「「それでは、神子探しのお時間です!!」」
親子、声を揃えて魔法を唱えれば、セラフィーヌ、ルーメン共にウサギに変身し、共に呼び出したウサギ達と街の中へと消えていった。
ウサギ達を追いかけるため、参加者達も遅れて街中を駆けていく。
──そのような光景をセイラとライトは、観客席から見ていた。
「自由参加なんだな、あれ」
「みたいだね。事前に受付しまーすとか、なかったよね? 飛び入り参加、大歓迎なのかも」
「そっちの方が祭りって感じするし、特に問題もないんだろ」
セイラはちらりとライトを見る。
やはり大して興味ないようで、ふわりと欠伸をしながら、辺りの様子を見ていた。
望み薄かなぁ、なんて思いながら、セイラはライトに『神子探し』を一緒にやってほしいと告げる。
「……なんで俺と?」
「セラちゃんに参加して欲しいって言われてたじゃん」
「言われたけど、俺は参加するなんて言ってない」
それはそうである。あれはあくまで、セラフィーヌのお願いであり、強制ではない。
ならば、とセイラは自身の本心を語り始めた。
「その……一緒に参加できたら、楽しそうかなって。いい思い出になりそうじゃない? 神子探しって、毎回あるものじゃないしさ」
「まあ、そうらしいけど」
「でしょ? それに……純粋に私はライトと参加したいなって」
「……ふーん」
やはり彼からの反応は薄い。
セイラはこれ以上何を言えば、ライトを本気にさせることができるのだろう、と思考を巡らすものの、残念なことに妙案は浮かばない。
こうなれば、いつも振り回しているように、無理矢理にでも参加させるしかないか、と思い始めた頃、ライトは無言でセイラの手を掴み、人混みから抜け出した。
「わ! ラ、ライト? 急にどうしたの?」
「やるんだろ、神子探し。なら、あそこで突っ立ってても意味ねぇよ。……こっち来い」
「! ほんと! 出てくれるの!?」
セイラの言葉にライトは無言で頷く。
二人はギルド前からある程度離れて、人が少ない開けた場所に出る。ライトは空いていたベンチに腰かけると、バッグからいくつか道具を取り出し、何やらいじり始める。
「出るつっても……今の俺、本調子じゃないから、あんま期待するなよ」
「え! そうなの!? 大丈夫?」
「大丈夫。慣れないことばっかしてたからだと思うし。……お前、端末とか連絡手段、持ってる?」
「今日は持ってないよ。ダンジョンとか行く訳じゃなかったし」
「……だよな。じゃ、ある程度、方針……作戦を決めて挑むぞ」
ライトが決めた方針は単純だった。
ライトがルーメンを、セイラがセラフィーヌを手分けして捜すこと。これだけだった。
しかし、一言に捜すと言っても、広い街中で子ウサギ一匹見つけるのは簡単ではない。
元々、索敵に自信のあるセイラだが、流石に一長一短で見つかるものではないと理解していた。
「このゲームは時間制だからな。悠長に捜している暇はない。……セイラ、これ渡しとく」
ライトが差し出したのはスポーツ用のサングラスだった。この場面で手渡してくるのなら、何らか意味のある道具なのは分かる。しかし、それがなんなのか、セイラには見当がつかなかった。とりあえず、素直に受け取ると、ライトは取り出した道具類をバッグにしまい、ベンチから立ち上がる。
「仕組みとか説明する時間も惜しいから、効果だけ話しとく。それを使えば、大雑把にだけど、お嬢の居場所が分かる。後はお前の索敵でカバーしろ」
「え、あ、うん! なんか凄いの持ってるね? ライトも同じもの使うの?」
「二つ持ってないし、そもそも親方に同じ手法は使えない。あ、それ、お嬢に教えるなよ。バレたら面倒くさそうだから」
「わ、わかった。ライトはどうするの?」
「俺はこいつらになんとかさせる」
と、ライトは自身の腰に装備されている聖剣をぽんっと叩く。
「この後、大いに働いてもらうからな。頼むぞ、水泉。雪花もな」
『あいさー! まっかせて!』
『あいあいっ! るっちゃ、つかまえちゃうよ!』
「どうやって……まさか、能力使う気じゃ!」
ライトには液体を自在に操る能力があった。それと水泉を使用し、捜索するつもりなのかと思い当たる。しかし、彼の持つ能力は彼自身、細かなコントロールができないせいで、危険なものであった。最悪、命にも関わる程に。
焦るセイラにライトは肩をすくめ、「単なる追いかけっこに、命賭けてたまるか」とため息混じりに否定する。
「この街には、水撒き用のパイプが街中に張り巡らされている。そこに水泉の力が混じった水が少しでも流れれば、あいつのテリトリーになる。……水を司る聖剣の名は伊達じゃないんだぜ?」
「は、はわ……なるほど?」
「絶対、理解してないだろ。……まあ、いいや。んじゃ、行動開始といこう。お互いの力を信じて、捕まえられるように祈ってな」
「うん……! 頑張るよ!」
二人は互いの健闘を祈るためハイタッチを交わし、各々、別れて捜索を始めた。

