satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

お知らせ

秋も深まる今日この頃!
皆様、どのようにお過ごしですか。
私ですか。元気です。
新しいポケモン発売が待ち遠しいです。(?)
先日のニンダイで待ちに待ったゲームの情報が出てて、きゃっきゃっしてる今日この頃です。
ポケモンから始まり、来年が忙しいぜ……!
積みゲーが増えていく一方なのですが、まあなんだ……それはそれだよね←

それはそれとして。
投稿頻度、戻しまーーーす!
ようやく戻せそうな目処が立ったので、10月から火曜、金曜投稿の週2に戻します。基本はレイ学を投稿すると思いますが、たまーに何か別のやつを投稿するかもです。ポケモン発売もあるし。まあ、気分で投稿内容は変えることもあるので、気が向いたときにでも覗きに来てくださると幸いです。

次回更新はレイ学の続きの予定。
来週の火曜更新予定です!
海の国での物語を引き続きお楽しみください!

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第342話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、皆で集まって、今後(?)を話しました。
今回は大暴走しちゃってたセイラとティールのお話です。


《L side》
「んもー……ブライトったら、仕方のない人ですねぇ? ま、元々あぁいう人ですけれど」
セイラさんの文句はブライトさんに聞こえていたか定かではないが、恐らく仕事に戻るために部屋を出て行ったのだろう。
残された私達もブライトさんに言われた通り行動するため、各々行動を始める。
アラシ君とレオン君はツバサちゃんの部屋へ。
アルベルトさんはゼニスさんのところへ。
そして、私とセイラさん、ティールは一旦セイラさんの自室へ向かうことになった。
「ふふっ♪ いつだってティールは可愛いですが、幼いティールは一段と可愛いですねぇ♪ この後、またぎゅーってしましょう~♪」
私の隣を歩くティールを覗き込むように語りかける。が、ティールは頑なに目を合わせようとせず、私の影に隠れたまま、ぼそっと呟いた。
「……やだ」
「可愛い我が子を甘やかすのに同意なんて必要ありません。絶対にぎゅーってしますっ」
ティール好きもここまでくると病気なような気がしてきた。……が、私がしーくんを溺愛するのと同じだなとも思う。それなら仕方ないか。だって、可愛いもんは可愛いもんな?
セイラさんの部屋に到着し、私とティールはソファに座るように促される。セイラさんはアンジュさんにお茶の準備をお願いすると、有無を言わさず、ティールを抱っこして、自身の膝の上に乗せて座る。
あまりに自然な流れだったからか、ティールも何をされたのか理解できなかったらしい。数秒ぽかーんとして、私と目が合う違和感からバッと後ろを振り返れば、セイラさんとばっちり目が合った。
「!?」
「うふふっ♪ まだまだ私の感覚も捨てたもんではないようですね」
驚きすぎて、声も出ないティールは固まったまま動かなくなった。多分、思考停止でも起こしたのだ。とりあえず、復帰するまで放置しておこう。
「……そういえば、昔は旅人をしていたとか」
「そうなんです。十代前半くらいから、宛もなくフラフラと。明確な目的があったわけではないけれど、自分の目で世界を見たい……そんな気持ちはありましたね」
「へぇ……ってことは、ティールの冒険好きはセイラさん譲りなんですね?」
「確かに。……あの人も探検家でしたけれど、私みたいに探究心が強いわけではありませんでしたからね。後、冒険の話はティールに寝物語としてよく聞かせていたから、その影響もあるかも」
「ありそうですね。ティール、探検の話をする時はいっつも目がキラキラしてるので。セイラさんの話す冒険譚は憧れだったんですね、きっと」
本人に言ったら完全否定されてしまいそうだけれど、幼い頃から話をよく聞かされていたのなら、確実に影響は受けているはずだ。
アンジュさんがそっと差し出してくれた紅茶を会釈しながら受け取りつつ、そっと口に含む。茶葉の香りが口に広がり、ほっと息をついたところで、純粋に疑問に思っていた事を問いかける。
「セイラさんが行ったところで一番覚えてるところってどこですか?」
「え~……どこですかねぇ~……? 沢山ありますけれど……場所で言えば、『奇跡の洞窟』ですかね。ラルちゃんも行ったのでしょう? あの場所に眠る鉱石の数々は感動ものです。極めつけはあの鉱石。……正確には魔力石ですが、とっても素晴らしいですよっ」
セイラさんほ言う鉱石ってのは、女神の涙のことかな。多分。
そういえば、スイちゃん、セツちゃんがブライトさんとセイラさんも訪れたと話していたっけか。鉱石好きなセイラさんとしては、外せない場所なのかも。
「後は『星の洞窟』とか。ここもとっても幻想的なダンジョンなのですよ。まるで満点の夜空の下をずうっと進んでいるような……そんな場所なのです。ま、生息しているモンスターは、その場所に似合わないくらいすっごく強いんですけどね~? 何度やられそうになったことか~♪」
それ、明るく言うことか?
他にもいくつか場所やダンジョンで見た風景をあれこれ熱弁してくれた後、セイラさんは少し考えるような素振りを見せ、困ったように笑う。
「……私、やっぱり鉱石、石が好きなので、それ関連のダンジョンだったり、場所が印象深いですね。偏見ばかりの意見でごめんなさいね? あまり、面白くないかも」
「いえいえ。私の知らない場所の話も聞けて楽しいですよ。なんなら、今度、行ってみたいって思ったくらいです」
「あら、うふふ♪ ラルちゃんにそう言って貰えて嬉しいです。ブライトは「またその話か」って感じの顔するので……」
へぇ……あのブライトさんでもそんな反応示すのか。
「まあ、言っても微々たる変化なので、気付かないフリで話し続けることも可能です。なんなら、よくやってます」
よくよく見なければ気付かない程度、なのだろうか。それは見逃してしまいそうだ。
「ラルちゃんくらいになれば、あの人の変化はすぐに気付けそうですけれどね? でも、それくらい過敏にならないと、ブライトの変化って分かりにくくて……」
「──もう、やっっ!!! はなして!!」
と、ずっと固まったまま動かなかったティールが大声で泣き叫び始める。何の前触れもなく突然だったために、私もセイラさんも驚いて、ティールに「どうした」と問いかける。しかし、彼は「嫌だ」を連呼するのみで話にならなかった。
挙げ句の果てには、セイラさんの膝の上も嫌がり、セイラさんに対しても嫌だ、嫌いだと言い始める。
「これは収集つかなくなってきたな……ティール君? 一度、落ち着こっか。こっち来る?」
そう問いかけてみれば、ティールは泣きながら無言で何度も頷く。私はセイラさんからティールを受け取り、抱き抱えた。
「っしょ……ほら、落ち着いて~? ゆっくり息、しようね……大丈夫。大丈夫だからね」
とんとんと優しく背中を叩き、号泣するティールをどうにかあやしていく。しばらくの間、そうしていると、なんとか落ち着いてきて、しゃくり上げつつも、大号泣からは脱したらしい。
「……急にどうかしたのかな。何が嫌だったか言える?」
「かーちゃ、ちかく、やだった……っ!」
「セイラさんのお膝かな? どうして?」
「かーちゃ、ぼくのこと、きらいなの。……なのに、かーちゃ、やさしくする……やだ。もう、やなのっっ!!」
「……え? 私が、ティールを?」
そんな素振り、なかったように思うが……いや、ティール自身が話していたか。
祖母が亡くなり、家族の時間がめっきり減ってしまったこと。仕事が忙しくなったと分かっていながらも、それが幼いティールにとって、自分の事を嫌いになったのだと、関心がなくなったから、話してくれなくなったのだと解釈してしまったのだと。
今更、優しくされてもどうしていいか分からない。どうせ、また見なくなるのなら、もう関わらないでくれ、と今のティールは思っているのだろう。だからこその拒絶。
もちろん、幼い今の思考ではここまで理解しているとは思えないけれど、漠然としたもしもが怖いのだ。
「そんなことありません。私は今も昔も、ティールが大好きよ?」
「うそ! ずっと、おはなし、してくれなかった! ぼくのこと、きらいだから、かーちゃも、とーちゃも、いないになった! もう、いないなら、いないでいいっ! それで、がまんするもんっ!! がまん、できるもん……なのに……」
今のティールにセイラさんが何を言っても信じてくれない。
ティールは今、抱いている感情がなんなのか考えることを放棄している。それが楽だから。でも、それでは改善しない。
「お母さんやお父さんとお話しできなくて、ティール君は寂しかったんだね」
「……」
「寂しかったって言いたかったね。嫌いになる……ううん。嫌いだって思うようになる前に言いたかったね。辛かったね」
過去のティールはそれを口にしなかったと言う。
口にできなかったから、親との距離感が分からなくなったと言っていた。それならば、ここで言わせてあげられたら、少しは気持ちも楽になり、整理もつくはずだ。
「寂しかったね。ずっと一人で我慢してたんだね」
「……う、ん」
ティール君はどうして欲しかった? 今、どうして欲しい?」
「ぼくは」
「うん。ゆっくりでいいよ。本当の気持ちを聞かせて」
「……おはなし、してほしかった。……ずっとはできなくても、ちょっとでもいいから、はやく、いっしょ、いたかった……」
「うん」
「……でも、かーちゃ、いそがしだから、できなくて、いっしょがいいって、いえなかった」
私はセイラさんの様子を窺う。
真剣な様子で話を聞いていて、表情はどこか悲しそうにしているものの、嬉しそうにもしていて。
セイラさんはそっとソファから立ち上がると、私の隣に座り、ティールの頭を優しく撫でた。
「ごめんなさい、ティール。あの頃……いえ、今の貴方にはあの時、と言うべきね。……お義母様、サフィアお祖母様が亡くなった時、王宮内も慌ただしくなり、ティールをちゃんと見てあげられなかった。そのせいで、ティールには随分と寂しい思いをさせてしまって……小さな貴方の優しさに甘えてしまっていました」
セイラさんは撫でる手を止め、小さな我が子の手を優しく包み込む。それに気付いたティールもちらりとセイラさんに目を向けた。
「お母さんがティールを嫌うなんてありません。いなくなったりしません」
「……かーちゃ」
「だって、ティールは私の……私とブライトの大切な愛する子供だもの。何があっても嫌いになんてなりません」
「でも、かーちゃも、とーちゃも、また……ぼくのこと、みてくれなくなるんでしょ……?」
「もう二度とそんなことはありません。ブライトは仕事人間なので保証できないけれど、私は二度としないと誓います」
すっごくいい場面なのだが、ブライトさんのそれ、必要だったか?
滅茶苦茶突っ込み入れたくなるが、そんなことをしたらいい雰囲気がぶち壊しなので、黙っておくとして。
ティールは戸惑いながら、セイラさんを見つめる。その目にセイラさんも真剣に見つめた。
「……ほんと?」
「はい。本当です」
「! かーちゃ!」
ティールは私の腕から離れ、セイラさんの胸へと飛び込む。それをセイラさんもきちんと受け止め、強く抱き締めた。
ティールはセイラさんの腕の中でわんわん泣きき始める。
「ごめんなさい! ぼく、ほんとは、かーちゃ、やじゃないの! でも、でもっ!」
「うん。……また、離れちゃうのが嫌だったから、離れたままにしたかったんですよね。……大丈夫。ティールの気持ちは分かってますから」
「かーちゃぁぁぁっ!!」
「はい。ここにいますよ、ティール」
……これで多分、大丈夫そうだな。
元よりセイラさんとの仲は問題なさそうではあったが、心に残った小さなわだかまりが取り除けたのであれば、これでよかったと思う。
ティールも当時、話せなかった心の内を吐き出せたのだ。戻った後にプラスに働いてくれたらいいのだけれど。
私は二人からそっと離れて、部屋を出た。しばらくの間、二人だけにしておいた方があれこれ話せるだろう。
「ありがとうございました、ラル様」
「アンジュさん……?」
扉の外で待機していたのか、アンジュさんが神妙な面持ちで頭を下げた。
「セイラ様は時折、あの頃の自分を責めていました。幼いティール様を一人にしてしまったと……自分はよき母親ではないと。もちろん、ティール様はそんなことはないと仰有っていました。けれど、セイラ様自身、許せなかったのだろうと思います」
「当時、ティールの気持ちに気付けなかったから?」
「恐らくは。……今回の件を経て、当時のティール様の思いに触れられ、セイラ様も救われたと思います。その感謝をさせてください」
「いえ。……頃合いを見て、戻ります。その間、二人をお願いします」
「畏まりました」
お礼を言われるようなことなんてしていない。
私はただ、言われたからやっているだけだ。
……助けろって言われたから、やっただけ。
そこに意味なんてないし、感謝をされる筋合いもない。
「受け取れない。一瞬でも、止めたいと思った私に」
機会を奪おうとした私に、受け取る資格などないのだ。



