satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第383話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、一つ目の謎解きが終わり、新たな謎が!
そして、今回は手紙が指し示すと思われる、武器庫へと向かうラルとティール……というところからです!


《L side》
暗い通路を通り、再び地上へと出てきた私達はそのまま、騎士団が鍛錬してると思われる、修練場へとやってきた。
「安直にここに来ちゃったけど、ここで合ってるかなぁ?」
「多分? 仮にティール達を指してるとしたら、範囲が広すぎるから、もう少し特定できるヒントがあると思うんだよねぇ?」
「た、確かに」
最初の手紙で『ぼうけんのしょ』が出てきたり、続きをしようってあるのは、きっとそういうことなのだと思う。
手紙に出てくる場所は、昔、ティールがサフィアさんと訪れた秘密の場所がメインなのだ。
「殿下、ラル様。このような場所に、何かご用でしょうか?」
……そんな話をしていたら、私達の来訪に気付いたらしいゼニスさんが、微笑みながら話しかけに来てくれた。
「こんにちは、ゼニスさん。突然のお願いで申し訳ないのですが、騎士団の武器庫を見てみたくって」
「我々の?」
直球で不思議なお願いにゼニスさんは、少し首を傾げるものの、「少々、お待ちください」と残して、部下さんらしき男の人のところへ歩み寄る。そして、数回会話を交わした後、再び私達のところへ戻ってきた。
「お待たせ致しました。ただいまご案内します」
「い、いいの、ゼニス? お願いしておいてあれだけど、本当に大丈夫?」
「えぇ。ティール様とそのご友人、ラル様なら問題ありません。……こちらです」
ゼニスさん先頭にやってきたのは、修練場近くにある建物だった。聞けば、ここでは、騎士団の人達が座学だったり、事務仕事をしたりするらしい。そして、備品も多く保管されているのが、この建物であるとのこと。
「一応、私の執務室もここの二階にあります。日中、ほとんどいませんけどね」
「ゼニスさん、騎士団長さんなのに書類仕事ないんですか? トップの人ってそういうデスクワークとか多そうですけど」
「もちろん、ありますよ。まあ、陛下程ではありませんが……しかし、我々の本職は陛下や王家の守護……街の警護が主なので。基本的には有事のための鍛練や、郊外に出たモンスター退治が主な仕事です」
ふーん。そうなんだ。
「しかしまあ、守護する対象であるブライト様達は、我々より腕の立つお方なので、私達の出番はないに等しいです」
……まあ、あの二人の前職─と言っていいかは分からないけど、仕事してたみたいなので─、有名なギルドで活躍してた冒険者だったり、旅人だものね。
そして、ティールも現役の探検隊の一人。
そりゃ、騎士団に守られるような人達じゃないよなぁ。ここの家族は。
建物内ではゼニスさんの言う通り、勉強してたり、何やら書類仕事をしている人だったり、休憩中なのか、談笑しながら移動中の人達もいたり。
そんな人達は皆、一様にゼニスさんとティールの姿を見て、ピシッと敬礼するのだから、ゼニスさんの教育の賜物……と言えよう。
「こちらです。ここには、我々の鍛練で使う武器や、予備の武器等が保管されています」
扉自体は普通に見える。しかし、その横には、近未来的な電子パネルとカードを通す溝のような……まさしく、電子ロック式の鍵がそこにはある。
ゼニスさんは懐からカードキーを取り出すと、溝にスキャンし、手慣れた手付きで電子パネルを操作する。そして、ロック解除がされたのか、ゼニスさんが扉に手を掛ければ、簡単に開いた。
「近代的で科学的ですね」
「えぇ。もちろん、魔力パターンを鍵にしてもいいんですけど、うちは全員が魔法使用者ではないので」
それはそうだ。
ゼニスさんはついでにと、ここのルールについても教えてくれる。
「武器庫には、限られた者しか入室できません。また、私に許可を得た方であれば、今回のように入室することは可能です」
つまり、今回はゼニスさんが大丈夫だと思ったから、見せてくれる、と。だから、さっき、問題ありませんって言ったのか。
「……ありがとう、ゼニス」
「ふふ。いえいえ」
扉を開けもらい、そこから部屋を覗いて見れば、いかにも倉庫って感じの部屋だ。武器庫だし、それはそうなのだが。
ただ、乱雑になっているわけではなく、きちんと種類別に分けられ、整理整頓が行き届いている印象だ。定期的にチェックされている証拠なのだろう。
訓練用のレプリカや実戦用の武器類、なんでもござれだ。流石、王宮内の武器庫。
しかし、武器等々は見かけるものの、お目当ての物はなさそうである。
「武器は沢山あるけど……逆に言えば、それしかないね」
「う~ん? そうだなぁ。ってことは、ここじゃないのか……? ぼく、ここ以外に思い当たらないけどな」
私もだよ。
小さな小箱も、手紙らしいものもない。
あるのは、棚に陳列された武器や手入れ用の道具、積まれた箱の中も同様である。
箱も手紙も最近になって置かれたものなら、すぐに分かりそうなものなのだが。
