satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第447話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回より、レイ学全生徒参加の体育祭が始まりました。ということで、体育祭編となります。いえ~い!
さて、今回の体育祭編、ちょっと特殊な進め方となります。一話の中で視点をがらっと変える箇所がございます。誰視点なのかの判断はいつも通り、《》の内の人物視点となりますので、よろしくお願いします。


《L side》
『──さあ、次に行われるのは障害物競走だ! 参加する生徒はフィールドへ集まってくれよな!』
リュウ君のアナウンスで参加予定の生徒達はぞろぞろと移動を開始する。
「確か、ラルもだよね? 頑張って」
「うん。行ってくる」
ティールは敵のはずだけど、こうやって応援してくれるのは素直に嬉しい。
まあ、敵なんですけども。一人だけな。
「ラルさん、頑張ってくださいっ!」
「ワタシ達も、全力で応援してまーす!」
ステラちゃんとリーフちゃんも笑顔で見送ってくれる。ちなみに、フォース君はいつの間にか席からいなくなっているので、たまたま席を外しているのか、どっかに逃げたかの二択である。
まあ、ステラちゃんがいるので、戻ってくるとは思うけど。
さてさて、私も移動するか!
着ていたジャージを脱ぎ、ぐっと背伸びをする。そして、ティール達に向かってパチッとウインクして見せた。
「しっかり一位取ってくるから、ラルちゃんの活躍、見ててねー!」
「はいはい……全く、調子いいんだから」
「ふふっ♪ 私達はここから、しっかり見守ってます!」
「ラルさんのことだから、有言実行しそうですね~……いってらっしゃいませ♪」
呆れ顔の相棒と可愛らしい後輩達に見送られながら、私は観客席を離れ、フィールドへ向かう。
障害物競走は文字通り、障害物を攻略しながらゴールを目指す競技だ。
麻袋飛び、綱渡り、山登り、縄潜り、段ボールキャタピラー……意外と盛り沢山の障害物達である。それもあって、単なるスピード勝負ではなくなるので、学年等々関係なくレースを行う。まあ、流石に男女分けはされているけれども。
まあ、何がこようと、普段から探検隊として活動する私の敵ではない。校長ではないけど、寝てても勝てる自信すらあるし。
「あっ! ラルさんっ!」
「? あら、ツバサちゃんだ」
体操服に身を包み、頭には白組を示す鉢巻を巻いているツバサちゃんがいた。
ツバサちゃんは笑顔でピコピコと耳を動かし、どこか嬉しそうにしていた。
「えへへっ♪ ラルさんと一緒の競技に出れるなんて嬉しいですっ♪ どの辺のレースに出るんですか?」
「ん? 女子の最終レースだよ」
「ほわ……ってことは、一緒のレースに出るってことですね……!」
と言うことは、ツバサちゃんも最終レースの組ってことか。うーむ、残念。頑張るツバサちゃんを愛でる暇はあまりなさそうだな。
「じゃあ、正真正銘の敵同士だねぇ」
「……はわっ!? そっか! ラルさん、紅組でしたね……!」
今、思い出したのか、ハッと気付いた様子を見せた。そんなところも可愛くて、ついつい頭を撫でてしまう。
撫でられたツバサちゃんは満足そうに笑みを溢しているけれど、これまた何か思い出したようにキリッとする。
「……ラルさん! 例え、ラルさん相手だとしても、私、負けるつもりはありません! 手加減しちゃ、ダメですよ?」
「うん。分かってるよ」
ごく自然に返答したつもりなのだが、ツバサちゃんは疑いの目を向けてきた。ツバサちゃんにしては珍しい顔だなぁなんて思っていると。
「……本当に手加減しないでくださいね?」
「え……? あぁ、うん。しないしない」
ティール達に宣言した以上、一位取る気満々なのは変わらない。でも、そこまで本気になる必要もないと思っていた。だからまあ、手加減するなという指摘は、ある意味、的を得ている。
ツバサちゃん的には、私相手だからといって、手は抜かないでくれ、という意味合いなのだろうけれど。
仮にそうだとしたら、なんだか、ツルギ君みたいなことを言う。彼は負けず嫌いなところを包み隠さず見せていたが、もしかしたら、ツバサちゃんもそんなところがあるのかもしれない。