~あとがき~
なんか日に日に長くなってる気がする。
ひえん。

次回、ラルの気持ち。
こいつ、闇落ち寸前か?←

セイラもきゃーきゃーしている合間にたまーにですが、ティールに対して申し訳なさ、引け目は感じていました。
彼女は無理やり壁をぶち壊して、元通りにしてましたけれど、しこりはやはり残ってはいて、「あの頃、幼いティールを一人にしてしまった」という後悔はあるんです。
ただただきゃっきゃっしてるだけじゃないんやで!!

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第341話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ちっさくなったティールとお話をすこーしだけしました。ラルだけにはちゃんとお喋りしてました。他とは話す機会なかったな。
ということで、今回は他の方々とはどうなのかが見れますよ~!


《L side》
アラシ君、レオン君、メアリーさんがそれぞれツバサちゃんの部屋に戻って来ると、メアリーさんが申し訳なさそうに、且つ、全力で頭を下げてきた。
「大変申し訳ありませんっ! お嬢様がこのようなことを……っ!」
「……っ!」
メアリーさんの突然の謝罪にティールは驚いたのか、さっと私の影に隠れてしまう。
「今のティールに言っても通じませんから、そこまで頭を下げなくても。……それで、ブライトさん達は?」
「はい。状況を詳しく伺いたいと仰っておりました。ラル様達にサロンまで来て欲しいと伝言を承っております」
サロン……サロンって言うなら、ブライトさん達の居住区寄りのエリアにある部屋か。
「俺とレオンでティールの両親に説明と謝罪に行こう。メアリーさんはツバサを頼みます。……ラルは部屋の場所、分かるんだよな? 案内を頼んでいいか?」
「いいよ。実際に見てもらった方が早いだろうから、ティールも連れてくね」
「おう。そっちの方がいいだろうな。……はぁ。物理的な被害はよくあったけど、こういうのは珍しいなぁ」
物理的な被害とは……?
私が首を傾げていると、アラシ君が苦笑気味に教えてくれる。
「アバウトに言えば、壁破壊したり、物を浮かせて飛ばしてきたりだ」
「魔力暴走怖すぎかよ」
巨大な魔力を持っているが故、コントロールが効かなくなるといった事態を引き起こすのだろう。それが一般的なのかは分からないけれど。
今度から風邪を引いてるツバサちゃんには近付かんどこ。
私はティールの頭を優しく撫でながら、同じ目線になり、にこっと笑う。
ティール君、今からお父さんとお母さんに会いに行こっか。お話があるんだって」
「と、ちゃ……と、かーちゃ、と?」
「うん。私も一緒だから、大丈夫だよ」
「……わかった」
気が向かなそうではあるものの、なんとか了承を得られた。私が手を伸ばせば、ティールも手を伸ばしてその手を掴んでくれる。
「じゃ、行きますか。こっちだよ」

