satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第384話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、なぞなぞを解いて、秘密の金庫を解錠したところで終わりました!
そして最近、このサフィア編(?)はどこまで続くんだろうと思い始めてます。400話越えそうでドキドキしてます←
それはそれとして。
今回はティール視点。なんでって?
たまにはラル以外も書きたいだけです。(適当)


《Te side》
「──まあ、証があるのは確かですかね?」
ゼニスの全うな疑問に、ラルが適当に答えながら、金庫の扉を開ける。
金庫の中を三人で覗いてみれば、小箱と手紙が置かれている。今まで通りだ。
ラルが手紙と箱に手を伸ばし、中身を確認することもなく、自身のポーチにしまう。
そんな様子をゼニスは何を思ったか、にこりと笑う。
「お二人の探し物は、そちらでしたか?」
「恐らくは。お付き合いいただき、ありがとうございました」
「いえ、そんな。大したことはできませんでしたから。しかし……ブライト様も分からないことをするものですね。失礼ながら、あの方に、このような酔狂なお心があるとは、知りませんでした」
……? 今、ブライト様って言った? なぜ、ここで父の名前が。ぼくもラルも、父上の名前なんて出していない。そもそも、何をしているかも話していないのに。
ラルは不思議そうに首を傾げる。彼女もまた、話が繋がらないことに疑問に感じているらしい。
ぼくらの腑に落ちない様子に、ゼニスはペコリと軽く頭を下げて、説明をしてくれる。
「申し訳ございません。恥ずかしながら、私はここの金庫の存在を知りませんでした。そして、それは他団員も同様でしょう。普段は荷物が置かれていますし、これらを退かすようなこともありません」
確かに。整頓されていて綺麗とはいえ、それなりに物が多い。それにここに積まれているってことは、普段から出し入れの少ない備品等であることは予測できる。
「ならば、利用頻度の高い我々以外で、ここの金庫の存在を知り得る方は、現状、ブライト様くらいかと。そう思って、それらを保管していたのは、陛下なのでは、と。違いましたか?」
父さんなら、知っていた……?
そりゃ、父さんは王宮の隠し部屋とか、通路とか……ここの金庫のことだって、知っていても別におかしくはないけど。
でも、そうなると、これを仕掛けた人物はお祖母様ではないかもしれない、のか?
だとすると、父さんがお祖母様の字を真似て、ぼくらと遊んでることになるけど……それらをあの人がするだろうか?
……いや、こんなことするをような人じゃない。じゃあ、なんで、父さんが……って、待て待て。何も父さんが関わっていると決まった訳じゃない。変に考えるのはよそう。
ぼくが思案している横で、ラルはゼニスに適当に誤魔化しているところだった。
「実は……私達、これを探してこいって言われてただけで、命令している人が誰なのかまでは把握していないんです。それも探すのがゲームだ~ってなってまして。けど、ブライトさんだったのかも?」
「そうだったのですか? それは余計な口出しをしてしまいましたね」
「そんなことは。というか、私達が武器庫に入る時、ゼニスさんの同行があると、相手も想定内のはずですもん。なら、問題ないです♪ ってことで、今度は三人で荷物を戻しちゃいましょ?」
ラルのこういうところ、本当に尊敬する。別に嘘を言っている訳ではないけれど、真実を話しているわけでもない。
誤魔化しの天才だよな、本当に。
ラルの言葉に促される形で、退かした荷物を元の場所へと戻していく。あっという間に、金庫は荷物の影に隠れてしまった。
そして、ぼくらはゼニスに別れを告げると、箱と手紙を確認するべく、人の目がない場所へと移動することに。
ここから近いのは、ラル達が泊まってる部屋?
「かな? そこ行くか~」
ぐーっと背伸びをしながら、ラルは慣れた足取りで部屋へと歩みを進める。
……この『遊び』は何の意味があって行われているんだろう? 関わっている人は誰なのか。
二つ程、謎解き(?)をしてみても、そこら辺は、未だに謎のままだ。
この後の謎を解けば、全てが明らかになるんだろうか……?