障害物競走自体は問題なく進行し、私とツバサちゃんの出る番になる。
『いよいよ! 女子の部、最終レースとなったな! いやぁ~♪ 誰が一位になるのか、楽しみだぜ!』
『参加者の皆さんは位置についてくださいね~!』
司会二人が場を繋いでいる間、係の人に誘導され、スタートラインに立つ。
さあってと……頑張りますかね~?
「位置について……よーい、ドンッ!」
パンッとスタートの合図を皮切りに走者が一斉に走り出す。この辺は、ほぼ横並びなのだが、この先はいかに早く障害物を乗り越えるかで順位が決まる。
まず最初にこなすのは、麻袋飛びだ。袋の中に入り、一定の距離を進むだけの簡単なものなのだが、如何せん、動きにくい。
それは全員、一緒なのかここであまり差はついてない……のだけれど。
『おぉ! 白組の一年、なかなかに素早い動きだな!』
『他の皆さんも頑張ってくださいっ』
白組の一年……ツバサちゃんかな?
ちらっとツバサちゃんを見ると、大きな麻袋から顔だけを出し、ピョコピョコと跳び跳ねる女の子の姿があった。
その姿は健気で可愛らしいのだけれど、一体、あの小さな体からどうやって、あそこまでの動きを生み出しているのかは謎である。
……麻袋飛びを終えると、今度は綱渡りゾーンとなる。五メートル程の縄を一回も落ちずに渡りきることで、ここを突破できるようだ。
流石、冒険科が併設される学園。それっぽい障害物である。
周りの走者達はふらふらと慎重に渡ろうとするものの、皆、途中で落ちてしまい、最初からになっている。
ツバサちゃんも例外ではなく、渡りきる前にべしょっと地面に落ちてしまう。ちなみに、縄の下は怪我しないようにふかふかマットが敷いてあるので、何度落ちても大丈夫のようだ。
さて、これくらいの距離なら、ジャンプして渡れるけれど、それは流石にルール違反となってしまう。普通に渡るか。
現役探検隊としては、こんな障害物で失敗なんてしていられない。仮に失敗したら、笑われる! 特にフォース君から!!
『おぉ! 流石! 高等部、生徒会長にして、探検隊『スカイ』のリーダー! 一発成功で渡りきったぞ!』
おい。私だけ身バレするような固有名詞での実況をやめろ。今度こそ、放送部の経費削減するぞ?
私は綱渡りを終え、山登り用の山の前に立つ。とは言え、山登りなんて言うけど、そこまで高いものではない。ざっと三メートル程だろうか。しかし、それなりに急勾配なので、上るのに苦労はしそうだが。
……まあ、これもまた、現役探検隊の敵ではないけどね!
軽々と上り坂を上って、下り坂は一気に滑り降りる。はい。攻略っと。
そして、そのまま、網潜りのゾーンへ差し掛かった。網が動かないよう、複数の生徒達が網の端を押さえ付けている。そのため、端の方は潜りにくくなっているのだ。ってことで、真ん中を突っ切るしかない……本当なら、先頭に誰かいれば、その隙間に便乗して潜っちゃうんだけど、残念ながら、現在は私が先頭である。そして、綱渡りと山登りが行く手を阻んでいるせいか、すぐに誰かが来るような気配もない。
いくかぁ……くそぉ、私が先頭かぁ。
当初の作戦通り、真ん中を突っ切る形で網へと飛び込む。私が中腹辺りまで来た頃、他の走者達もぞろぞろとやってきて、網を潜り始める。
やっぱ、追い付かれるなら、この辺からだよねぇ……まあ、想定内だ。
私がまだギリギリ先頭を守りつつ、網から脱出すると、最後の障害物へと到達する。最後は段ボールキャタピラー……だったか。
輪っかになった段ボールの中に四つん這いの姿勢で入り、ゴールを目指す……らしい。
うん……予想していたけど、四つん這いのままゴールを目指すのは、なかなかにしんどい。これは体の小さい人が有利だな。……例えば、ツバサちゃんみたいな女の子とか。
しかし、そのツバサちゃんは綱渡りに時間をかけてしまったため、私とは順位が離れてしまっている。ここから追い付かれることもないだろう。
そして、網潜りで差は縮まってしまったけれど、周りの走者達は私の敵ではない。
「……私の勝ち」
危なげなく、他の走者達と差もつけ、私はゴールテープを切った
『ゴール! 一位は紅組の三年だーーー!』
ふう……よし。有言実行!
私がゴールしてすぐ、他の走者達もぞくぞくとゴールラインに到達し、ツバサちゃんも四位という結果でレースが終了した。四位は真ん中くらいの順位なので速くもなく遅くもなく……といったところだろう。
「流石、ラルさんです……! とっても速かったですね!」
「ま、現役の探検隊だからね。これくらいはなんでもないよ」
「そうだとしてもですっ♪」
私としてはなんでもないのだが、こう褒められると嬉しくなってしまう。
やっぱり、ツバサちゃんは天使だなぁ♪



~あとがき~
リアルが落ち着いて、「はっ! レイ学更新せねば!」と覗いたら、本編の最終更新が二ヶ月前……だと……!?
お待たせしました……いや、本当に……!

次回、別の競技の様子をお見せします!
果たして、誰が出てくるんでしょう。お楽しみに!

ラルにとって、学校の障害物競争なんて障害物にすらなってなさそうだなぁと思いつつ、書いてました。普段、ダンジョンやらモンスターとの戦闘やらで動き回る方ですからな。
そういう観点から、ラルも競技を選んでそうっすね……

ではでは。