ブライトさん達に指定された部屋に入れば、そこにはブライトさんとセイラさん、そして、ティールの従者であるアルベルトさんの三人がいた。
「きゃあ~♪ ティールが! ティールがあの可愛らしい姿に! 見てください、ベルトくんっ! あれが噂の天使時代のティールですよっ!!」
「ほ、本当にティール様のお姿が幼くなられて……ど、どうしましょう、セイラ様!」
「ぎゅーってすれば大丈夫です! ティール! お母さんですよ~♪」
こんな時でも通常だなぁ……セイラさん。
しかし、ティールはそんなセイラさんの言葉に答えることはなく、私の手を強く握りながら俯いてしまう。
話したくない……のだろうか。
「……四人とも、まずは座りなさい。ゆっくりでいいから、事の顛末を話してくれるかな」
こんな時でもブライトさんは冷静だ。
セイラさんの暴走……いえ、いつもの行動とはいえ、押され気味だった私達はブライトさんの落ち着いた声にハッとさせられる。
そして、私達は席に……ついたのは私だけで、アラシ君とレオン君はシンクロした動きでそのまま土下座し、ティールはいつの間にかセイラさんに奪われていた。
……あれ、いつの間に?
「ほんっっっっとに!!!」
「ツバサがすんませんでしたぁぁぁ!!!」
「……頭を上げてくれないか。起きてしまった事はどうにもならないが、これからは考えられる。まずは話をしよう」
と、真面目な話をしている横では……
「ぷにぷにです! もちもちしてます! はあ~♪ 可愛いです、とっても可愛いですよ、ティール~♪」
「や、やあぁぁっ! やだ、はなしてー!!」
セイラさんはティールを抱き締めたまま、頬をつんつんしたり、すりすりしたり、やりたい放題である。
「セイラ様、ティール様をお離しください。その、とても嫌がっているように見えますが……?」
「嫌も嫌も好きの内ですっ♪ あ~ん♪ 可愛いっ♪」
「やだあぁぁぁ!!」
……地獄絵図か、これ。
しかし、ブライトさんはともかく、セイラさんもそこまで慌てた様子はない。むしろ、現状を楽しんでいるように見えた。
我が子が小さくなってしまったと言うのに、能天気過ぎではないか?
「アラシさん、レオンさん。説明を頼めるかな」
大暴走のセイラさんは気にも止めず、ブライトさんは二人に側の椅子に座るように促しつつ、説明を求めた。
二人もおずおずと頭を上げ、促された通りに近くの椅子に座ると、ティールの現状について話し始める。
ティールがあぁなったのは、ツバサが魔力暴走を引き起こしたせいでして……」
「その暴走が起きた時、一番近くにいたのがティールだったんすよ。だから、ティールに影響が出てしまったんだと思います」
意図せず、ツバサちゃんの魔法にかかってしまった……その結果、幼児化し、記憶も失ったと。
「ふむ。……しかし、全てを失った訳ではなさそうだな。我々の事は認識しているらしいし、当時のティールに戻ってしまったため、それ以降に得るはずの記憶がないのだろう」
冷静に現状を分析する辺り、ブライトさんらしいと言えばらしいのだが……
「ブライトさん、落ち着き過ぎてませんか?」
「? と言うと?」
「実の息子が幼児化して、記憶もその頃まで巻き戻ってるなんて……そうある事態ではないでしょう?」
仮に私だったら、成長したしーくんがある日突然赤ちゃんに戻ったら……まあ、セイラさんのようにきゃーきゃーするだろうが、それ以前に狼狽えるだろう。滅茶苦茶驚くし、どうしたら元に戻るのかと真っ先に考える。
しかし、ブライトさんにはそれがない。いくら、感情が表に出にくいとはいえ、流石に無さすぎではないか。
「それはそうなんだが……その、ツバサさんもセラさんの子なのだな、と」
「うふふっ♪ そう言えば、ブライトも昔、似たようなこと、セラちゃんにさせられましたもんね~♪ まあ、ティールとは違って、記憶はありましたけれど」
「「「えっっ??」」」
私達は思わず、声を揃えてセイラさんを見る。
嫌がるティールを膝に乗せ、セイラさんは懐かしむように口を開いた。
「当時、私は実際に見てないのが残念なのですが……聞くところによれば、本当はケーキを大きくする魔法をかけようとしたんですって。……ですよね、ブライト?」
「……あぁ。元はセラさんが絵本で見たお菓子の島に行きたいから始まったんだがな。そんな島、あるはずもないから、ケーキでも大きくしたらどうだと言った」
その結果が……?
「なぜか私が子供になってしまったのだ。セラさんと大差ない位の年齢まで、な」
「……そう言えば、ブライトさん、セラフィーヌさんにたくさん魔法かけられたって」
ケモ耳生やされたり、性転換させられたり……その中には今回と似たような経験も含まれていたのか。
「そうなんです。だから、ティールがこうなったとしても、私達は納得はしても、あまり驚きはしてないんですよ? あのセラちゃんの娘だもの。こういうこともありますよ~♪ ……それに、ティールもずうっとこのままではないのでしょう?」
セイラさんがアラシ君へ視線を移して問いかける。彼は思いがけない昔話に驚いていたが、セイラさんの質問にこくっと頷き返す。
「え、えぇ……ツバサが原因でこうなったわけですので。あいつが元気になりさえすれば、元に戻してくれるかと」
その解答にセイラさんは満足げに頷き、ブライトさんも納得したように小さく頷く。
「セラさんの時も、大半が時間経過で戻れていたからな。そんなものなのだろう」
「ですです♪ 仮にツバサちゃんが駄目でも、セラちゃんやルーメンお爺様がなんとかしてくれますもの。大丈夫大丈夫♪ ケアル家は魔法のエキスパートの集まりですからね~♪」
「や、確かにその通りっすけど……」
流石のレオン君も同意はするものの、戸惑い気味である。
二人が妙に落ち着いていて、いつも通りだったのは、─引き起こした人は違うけど─前科を知っていたからだったのか。
「……っ~! や! もう、やっっ!!」
真面目な話をしていると察していたのか、ここまで黙っていたティールが再び、いやいやし始める。
子供の癖に滅茶苦茶空気読むやん、こいつ……昔から、こんなんだったのか。
「あらあら? 私はぜーんぜん、嫌じゃないですけどね~♪ こーんなにティールのこと、大好きですもの~♪」
「っ! や、やなのは、やなのっ! やだっ!」
「お母さんはティールをいーっぱい甘えさせたいんだけどな~?」
「……セイラ、いい加減にしろ。ティールを離せ」
バタバタ暴れていたティールだったが、ブライトさんの言葉……いや、声を聞いた途端、ぴたりと動きを止める。
「あら、そんな言い方はないでしょう? あなたもぎゅーってしたいんですか? それならそうと言えばいいんですよ?」
「……私は単に嫌がっているから離せと言ったまで。したいとは言っていない」
「素直じゃないですねぇ」
セイラさんがティールから手を離すと、彼はすぐにセイラさんの膝から降り、私の元へ一直線に駆け寄ってくる。そして、隣に座ると、私に抱き着いてくる。
「ラルねぇっ!」
「な、なぁに?」
呼ばれる度に精神抉られる感覚がするのは気のせいだろうか。……気のせいであって欲しいが。
「もう、やだ。……ここ、いたくない」
……こりゃ、思っていた以上に重症かもしれない。
「あと、五分……いや、三分。三分だけ、時間ちょうだい? もう少し、お話しすることがあるの。それとも、ティール君だけ、お部屋の外で待つ?」
「…………んーん。がまん、する」
我慢強いのも、この頃からだったのだろうか。……そう思うと、どこか悲しくもあるし、納得してしまう部分もある。
「陛下。明日はともかく、今日はどうしましょう? 幸いにも本日はティール様の公務はございませんが……」
「ん。あぁ……そうだな」
と、どこか思案するように沈黙するブライトさん。しかし、それもほんの数秒で、ちらりとティールに目を向ける。
「二人の話によれば、ツバサさんの体調が戻れば問題ないのだろう。なら、特別何かする必要はない。……が、そうだな。アルベルト、今日は王宮の出入りを制限させろ、と、ゼニスに伝えておけ」
「畏まりました」
「アラシさん、レオンさん。君達にはツバサさんの看病と何かあった時のためにルーメン殿に連絡を頼めるかな」
「分かりました」
「承知しましたっ!」
アラシ君とレオン君の返事を聞き、ブライトさんはそっと立ち上がる。今後というには大それた話もしてないが、今日の方針については話し終えた。これで終わり……なのだろう。
「陛下、ティール様自身は如何に……!」
「セイラかラルさんに任せておけばいい。どうやら、この中でラルさんが一番信頼されているらしい。……ラルさん、お願いしても?」
「え、あ……私は構いませんけど」
「すまないね。……話は以上だ。何かあれば報告してくれ」
そう告げると、ブライトさんは踵を返し、そのまま部屋を出て行ってしまう。
「んもうっ! ブライト! こんな可愛い我が子を見て、その態度はないと思いますー!」
……そこじゃなくないか?
よくも悪くも、ブライトさんは通常運転ってところか。
はてさて、どうしたものか。



~あとがき~
思った以上に暴走してやがるぜ、セイラめ。

次回、セイラとちったいティール。
いやいやの理由が分かる……かも?

特にそんな予定はないとは思うけど、ブライト青年とセラお嬢のどたばた日常話とかおもしろそうやなと思います。まあ、純粋に私がそういう日常話に餓えてるだけかもしれん(笑)
本編には出てきませんが、設定としていくつか存在しているので、ある程度どんな感じになった等々把握しているつもりです。何がどうなってブライトに魔法かけるねんって毎回思ってますし、ブライトも動じなさすぎやねんと思ってます。
これまた、本編には出てきませんし、相方と話したこともないですが、セイラも何回か被害に遭ってそうだなと勝手に思っていたり。
でも、ブライトやギルメン程の被害には遭ってないんやろな。
……という、勝手な想像でした。

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第340話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界での物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサちゃんのくしゃみ(魔力暴走)に巻き込まれ、なぜかちっこくなったティール出現!
ということで、海の国編~幼児化事件の章~が開幕じゃい!


