satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第381話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルとティールはサフィアの部屋にお邪魔し、『ぼうけんのしょ』と謎の石を発見したのだった!!
そんなところで終わってます。一体、いつになったら話が進むのやら?
まあ、ゆったりとお楽しみください。


《L side》
私は手帳を手に取り、ページをパラパラと捲っていく。そこには綺麗な字で、幼いティールと巡っただろう冒険の日々が綴られていた。
あるページには『今日は南の部屋で宝探し。たくさんの箱の中から古びた布切れを見つける。昔の王様のマントかしら?』と書かれている。
また別のページには、『今日は秘密の通路を潜って物置部屋の冒険。昔はアズが隠れ家にしていたのだけれど。誰かが片付けちゃったのね。綺麗に片付けられていたわ。』なんて、書いてあったり、他のページには、『ありきたりだけれど、今日は中庭の散策。あの子はたくさんの宝物を見つけたみたい。たまには外に出るのも楽しいものね。』と、冒険っぽくもないような冒険の内容が書かれている。
他愛ない日々の日記みたいな内容だけれど、どれも楽しそうな光景が目に浮かぶ。きっと、当時の二人も楽しかったに違いない。
手帳を読み進めていく中で、手紙の字と手帳の字が酷似していることにも気付く。だが、それを今、口にしてもいいことはないので、黙っておくとして。
ティール。時々、秘密の~って文言が出てくるけど、これってどゆこと?」
「うん? その通りの意味だよ? どれも簡単な仕掛けを解くと行ける場所なんだ。隠しスイッチを押すとか、決められた順番で家具を動かすと現れるドア……とか」
なんともまあ、古典的な仕掛けに溢れてらっしゃる。ここが古くから存在するってのも関係あるのかもしれないが。
「ぼくも把握しきれないくらいあるよ。それくらい、昔は重宝してたのかもね?」
……ふーむ。なるほど?
歴史の話になるが、昔は戦争やら、内政改革とかであれこれあったらしい。その時に活用していたのだろう。
脱出するための通路だったり、追手から隠れるための部屋だったり。今では活用する必要もないのだろうが。
ティールの話を聞きつつ、手帳を確認していると、とあるページで目が止まる。
『透明な羅針盤を持って、光なき道を辿れ。さすれば、次なる証を授けよう』
今までとは異なる文体。どこかの冒険の記録とは思えない内容だ。けれど、字体はサフィアさんのもの。
「……光なき道? どこだろ」
「透明な羅針盤……透明なものってこれしかないけど」
手帳と一緒に保管されていた楕円形の透明な石。これが羅針盤なのだろうか。
しかし、手にとって見てみても、何か不思議な力を感じる……わけでもなく、ただの石なんだよな。何かを示してくれるような感じはないが……? ん、いや、待って?
「これ、さっきの金具に合いそうかも……?」
「そう言われると、ちょうどいい大きさか。試してみる?」
そうだね。やってみて違ったら考えよ。
私は石をティールに手渡すと、彼は手紙と一緒に入っていた金具に合わせてみる。すると、カチッとぴったりはまる音が聞こえた。
「お。ブローチの完成……だけど」
「……これのどこが羅針盤なんだろうな?」
マジそれな。
ティールはブローチにはめられた石をじっくり観察し始める。私から見れば、単なる石でしかないが、彼の知識ならもしかしたら何かしら分かるかもしれない。
「石の名前は分からないけど……なんだろう。魔力石と似たような感じはするな。……でも、透明な魔力石なんて存在しないし、魔法具の一つ、か?」
ふむ。つまり、その石に何かの魔法がかけられている?
「……かも、しれない。そうだとして、ぼくらには、どうすることもできないな。発動条件の分からない魔法具なんて」
確かにそう。確かにそうなのだが、現状、そこにある透明な石が意味もないなんてあり得ない。何かしらの役割はあるはずだ。
「手帳を信じるなら、これが羅針盤であると仮定するしかない。今のところ、透明なものはこれしかないし、何か魔法はかけられてるなら……その魔法が何かを示してくれるかも」
