satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第454話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、フォースとアリアちゃんが参加した借り物競走が終わりました。
今回はまた別競技の話だー!


《Te side》
午後の競技が次々と行われる中、これから、ぼくが出場予定の『綱取り』が始まろうとしていた。
参加者である生徒達はすでに整列が完了し、今まで通り、放送部の司会による競技説明が始まろうとしていた……のだけれど。
リュウ、これに出るんだ」
「おうよ! 俺も最低一つ、競技には出なきゃいけないだろ?」
「じゃあ、リュウの代わりは?」
「もちろん! 頼れる後輩に頼んである! 問題ない!!」
競技はまだ始まってもいないのに、そこまで声を張り上げなくても。いや、始まった後もそこまで張る必要ないけど。
『続いての競技は、男女別で行われる、綱取りです! この競技にはリュウ先輩も讃歌されるので、代打として、スギア先輩に来てもらっています。よろしくお願いします、スギア先輩』
『はいは~い! 皆さん、こんにちは~♪ 今回、リュウ先輩の代打を務めます。お昼の音楽放送担当、魔術科二年、放送部所属のスギアです♪』
と、快活そうな女性の声がマイク越しに響き渡る。リュウの代打を務めるだけあって、慣れた様子で自身の紹介をすませてしまった。
聞いたことのある声だなと思ったら、昼の放送を請け負っている子なのか。
昼の音楽放送とは、生徒達のリクエスト曲を流しつつ、その生徒の選んだ理由やエピソードを紹介したり、曲そのものの小ネタなんかを紹介してくれる番組だ。それの担当をスギアという少女が切り盛りしている。
『流石、スギア先輩。週一で放送担当しているから、場馴れしてますね』
『そう? 私なんかより、キャスの方が慣れてる感じするけどね~♪ あのリュウ先輩とやってるし』
『いやいや!? そんなことは……と、雑談ばかりしてはいけませんね』
『ふふっ♪ それもそうだね! それでは早速、競技のルール説明をします! とはいえ、綱取りのルールは至ってシンプル! 競技場に設置された縄を奪い合うだけ!』
『縄の中心にあるマークを自陣まで引っ張れれば、一点、加点されます。得点になった縄は再度、使用することはできないので、ご注意ください!』
『引っ張り終わったら、仲間の援護をするようにしてくださいね~!』
最初のスタートダッシュに自信はないけど、力比べならなんとかなる……と思って参加してみたけど……
周りの生徒達をやる気というか、熱気を見て、自信なくなってきた。こう言っては何だが、体育会系な空気がする。
「おっしゃあぁぁぁ!! やってやろうぜ、ティール!」
「あ、うん……始まってもないのに、君は元気だね」
「そういうお前は元気ないなぁ!?」
……周りの熱意もそうだけど、今は君の迫力に引き気味なだけだよ。
ラルがリュウに対して辛辣な理由、よく分かる。彼のテンションに合わせていたら、こっちの身が持たないのだ。それを考えると、彼のテンションについていける、キャスは凄いなって思う。……? あれ、ついていけてる、のか?
司会からの競技説明も終わり、ぼく達は開始の合図を待つ。
「位置について……よーい……」
教師の掛け声とピストルの空砲によって、競技の火蓋が切って落とされる。生徒達が縄目掛けて一気に走り出した。
それはぼくも─ついでに隣にいたリュウも─同じで、一番近くにある縄に手を伸ばす。
走り出しに自信はなかったが、一応、探検隊として日々の鍛練は怠っていない。それが功を奏したのか、他の生徒より頭一つ早く辿り着けたらしい。ぼくは縄を掴み、自分の方へ引き寄せる。
……が、完全にこちらへと引き込む前にぐいっと別の力が加わる。
「……っと、そうはさせないぜ!」
「レオン」
ぼくの目の前に見慣れた猫族の後輩……レオンがニッと笑顔を向ける。
