satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第377話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、色々ありましたパーティー編が終わりましたー! いえーーーい!
今回からはまた新しい話です。わいわい。


《L side》
昨夜、怒涛のパーティーが終わり、私の癒しであるしーくんを抱き締めて就寝しました。
そして、今、現在。
なんかもう、習慣になってしまった早起きで、時間が余りまくってるため、適当に王宮内の散歩をしています。
この前は、騎士団の人達の練習風景やら見かけたけれど、今日はそんな声も聞こえてこない。もしかすると、彼らの練習場所から、私のいる位置が遠いのかもしれない。あるいは、純粋に練習がお休み……な訳がないな。あの二人が監督ですから。
くだらないことを考えつつ、人気のない廊下を歩いていると、ちりんと鈴の音が聞こえてきた。
「……? 誰かいますか?」
とは言ってみるものの、人の気配はない。
もし、ここが住宅地か何かで、風が吹いて、風鈴や鈴が鳴っただけなら、気にも止めないのだけれど、ここは王宮の廊下だ。独りでに鈴が鳴るような場所は、どこにもない。
どの辺から聞こえてきたのだろう。はっきりと方角は分からなかったが……音的には後ろからではなく、前の方だったように思う。そして仮に、姿が見えないのなら、角を曲がった先に音の正体があると考えるのが妥当か。
ま、どうせ暇だし、辿ってみるか。
廊下を少し進んだ先にある曲がり角を曲がってみれば、真新しい白い封筒がぽつんと置かれていた。
「……落としたにしては、丁寧に置かれてるな。向きも揃ってるし」
封筒はきちんと封がされているものの、宛名があるわけではない。拾って裏表確認してみても、真っ白。ただ、紙以外の何かが入っているのは、封筒の厚みで分かった。
「誰かの落とし物だとしても、名前もない。……かと言って、誰かに宛てた手紙だとしても、誰宛てかも分からない。……能力使おうにも、一人じゃ発動できないし、ティールのとこに行くしか─」
『さがして』
突然、耳元で女性の声が聞こえてくる。
その声に慌てて振り返ろうとするものの、体が全く動かなくなっていた。世間一般でいう、金縛りというやつだろうか。
それにしたって、何かしらの気配を感じてもいいはずなのに、何も感じられなかったのはなぜなんだ。それらしい何かも感じなかったのに。
体は動かなくとも、頭は働くし、五感もまあ無事である。
……だからだろう。
私の両肩に手を添えられた感覚もきちんと伝わってきた。もし、ティールが同じ目に遭っていたら、失神してるだろう。
よかったな、私が相手で。
『さがして。カギは、ぼうけんのしょにねむっている。それはきっと、あのこ……かわいいおうじさまがみつけてくれる。──さがして。みつけて』
「さが、すって……あなたは、だれ?」
どうやら、人は金縛りにあってても、話せるらしい。もしくは今回限りか。
声の主は私の問いには答えず、触れられていた感覚が消失すると共に、金縛りもふっと解ける。それと同時に後ろを振り返るものの、そこに『何か』はいなかった。
残されたのは床に置かれたままになっている、何かが同封された白い封筒のみ。
ぼうけんのしょ……それと、可愛い王子様、か」
私は封筒を拾い上げると、その場を立ち去った。