《L side》
「きみ、だぁれ?」
ティールのこの言動に全員が言葉を失い、レオン君が手にしていた連絡用端末を床に落とした音だけがその場に響いた。
「……あれ、扉開いて……メアリーさん? ツバサが風邪引いたって話を聞いたんすけ……ど、え?」
私が換気のために開けっぱなしにしていた扉からアラシ君が入ってきた。彼もまた、目の前の光景に呆然とし、キョロキョロと辺りを見回す。
「……何事?」
「ア、アラシ様、その……ですね」
「え、あ……え~……っと、まさか?」
と、アラシ君は固まった動かなくなったレオン君を見る。レオン君は首だけアラシ君の方を向け、真っ青な顔をして、小刻みに何度も頷いた。
「!?!? マジかよ! ツバサのやつ、やったのか!?」
「あ、わ、私、陛下にこの事を伝えて参りますっ!!」
「頼みます! おい、レオン! 思考放棄したくなる気持ちは分かるが、固まってないで、端末拾え! ルー爺に連絡しろ、連絡っ!!」
「っ! りょ、了解っ!」
メアリーさんがブライトさんに報告するために出て行き、レオン君は落とした端末を拾い上げ、部屋の外へと行ってしまう。
「ラル」
「……なぁに?」
「俺は騎士団の奴らに事情を説明してくる。ちょっと様子を見に行くだけのつもりだったから……こんなことになってるとは思ってなくて。……すぐ戻るから、ツバサのこと、頼む。なんもないと思うけど」
「うん、いいよ。行ってらっしゃい」
アラシ君も出て行き、再び沈黙が訪れる。
私はというと、アラシ君に話しかけられてようやく、思考が戻ってきた感覚がしたところだった。
この場には熱で目を回すツバサちゃんと、いまいち状況を把握しきれていないティールと、同じくぽかんとしているしーくんしかいない。
さて、どうするか……どうするのが最善なのだろう。
「しずく、だよ? ティール、わかんないの?」
しーくんが私の腕から抜け出し、小さくなったティールに戸惑いながらも近づく。
ティールは何度も首を横に振り、「わかんない」と呟く。
「はじめまして……だよ。ぼく、しらないもん」
「……なんで。なんで、ティール、おぼえてないの? ラルは……ラルは?」
ティールの目は私に向く。そして、先程と同じように首を振った。
「ううん。……しらない」
「なんで……やだ。やだ! やだ!!」
「ふぇ……っ!」
しーくんの声にティールが怯えたように体を震わせる。記憶のないティールからすれば、当然だ。怖いに決まっている。突然、目の前に現れた子に訳も分からず責められているのだから。
私はしーくんの元に駆け寄り、何も言わずに抱き上げる。
「ラル……ティール、ボクのこと、おぼえてないの! ラルのことも、おぼえてない!」
「……うん。そうだね」
「やだ、やだよ……いっしょがいい……やだぁ……ティール、どこ、どこにいるのぉ……!」
大粒の涙を流しながら、何度も何度も問いかけてきた。
それに私は何も言えない。
……何も、言えなかった。
私は泣きじゃくるしーくんを抱っこしたまま、窓を閉め、ツバサちゃんをベッドにきちんと寝かせてから、この場にじっと留まっていたリランに近寄る。
「一番に騒ぎそうなのに、落ち着いてるな。リランは」
「くぅん」
「……リラン、しーくんをお願い」
「あんっ!」
力強く頷いてくれたリランにしーくんを預ける。本当なら私がしーくんをあやさなきゃいけないけど、それだと、今のティールを一人にしてしまう。それだけは、駄目だと思った。
「ごめんね、ティール君。初めましてなのに、びっくりしたよね」
ずっと不安そうにしていたティールと同じ目線になり、安心させるためにそっと微笑んだ。
「……だぁれ?」
「私はラル。ティール君のお父さんとお母さんのお友達でね、二人にここへ遊びにおいでって言われて、ティール君のお家に来てたの。そこに寝てるお姉さんも、さっきまで一緒にいたお兄さんやお姉さん達も、そう。私とおんなじ」
「ラル……とーちゃ、と、かーちゃの、おともだち」
「うん」
「ラル……ラル?」
「うん、ラル。それが私の名前だよ。……初めましてだから、珍しいかな。その名前」
「……あのね、へんなの」
あ? まさか、変な名前とか言うのか、こいつ。泣きたいの我慢して優しくしとるんだぞ、こっちは!
「しらないのに、しってるっておもうの。……ほんとに、はじめまして?」
「……っ」
やめて。やめて、そんな言葉を使わないで。
期待させないで。
ティールはいない。私を知る、ティールはいない。いないから。
期待をするな。
「……うん。初めまして、だよ。もしかしたら、お母さんかお父さんからお話を聞いたのかもしれないね」
「……ラルねぇさま」
「……は?」
思わず、素が出てしまった。
こちらは感情ぐっちゃぐちゃなのを必死に隠しつつ、平静を取り繕い接しているというのに、それを壊すかのような斜め上の質問。
「なんだか、ラルねぇさまとは、はじめましてっておもえない。……だから、ねえさま」
申し訳ないが、「だから」という接続詞に繋がってない気がするのだけれど。しかし、ティールの中ではそれがしっかりとした理由になっているのだろう。
「私はティール君のお姉さんじゃないよ?」
「うん、わかってる。……けど、だめ?」
「だ、め……ではないけど……姉様はちょっと、その……」
本来、同い年で長年の相棒に姉様って呼ばれるのは何かくるものがあります。大体、様付け自体、好きではないのに。
だが、今のティールにとって、私は年上のお姉さん……それを思えば姉さんと呼びたくなるのも分からんでもない。しーくんが年上の人達をお姉ちゃん、お兄ちゃん呼びするのと同じなのだ。
「……ラルねぇ、なら……いいよ。百歩譲って」
「! わかった。ラルねぇ」
くそ。こちとら、君と同い年なんですけど……一応。
私との会話で幾分か不安も消えたらしく、今は笑顔を見せてくれていた。いつもの優しそうな笑顔。
……次は、と。
ティールに少し待つように伝え、私はリランの側へ戻る。
「ありがと、リラン」
「あん♪」
しーくんはリランにしがみついたまま、ずっと泣いていた。現状を上手く理解できず、混乱しているのもあるし、純粋にティールに忘れられたことが悲しいのだろう。
そんな状態のしーくんとティールを一緒にいさせるのはよくない。特にしーくんにとっては。
「ねえ、リラン。少しの間、しーくんと一緒にいてくれないかな」
「くぅん?」
「多分、この後、ティールのご両親に説明しに行かなきゃなんないと思うから。本当なら、私の役目なんだろうけれど」
アルフォースさんの話によれば、今のティールはブライトさんとセイラさんを避けていた頃のティールだ。そんなティールを一人にしてはおけない。そんなことをすれば、過去と同じ思いをさせてしまう。それでは意味がない。
「……お願い、リラン」
「わふんっ」
「ありがとう。……しーくん、ティールはね、魔法でしーくんのことを忘れちゃってるだけなの。でも、魔法が解けたら、いつものティールだから」
「……ほ、んとに?」
「うん。だから、お部屋で待っててね」
「ん……わかった……」
しーくんを少しでも安心させるためにの言葉であり……自分にそう言い聞かせるための言葉でもあった。
魔法が解ければ、ティールは私達を思い出す。……そのはずだと。



~あとがき~
昨日、投稿し忘れてたんで、今日しました。今日だけだぞ☆←
いや、まじすんません。予約忘れてました。(土下座)

次回、ちっさくなったティールと両親の話。
ご対面じゃい。

スプランドゥールでアルフォースさんが話していましたが、今のティールは現在の記憶はなく、当時の記憶しか持ち合わせていません。それなのに、ラルに親しみを持ったままなのは……なんででしょうね。愛のなせる技かもしれない←

ではでは!