「そうだね。じゃあ、次に探すべきものは……光なき道、かな?」
私は黙って頷く。
この部屋にそれがあるとは思えない。もしここにあるんなら、この羅針盤とやらが、反応してくれるはずだからだ。しかし、今のところ無反応である。
となれば、ここではないどこかにある……はず。
「一旦、この部屋出ようか」
「了解。……鍵、どうする?」
「かけなおすから安心せよ」
「……ねぇ、家でもやってないよね?」
有事でもない限りやらないよ、流石に。
なぜかティールに疑いの目を向けられつつも、サフィアさんの部屋を施錠し直す。そして、『ぼうけんのしょ』こと、サフィアさんの手帳と透明な羅針盤を手に、王宮内の探索を開始した。
私は部外者ではあるものの、それなりに王宮内のマップは頭に入れている方だ。しかし、『光なき道』とやらに心当たりはない。となれば、サフィアさんとティールの冒険……秘密の~ってやつに関わってくるのだろう。
「光の届かないような場所……いや、道ってことは廊下? そんなとこあるの?」
「え……そんなところある?」
私に聞かんでください。貴方のお家ですけど、ここ!
「いやだって、ここ五年、まともに住んでないし……そりゃ、秘密の部屋とかならいくつもあるし、そこなら光は届かないけど、あくまでも部屋だしね?」
それを問題文にある道と定義していいのか、だな。普通は別物だが。
「ラルさん!」
「わー! ティールだー!」
私達を呼ぶ声に振り返ってみれば、中庭で遊んでいたのだろう、ツバサちゃん、しーくん、レオン君、リランの姿があった。
三人はこちらに向かって手を振り、リランは手の代わりにふわふわの尻尾を振っていた。
私達が皆のところへ行ってみれば、ツバサちゃんがこてんと首を傾げる。二人して朝と格好が違うから、不思議に思ったのかもしれない。
「お二人は何をしてるんですか?」
「さ、散歩……とか?」
「え? 一応、探検じゃね?」
「してる? これ」
……そう言われると、どう、なんだろう。分からん。
歯切れの悪い私達にレオン君は困ったように笑う。
「おいおい、二人して言ってることがバラバラだぞ? 大丈夫か~?」
「うーん、まあ、どっちも似たようなもんってことで、大丈夫だよ。……それより、皆はここで何してるの? 遊んでるのは分かるけど」
そう言いつつ、目線を向けてみれば、おもちゃがいくつか転がっていた。リランの遊び道具だったり、ツバサちゃんやしーくんが遊んだだろうおもちゃだったりがその辺に散らばっている。
「いまはね、しゃぼんだましてるよ! でね、さっきまではね、めーろいってた!」
迷路……この前のやつか。
しーくんは楽しそうに迷路での様子を教えてくれる。
「まえ、ラルがこーりゃくしてくれたけど、ボクもひとりで、こーりゃくしたかったの! でね、ツバサお姉ちゃんと、レオンお兄ちゃんと、リランといった! ちゃんとでれた!」
あう……!? えっへんしーくんがとても可愛い……!
「みどりのトンネルくぐってね、おはな、めじるしにみぎいってね……」
「たくさんのお花があって、時々、行き止まりにも行っちゃったけど、クリアできたんだよね♪」
「ん! たのしかった!」
「だな! ありゃ、なかなか本格的な迷路だったぜ♪」
知ってる。この前、やったもん……
「……迷路」
ティールが何かに気付いたのか、パッと顔を上げる。そして、三人に聞こえないよう、私の耳元でそっと囁く。
「あの迷路、隠し通路っていうか、抜け道がある。そこには、光源もほとんどなかったはず。……そこが光なき道なら……そこに何かあるかも」
「第一候補だね。行ってみよう」
「了解。……ありがとう、三人とも。またね?」
「? はい。また、お夕飯の時に!」
ツバサちゃん達はなんでお礼を言われたのか分からないっと言った顔だったが、特に言及もなく、三人と一匹は笑顔で送り出してくれる。
またあの、本格派庭園迷路に足を踏み入れることになろうとは……何があるか分からんな。



~あとがき~
謎解きし始めたぞ~!

次回、謎解きの答えと新しい謎。

このサフィアと謎解き編、ツバサちゃん達の出番はここで終わりです。ありがとうございました。
分かると思うけど、メインはラルとティールなのでね……!

ではでは。