朝食の時間。
毎度、お馴染みメンバーで食堂に集まり朝食を食べていた。皆、各々近くの人と楽しそうに談笑しながら過ごす朝は、最早、見慣れた光景になっていた。
あの出来事の後も、王宮内を適当にふらついてみたものの、もう一度、不思議体験に遭遇することはなかった。
「……そういえばさ、不思議な夢を見たんだけど」
「夢?」
私の隣のティールが首を傾げる。しーくんも気になるらしく、パンを食べながら、こちらを気にかける素振りを見せる。
「そ。妖精さんと謎解きして遊ぶ夢なのかな? そこで何もいないのに、鈴の音が聞こえてきて」
「なんだか楽しそうな夢ですね! 猫さんがなぞなぞを持ってきてくれるんでしょうか?」
対面に座るツバサちゃんが明るい笑顔を見せながら、にこやかに話し始める。
私の話に猫なんて出てこなかったのに、なんで急に猫……?
「? だって、鈴の音がしたんですよね? 猫さんって首輪に鈴つけるイメージあるから、そうなのかな~って!」
「確かにぽいよな~? んで、ラルは夢で猫から謎、貰ったのか?」
「うんにゃ? 振り返ってもだ~れもいなくて、そこで目が覚めたから、謎は貰ってないかな?」
夢でなくていいのなら、それっぽいの貰いましたけど……とは、流石に言わなかった。
「ありゃ、そーなの? ボク、ねこさんとなぞなぞしたかったなー」
「お? じゃあ、この後、俺らとなぞなぞで遊ぶか!」
レオン君の提案にしーくんはパッと顔を輝かせ、何度も頷いた。
対するツバサちゃんは何とも言えない表情を浮かべ、レオンをそっと見上げる。
「レオン? なぞなぞはいいけど、猫の再現まではしなくていいからね?」
「え~? いらない? 猫」
「いらないっ! 猫さんじゃなくて、虎さんが出そうだから。レオン、ただでさえ、魔力コントロール悪いんだもん。危ないのは禁止ですっ」
どうやら、魔法関係の信頼度は低いようで。
「たは~♪ みたいだな!」
レオン君のノーコン話は置いておくとして。
直近で、私と似たような経験を彼らはしていないらしい。仮にしていたら、似たようなことがあって~ってなりそうだもん。
「……? ティール?」
私達の話に一切入ってこなかったティールの様子を伺えば、彼はどこか落ち着きのない様子だった。
そして、ずっと静かだったセイラさんとブライトさんもどこか思い当たることがある様子だ。
「お三方、どうかしました?」
「ほえ? もしかして、猫さんがなぞなぞ持ってくるお話があるんですか?」
「いえいえ♪ 私が引っ掛かっているのは、鈴の音の方です。ブライトもでしょう?」
「あぁ。確かに、誰もいないはずの場所から鈴の音が聞こえる……だったか?……王宮内で度々、聞く話であるんだよ」
おおっと? まさかの学校の七不思議ならぬ、王宮の七不思議的なやつだったのか、あれ。
「ほ~う? ラルの夢の元ネタってことか……? 詳しく聞いてもいいっすか?」
「ふふ。私はいいですよ~♪ 数年前から噂される話なんですけど」
セイラさん曰く、どこからともなく鈴の音が聞こえるが、どこを探しても音の正体らしきものは見当たらない。鳴らしているであろう何かがいるわけでも、鈴自体もないらしい。
「……この王宮は、古くから残されている建物の一つです。なので、こういう不思議話が広まるのは、不思議でもないんですけれどね」
「如何せん、最近聞くようになった話だ。古来から伝わる怪談話とはまた違うのではないか、と個人的には思うのだがね」
「古来からね~……昔から語り継がれる話ではないってことっすか。……そもそも、その手の話、ここにはあるんすか?」
レオン君の疑問にブライトさんは数秒間考えた後、こくりと静かに頷く。
「否定はしないよ。私は信じない質だが」
おうふ。ブライトさんらしい返答だなぁ……
「まあ! それはブライトが鈍感だからなのでは?」
「……関係あるか、それ?」
「アンちゃん達が言ってました。誰もいないはずの部屋から人の気配がするって! でも、誰もいないんですよ?」
「? 誰もいない部屋に、誰かいたらおかしいだろう。不審者が紛れていることになる」
「んもー! そういうことじゃないんですっ! 誰もいないのに気配がする。それって幽霊がいるって話になるでしょう!」
「ならん。まずは不審者だと疑え」
話の流れが謎の鈴の音から、幽霊話にシフトチェンジしそうだ。それはそれで面白いから聞いてみたい気持ちはあるが。
しかし、それを許さないのが怖がりな私の相棒である。
食事中だというのに、ティールは勢いよく立ち上がり、セイラさん達の方をキッと睨む。
「なんで朝からそんな話を始めるのですか!」
「そ、そうですよ! ゆ、ゆゆ、幽霊、なんているわけないですって!!」
ティールが乱入するのは予測していたけれど、ツバサちゃんもか。……もしかして?
「ツバサちゃん、幽霊、駄目なの?」
「だ、だって、怖いじゃないですかー!」
あらあら……♪ 普段から垂れ耳な狐耳が更にペタンコになるまで下げちゃって……可愛いなぁ♪
「……あぁっ! あんなところに知らない人影が!」
「ぴゃーーーー!!!???」
ふわふわ尻尾をぶわっと逆立たせ、隣に座っていたレオン君に抱き着き、ぷるぷると震え始めてしまう。よくないのは分かってるけど、とても可愛い。大変可愛らしい。
……ついでに私の隣のティールも盛大にビビってるけど、こっちは別に可愛くはないです。
ちなみに、うちの天使ことしーくんは、怖い話を怖がる素振りはなく、幽霊とかも平気なご様子。美味しそうにパンを頬張っております。それはそれでとても可愛い。
「ラル!? 君が言うと、冗談にならないから!」
「あっは♪ 安心して? 冗談だよぉ~♪」
「冗談じゃなきゃ困るからっ!」
ビビりまくるティールを見て、レオン君はツバサちゃんを撫でつつもニヤリと笑う。
「おやおや? ティールも幽霊とか怖い話、駄目なんだぁ~?」
「うるっせ!!」
今後、レオン君のいじりネタに追加されそうだな。幽霊ネタ。
「そう言えば、ティール。お前も聞いたんじゃなかったか? 数年前に鈴の音とやらを」
……おや?
私達がぎゃーぎゃー騒ぐ中、ブライトさんが気になることを口にする。それにセイラさんも反応を示し、小さく首を傾げた。
「あら、そうなのですか? 私は初耳です」
「なんだ。セイラには言っていないのか」
「その言い方はなんだか嫌ですね~? 私の方がティールのこと、知ってますよっ!」
「は? 何の話だ」
うん。本当に何の話だろ。
ティールはブライトさんの突然の暴露(?)になぜか顔を赤くして、慌て始める。
「わーー! 父上! い、今更、その話を蒸し返さないでくださいっ! いつの話をしてるんですっ!」
「? 確か、お前が十になる前で……」
「わーわーわー! だから、真面目に答えなくていいよっ!?」
「む。すまん」
ティールが遮ったせいで、彼が過去に聞いたと思われる鈴の音の話は聞けず終いだ。
……私の聞いたあれも、数年前から噂されてやつで、その正体と思われる声を聞いたとなれば、突き止めるべきでは?
突き止めた方がティールも安心するっしょ。……多分?



~あとがき~
いやぁ、始まりました。
まだ○○編とは言えないのですが、長くなることだけは確定してます。(前回も言った)
長くなりますが、お付き合いくださいませ。

次回、ラルとティールと謎の封筒に迫る。

私がずーっとやりたいなぁと思っていた話の一つです。ようやく形にできてよかった。しばらくこの話が続くのでお付き合いいただければ幸いです。
ちなみに、ブライトがちらっと肯定してましたが、王宮には王宮七不思議なるものが存在します。その一つに謎の鈴と人影もあります。
別に王宮七不思議を解明する話じゃないのに、なんで七不思議なんて考えたんやろね……←犯人

ではでは。