学びや!レイディアント学園 第339話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどたばたしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
海の国、滞在二日目になります!
ほのぼの日常が待ってるぞい☆
ラル「いやいや。そんなゆるゆる日常待ってるわけないよねぇ?」
……お楽しみに!!
ラル「逃げた」


《L side》
海の国滞在、二日目。
昨日はティールの両親でもあり、国の王、王妃のブライトさんとセイラさんに挨拶したり、セイラさんになんか弄ばれたり(?)、なぜか海に行って遊びまくったりしました。
海から帰ってきたら、準備されていたお風呂に入り、豪華な夕食、豪華なお部屋を堪能させてもらった。
ツバサちゃん、レオン君、私としーくん……それぞれの部屋が用意されていたのだが、なんというか……連日、あんな豪華なお部屋にいてもいいんだろうかと思ってしまう。
客間なのだろうが、ベッドは滅茶苦茶大きいし、ふかふかだし、ソファやテーブルもなんか高そうなのは分かるし……
「数年前にも泊まったけど、物を壊さないかヒヤヒヤするなぁ」
見るからに高価な家具や装飾品の数々。ルーメンさんに用意された部屋も普段なら泊まるようなところではないのだが、ここはその比ではない。
ルーメンさんのところはホテル。不特定多数人数が泊まる前提の部屋だし、それが商売である。しかし、ここはそうではない。
なんというか、装飾品から貴族の部屋だなーと思うのだ。場違い感が否めないと言うか。
……と、どうでもいいあれこれを考えていると、私の隣を歩くしーくんが不思議そうに見上げてきた。
「ラル、どーかしたの?」
「んー? なんでもないよ~? それよりも、しーくんはよく眠れたかな~?」
「うん! ベッドがふかふかでね、よくねた!」
なんせ、昨日は布団に潜った瞬間、ぬいぐるみを抱っこしてすぐ寝息を立てていたのだ。移動疲れもあるだろうが、海で大はしゃぎで遊んだのも大きいのだろう。
ティールはもうきてるかなー?」
「さあ……どうだろ?」
朝食は各部屋に運ばれてくるのかと思っていたのだが、何の配慮か「皆で食べましょ」とセイラさんの提案で食堂にお招きされている。本来、王族の人と共に食卓を囲むのはあまりよくなさそうな気もするのだが……その辺はセイラさんの拘りなのかもしれない。
ということで、食堂前でティールと待ち合わせしているのだ。しているが、超絶朝に弱いティールだ。時間通りに来ているか怪しいところである。
「いたー! ティール!」
「え、いるの!? あの寝坊助が!?」
食堂前の扉の近くで見知った人影を見つけたしーくんが一直線に駆け寄っていく。私も遅れてそちらへ近寄れば、しーくんの言う通り、ティールだった。
「おはよう、ラル。……何か聞こえた気がしたけど、気のせいかな?」
「え~? 気のせいじゃない?」
地獄耳か、お前。
ティール、ちゃんとおきれたのー? えらいねー?」
「ありがとう、雫。今日は時間ぴったりにベルトが起こしに来たから。……あいつ、朝から滅茶苦茶うるさくて、寝てらんないよ」
私でもティールを起こすのに苦労するのに、アルベルトさんは凄いな。流石、ティールの従者さん。
しかし、ティールから若干疲れの色が窺える。なので、アルベルトさん絡みで朝から何かあったんだろうなぁとは思う。となれば、おちおち寝ていられないってやつだったのだろう。仮にそうなら、御愁傷様です。
朝の挨拶もこの辺りで切り上げ、私達は扉を開けて、中へ入る。そこには朝からにこやかな笑顔を浮かべるセイラさんが席に座っていた。
「ラルちゃん、雫君、ティール。おはようございます♪」
「おはようございます、セイラさん」
「おばあちゃん! おはよーございますっ!」
「おはようございます、母上」
「……ふふっ♪ いやだわぁ、ティールったらぁ」
どうやら、「母上」ではなく、「母さん」をご所望のようです。……しかし、ティールはセイラさんの視線を気にせず、慣れた様子で席に座る。ガン無視するつもりなのだろうか。
「んもう、つれないですねぇ? まあ、いいでしょう。……さあ、ラルちゃん、雫君も座ってくださいな」
「あ、はい。……あの、セイラさん。ツバサちゃん達は?」
この場にブライトさんがいないのは想定内だ。前に泊まらせてもらったときもそうだったから、恐らく、今回も仕事しながら食事をしているのだろう。しかし、ツバサちゃんとレオン君がいないのはおかしな話だ。
まさか、私としーくんだけしか招かれていない……なんてあるはずもない。騎士団の一員であるアラシ君はともかく、ツバサちゃんとレオン君はセイラさんが誘っているはずなのに。
「ん~……実はツバサちゃんのメイドさん……メアリーさんから、ツバサちゃんが風邪を引いてしまったとお知らせがありまして」
「ツバサが風邪?」
「えぇ。聞くところによれば、そこまで酷い様子でもないようなので、一日安静にしていれば問題ないと。……その関係もあり、二人は部屋で食事をすると聞いています」
メアリーさん曰く、旅疲れと海でずぶ濡れになったのが原因ではと話していたらしい。
「ツバサお姉ちゃん、だいじょーぶ?」
「きちんと寝ていれば大丈夫ですよ。雫君がお見舞いに行ってあげたら、ツバサちゃんも少し元気になるかもしれないし、行ってあげてくださいな」
「ん! いく! ね、ラル、ティール。いってもいーい?」
「そうだな。この後、一緒に行こう。……で、いいよね、ラル?」
「……そうね。しーくんの元気パワーあげに行こっか。けど、迷惑にならないように大人しくね?」
「うんっ!」
程よいところで話が終わると、タイミングよく朝食が運ばれてきた。各々が好きなように食べ進め始める。
……風邪、か。昨日、なんとなく過ったそれは、今日なのか。
セイラさんの話し通り、一日で治る風邪なら、それが起こるのは今日しかない。
その事実にどこか苦しいと感じるものの、その些細な変化を悟られるわけにはいかない。
私は自身の感情を流し込むようにグラスの水を飲み干し、それについて考えることをやめた。

