satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第6話

「楽しませてよ!」

ずらりと並んだ知らない人たち。その人たちの目線の先には、リーちゃんの姿。
「どうすればいいんだろう? すーくん……どうしよう?」
『おれが蹴散らしてもいいけど?』
怖いこと言うな。
『じゃあ、聞くな。つか、自分で頑張るんじゃないのか?』
一応、聞いただけ。私が頑張るに決まっているでしょ……あぁ……どうしよう?
『頼りない』
そこまで言わなくても……ひどい。
『これ以上何を言えと?』
は、励ましの言葉とか?
『棒読みでよければ』
…………いいです。余計に惨めになる。
そのまますーくんは黙る。
私が考えなきゃ……えっと……んと……
「何か道具とかない?」
『……あ? そうだな……ちょっとだけならあるが……』
ほぅ……どんな?
少しだけ考え込んだすーくん。何か思い出したかのように、教えてくれた。
『飛び道具とタネ類……武器になりそうなのはこれくらいかな』
そっか……よし、いける!
「すーくん、私の言う道具があるか探してくれない?」
『了解』
私とすーくんは、リーちゃん奪還作戦の準備を始めた。
待っててね、リーちゃん!!

「お前、どこからきたんだよ?」
「なんかいいもん持ってないのかー?」
ここまで近づくと何しゃべっているのか、はっきり聞こえる。どうやら、リーちゃんのこといじっているみたいだ。
『こっちだ』
はい!
すーくんの指示通りに進んでいく。
私達は、(……と言ってもすーくんは、出てきてないけど)敵に見つからないようにリーちゃんに近づいていく。
この場所は最後のフロアなのか、大広間。出入り口も一つだけ。
私は周りの草木に隠れながら進んで行く。
うぅ……リーちゃん、どこぉ?
『ここらへんだな。そっから覗いてみ?』
見つからないかな?
『大丈夫だろう。ここにいる奴らはそこまで手練れじゃない。お前逹を見つけた奴の気配がないから……下手なことしない限り大丈夫』
私達を見つけた奴?
『えっと……グラエナ……だったかな。普通のグラエナ
そっか……鼻がきくのかな。でも、いないならチャンスだねっ!
私はすーくんの言う通りに草木の隙間から覗いてみる。
リーちゃんの後ろ姿が見えた。リーちゃんの目の前には、十人前後の敵と思われる人たち。
「いた……!」
『やっぱり、グラエナはいないな。でも、あれでいいのか?』
うん、大丈夫……だと思う。
すーくんは、少しだけ心配そうに私の様子をうかがったけれど、何も言わなかった。
「………ありがとう、すーくん」
『おれが危険だと思ったら、嫌でも出てくるからな』
わかった。
よし、行こう!
私は“ドロンのタネ”を食べると奴らがいる、フロアへと入って行った。
「リーちゃん、リーちゃん!」
「ふぇ!?」
あぁ……大きな声出さないで!?
ゲッ! なんかこっち見てる~……
「なんだ?」
「あ、いえ。何でもないです」
リーちゃん、ナイス♪
リーちゃんは相手に聞こえないくらいの声で話始めた。
「どうしてここがわかったの?」
「話はあとだよ。リーちゃん、すぐに動ける?」
「うん、動けるけど……どうするの?」
「私の合図で後ろに走り出して。……いくよ?」
リーちゃんは少しだけうなずいた。
……一、二の三っ!!
私は持っていた“ばくれつのタネ”その他もろもろを敵に投げつけた。
同時に“ドロンのタネ”の効果も切れた。
「……っ! リーちゃん、行こう!!」
「うんっ!!」
私達が走り出したと同時に“ばくれつのタネ”の爆発する音がした。
「なんだ、これっ!?」
「ばくれつのタネっ!? 誰だ、これ投げたのはっ!?」
私ですっ!! なんて言ってられないんだよね。とにかく、逃げなくちゃ!!
でも、私……前……見えないんだよね。リーちゃんが前走っているから……まぁ、またはぐれるよりましか。
「……うわぁっ!! 誰かにぶつかるっ!!」
誰かって誰ぇ!!
確かめるすべもなく、リーちゃんは誰かにぶつかった。
「リーちゃんっ!! 大丈夫……なわけないか……えっと……」
リーちゃんはぶつかった衝撃で目を回している。その近くにぶつかった相手らしき人影。そのそばには、ピカチュウが。
「…………」
ヤバい、とりあえず謝ろう。
「ごめんなさいっ!! ちょっと、敵に追われてて……その、大丈夫ですか?」
「……ふ、あははっ!! ダサいよっ! これくらい避けないと……あはは♪」
………なんだ、この人?
そんなこと言っている間に敵の気配がした。しかし、そんなことは気にならないのか、はたまた気づいていないのか、ピカチュウさんはずっと笑っていた。ひとしきり笑った後、笑いの波が収まったのか、何度か深呼吸をする。
「ふぅ……えっと、君、追われてるって言った?」
「え、あ、はい」
「あいつらかな?………ねぇ、楽しませてよ!!」
やっと追いついた敵に向かって言い放った。敵に向かって楽しませろ、とは呑気なのか度胸があるのか……
言われた方も戸惑っているらしく、お互いの顔を見合う。
というか、この人、誰……?
もしかして、私、さらに危険にさらされているの……!?



~あとがき~
長いっ!Σ( ̄ロ ̄lll)
いつも以上に長い!!……気がするのは私だけかな。
とりあえず、リーちゃんはイブと合流したよっ♪ よかったね、リーちゃん。
次回、謎のピカチュウが大暴れw
てか、誰だかわかるよね(;・ω・)
ではでは!