部屋に到着し、ラルは一直線にソファへ深々と腰かける。天井を見上げ、気の抜けた声を漏らしつつ、一言、「駄目だ」と呟く。
「……何が?」
「座ったら思い出したの。お腹空いた」
……こんな時でも、欲望に正直だな。
とはいえ、時間帯的にも昼はとっくに過ぎている。食堂に行けば、何かしら用意してくれるだろうが、今更、そこまで移動するのも億劫だ。ぼくがではなく、ラルがそう思っているだろうってだけ。
「誰かに軽食をお願いしよっか」
「うい……おなしゃーす」
いやほんと、気が抜けすぎでは。
ぼくは一度、部屋を出て、辺りを見回す。すると、ちょうどいいところに、ぼくの従者であるベルトが、何やら荷物を抱えて、どこかへと向かう姿を見つける。
「ベルト!」
「? はい! あ、ティール様! あれ、朝とお姿が違う?」
ここまで誰も突っ込んでこなかったのに、お前は突っ込んでくるのかよ。いや、いいけども。
「事情があってね。……そんなことより、何でもいいから、軽く食べられるもの、この部屋に持ってきてくれない?」
「畏まりました。すぐに!」
別に、お前が持ってこなくてもいいからな。誰かに頼んでくれれば、こっちは大丈夫だから~……なんて、聞こえてなさそうだ。
抱えた荷物も一緒にキッチン方面へと走っていく姿を見送りつつ、ぼくはそっと扉を閉める。
「……あいつに頼んだのは、間違いだったかも」
「何が?」
「いや。何でもない」
ぼくは空いている席に適当に座る。それを見たラルは、ようやく姿勢を正して、ポーチから箱と手紙を取り出した。
ラルは手紙を机に置くと、何の迷いもなく箱を開ける。そこには透き通った空色の石が入っていた。前回同様、ブローチにはめろってことなのだろう。
「……ティールがはめる?」
「今、ラルがブローチ持ってるだろ? 君に任せる」
ぼくの言葉に軽く頷き返した彼女は、
どこからか取り出したブローチの空いていた右側の窪みに石をはめる。
残りの窪みはあと二つ。つまり、少なくとも、この手紙のやりとりは二回は続く……はずだ。
「で、手紙は? 読んでみなよ」
「ちょっと待って。……えっと?」
今度はぼくが促される形で、手紙を手にして、封を開ける。
そこには今まで通り、シンプルな便箋が一枚入っていて、綺麗な文字で文章が綴られていた。
『二つ目はどうだったかしら。昔はよく行っていた場所だったけれど、今はもう行かなくなってしまったから、忘れちゃったかしらね?