朝食を済ませた後、セイラさんと別れた私達はそのままの足でツバサちゃんの部屋へと向かった。
しーくんはツバサちゃんが心配なのだろう。頻りに「だいじょーぶかな」と呟いていた。その度にティールが「大丈夫」と頭を撫でて安心させている。
「母上……おばあちゃんも言ってたろ? 一日寝てれば、よくなるって。だから大丈夫」
……こんな時にあれなのですが。
「おばあちゃん呼び、受け入れたんだ?」
「ぼく的には微妙な気持ちではあるけどね。でも、母上がいいって言うし……雫を家族として受け入れてくれるんなら、いいかなって。言い方は変だけど、ぼくやラルに何かあっても守ってくれる家族がいるなら、安心できるだろ?」
それはそうかもしれない。
セイラさんがそこまで考えて、おばあちゃん呼びをさせているのかは分からない。しかし、少なくとも、しーくんとティールの関係を受け入れてくれているのだとは思う。
「過保護でお節介なところはあるけど、母上はいつだってぼくらの味方になってくれるからさ」
「そうだね。実体験だもんね」
「……うるさいよ」
照れんな照れんな。
そんな他愛ない話をしつつ、ツバサちゃんの部屋まで来ると、扉の前なのに中が騒がしいのがなんとなく伝わってくる。中で病人が寝ているはずなのだが、なぜこうもバタバタしているのだろう。
ティールと首を傾げつつも、とりあえず扉をノックしてみる。すると、すぐに扉が開けられた。
「あら? ラル様、ティール様……それに雫様も。……もしかして、お嬢様のお見舞いへ?」
この後使う予定なのか、使った後なのか、額に乗せるための氷嚢を片手にメアリーさんが出迎えてくれた。
私達はペコッと頭を下げ、控え目に挨拶を交わす。
「おはようございます、メアリーさん。その、もしかしなくても、です。ツバサちゃん、どうですか?」
「まあ……わざわざありがとうございます♪……先程、処方されたお薬のおかげか、熱が下がり始めたようで、落ち着いてきたところです。少しであれば、お話しもできるかと思いますので、よろしければ」
メアリーさんに促され、私達はそろそろっと部屋へと入る。
ベッドにはツバサちゃんが半身を起こし、お粥らしきものをゆっくり食べていた。その近くにはドラゴン姿でそわそわしているリランと、どこかに電話中のレオン君の姿があった。
ティール様、申し訳ありません。客人という立場でありながら、王宮の皆様にはご迷惑をおかけしまして……」
「あぁ、いえ。病気はどうしようもないですよ。むしろ、何かあれば遠慮なく頼ってください。力になりますから」
「恐れ入ります」
「ほあ~……? ラルさん、ティールさん……? あれ、しーくんもいる……? おはようございます~」
静かにお粥を食べていたツバサちゃんがこちらに気づき、ふわふわしつつも、手を振ってきた。そんなツバサちゃんの言葉にリランとレオン君も私達に気付いたらしく、挨拶代わりにリランは尻尾を振り、レオン君は片手を上げた。
「おはよう、ツバサちゃん。体調はどう?」
「はい。王宮のお医者様がくれたお薬でだいぶ、楽になりました~……ティールさん、ごめんなさい。ご迷惑をおかけして」
「メアリーさんにも言ったけど、気にしないで。何かあればぼくでも使用人でもいいから、何でも言ってね」
「何から何まで……ありがとうございます……っ、けほっ」
「はわ! ツバサお姉ちゃん、だいじょーぶ?」
しーくんがツバサちゃんの側まで駆け寄り、心配そうに見上げる。そんなしーくんにツバサちゃんも心配をかけまいと気丈に微笑む。
「だいじょぶだよ~♪ これくらいの風邪、寝てれば治るからね~」
「ほんと……?」
「うん。ほんとほんと」
そうは言われても、完全に不安が抜けきらないようで、じっとツバサちゃんを見上げたままだ。そんなしーくんにリランも「大丈夫」と言わんばかりにすりすりと顔を寄せていく。
「そう言えば、レオン君はどこに連絡を?」
「ルーメン様です。明けの明星で製作されている即効性のある解熱剤の手配をお願いしているんですよ」
流石、明けの明星。なんでもあるらしい。
私が明けの明星の商売範囲の手広さに震えていると、ティールが「そろそろ行こうか」と問いかけてきた。
「これ以上の長居はツバサの体に障るだろ?」
「……え、あ、うん。そう、だね」
帰るの? このまま?
例の事件が起こると思っていたのだが……あれ。今日じゃ、ない?
若干、混乱気味な私をよそに、ティールはツバサちゃんの近くにいるしーくんにも呼び掛けた。
「雫、帰るよ」
「ん! ばいばい、ツバサお姉ちゃん」
しーくんがこちらへ戻ってきて、ティールが部屋の扉を開く。このまま退出の流れかと思ったのだが、ふとその動きが止まり、「ちょっと待ってて」と言い残して、ティールが部屋へと戻っていく。
「伝え忘れてた。ツバサ、メアリーさん」
……あぁ、やっぱり今日だ。
それを悟った瞬間、ティールの腕を掴みそうになる。アルフォースさんの話を聞いて、覚悟を決めたはずなのに。行って欲しくないと思う私がいる。
この期に及んで……往生際が悪い。嫌になるな。
ティールはツバサちゃんのベッド近くまで歩み寄り、その横にあるチェストの引き出しを開ける。
「ここのベッド横のサイドチェストに呼び鈴があるので、何かあればこれを鳴らしてください。誰かしら来るようになってますので」
「ん……ふえ……へぁ……」
「? ツバサ?」
「──ふぇっっっくしゅんっ!!!」
「っ!?」
ツバサちゃんの体がの周りが一瞬、淡く光ったかと思うと、何かが爆発したかのように白い煙が辺りを包み込んだ。
「……ティール」
「わわっ! ティール! ツバサお姉ちゃん!」
「お嬢様!」
「んえ!? 何、なんだぁ!?」
突然現れた煙にこの場にいる全員──否、私以外が驚いたように声を上げる。煙で何も見えないが、誰かが倒れた音も聞こえた気がした。
「お、お嬢様!?」
「もしかして、ツバサのやつ……熱上がったんじゃ!?」
「あんあんっ!」
二人と一匹の反応を見るに、こういうのは一度や二度じゃないらしい。いや、今はそんなことよりも。
私は近くにいるしーくんを抱き上げ、まずは近くの扉を開け、次に脳内マップと自身の気配察知を頼りに窓まで辿り着くと、全開にしてその場に座り込む。これで風の通り道ができて、すぐに煙も晴れるはずだ。
「ラル……ティールは? ツバサお姉ちゃんは?」
「……」
しーくんの問いに私は答えられなかった。
素直に「分からない」とも、気休めに「大丈夫」とも言えなかった。
分からなくないし、大丈夫でもないのを知っていたから。嘘をつく余裕すら、今の私にはないらしい。
煙が晴れるまでそこまで時間はかからなかったように思う。恐らく、十秒程度だ。
視界がクリアになり、目に飛び込んできた変化は二つだ。
一つ目はベッドの上で目を回して倒れるツバサちゃん。
二つ目は……
「……?」
ベッドのすぐ側に座り込み、キョロキョロを辺りを見回す子供がいる。その子供が現れた代わりにティールの姿は消えていた。
「……え、と。この、子は……?」
「その髪の色、服……まさか、ツバサの魔力暴走……で?」
「うゆ?……ティール、なの?」
ティールの名前を聞いた男の子はしーくんの方を見る。
水色でふわっとした髪、くりっとした黒目は不安に揺れ、じっとこちらを見つめていた。
「てぃーる……は、ぼく、だけど……きみ、だぁれ?」



~あとがき~
もらったプロットに闇なんてなかったのに、今はなんでこうも闇が見え隠れするの(笑)

次回、ちったいティールとあれこれ。

年齢操作って創作の定番ネタの一つだと思ってます。本来なら、ちっこくなった相手を
「あらまあ、かぁいいねぇ( *´艸`)」
「子供扱いするなー!(*`ω´*)」
ってするためのもんだと思うんだけど(偏見)、残念。そうはならないのが、私です。
理由は以前にも語った通りなので、言いませんが……私もきゃっきゃっできる話を書きたかったね!!←

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第338話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、海に行った一行。
ラルとティールがのんびり(?)語らうだけで海で遊びませんでした。
今回は遊ぶぞっっ!!
ラル「必要か、それ」
必要だ! 夏要素の一つ、きちんとやるぞ!


《L side》
『てぃー! るー!』
「スイ」
ティールが身に付けていたポーチから飛び出してきたのは毎度お馴染み、ティールの相棒の一人、スイちゃん(液体ver.)だ。
「あれ? 連れてきてたんだ」
「うん。伝言頼む代わりにね。ちなみにセツは留守番」
無慈悲な……流石、ティール。
スイちゃんは私達とやり取りは気にしてないのか、聞いてないのか、特に突っ込みもせず、ただどこか不満そうにゆらゆら漂っていた。
『うみなのに、おはなしばっか! つまんなーい! あそぶ!』
「変なことしないんなら、勝手にどうぞ」
『ちっがーーう!! すいちゃ、てぃーとるーとあそぶのー!!』
遊ぶと言われても……私はスイちゃんが楽しめるような遊びはパッと思い付かないけれど。
かといって、リランのいるあそこに飛び込むのもなぁ……そこにスイちゃんも加わるとなると、被害が出る確率が右肩上がりでは?
「お前が楽しみたいだけなら、あっち行ってきていいぞ。ぼくらはぼくらで楽しいから」
『やだ。すいちゃ、ふたりとあそぶもん』
「遊ぶって……何するつもりなんだよ?」
『みずであそぶの!』
スイちゃんと水で遊ぶ……事故の予感しかしてない。
私とティールはお互いの顔色を窺うように目を合わせる。
ティールも私と大して変わらない考えをもっているらしく、表情には「面倒くさい」って書いてあった。
しかし、現状、今のスイちゃんを納得させるだけの理由も見当たらないし、本人も諦めるつもりもなさそうだ。となれば、素直に従い、抜ける隙を窺う方が賢い。
「じゃ、とりあえず皆のところに行こっか。大勢の方が楽しいからさ」
ずぶ濡れリスクはあるけど、その分、スイちゃんの意識も私達から逸れる可能性も高い。
なんて、私の考えなぞ知る由もないスイちゃんは返答を聞けば、嬉しそうにくるくると回り、ぴゅーっとツバサちゃん達の方へと飛んでいってしまう。
「よかったの? あんな風に言っちゃって」
「ずるずる引っ張る方が面倒になりそうだったからね。……適当に付き合って、引き上げよ」
「了解」

