satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第376話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルとティールがダンスしましたー!
今風で言うと、社交ダンスってやつですね。
……いや、今風なのか分からんけど!
今回はなんか事件が起こったり、起こらなかったりします。
ラル「さっき起こったばかりですけど!?」
あーあーあー! 何にも聞こえん!
始まります!!


《L side》
二曲目が終わるタイミングで私達は中心を離れ、ほっと息をつく。
「お疲れ様、ラル」
ティールもね。フォローしてくれてありがとう」
「いやいや! そんなの気にしないで! こっちが巻き込んだようなものだし、ぼくの方が慣れてるし。フォローするのは当たり前って言うか……こういうの、男のぼくがリードするものだから」
そうは言うけど、ティールが相手だったからこそ、大きな失敗もせずに踊りきれたのではないかと思う。ど素人をパートナーにして、あそこまで普通に見せるのは容易ではないと思うし。
つまり、元々ティールのスペックが高いってことだ。
「やっぱ、ティールは王子様なんやな」
「……? 何の話?」
いえ、こちらの独り言です。
「二人とも、とーってもよかったですよ~!」
「わっ! は、母上!」
私達の背後からひょっこり現れたのは、ニコニコ笑顔のセイラさんだった。パートナーであるはずのブライトさんの姿はなく、セイラさん一人しかいないらしい。
「父上はどうしたのです。このような場で一人になるなど、父上が許すはずが」
「あの人なら、親しい貴族数人と難しい話をしているところです。私がティールとラルちゃんに挨拶してくると離れたんですよ。もちろん、了承済みです!」
ブライトさん!?
私、こういう場のルール分からないけど、ありなんですか……? ありだとしても、一国の王妃を一人にさせるのは、まずくないです?
……なんて思うけど、セイラさんも元冒険者みたいなものだ。その辺の温室育ちの方々より余程、腕が立つのは明白である。その辺も考慮して、ブライトさんは了承したのかもしれない。
そして、ティールも同じようなことを思ったのだろう。苦い顔をしつつも、半ば諦めたような形でため息をついた。
「……父上に断っているのであれば、私からは何も言いません。それで、何か御用で?」
「はい。ティール、私と一曲踊りましょう♪」
「……なぜ、私と?」
「私がティールと踊りたいからです。二曲目以降は、好きな方と踊っても問題はないでしょう? まあ、二曲三曲、旦那様以外の方と踊るのは、あまり印象はよろしくはないですけれど、私とティールは家族ですから♪ 周りの印象なんて、気にする必要もありません」
要するに、ティールと踊りたくて、私達に近付いたんだな。普段、そういう機会ないから。
ティールは、明らかに嫌そうな顔をしているものの、それくらいでセイラさんが諦めるはずもなく。
「さあ、行きましょ~う♪」
「うえ!? あ、えと、ラ、ラル! 先にツバサ達のところに戻ってて大丈夫だからね!」
セイラさんに腕を引っ張られながら、再び、ダンスフロアへと戻っていったティール。そんなティールを私は、黙って手を振って見送った。
ティールには戻ってもいいと言われたが、せっかくだし、少しだけ、二人のダンスを見ていこうかな。
フロアの中心へ辿り着いた二人は、慣れた様子でステップを踏み始める。
ブライトさんと踊っていた時のセイラさんは、可憐で優美な印象があったけれど、ティールとは楽しげな雰囲気を感じる。とはいえ、周りにはきちんと溶け込んでいるので、特別、目立っているようには見えない。
見えないけど、王子と王妃が踊ってるってだけで、注目の的なんだよなぁ……別の意味で目立っている気がする。
「失礼。少しよろしいかしら?」
「? はい……?」
聞いたこともない声に呼び掛けられ、そちらを振り向く。すると、そこには数人のお嬢様方がいた。全員が煌びやかなドレスを身に纏い、身につけているアクセサリー、一つ一つも高価なものだと窺える。つまり、この国の貴族なのだろう。
そういえば、ティールを見つめる軍団の一つに彼女らもいたような気がする。もしかして、ティールと一曲、踊りたかった人達なのかもしれない。そうだとしたら、少々……いや、かなり面倒な気がしてきた。
「先程、殿下と踊っていたのは貴女?」
「えぇ」
なんで貴女みたいな人と、とでも言いたげである。彼女視点、見たこともない女が殿下と踊るなんて……と言ったところだろうか。うん、そら、そうなるわな。
さて、何て言えば丸く収まるんだろう。……まあ、私の経験から言えば、このタイプは何を言っても、収まらないような気がしてるけど、何か言わないと面倒だ。当たり障りない感じで返答するか。
「僭越ながら、ツバサ様の代わりをさせていただきました。今回、ダンスに参加される方々とツバサ様では、体格の差がありますから」
「そうでしたの。……ですが、あのような粗末なダンスで、よく殿下のお相手として、踊れたものですねぇ」
