satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第451話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、お昼休憩となり、のんびり(?)過ごしているラル一行。そこへツバサ一行も合流するご様子。
そんな続きからやってくでい!


《L side》
フォース君に案内された場所は建物の影になっているところだった。校舎、運動場から離れているのもあってか、ここでお昼を食べている生徒はいない。
「流石、フォース。こういう穴場っていうのかな……? そういうの、よく知ってるんだね?」
「ん~……まあ。ここら辺、いつも人少ないんだよね」
何気ないリーフちゃんの質問に、フォース君は平然と答える。その返答にステラちゃんは何か思うことがあるようで、訝しげに彼を見つめていた。
「……つまり、すーくんはこの辺でいっつもサボってるってこと?」
じーっと見つめてくるステラちゃんの視線から逃げるように、彼は明後日の方向を見る。その様子からステラちゃんはぷくっと頬を膨らませた。
「すーくん!?」
「いつもじゃないからいいじゃん。たまにだよ、たまに」
「今! いつも少ないって言ったよね!?」
「おれが来る時はいつもって意味だ」
そら、いつもここにいる訳じゃないだろうね。だって、生徒会室や図書室、屋上等々、君の昼寝場所は沢山ありますものね~?
「ラルさん!? いきなり暴露すんのやめてくんない!?」
「え~? 可愛い後輩のために情報提供してあげただけだも~ん♪」
「裏切り者……」
私は可愛い後輩の味方なのだ~♪
フォース君の恨みの籠った熱い視線は無視して、呑気に口笛を吹いてみる。あからさまに知らんぷりしてやった。
ふふん。愉快♪ 愉快♪
「すーくん! 今日という今日は許さないんだからっ! お説教だ! お説教っ!」
「説教はいいけど、んなことしてたら昼休憩、終わっちまうけど。いいの? 昼抜きでこの後の競技に出るの? おれはいいよ? 食べなくても」
「ぐ、ぐぬ……か、帰ったらお説教だからっ!」
「へいへい。覚えてたらね」
これ、しれっとかわされるまでがオチだな……
「人がいないのはいいけど、地面に直接座って食べるの?」
ここまでのやり取りを完全に無視していたティール─こういう時のティールは一番、スルースキル高い気がする─は辺りを見回して、首を傾げていた。
考えてみれば、ここは建物の影。本来、ここでお昼を食べる想定なんかされていないだろう。ご丁寧に椅子の類いなんて設置してないよね。
「そういう時のフォース君っしょ」
「……おれのこと、なんだと思ってんの?」
「便利屋さん」
「一回、マジで殴らせて欲しい……」
「おお? 殴れるもんなら、どうぞ?」
「…………チッ」
わざとらしい舌打ちが聞こえてきた気がするけど、きっと気のせいだ。
フォース君はパチンッと指を鳴らすと、大きなレジャーシートが出現する。十人は余裕で座れるくらいなので、十分すぎる広さである。
「さっすが、フォース君! 便利!」
ティールさーん。こいつのこと、どうにかして」
「あはは。ごめん、無理。……それより、ラル、なんかテンション高いね? 体育祭、楽しい?」
「うん。それなりに♪」
やはり、最後の体育祭という事実が少なからず影響を与えているのだろう。こうやって、わいわいするのも最後……では、ないと思うけど。まあ、少なくとも、このランダム弁当は今回の体育祭で最後だし、そういった部分だろうな。
「あ、いた! ラルさ~ん!」
私達がくだらない話をしていると、アリアちゃんとレオン君と合流できたらしい、ツバサちゃんがこちらへと手を振っていた。
「よっす! ティール! さっきのパン食いレースじゃ大活躍だったな~!」