セイラはライトに渡されたサングラスをかけ、街中を捜索していた。
街のあちこちで、爆発音やら、参加者の悲鳴やらが聞こえてくる辺り、妨害の被害に遇う参加者も少なくないのだろう。
「爆発に巻き込まれるとか、やだよ、私~……にしても、このサングラス凄いな。マップ表示してくれるし」
単なるサングラスではないようで、これをかけるだけで、視界にマップが写り、自分が今、どこにいるのか、おおよそセラフィーヌとどのくらいの距離があるのかを教えてくれていた。
「どうやってセラちゃん捜してるんだろ、これ?」
なんて考えながら、マップの示す通りに歩いていけば、目的地に到着する。しかし、パッと見、セラフィーヌと思われるウサギの姿はない。ライトの言う通り、大雑把にしか分からないらしい。
「この先は私が捜せってね……範囲が絞られてるなら、問題なしっ!」
セイラはバッグからギターを取り出し、じゃらんと鳴らす。そして、そっと目を閉じ、意識を集中させた。
セイラの索敵は音を使った物だった。セイラに言わせれば、音には特徴があり、一つとして同じ物がない。それを一つ一つ捉え、何かを特定し、どこに何があるのか、何がいるのかを捜し当てていた。耳のいいセイラだからこそできる技とも言える。
ゆっくりと目を開く。彼女の口元には自然と笑みが溢れていた。
「……いた。セラちゃん」
ギターをしまい、代わりに弓矢を取り出して、見当のつけた場所まで一気に駆け出していった。
走り出してすぐ、数人の参加者に追われるウサギを見つける。薄ピンクの子ウサギは、その小柄な体格を活かして、巧みに捕獲の魔の手から逃れ続けていた。
「やった! みっけ♪ まずは……三連矢でっ!」
手始めに三本の矢を手にし、すかさず発射。子ウサギに当たらないよう配慮したつもりだったが、あちらも矢の音に気付いたのか、すぐ側に迫っていた参加者の手をするりと避ければ、肩に飛び乗り、セイラの矢からも逃げていく。
「だよね~……さて、と。どこに行こうか」
逃げる子ウサギを追いかけつつ、視界に写されるマップを眺める。すぐ近くに追い込めそうな路地があり、幸運にも、そこは行き止まりだった。そこへ追い込めば、子ウサギを捕獲できそうだ。
「──よし、やりますか!」
捕獲するために、まずは他の参加者と差をつける必要がある。せっかく追い込んだのに、横取りされる……なんて展開は、望んでいないからだ。
セイラはバッグから煙玉を数個、取り出し、参加者達の頭上に投げる。そして、すかさず、矢で煙玉を全て射る。すると、パンッと彼らの頭上で煙玉が弾け、広範囲に濃い煙が立ち込める。
普通なら、セイラの視界も悪くなるところだが、今の彼女にはライトからもらったサングラスがある。
「ふっふふ~ん♪ これにも見通し眼鏡と同じ機能があるの、見逃してないよ! 私っ!」
それを使って視界を確保したところで、参加者の間を縫って、子ウサギへと迫っていった。目星をつけた路地に誘導するように矢をいくつも放ち、子ウサギの行動を制限していく。そして、子ウサギはセイラの思惑通り、路地へと曲がった。その先が袋越路である路地へ。
「入った! 作戦通りだ♪」
路地へと追い込まれた子ウサギだが、まだ諦めてはいない様子で、放置された木箱やゴミ箱を足場にして、逃げ出そうと試みる。
しかし、それもセイラの予想通りである。
子ウサギが足場にしようとしている物に矢を放ち、そちらへ行かないように捌いていく。
そして、最後の仕上げと言わんばかりに照準を子ウサギの足元に合わせた。
「これで終わり」
目にも止まらぬ早さで飛んでいった矢には、子ウサギの足を奪うためのとりもちのような粘着物を取り付けておいたのだ。
子ウサギはセイラの思惑通り、それに足を取られ、ぴたりと動きが止まってしまう。
「つっかまえた♪」
セイラは子ウサギの足に纏わり付くそれを丁寧に取り、そっと抱き上げる。そして、サングラスを外し、にこっと笑った。
「セラちゃん、だよね?」
「……」
子ウサギはするりとセイラはの腕から抜け出すと、一瞬、まばゆい光に包まれる。その光の中から現れたのは神子衣装に身を包む、セラフィーヌの姿があった。
「だいせ~かいっ! 流石、お姉様♪ セラも頑張ったのにな~? お姉様の弓捌きに負けちゃった」
「セラちゃんもなかなかだったよ。小さな体を活かして、あちこち逃げるんだもん。誘導するの、大変だったんだよ?」
「えへへ♪ お父さまと逃げる練習いっぱいしたからね! えと、あとはお父さまが残ってるのかな? んもう、ライトくん、何してるんだろ」
「ふふ♪ 相手はルーメンさんだもん。一筋縄じゃいかないんじゃないかな」
「ん~……それもそっか♪」
セイラはライトが向かったはずの方へ目を向ける。仮にルーメンが捕まったのなら、何らかのアナウンスがあるはずだ。それがないのなら、まだ『神子探し』は終わっていない。
「ライト……信じてるよ」



~あとがき~
すまん。ここまで描写するつもりはなかった。楽しくなってしまってな、ブライト側が入らんかったのや。

次回、ライトVSルーメン(ウサギ)!
神子探しの行方はいかにー!

セイラのメイン武器は弓。つまり、ティールの華麗な弓捌き(エイム力とも言うかもしれない)はセイラ譲りです。
ティールの戦闘スタイルって、二人のいいとこ取りしたような感じなんですよね。剣の腕のよさはブライト譲りだし、狙いのよさはセイラ譲り。
とはいえ、彼のアイデンティティは二刀流、双剣使いってとこにあるんですけどね~

ではでは!