そう言えば、彼もラル程ではないにしろ、なかなかに素早い方だったな。
「おっす、ティール! 早速だが、この縄から手を離してくれるとうれし~な~?」
「離すわけないだろ。ぼくが負けそうならともかく、現状、そんな要素一つも見当たらないからね」
今のところ、ぼくとレオンだけで引っ張り合いをしている。ぼくもだけど、恐らく、レオンもまだ本気で引っ張ってはいない。ちゃんとやりあうか、増援が来るか……とにかく、何かしら状況が動かない限り、諦める必要はない。
「ちぇ~……じゃあ、純粋な力比べと─」
「へいへいへ~~~~いっ!!!」
うぐ。この鼓膜を破りそうな声は……
「……うるさいな、リュウ
そして、リュウの他にも仲間が何人か来てくれていた。リュウが連れてきたのか、たまたまこっちに来てくれたのかは分からないけど……何にせよ、ありがたい話だ。
「微力ながら助太刀に来たぜ、ティールくぅ~ん!?」
「うん……ありがとう。でも、真後ろで叫ばないでね。耳がおかしくなりそうだからね」
しかし、レオンの方も何人か来て、ぐいっと引っ張られる。これでまた五分に戻ってしまった。
「おい! リュウ!! 静かに引けねぇのか!?」
「あぁん!? こういう力のいる時ってのは、声出しが一番なんだよ! 気合いも入るだろ!?」
なんで仲間(同級生)に対して喧嘩腰なの、この同級生……?
目の前のレオンはリュウの声に驚いている。そりゃ、この距離感であの大きさだ。驚きもするよな。
「先輩の言うことも分からなくないっすけど、適度ってもんがあると思うんすけどね~……?」
なんて言いながら、レオンは苦笑している。
うん。ぼくもそう思う。
「なら……そっちがその気なら、こっちだってやってやんよぉぉぉ!!!!」
と、紅組の同級生達が謎の対抗心を燃やしてきた。そして、それを聞いたリュウの瞳がキラリと光る。
「おうよぉぉぉ!!! かかってこいやーー!!!」
なんて、大声をリュウが出すものだから、自陣の仲間達も自棄糞になったらしく……
「だあぁぁ!! くそ! なるようになれぇぇ!!」
と、なぜか、大声で応戦するようになった。それが周りに連鎖していって、周囲は綱取り+大声合戦が始まってしまう。
……え、何これ。ぼくもやるべきなの?
一応、皆、綱取りもやってるけど、目的が変わってしまっているような。
ぼくとレオンは敵なんだけど、思わず、顔を見合わせ、呆れるしかなかった。
『あっと……えーっと、これ、綱取りでしたよね』
『そのはずなんだけどね~? リュウ先輩のおかげで? な~んか、大声綱取りみたいになっちゃったね。……まあ、ちゃんと綱取りもやってるし、いいんじゃない?』
『い、いいんですかね……?』
と、司会の二人も戸惑い……を覚えているのはキャスだけみたいだけど、それでも、変わらず実況を続けていた。
……まあ、なるようになる、か。

──結果として、綱取りは白組の勝利に終わった。多分、大声合戦も白組が勝った……と思う。いや、どうでもいいんだけどね、大声合戦なんて、本来はやってないんだから。
『以上をもちまして、本日のプログラムは全て終了しました!』
『体育祭は明日も続きますので、皆さん、今日はゆっくり休んで、また明日、お会いしましょ~う♪』
自分の席に戻る道すがら、キャスとスギアの締めの言葉を聞いていた。
あぁ、あれが今日最後の競技なのか……いいのか、あれが最後で。
なんてことを思いつつ、ぼくは皆の待つところへ戻っていくのだった。


~あとがき~
ティールとレオン君がかわいそうな感じになった。

次回、二日目だ~!

なんていうか、こういう時のティールって冷静というか、淡白なんだよな……もちろん、ティール視点だからってのもあるのかもしれないし、側にラルやフォースのような手のかかる人がいないってのもあるのかもしれないけど。
今回の場合、リュウ君がいるので、リュウ君の世話をするのか……とも思ったけど、そこまででしたね。ティールもまた、リュウ君の大声に呆れてるだけでしたわ。

ではでは。