「ありがとう。目的の物を手に入れられたし、ぼくはもう大満足だよ」
体育祭、まだ一日目の午前しか終わってないのに、もう満足しとるんか。
……いやまあ、その辺の突っ込みはするまいよ。面倒臭くなりそうだ。
「さて、好きなとこ座って~♪ お昼にしよ!」
「お前が得意気なの、腹立つんですけど」
「じゃあ、フォース君が仕切る?」
「…………いや、いいです」
そうだろうね。
私は全員に座るように促し、ようやくお昼ご飯の時間である。
「あ、そうだ。あーちゃんとステラちゃん達って初めまして、だよね?」
確かに。関われるような機会もなければ、接点もあまりないからね。
「今年の剣技大会ですーくんと戦ってた先輩……あと、さっきのパン食いレースにもいた!」
「逆にそれくらいの知識しかワタシ達にはないんだけどね……? 初めまして、アリアさん……で、いいんでしょうか?」
アリアちゃんとっては、待ちに待ったご飯だと思うけれど、そこは礼儀としてなのか、挨拶を先に済ませるようだ。二人と目線を合わせ、こくりと頷く。
「……ん。好きに呼んでくれていい」
「私はステラです! で、こっちは」
「リーフです。よろしくお願いします」
アリアちゃんは無言でこくりと頷く。アリアちゃんらしいと言えば、らしいのだけれど……多分、もう我慢できないんだろうな。
「……ご飯♪ お弁当♪」
彼女の意識はもうお弁当に向いちゃったな。これ以上の会話は無理だろう。
そんなアリアちゃん。配られたお弁当とは別に大量の食料が入った袋も持参している。
「……流石、アリアちゃん。ちゃんと追加の昼食を持ってきてるんだね」
「…………まあ、アリアだからな」
「いつものことだせ♪」
アラシ君とレオン君が言うなら、そうなんだろうね。
さて、私達も食べますか。
全員でそれぞれのランダムお弁当の蓋を開けてみる。ぐるっと全員分を見てみると、被ったメニューは一つもなさそうだ。
私は、ブリの香味だれがけ。
ティールは、鶏ササミと野菜の生春巻き……と、先程の戦利品。
フォース君は、唐揚げ。
ステラちゃんは、ピーマンの肉詰め。
リーフちゃんは、しらす丼
ツバサちゃんは、豚肉の冷しゃぶ。
アラシ君は、肉巻握り寿司。
レオン君は、アサリの酒蒸しバター醤油
アリアちゃんは、鶏肉の南蛮漬けと持参のご飯と戦利品達。
こうしてみると、圧巻のメニューの豊富さである。きっとここにはないメニューまあるんだろう。ゴンツさん、恐るべし。
「わ~! どれも美味しそうですね♪」
「ツバサは初めてだもんな。……つかさ、毎年のことだけど、食堂の試作品とはいえ、よくもまあ、こんなに用意できるよな……?」
「しかも、生徒全員分な♪」
一年男子コンビの言う通りである。
一回くらい、厨房の見学とかしてみればよかったな。生徒会の仕事と言う体で。
「ラ、ラルさん? それは職権濫用では」
「りぃ、それはいつものことだ」
「いやいや、いつもは駄目だよ!?」
まあ、冗談はさておき。
ツバサちゃんも言っていたけど、どれもこれも美味しそうなメニューで何よりである。私に関しては辛い料理じゃなくてよかった。
……が、ステラちゃんだけはお弁当のおかずを見て、無言で固まってしまっている。それに気付いたツバサちゃんが不思議そうに首を傾げていた。
「ステラちゃん? どうかしたの?」
「へっ!? な、なんでもないよ!」
「……すぅ、残すんじゃねぇぞ」
ステラちゃんの隣に座るフォース君から鋭い忠告─ついでに釘を刺すような視線─が入る。
「わ、分かってるもん……! リーちゃん、ツバサちゃん! せっかくだし、おかずの交換……」
「してもいいけど、全部渡すなよ」
「うっ……! すーくん、うるさいっ!」
「もしかして、ピーマンが苦手なのか~?」
「みゃっ!?」
