satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第448話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルとツバサちゃんが障害物競走に出場し、ラルが見事一位となりました。他レースの詳細は知らん←?


《T side》
障害物競走が終わってから、私は皆がいる観客席で他の競技の観戦をしていた。
レイ学の体育祭の観客席では、生徒達に決められた席はないので、クラスメイトの仲良しグループで固まっている人達もいれば、クラスや学科も違うお友達同士で一緒にいる人達もいて……皆、好きなように過ごしているみたい。
そんな私も同じクラスのアラシ、同学年だけど冒険科のレオンと一緒にいる。まあ、この二人といるのはいつものことではあるけど、今日はそこにあーちゃんやみーちゃん、シエルもいる。つまり、私の幼馴染み達と一緒なのだ。
あーちゃんやみーちゃん、シエルは学年が違うので、学校で一緒に何かするってことがほとんどない。だからか、皆と観るだけでも楽しくなってきちゃう。
ちなみに、レオンとシエルは、ラルさんと同じ紅組で、私、アラシ、あーちゃん、みーちゃんは白組。組分けは運なので、どうしようもないけど……競技外は敵味方関係ないので、気にしない!
「いや~! 純粋な徒競走、やっぱスピード勝負だし、全体的に三年の先輩達が強かったな~? まあ、ラル達はいなかったっぽいけど♪」
「まあ、ラルなんていたら、勝負にならなそうだけどな……?」
「ん~……確かに。パルクールも速いからな、ラル先輩。現に、障害物競走も速かったよね」
今のところ、ラルさん以外の人達は他競技で見ていない。もちろん、団体競技とかに出てて、見逃している可能性はあるけど……少なくとも、私は見ていないと思う。
競技はルールによって、学年関係なく組まされるので、極端だけど、中等部一年VS高等部三年の勝負も珍しくない。でも、流石に純粋な徒競走なんかは、ある程度、調整はされてるみたいだけど。
「ツバサちゃん」
「ほえ? どうしたの、みーちゃん?」
ぼんやりとアラシ達の話を聞いていた私の肩をとんとんっと優しく叩いてきた。そして、みーちゃんはにこっと笑う。
「そろそろ、私達の出番かな~って♪ ツバサちゃんも出るのよね、『玉入れ』……違ったかしら?」
「ううん! 行く!」
「お、ツバサ、また出番か! いってら~♪」
「うん! 行ってきます♪」
皆に手を振って、みーちゃんと一緒にフィールドに入場できる階段前まで移動する。その道中、みーちゃんが思い出し笑いなのか、くすっと笑みをこぼした。そんなみーちゃんに、私は思わず、首を傾げてしまう。
「あら、ごめんね? ふと、ツバサちゃんが玉入れに参加するって聞いた時を思い出しちゃって。とってもびっくりしたなぁって、ね? ほら、ツバサちゃんって……投擲がアレだから」
うっ……そ、そうなんだけど……!
「私も最初は参加するつもりなかったんだよ。でも、玉入れの玉って当たっても痛くないでしょ? それなら、他の人を怪我させちゃうこともないし、練習になるかなって思ったの!」
こういう機会でもないと、何かを投げる練習もできないからね! いつもなら、アラシが誰かに当たると危ないからって止めちゃうから。
そんなアラシも「玉入れなら」って許してくれたし……体育祭の一競技として、真剣勝負の場だけど、せっかくの機会を逃したくないもん。
「なるほど。……その時のアラシくん、しぶ~い顔してたでしょうねぇ……?」
「ほえ!? なんで分かるの、みーちゃん!」
「なんでって……ツバサちゃんのノーコンっぷりは私達の常識だもの。特にアラシくんは、アレのよく被害に遭ってるし」
「あう……わ、わざとじゃないんだけど……」
でも、みーちゃんの言う通りでもあるんだよね。うぅ、なんでなんだろう……?
運動場は玉入れ用にセッティングがしてあって、それぞれの範囲の中心に背の高いかごが置いてある。その周りに沢山の玉が落ちていた。
「あ、ツバサちゃんだ!」
「ミユル先輩も。二人とも、参加されるんですね」
話しかけられた方向を向くと、紅色の鉢巻をつけた、ステラちゃんとリーフちゃんがいた。二人とも、私達に向かって手を振ってくれていた。
「あらあら、ステラちゃんとリーフちゃんも参加するのね」
「はいっ♪ 参加競技を決める時、ステラと一緒に楽しそうな競技に出たいねって話をしてたので。これにしました! それに、ステラは投擲が得意ですから♪」
「ツバサちゃん、その、玉入れ参加するんだね。……大丈夫そう?」
そういえば、ステラちゃん達も私のノーコンっぷりは知ってるんだった……!
剣技大会の屋台巡りで立ち寄った射的屋さんで、存分にその力を見せちゃってたんだっけ……? は、恥ずかしい……!
「だ、大丈夫! こうやって背を向けて投げてれば、紅組のかごに入ることはないと思うからっ!」
私はくるっと紅組のかごを背後に、玉を投げるジェスチャーをして見せる。
これなら、紅組にも迷惑をかけず、投擲の練習になるし、少しくらいは白組に貢献もできる……はず!
なんてことを思いつつ、ちらっと三人の方をみると、三人の顔はなんとも微妙な顔をしていた。
「ツバサ、それは多分、フラグってやつだよ……?」
「えぇ……確かにそうねぇ」
「物理法則を無視してくるのが、ツバサちゃんの投擲力だもんね~?」
「そ、そんなことないよ! 大丈夫だよ!?」
ふえぇ!? みーちゃん達からの信用がない!
『参加者は揃ったな! じゃあ、学部、学科、学年等々、関係なし! ごちゃ混ぜ参加の団体戦! 玉入れの開始だ~!』
『ルールは簡単です。制限時間内に自陣のかごに玉を入れるだけ。紅組は赤のかごに赤の玉を。白組は白のかごに白の玉を入れてください』
『混ざることはないと思うが……自分の色じゃない玉を入れても得点にはならねぇから、気を付けろよ!? 後、妨害行為も禁止だ! 皆で楽しくをモットーによろしくなっ!』
うんうん……皆がよく知っているはずのルールだね。特別ルールみたいなのもなさそう。
ルール説明も終わり、参加者は係の人達の誘導に従い、配置についた。
うん……頑張るぞ……っ!
競技が始まると、参加者は地面に落ちている玉を拾い、一斉にかご目掛けて投げていく。私も近くの玉を拾い、狙いを定めた。
「……えいっ! え、えと……あれ? どこ、いったんだろ……?」
投げる瞬間、一瞬目を離してしまったのがよくなかったみたい。すぐに見失ってしまう。
よく考えたら、皆が投げる玉が同じ色しているし、私と同じタイミングで投げる人もいる。結果、私が投げたものが入ったのか、そうじゃないのか判断できない……そりゃ、そうだよね。
まあ、それを悔やんでも仕方ない。今度は見失わないようにじっと見てないと!
私はまた、近くの玉を拾い、同じように狙いを定めて、玉をぽいっと投げる。
今度は見失わなかったけど、あらぬ方向に飛んでいくのが見えた。
「ま、まだまだ! 時間はあるし、何度でも投げる……!」
時間内であれば、何度でもチャレンジできるもん。このまましょんぼりしてるのは、もったいない!
私は気合いを入れ直し、再び、玉を拾うのだった。

