satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

気ままな神さま達の日常記録 vol.15

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっています。
さっと登場人物の紹介からいきましょう。さっとね。さっと。



☆さくっと登場人物紹介☆
アルフ:転生の神様であり、従者ミィの旦那様。普段からのほほんとしたお方。

ミィ:アルフに仕える蒼い目をした白猫であり、アルフの奥様。念力である程度のことはできちゃう。

フォース:制御者の一人。普段はステラの制御者として、あれこれ世話を焼いているし、天界でも何かと世話をしてる。

鈴流:フォースの持つリボンの付喪神であり、フォースの奥様。好奇心旺盛であり、やると決めたらやる。

エレル:制御者の一人。真っ直ぐで素直な猫耳少女(の見た目をしてるだけで、実年齢は少女じゃない)。多分、今回の一番の被害者。





★ドキドキ!? 天界クッキング★
ここは天界。様々な神が住まう世界。
今日も今日とて、変わらず、平和な世界で、おれは廊下の中心で、何かをせがむような鈴流にしがみつかれていた。
「ねぇー! フォース!? いいでしょー! ぜーったいに迷惑はかけないから!!」
「はぁ? どの口が言ってんだ。お前、ここがどこだか分かってんの?」
そう問われた鈴流は一度、辺りをぐるりと見回し、不思議そうに首を傾げる。
「どこって……天界でしょ?」
そうだねぇ、天界だねぇ?
「ここはお前以外の神も住む、神聖な場所だ。そんなところでお前は今、何したいっつった?」
「お料理がしたいって言った!」
おれの話を聞いていたんだろうか、この娘は。
謎に自信に満ち溢れた顔をして、さも、できて当然だろ、みたいな雰囲気を出している。いや、ほんと、なんでこんなに自信満々なのだろうか。
おれはこめかみを押さえつつ、ちらりと彼女を見下ろす。やっぱり満面の笑みだし、やる気満々である。
「……何を作るつもり?」
「内緒!」
「お前一人で作れるの?」
「ん~? 分かんない! でもね、ラルちゃんに簡単なお料理の……れしぴ?……を教えてもらったから、大丈夫だと思うっ!」
どこからその自信は出てくるんだよ、マジで。
「だからね、フォースの手助けなしでやってみたいんだ~♪ いいでしょ?」
「ラルからは、お前を一人でキッチンに立たせんなって聞いてたんだけど?」
いつだったか、おれの知らないところで、ラルと鈴流は何度か、料理をしていたらしい。
鈴流はおれの力がなければ、実体を保てないが、魂の波長が合う人に憑依することで活動は可能だ。身近な人物で言えば、ラルがその対象にあたる。
だから、正確に言えば、料理したいと鈴流がラルにお願いして、ラルが体を貸し、料理に挑戦したという経緯らしい。
そんなラルからの助言だ。実際、その時に何かあったのか、想像に難くない。
「ほあ……? ちゃんと作れたけどな。前にした時は、ティール君とだったけど、なーんにもなかったよ?」
絶対に嘘だ。何もなかったら、ラルがわざわざ、おれに「一人で立たせるな」なんて、言うはずがない。
しかし、逆に言えば、『一人』でなければ、妥協しても言いとも言える。監視役というか、指南役というか。それをおれができるんなら、料理させてもいいんだけど、鈴流はおれとやりたくはないらしい。
「例えば……そうだな。手、出さないから、おれが後ろで見てるのは?」
「だめー! だって、そこにいちゃ、内緒の意味がないよ。フォースには内緒にしたいんだから!」
「あぁ……うん。そうなんだ……?」
さっきから、内緒、内緒と言っているが、おれに料理したいっつーのは、内緒の範疇じゃないんだろうか。おれに堂々と言ってるのは、何なんだろうな。
おれはため息をつきつつ、引っ付いて離れない鈴流を無理矢理、引き離した。
「とにかく、不安要素がある以上、お前一人で料理なんてさせられるか。諦めろ」
「えー! やだやだー! ぜーったい、やるの! やりたいのっ!」
「はあ!? ガキか、お前!?」
こうなってしまった以上、鈴流はなんとしてでも、自分の意思を貫こうとする。それがどんなに理不尽な方法だとしても。
鈴流は本当に子供みたいに頬を膨らませ、頑なに引こうとしない。こういうところは本当に子供っぽい。
おれじゃない誰かと一緒なら、鈴流も納得するんだろう。しかし、それを受け入れてくれる且つ、鈴流が何かやらかしても対処できるような人なんて……
「あれ、フォースくんに鈴流ちゃん? こんなところで、どうしたの~?」
「にゃあ?」
……あ、アルフ様。それにミィも。
たまたま通りかかったのだろうか。大量の資料を抱えたアルフ様と、そんなアルフ様の足元にミィが、こちらへと近寄ってくる。
「ほわ! アルフ様、ミィちゃん! お久しぶりです♪」
不機嫌そうな表情を浮かべていた鈴流がパッと笑顔を見せ、ミィを抱き上げる。そんな鈴流に、ミィも嬉しそうに彼女の頬にすり寄っていた。
「確かに。フォースくんとは、ちょこちょこ会ってるけど、鈴流ちゃんとは久しぶりだね~♪」
まあ、鈴流はあまり表に出てこないし、アルフ様と会うタイミングもなかったし。