レオン君の指摘に分かりやすく反応を見せてしまうステラちゃん。
ピーマンの肉詰めを見て、固まってたし、フォース君の忠告やレオンの指摘された時の反応……ほぼ確定だろうな。
「そっか。……お家だと、苦手な食べ物は、フォースが上手く料理してるから、忘れがちだった。確かに、こうダイレクトに出てくるの、久々かも」
「へ~? ちなみに、フォース、どんな風に隠すんだ?」
「定番なことしかしない。ミキサーかけたり、目につかないように混ぜたり。味でごまかしたり」
普段はフォース君の一手間があるから、問題なかったと。流石、ステラちゃんとリーフちゃんの保護者。やることやってます。
「……すーくんの作るお料理はだいじょぶだけど……これは、苦いの、絶対ある……!」
「ピーマンの肉詰め、ピーマンもちゃんと焼いてるけど、苦味は完全に消えないもんね。……ステラちゃん、大丈夫?」
「大丈夫じゃない……!」
ツバサちゃんの言葉にステラちゃんはすでに涙目である。無理に食べる必要はないとは思うが、そこは保護者が許さないんだろうな。
「……『すーくんの作るお料理は大丈夫』と言わせるのは流石ですね、フォース君」
「別に。つか、棒読みに聞こえるのは気のせい?」
「キノセイダヨ~」
「……まあ、いいけど。すぅ、全部はいいから、一個くらいは食べろ」
「で、でも、お箸が進まないというか……」
分かる。嫌いなものって食が進まないよね。体がそれを受け付けないと言いますか。
そんなステラちゃんにフォース君は小さなため息を漏らしつつ、ピーマンの肉詰めを箸割ると、そのまま箸で掴む。
「じゃあ、おれが食べさせてやる。口開けろ」
「へ? や、そこまでしなくても、自分で食べ─」
「今、箸が進まねぇつったろうが。口答えすんな」
「わ、分かったから! そこまで近づけ……むぐっ!?」
ステラちゃんの抵抗も虚しく、フォース君は彼女の口にピーマンの肉詰めを突っ込んだ。突っ込まれたものは食べるしかないので、ステラちゃんはもぐもぐと口を動かし、ごくりと飲み込む。
それを確認したフォース君は無慈悲にも、残りのピーマン肉詰めを箸で摘まみ、先程と同じようにステラちゃんの口元へ運んだ。
「ほれ、あと半分」
「んーーー!? んぐ……ちょ、すーくんの馬鹿っ! 皆、いるとこで、やめてよ!?」
「あ? お前の場合、こうしないと食べんだろ」
「た、食べる! 食べます!!」
「ふぅん? じゃあ、いいけど」
と、フォース君は掴んだピーマンの肉詰めをぱくりと自分で食べてしまう。
「残り二つ、ちゃんと食える?」
「た、食べるもん……っ! って、ラルさん、レオンさん!? なんでそんな顔で見てるんですか!?」
……あら、バレたか。
私とレオン君は、今までのやり取りをニヤニヤとしながら眺めていた。それはもう、よいものを見せてもらいましたよ。
「いいっすね、ラル先輩! 見ました!?」
「もちろんだよ、レオン君。あれが青春というものだよ?」
「にゃはは~♪ 勉強になりま~す♪」
と、盛り上りを見せる横で、アラシ君は呆れた様子で自身のお弁当を摘まんでいた。
「あれがなんの勉強になるんだか……?」
「あはは……お二人の言うことなので」
「私達も食べよっか~♪」
「ツバサはツバサで流石だよな」
「ですね……」
……ちなみに、アリアちゃんは沢山のご飯に、ティールは先程のりんごジャムパンを堪能していたので、こちらの騒ぎにはノータッチである。
ある意味、一番幸せな昼食を過ごしていたかもしれない。



~あとがき~
お昼パート終わりです!

次回、午後パートスタート!

フィクションだから許されるけど、嫌がる相手に無理やり食べさせるのはNGですよ!!!!
まあ、フォースとステラの関係性なのでいいか、と思う私もいるけれど。

ではでは。