──なんて、そう思っていた時期が私にもありました。
「あうーーん!」
「きゃー! リラン! 冷たいよー!」
「あんあんっ!」
「ほあー! こっちきたー!」
リランが海面にダイブする度に大量の水飛沫があちこちに飛んでいく。近くにいる人はもちろんのこと、少し離れていても飛んでくるものだから、逃げ道なんて存在しない。
なら、リランからある程度の距離を取ればいいのではと思うだろう。
「あんっ!」
……取れたら苦労しないんだよ。
離れようとした途端、逃がさんとばかりにロックオンしてきて、バシャーンっと飛び込んでくるのだ。
「くっ……リラン、元気すぎじゃない!? というか、なんでこっち来るの!」
「あんあんっ!」
何度目かのリランの水飛沫攻撃を受けてしまった私はどうにかして次の攻撃を避けたくて、翻弄しているところだった。
「雷姫か! 雷姫と遊びたいってか!?」
「あんっ」
肯定っぽい返事だ。
皆と楽しく遊んでるから、雷姫も一緒に遊ぼうよーと訴えてる……のかもしれない。
しかし、私の中にいる雷姫は沈黙を貫いている。何度か呼び掛けてはみたものの、全く反応を示さないのだ。ここまでくると、意地でも出てこないという意思表示なのだろうなと悟る。
「モンスターか何かが出てこない限りは無反応だな、これ……諦めて別の人と遊んでくんない?」
「あん?」
……じゃあ、逃げないでね?……ですかね?
雷姫という翻訳機がないので、本当のところは分からない。だが、黙っていなくなるのが嫌なのは、今までの構って行動で何となく分かる。
「逃げない。逃げないから、大量の水をかけるのだけはやめてください」
「わふんっ♪」
私の答えに満足したのか、リランは私ではない誰かの元へと駆け寄っていった。
ちなみに、一番濡れてるのはツバサちゃんで、次にしーくん、レオン君、私、ティールの順。
途中参加の私ですら、そこそこ濡れてるので、初めからリランと遊んでいた三人はびっしょりである。
「というか、ティールはズルいよね」
私がリランかのダイブ攻撃から逃げようとしていた横で、スイちゃんとの水かけ合戦なんてものをしていたはずのティールなのだが、全くと言っていい程に濡れていない。その秘密は青色に淡く光る瞳にあった。
「そりゃ、生まれ持った能力は駆使するべきだろ?」
「まあ、そうかもしんないけど」
「大丈夫。手加減はしてるし、使いすぎないようにしてるから」
そこじゃねぇが??
……とにかく、だ。
タオルは持ち合わせているが、ここまで濡れることは想定していないため、着替えはない。また、一般人に解放されていない場所でシャワーとかもないから、いいところで切り上げないと風邪を引きかねないだろう。
体力お化けのリランや水慣れしまくってるしーくん、能力でずぶ濡れ回避してるティールはともかく、他メンバーはそうも言ってられない。
「日も傾きかけてるし、そろそろ帰ろっか。夏とはいえ、このままだとまずいでしょ」
「だなー? こんなに濡れといてあれだけど、元々、濡れていい服でもないしな~?」
レオン君が遊び足りなそうなリランを捕まえ、砂浜へと戻ってくる。それに続いて、ツバサちゃんとしーくんも海から戻ってきた。
「うみ、たのしーね! でも、おくまでいきたかったなー」
「しーくんが言うと洒落にならんなぁ……また今度ね?」
「はーい!」
沖合いまで行って帰ってこなさそうな気がするよ、この子は……大丈夫なんだろうけども。
鞄から人数分のタオルを引っ張り出し、皆に手渡していく。濡れた髪や手足等拭き終われば、各自帰り支度を始めていく。
帰り支度なんて言っても、身なりを整えられるだけ整え、忘れ物がないかチェックするくらいなのだが。
「短い時間だったけど、遊んだ遊んだ~♪ アラシがいないのが残念だったぜ♪」
「アラシ君がいたら、リランももう少し大人しかったかなぁ」
獲物が一人増えるもんな。絶対、そっちの方が楽だったよ。……まあ、それは置いておくとして。
「帰るか! 皆、忘れ物はない? 大丈夫?」
「はいっ♪ 大丈夫でっ……くしゅっ!」
あらあら、ツバサちゃん大丈夫?
随分と可愛らしいくしゃみしてるけど……よくよく考えたら、リランの被害─リランだけとは言わないけど─に一番遭っているのはツバサちゃんだ。そこまで冷たい風が吹いているわけでもないが、体が冷えてきたのかもしれない。
「早く帰って、お風呂に入れてもらおっか。風邪引いちゃうかもしれないし」
「う~……はい。そうします」
ツバサちゃんは私が渡したタオルを肩から掛け直しながらニコッと笑う。
……風邪、か。
アルフォースさんの言葉通りなら……もしかして、明日……?



~あとがき~
とりあえず、リランがはしゃいだ話。

次回、ほのぼの日常(?)を送ります。

なんかもうちょっとはしゃぐところを書きたかったけど、ラルが思ったより保守的な動きしかせんかった。もっと青春しろや!!←?
あと、幼児の雫が沖合いまで行きたい発言してますが、皆さんは駄目ですからね。帰ってこれなくなりますからね。やっちゃアカンですよ!
雫? 雫は平気な顔して戻ってきます。あの子は特別です(笑)

ではでは。

学びや!レイディアント学園 第337話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとブライトの話が途中で終わっちゃいました。また明日ってことになってます。
つーことで、ちょっとした空き時間に海行くぞー! 夏っぽいぞー!!
ラル「スプランドゥールの夏祭りあったやん」
レオン「花火もあったしな!」
ティール「そっちの方が夏だった気が。今回、泳いだりする訳じゃないよね?」
うるせー!! 海も夏だー!!
ラル「強引が過ぎる」


《L side》
服装を元に戻し、セイラさんの帰りを待つ間、アンジュさんの用意してくれたお茶を嗜んでいた。
ちなみに、アンジュさんとメアリーさんは部屋に保管されている様々な衣装の話で大盛り上がりしていた。いや、主に大盛り上がりしているのはメアリーさんで、アンジュさんが一つ一つ丁寧に説明しているだけなのだが。
「この装飾はとても繊細で見惚れてしまいます……! このレース、綺麗ですね~♪」
「丁寧に刺繍されたそのレースは先程のドレスにも用いられていますよ。そのようなデザインをセイラ様が好まれていた頃のものですから、あちらの袖口にも似たようなものが」
「はわぁ~! 勉強になります!」
細かなところまで観察し、質問していくメアリーさんも流石なのだが、それ全てに解答していくアンジュさんも流石である。
そんな様子を見ていたツバサちゃんがリランを撫でながら、こてんと首を傾げる。
「アンジュさんも服作り、好きなんですか?」
「うんにゃ? アンジュさんはセイラさんが好きなだけ。セイラさんが楽しそうに話してくれてたから、それを覚えてるんだと思うよ」
確か、それを教えてくれたのはゼニスさんだったか。「セイラ様の側付きであるアンジュはセイラ様のことなら何でも知っている」と。なぜそのような話になったかまでは覚えてないけれど、私が純粋にアンジュさんのことを質問した時だった気がする。
「たっだいま~♪」
と、許可取りしに行っていたセイラさんが帰ってきた。
満面の笑みで「許可貰いました!」と言わんばかりの笑顔である。
「その様子だと、問題なかったみたいですね」
「はい♪ 沖合いには行かない約束で」
時間も時間だし、水着なんてものも持ち合わせていない。元々、泳ぐつもりなんて全くないし、問題なさそうだ。
ティールもその場にいたので、行ってきなさいと伝えてありますよ。とは言え、まだ二人でお話ししてるみたいなので、もう少し私とお話ししましょう♪」
お話ししましょう=お着替えしてもらっていいですか、では……?
そんなの嫌なんだけど。
「お話ししたいのは山々ですが、海に行くのなら軽く準備しないと」
「あ、その辺は大丈夫ですよ。ラルちゃん達はその身一つで行けるよう、こちらで全て手配しますから♪」
あぁ……用意がいい。流石、セイラさん……こういう時は用意周到だ。
ティールのママ、すごいんだねー?」
「あらあら。そんなことはありませんよ♪ ラルちゃん達はお客様ですもの。お客様をおもてなしするのは、家主としては当然のこと。……まあ、ここの家主はブライトなんでしょうけれど」
ティールのパパ」
「はい。今はブライトが忙しそうなので私が代わりにやってるだけ。というか、ブライトにおもてなしの心があるかも不明ですが。……ところで、雫くん」
「うゆ?」
ティールのママとか、ティールのパパとか、長くありません?」
……セイラさんが何を言いたいのか、なんとなく分かった気がする。
しかし、肝心の本人は何度か首を傾げる。
ツバサちゃんとレオン君も不思議そうに行く末を見守る中、しーくんは「ながくはないけど」と答え始める。
「わかんなくなるかも? ティールがいっぱいなんだもん」
本人を呼ぶ時はもちろん、セイラさんやブライトさんを名指しする時も「ティール」をつけていればそう感じてしまうのも不思議ではないか。
「なら、私のことはおばあちゃんでいいですよ。ブライトはおじいちゃんですね~♪」
「ほあ。でも、ティールのママ、ルーメンおじいちゃんやアズおじいちゃんみたいじゃないよ?」
「いいんです。だって、雫くんはティールをパパって呼ぶのでしょう?」
「うん。よぶときある」
「パパのママはおばあちゃんで、パパのパパはおじいちゃんなんですよ。だから、間違いじゃないんです」
「おあ。そーなの?」
「はい。ですから、遠慮せずに呼んでいいですからね~♪」
「分かった! おばあちゃん!」
「きゃー! なんか感激です!! もっと言って~♪」
理屈としては間違ってないとは思うが、セイラさんは『おばあちゃん』なんて年ではないように思う。本当にそれでいいんだろうか。
いや、確かにティールはしーくんのパパ代わりだけども。その理屈でいけば、セイラさんやブライトさんはしーくんの祖父母になるけども。
「セイラさん、とっても嬉しそう~♪」
「あれじゃん? 初孫みたいな?」
随分と早い初孫だこと……
この場にティールがいたら、あのセイラさんをどうにかこうにか止めに入るんだろうが……私にはそれはできそうにないので、そのままにしておく。
『るー!』
「……? スイちゃん?」
いつ、どこから入ってきたのか、気がつけば私の頭上にふよふよと浮かぶ謎の液体──ティールの相棒の一人、スイちゃんがいた。
『てぃー、ごふんご、ごーりゅーするっていってこいってー! だから、きた!』
「ふぅん……ブライトさんとの話、終わったのかな」
『わかんないけど、ごーりゅーするって』
まあ、そうか。スイちゃんは二人の会話を聞いているはずもない。しかし、合流すると言うのなら、少なくともきりのいいところまでは終わっているのだろう。
「んじゃ、正面で……いいんですよね、セイラさん?」
「はい♪ ちゃあんと準備してますよ~♪」
「ってことだから、ティールには正面玄関っていうの? そこで待ってるって伝えてくれる?」
『あいあいっ! しょーめん!』
スイちゃんはくるりと旋回し、跡形もなく消えてしまう。扉の僅かな隙間から出入りしているのかと思っていたけれど、瞬間移動みたいな感じで出入りしていたらしい。
本当に神出鬼没である。
「口挟む暇なかったけど……スイって確か、ティールの剣の?」
「そそ。ティールに伝言頼まれてたみたい。……じゃ、準備はいいですか~? 行きますよ~?」
「はーい!」
「あんあんっ!!」
「いつでもいける!!」
よっしゃ、行きますかね~