アルフ様は何もない廊下をちらっと見て、こてんと首を傾げる。
「それで、こんなところで何してたの? 遠くからだったから、よく分かんなかったけど、言い合いしてた? 喧嘩?」
「え? あぁ、いや……そんなことは─」
「にゃにゃ!? にゃあーんっ!」
鈴流にじゃれていたミィがキッとおれを見上げて、何かを叱るように声を上げる。多分、喧嘩は駄目とか、そういう意味合いだろう。
「してねぇよ、喧嘩なんて」
「にぃ……?」
「なんでそんな疑われてんだ、おれ」
そこまで信用ない? なんで?
鈴流が苦笑しつつ、ミィを諌めるように優しく撫で、ニコッと笑う。
「だいじょぶだよ、ミィちゃん。私とフォースは喧嘩してないからね~♪」
「にゃ……」
鈴流が弁明してくれたが、まだどこか疑いは晴れていないようで、じとーっと見つめてきている。
これは一から説明するべきか……
おれは事の顛末をアルフ様とミィに説明した。それを聞いた一人と一匹は、納得したように何度も頷いた。
「つまり、鈴流ちゃんは料理がしたいけど、フォースくんは反対してるんだね?」
「まあ、そんなところです。鈴流は生前から、今の今までを通して、家事なんてやったことないですから。そんな奴をキッチンで一人になんて、させられませんよ。絶対に事故ります。恐らく、ここが爆発するかも」
「ひっどーい! 爆発はしないもん!」
「爆発『は』!? ってことは、爆発以外はありえるかもしんねぇのかよ」
「えっ!? し、しない……よ?」
「どもるな。キョロキョロすんな」
過去の料理で爆発はなくとも、他の事故は起こしてるって証拠だろ。その時、ラルやティールに何があったかなんて聞いてないけど、聞いとくべきだったかな。
「……鈴流ちゃんは、フォースくんの助けは借りたくないんだっけ?」
「はい! 内緒で作りたいので!」
「本人の目の前で、内緒で作りたいので、とか言うな。つか、なんでおれに『内緒』なんだ?」
「んと、憧れなの。ほら、よくあるでしょ? 愛する夫のために、妻が愛の手料理を振る舞う! ラブラブ夫婦の日常がしたくて」
よくあるのか? というか、そもそも、おれもお前も、食事を必要としませんが……?
「むぅ~……そういうことじゃないの。気持ちだよ。きーもーちー!」
「あ、そう……? 気持ち、ねぇ」
「カッコいい王子様と結婚したいと同じくらい、女の子の憧れだよ!」
「え、あ……そ、そう、なんだ?」
鈴流の憧れポイントが分からん。
鈴流の話を静かに聞いていたミィが、同意するように大きく頷く。
「わ~♪ ミィちゃん、分かってくれるの? じゃあ、私と一緒にアルフ様のためにお料理する?」
「にゃ~! にゃにゃにゃっ!」
鈴流の提案に目を輝かせ、何度も頷いた。ミィもやる気満々のようで……いや、それはまずくない?
「おや、珍しくミィが乗り気だね~♪」
「さっき、一人じゃ危ないからって話をしてたんですが!? そこにミィは駄目でしょう!?」
「えー? でも、やる気満々だしな~? ねぇ、ミィ?」
「にぃ~」
おねだりするように、大きな蒼い目をうるうるとさせ、甘えた目でアルフ様をじーっと見つめていた。こうなってしまうと、アルフ様はミィに弱いから、アルフ様はミィにやめるよう説得なんてしない。つまり、おれの味方は誰もいないってことだ。
もうこの際、やめさせるための説得なんてしないから、せめて、監督者を見つけなければ。この一人と一匹だけで、料理なんかさせられっか。ミィになんかあったら、アルフ様に怒られるのはおれだろ、これ……?
それだけは絶対に阻止せねば。兄貴やマスターみたいになりたくはない!
「あ、アルフさまー! こんなところにいらっしゃったのですね!」
「? ありゃ、エレルちゃんだ。どしたの~?」
大きく手を振りながら、こちらへと走ってきたのはおれの仲間の一人、エレルだ。彼女はいくつかの書類を抱え、アルフ様に手渡す。
「ウィル様からのお使いで来ました! 頼まれていた書類だそうです♪」
「わー! 流石、ウィルくん。ファウスさんと違って、仕事が早い♪ エレルちゃんもわざわざ、ありがとうね?」
「いえいえ~♪ ゆ? どしたの、フォース? 私の顔に何かついてる?」
「見つけた」
「? 何を?」
おれはエルから目線を外し、鈴流に移す。鈴流は不思議そうに首をかしげる
「なぁに?」
「おれ以外と一緒ならいいか? それなら、許してやるよ」
「! うんっ! それなら、だいじょぶ!」
よし。なら、今度は……
おれはエルに向き直り、がしっと肩を掴む。
「エル、折り入って頼みがある」
「う、うん? 何かな?」
大丈夫。なんにも難しいことはないから。



~あとがき~
今年も始まりました。年一の特別企画。

次回、エレルまでも巻き込み、料理大会開催。
ゆーて、ストーリーテラーのフォースは蚊帳の外なので、なんにも分からん。

鈴流が天界組と絡むのは、これが初めてですね。彼女は付喪神なので、一応、天界組に属します。しかし、普段はフォースの持つリボンの中で、大人しくしてるので、あまり出てこないんですけどね。
そんな彼女、家事全般苦手です。
本編にはありませんが、過去に二度、ラルやティールを巻き込み、やらかしてます。いつかそんな日常話が本編にもあるかもしれません。

ではでは。