「それについては返す言葉もございません。私にはダンスの心得がなかったもので、お見苦しいところをお見せしてしまいました」
「まあ。あれがお粗末で幼稚だとよく分かっていらっしゃるのね」
えぇ、よく分かってますけども?
ダンスに慣れた皆様からすれば、あれが目にも当てられない程、超下手くそだったのは、本人が一番、自覚してますが、何か!!??
……なんて叫べたら、なんて楽なんだろう。いや、叫んだところで、こういう人達は、それすらも嘲笑してくるんだろうな。
まともに話を聞くだけ無駄だと判断した私は、ここら辺から適当に相槌を打つマシーンになると決めた。なので、お嬢様方が何を言っていたか、あまり聞いてない。
とりあえず、私のことを馬鹿にしたいのと、ティールの相手はお前なんかに任せられんのと、ティールと踊った私に対する妬み等々を語っていたように思う。……多分。
「……ラル様? もう皆のところへ戻られたと思っていましたが、どうかされました?」
「え……あ、ティール……さ、ま?」
無になって話を聞いていたせいで、王子モードのティールが帰ってきていたことに気が付かなかった。隣にセイラさんはいないので、ブライトさんのところへ送り届けたのだろう。
ティールは自分の背に私を隠すように立ち、お嬢様達の前に出る。その行動に腹を立てる……でもなく、突然現れた王子にお嬢様達の目はハートに変わった。
ティール様!」
「貴女は……スーベル家のご令嬢」
ティール様に覚えていただけているとは、光栄でございます」
「貴女のお父上には、お世話になっていますから。是非、これからもこの国のため、助力を願いたいものです」
「勿体無いお言葉ですわ。父にもお伝えいたします」
ティールが来て、彼女達の興味は完全に彼に移ったらしい。当然と言えば、当然だ。元々、彼女らはティールとダンスをしたかったのだから。
今も、どうにかしてティールを誘いたいオーラが滲み出ている。しかし、自分から誘うのはマナー違反なのか、単なるプライドなのか「私をダンスのお相手にどうか」とは口にはしない。
それを知らないティールではないとは思うが、彼は小さく会釈し、背後で私の手を取る。
「では、私はこれで。よい夜を」
「で、殿下!」
「申し訳ありません。これ以上、誰かと踊るつもりはないのです。例え、先程のダンスの出来が悪くとも、私は満足してますよ。彼女を選び、誘ったのは私ですから。……もとより、満足してなくとも、私は貴女達と踊るつもりはありませんが」
ティールの空気がひやりとしたものに変わる。私はそれの正体ををよく知っていた。
……怒ってるわ、こいつ。
「他人を蔑み、嘲笑するような方とは踊れなければ、仲を深めたいとも思わない。……もし、私の相手をしたいのなら、行動を改めることをお勧めします。改まったところで、相手をする保証はありませんが。……では」
何か言いたげのお嬢様達をよそに、ティールは私の手を引いて、その場を立ち去った。
彼女達から少し離れた辺りで、私はティールの名前を呼ぶ。すると、彼はいつもの笑顔を浮かべながら、こちらを振り返った。
「よかったの、あんな風に言っちゃって……?」
「いいよ。ラルを……他人を馬鹿にするような人と仲良くしたくないから。それにあそこの家とは別に仲良くもないし」
「そう、なの?」
「うん。……ま、一応、後で父上には報告しとく。……それより」
と、ティールはピタリと立ち止まる。そして、心配そうな表情を見せ、不安そうに私を見つめてきた。
「ラルは大丈夫? 嫌なこと言われてたよね……? あ! 何かされてない? 嫌がらせとか、怪我……は、なさそうだけど」
「……あはは♪」
「え、な、何? 笑うところあった?」
「ううん。いつものティールだなって思っただけ。なんだろ、なんか安心しただけだよ」
「……ごめん、ラル。ぼくが君を」
「それは言わない約束だよ。ダンスするって決めたのは私。それに……」
ティールのパートナーは私だけ、と言いそうになって、口を閉じる。これをこの場で口にするのは、少々……? いや、かなりそれっぽく聞こえてしまう気がしたのだ。
柄にもなく、顔が赤くなるのを感じる。何を意識しているのだろう、私は。
「? それ、に?」
「あ~……と、そう。ティールは私の相棒だから! ティールが困ってたなら、助けるのが相棒の役目だもん」
「あぁ、なるほど。……うん、そうだね」
「そうそう。だから、これ以上の言いっこなしってことで! ってことで、助けてくれてありがとう」
「ふふっ……うん。どういたしまして」
私とティールは二人でツバサちゃんとレオン君のところへ戻り、残りの時間を楽しく過ごした。
挨拶回りというお仕事を終えたブライトさんとセイラさんと合流し、私達はパーティー会場を後にしたのだった。



~あとがき~
最後は適当だけど、特にイベントもないから仕方ないよね!!←

次回、新たな事件(?)の香り……!
海の国編、一番の長編話しになる予感が凄い。お楽しみに!

このパーティー話、なんか知らんけど、色んな人が怒ってたなぁ……なんでやろ?

ではでは。