「お二人とも、何かお探しなのですか?」
私達の様子を見たゼニスさんが、不思議そうに問いかけてくる。その質問に私達は、互いの顔を見合わせる。
一番目の手紙には「内緒の冒険」とあるし、誰にも言うなと書いてある。その約束を守りつつ、どのようにゼニスさんに話すべきなのか。どんな返答なら、不信感を抱かれずにすむのだろう。
そんなことを考えていると、とある疑問が浮かんでくる。
「ちょっとした探し物をしてはいますかね。……で、ゼニスさん」
「? はい」
「全く関係ないし、突然の質問なんですけど、ティールって昔、ここに来たことはありますか?」
「えぇ。私が把握している限り、数回ございますよ」
ゼニスさんの返答にティールも肯定するように無言で頷く。
「それは一人で……というか、ゼニスさんとですか?」
「いいえ。サフィア様と来られていたかと」
ふむ。
先程の話だと、限られた人物のみの入室が許されているはずだが、その中にサフィアさんも含まれていたのか。
そんなサフィアさんとティールは数回、ここを訪れている。なら、サフィアさんの手帳に、何かしら記されている可能性があるか。
私は手帳を取り出し、パラパラと捲っていけば、とあるページに目が止まった。
『今日はずっと行きたがっていた騎士団達の武器庫に行った。どうやら、お父さん……ブライトに危ないから、行っちゃ駄目って言われていたみたい。確かに、小さい子が一人で行くような場所ではないかもしれない。
私も久々に足を運んだけれど、随分と綺麗になったものだわ。そう言えば、武器庫の奥に保管庫もあったはずだけれど、あの様子だと、もう使ってなさそうね。』
恐らく、二人が初めて武器庫へ訪れた時の記録。そして、そこには気になる文章が綴られていた。
……武器庫の奥に保管庫。
きっと、これだ。ここにある。
ティール、保管庫って」
「……あぁ!? そっか! 秘密の金庫みたいなのがある!」
ティールはゼニスさんにも手伝うようにお願いすると、壁際の荷物を退かし始める。すると、小さな金庫が現れる。
それは壁に備え付けられているタイプで、数字を入力するパネルがある。恐らく、決められた四桁の数字を入力すれば、開く仕組みなのだ。よく見るタイプではあるが、扉自体がそこまで大きくないので、大したものは入らなそうである。
「……へぇ。こんなのあったんだ」
ゼニスさんが素に戻りつつ、ポツリと呟く。
現団長にすら、知られていなかったのなら、ここは絶好の隠し場所だ。うっかり、騎士団の誰かに見つかることもない。……なのだが。
「問題はナンバーが何なのか、か」
総当たりでやったところで、途方もない時間をかけるだけ。ティールがそれを覚えているのが一番だが、金庫の存在すら忘れていたのだ。ナンバーを覚えているとは思えない。
なら、どうにかして導く他ない。
前回と今回の手紙を見るに、ノーヒントってことはなかったので、ロックナンバーも、手紙に何かしらのヒントがあるはず。
そもそも、これはサフィアさんが用意した『遊び』だ。解いて貰わなければ、遊びの意味がない。
私は再度、手紙の文章を思い出す。
手紙には『門番の宝の奥に探し物は眠る。箱に記す先、そこに証はある』と綴られていた。
前半の一文はそのまま、金庫を指す文章だろうから、残るは後半の一文。ここにナンバーを探すヒントが眠っていると思われる。
箱に記す。素直に箱=金庫なら、その近くに鍵がある……なんてのは、防犯上なさそうだよな。
そう思いつつも、念のためにと『みとおしメガネ』で周囲を確認してみる。……が、当然、何もない。
分かってました! 分かってましたさ! あるわきゃないのよ。ここ、王宮よ? うちの適当な親方なら分かるけど、ここを管理するのは真面目さんもびっくりな大真面目さんが取りまとめてるんだぞ。
……となれば、やはり、この文章そのものに何かヒントがあると考えるべきだ。
じっと文章を見つめ、頭の中で何度も何度も繰り返す。
そして、気付いた。
「はこ……箱に、記す……は、こに、し、る……す?」
この言葉、語呂合わせなのか、はたまた偶然なのか、四桁の数字になるのだ。
私は期待半分、疑い半分で『8524』と入力してみる。すると、ロックの外れる音が聞こえ、金庫の扉が開いた。
「うわ!? ラル、凄い!」
ティールが覚えてくれてたら、もっと早くに開いてたけどね」
「無茶言わないでよ。当時のぼく、五歳未満だって」
同じ五歳児のしーくんだったら、ばっちり覚えててくれそうですけどね。……まあ、その辺は置いとくとしよう。
「おやおや……流石でございます、ラル様♪ しかし、この中には何があるのでしょう?」
私とティールは見当がつくが、ゼニスさんはそれを知るはずもない。言い当てるのはあらぬ疑いをかけそうなので、適当に誤魔化すかな。
「まあ、証があるのは確かですかね?」
実際には手紙も一緒にあると思うけど。
……さてさて、お次はどんな、なぞなぞをご用意しているのやら。



~あとがき~
基本、漢数字を使う私だけどロックナンバーだけは許して←

次回、新たな手紙と証。

私が一番、頑張ったの、この辺だと思います。なぞなぞというか、そういうやつを考えるの苦手なんで。

ではでは。