さて。次の場所を教えてあげる。

あなただけの隠れ場所。
とっておきの秘密の隠れ場所だったところに証はある。

どこだか分かるかしら。考えてみてね。』
……隠れ場所?
この広い王宮内で隠れらそうな場所ってことだろうか。……いや、それだけだと、候補地が多すぎる。
「あなただけ……ってことは、ティールにとってのってことだよね? どっかないの?」
「……絞れない程あるから、困ってるんだろ?」
幼い頃、お祖母様にあれこれ教わった知識がある。どれもぼくにとっては、ぼくだけの隠れ場所のような認識だし、とっておきのつもりだ。
とはいえ、それらの存在自体を知る人物は、ぼくだけではないのも事実だ。実際、父上もお祖父様も、隠し部屋等の一つや二つ、どこにあるのか知っている。それらを除いて……いや、どれが知られてるのか判断できない以上、そういうところじゃないのか?
「二人も知らない隠れ場所……そんなとこ、あるのかな」
ぼくより長く住んでる家で、知らないことなんて……うーん?
二人で唸っていると、部屋にノック音が響く。そして、静かに扉が開けられると、食事が乗せられた小さなワゴンを押しながら、ベルトが入ってきた。
「お待たせいたしました」
「ありがとう、ベルト」
「ありがとうございます、アルベルトさん!」
「いえ。……その、お食事のメニューに指定がなかったので、サンドイッチと……お飲み物を数種類、お持ちしました」
だから、わざわざワゴンで運んできたのか。適当でよかったのに。
「わ~……! お気遣いありがとうございます! でも、食べられるものなら何でも大丈夫ですよ? ゲテモノじゃなければ、大体のものは食べられるんで」
「ゲ、ゲテモノ……?」
「ちょ、ラル。ベルトに変なこと教えなくていいから」
確かに、ダンジョンだと変なやつとかあるけど!
ラルの言葉にポカンとしていたベルトだったが、どうにか気を取り直してくれたようで、テキパキと飲み物の準備もしてくれる。
そんな彼の姿を横目で見つつ、執事の彼なら知ってるかもと思い、サンドイッチに手を伸ばしながら、問いかけてみる。
「なあ、ベルト」
「はい?」
「知ってたらでいいんだけど、父上って今、何してるか知ってる? 執務室で仕事とか?」
「陛下ですか。……私の記憶が正しければ、今の時間、会議にご出席されていたかと。要人との会議だとか」
じゃあ、訪ねても邪魔なだけか。残念。
ぼくはベルトに礼を言って、彼の淹れてくれたコーヒーを飲む。
色々、話を聞きたかったのだけれど、タイミング悪かったな。
「それでは、ティール様。また何かあれば、お呼びください!」
「うん。ありがとう」
お手本のような一礼をした後、ベルトは部屋を出ていく。再び、部屋にはぼくとラルだけになった。
「……急にブライトさんのことなんて聞いて、どしたん?」
「うん? まあ、ちょっと」
もちろん、この手紙にある隠れ場所とやらをそれとなく聞ければ、とは思っていたけれど。それだけじゃなくて、ゼニスの言葉の真意も聞いてみたかった。
あれが本当なら、父上は何らかの形で関わっているかもしれないから。もしそうなら、この『遊び』についても、父上は何か知ってるかも。
「何にも関わりがないとは断言しないけど……私、ブライトさんは主犯じゃないと思う。あの人の趣味じゃないと思うしさ。それに……これらの理由を知ってるとも思えない」
ラルはぼくの考えを見透かすような答えを返してきた。そして、サンドイッチを食べながら、これまでの手紙を机の上に並べていく。
「どの手紙もサフィアさんの字と一致している。手紙と手帳の字が、ね? 文字を模写したかもしれないけど、それにしては、正確性が高すぎる」
「でも、お祖母様は」
「亡くなってても、本人でない証拠にはならない。だって、私達は死んだはずの誰かさんと会ってるんだもの。実例がある」
ラルが言っているのは、癒しの女神、ミルティアのことだろう。確かに、彼女は死して尚、この世に留まっているけど。
ミルティアは女神で、お祖母様は単なる人のはずだけど……だとしても、そんなのはラルにとって、些細な点なのだろう。
あくまで、過去に死んだ人物が何らかの方法で目の前に現れた例があると言いたいだけだから。
「ここまでの字の一致、サフィアさんにしか知り得ない情報の数々……総合的に見ても、サフィアさんが仕掛けてきたと断定していいと思う。……けど、私には、なんでこれを仕掛けてきたのかまでは分からない」
ラルはじっとぼくを見据える。
真剣な眼差しをぼくに向け、ゆっくり口を開く。
「私にはそれを推測できる程、サフィアさんのことを知らない。手紙通り、『遊び』たかったのかもしれないし、何か目的があるのかもしれない。例えば、何かを残したい。ティールとの冒険の続きをしたい……とかね。……まあ、この先はティールが自分で考えなきゃいけないんじゃないかな」
ぼくが……か。
ラルみたいにあれこれ推測するのは得意じゃない。今だって、幽霊になったお祖母様がやった……なんて、信じられない。
「この世界は輪廻転生だろ。なんでまだ、この世にいらっしゃるのだろう」
留まらなきゃいけない理由でも、あるのだろうか。そうだとしたら、なんなのだろう。これもまた、『遊び』の先に?
「……最後まで遊んだら、答えが分かるんじゃない?」
「……そう、だね」
悶々と何かを考えるのは好きじゃない。
こんなぼくが答えに辿り着けるのだろうか?



~あとがき~
最近、一話一話が長くなりがちです。
安定しねぇ~~~!!

次回、次なる場所とは。

ティールはティールで考えてるけど、よう分からんって感じですね。頑張れ、ティール君。(適当)

ではでは。