ほんのりオレンジに変わり始めた空。
そんなオレンジを映し出す海面は宝石のようにキラキラと輝いていた。
周りには私達以外おらず、貸切状態。
そんな国所有の海岸に私達はやってきた。
「「「──うーみだー!」」」
レオン君、ツバサちゃん、しーくんの三人は仲良く声を揃えて目の前の海原に向かい、大声で叫ぶ。それに呼応するようにリランも元気よく一鳴きした。
三人と一匹はそのまま波打ち際まで走り出し、楽しそうに遊び始める。
「まさか、魔道具で移動するとは……私、馬車か何かで行くもんだと思ってたよ」
「うん。ぼくも」
セイラさん……と言うか、セイラさんに頼まれたのだろうメイドさんに荷物一式持たされ、最後に手渡されたのは移動系の魔道具だった。
その魔道具には特定の場所を記録してあり、一瞬でその地へと飛ぶことができるらしい。ちなみに、帰りも同じものを使えば一瞬で帰ってこれるとのこと。
「これもルーメンさんのところのものだったりして」
「そうなんじゃない? なんかもうここまでくると、お得意様なんだろうな。ぼくん家」
『明けの明星』は一生潰れんわ。絶対。
私は持たされた鞄の中からレジャーシートを取り出して、適当なところに敷く。そして、シートの上に鞄を置き、自分も腰を下ろした。
「あれ。ラルは遊ばないの?」
「あの中に混ざったら最後、ずぶ濡れになるでしょ。嫌よ、そんなの」
全員、服を着たままなので、今のところは足を海につけ、バシャバシャと遊んでいるだけだ。しかし、あそこにはお転婆リランがいるので、ヒートアップすれば確実に全身濡れてしまうだろう。今のところは大丈夫そうだけれど。
ティールも私と似たような思考に落ち着いたのか、小さく笑いながら、「確かに」と頷く。そして、私の隣に座った。
「いつものティールなんだね」
髪や服を普段のティール─こっちに来た時のもの─に戻していた。外で遊ぶ(?)のなら、そちらの方が都合はいいだろうけれど、髪型まで元に戻す必要があったのだろうか。
「外だから。王子である必要もない」
「どうせ、一、二時間後にはあっち戻るのに?」
「こっちの方が楽なの。……それとも、ラルはあっちがよかった?」
「うん? うーん……? どっちでもティールはティールだし、好き嫌いないけど。……まあ、今の方が見慣れてるから落ち着くかな」
「そっか」
……え、何。この会話……この空気。
別になんてことない会話なのだが、どことなくむず痒いんだが。なんでだ!?
「そういえば、ラル」
「うん?」
「母上に何かされてない? ごめんね、強引で」
「あぁ……大丈夫。前回よりはされてないから。今回はほら、レオン君やツバサちゃんもいたし。セラフィーヌさんの話もしてたから」
そう考えれば、今回は比較的ましだったと思う。前回はフリル地獄だったし。
ティールこそ、ちゃんとブライトさんと話せたの?」
「まあ……一応。途中で終わっちゃったから、気のすむまで本心を語れてはないけどね。……けど、少しだけ話せた」
それは何より。
口下手なブライトさんと奥手なティールがどんな風に話したのか気になるけれど……その辺はティールが頑張ったのだろう。
と、思ったら、ティールは言いにくそうに宙を仰いだ後、苦笑いを浮かべながら口を開いた。
「実は……父上が話を振ってきて」
「ブライトさんから?」
「うん。なんでだろうね。普段なら、あそこまで深く聞いてこないはずなのに、あっちでルーメンさんと何を話したのかとか、それを聞いてどう思ったんだとか……そういうの聞いてきた」
ふむ。ブライトさんがねぇ……?
申し訳ないが、ブライトさんはそれらを思っていても口にすることはない。私の知る限り、ティールと会話を交わそうとしていなかったし、したとしても、事務的で淡々としたやり取りのみだったからだ。
となると、誰かしら間に入っているな。
「母上に何か言われたのかな、そういう話をしなさいって」
「あり得なくはないけど……多分、ルーメンさんの方じゃない?」
直近でルーメンさんはティールと話をたくさんしていたし、ブライトさんとも今回の滞在等々の件で何かしら話す機会はあったはずだ。その中でブライトさんにティールとの会話を促されたのではないだろうか。
「ぶっちゃけ、セイラさんには過去に何度も催促されてると思うんだよね。でも、現状は変わっていない。……だとすれば、別の人物が介入している可能性が濃厚だと思う。なら、そういうことできるの、ルーメンさんだけじゃないかな」
「……そういえば、ルーメンさんにぼくと父上の関係に首突っ込むぞって宣言されてた」
「じゃ、確定。ルーメンさんの仕業です」
「仕業って……いや、間違ってないけども」
とことん、お世話好きというか、策略好きというか。いや、私も人のことは言えないが。
ティールとブライトさんの場合、お互いに嫌悪しているわけではないし、よくなることはあれど、これ以上拗れることはないだろう。少なくとも、ティールが前向きになれている間は、だが。
「明日……明日の夜、また話すことになってる。父上が話したいことがあるって」
「そっか。……大丈夫そう?」
「うん。大丈夫……だと、思う」
そう話すティールの瞳は不安で揺れているように見えた。まだ心のどこかで、ブライトさんを信じきれていないのだろう。
仕方ないのかもしれない。
何年も関り合いを避けてきたのだ。それが、今日明日でぽんっと変わることではない。何事にも整理する時間は必要だし、順応するにも時間はかかる。
けれど、ほんの少しでも背中を押せるのなら。
俯き気味なティールを覗き込むようにして、柔らかく微笑んだ。
「だーいじょぶ! ブライトさんは嘘をつく人じゃない。ティールも知ってるでしょ? どこまでも誠実な人だってさ」
「……うん」
「そんな人が明日、話すって約束したんだ。ティールにその気があるなら、ブライトさんはきちんと応える。……ティールもそうだもん。相棒の私が言うんだから、間違いありません。信じろ、私を」
「……なんか、適当すぎない?」
「そんなことないよ。……なぁに? もしかして、私の言うこと、信じられない?」
「そうじゃないけど」
「なら、大丈夫。……前から言ってるけどさ。私はいつだってティールの味方だよ」
私は立ち上がり、彼の正面に立つ。
他人の私が言える範囲なんて底が知れている。もしかしたら、私が何を言っても気持ちは晴れないかもしれない。
しかし、言葉にして伝えるだけでもほんの少し力になれるのなら。何度だって同じ言葉を紡ぐ。例え、平々凡々な言葉だとしても。
「……何かあったら、一緒に解決策探すよ。一人で悩む必要なんてない……でしょ?」
「……うん。ありがと、ラル」
「いえいえ」
まだどこか堅いけれど、いつもの笑顔を見せてくれた。
せっかく海に来ているのだ。ずっと沈んだ気持ちのままなのも勿体ないもんね。



~あとがき~
海で遊べなかった……(笑)

次回、今度こそ、海で遊ぶ。

なんか雑なのはこの辺がきちっと計画を立ててないからです。『海で遊ぶ』くらいのテーマしかない(笑)

ではでは。