あれからどれだけ挑戦したんだろう。
ピピーッと競技の終了を告げる笛の音が辺りに響き渡った。参加者はかごの範囲外に出て、結果発表が終わるまでその場に座る。
「ツバサちゃん、どうだった? 練習にはなった?」
「……みーちゃん」
「あら……その様子だと、駄目だった?」
私はしょんぼりしたまま静かに頷く。
全部を視認していた訳じゃないけど、私が見てたものは、どれもかごに入らなかったと思う。
「うぅ……やっぱり、難しいね? 玉入れって」
「そうねぇ……ツバサちゃんにとってはそうかもしれないわね?」
でも、少しくらい練習にはなった……そう思うようにしよう。
私は駄目だったけど、これは団体戦。数が多ければ、白組の勝ちになる。せめて、そこだけは……なんて、思うのはおこがましい、かな?
互いのかごを係の人が確認して、いくつなのかを集計してくれる。その様子をドキドキしながら待つのは、楽しいような、早く終わってほしいような、変な気持ち。
後ろの紅組の様子も気になって、ちらっと背後の様子を窺ってみる。
「……? ──、──」
「───? ────!」
? 何か、あったのかな。
紅組の玉の数を数えている係の人が困ったように何かを話している。そして、その手には赤い玉……ではなく、白い玉が握られていて。
……ま、まさか、ね?
心当たりがない……こともないけど、私は見なかったことにして、視線を白組のかごに向き直る。
そして、まもなく集計が終わったのか、司会のリュウさんの声が聞こえ始めた。
『参加者の諸君、待たせたな! ドキドキの結果発表だ! 勝者は~~!』
少し長めのドラムロールが鳴り、大きなシンバルの音が聞こえたあと、『白組です! おめでとうございます!!』という勝利を告げる声が聞こえてきた。
『そいやぁ、ちょっとしたアクシデントがあって、集計が遅れたんだって?』
『実は、純粋な玉の数は、紅組の勝ちだったんです。でも、それは白組の玉が混じっての数なので、きちんと集計した結果、白組の勝利となりました。安心してくださいね!』
ふぇ…………ちゃんと、背、向けてたのに……!! な、なんでーー!!



~あとがき~
ツバサちゃん、すっげぇな……(笑)

次回、パン食い競争!

玉入れとか懐かしいですね。
記憶が正しければ、小学生の頃にやったきりです。多分。

ではでは。