satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第213話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界な物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、いなくなったツバサちゃんとルナちゃんを捜すため、ラルとリランが街中を捜しに出ていきました。
さあ! 私の苦手なあれが待ってるぞ! 大丈夫なのか、私!!


《L side》
しーくんの案内にあった通りの道順で辿り着いたのは路地裏。もう一歩、前に出れば、その路地を覗ける。しかし、今のところ何も気配は感じなかった。やはり、何らかの妨害があるのだろう。
私は雷姫を帯刀させ、いつでも抜刀できるようにしておく。何があっても、反撃できるように。
「……リラン」
静かにという意図を汲み取ってくれたワンコは、じっと私を見つめていた。その瞳からは真剣な思いが伝わってくる。
私は小さく息を吐いて、そのまま路地裏へと突っ込む。
「……っ!? ツバサちゃん!」
勢いよく飛び出した私の目に飛び込んできたのは、白い狐族の女の子。私の声に振り向いた彼女は大層、驚いたご様子で、持っていた小さな石を地面に落とし、足で踏み壊していた。
「ほえ!? ラルさん!」
次に目に入ったのは、奥に倒れる犯人らしき人物達だ。私からはツバサちゃんが手前に立っていることや、距離があって分かりにくいが、恐らく気絶しているのだろうと判断した。五人ほどいる犯人達は全員、ぐったりと動く気配がないからだ。
『あ、ラル! もやもやきえたー! ツバサお姉ちゃんとルナちゃんのはんのーもでてきたよ! ラル、いっしょにいるの?』
という、しーくんからの連絡で、今、ツバサちゃんが壊した石こそがしーくんの探知を阻害していた道具だったのだと悟る。
壊れた今、しーくんの探知の精度が元に戻ったということ。ルナちゃんの反応を捉えたのなら、ここにいるわけで。
「……ツバサちゃん、ルナちゃんは?」
「はわ。ラルおねぇちゃん!」
名前が聞こえたからだろうか。すぐ側に積まれていた木箱からルナちゃんが顔を出した。
ツバサちゃんもルナちゃんも、怪我はなさそうだ。……状況を整理しよう。
倒れる犯人。無傷のツバサちゃんと隠れていたルナちゃん。……そして、先程壊された石。
「……ツバサちゃんが倒したってことなんだろうけど。全く」
なんて無茶苦茶な。
いやまあ、私が言えた義理ではないのだろうけれども。
「わふ!」
「あぁ、リラン。ルナちゃんを頼んでもいいかな。ツバサちゃんは私が連れ出すから」
いつの間にか私の隣にちょこんと座るリランに、そうお願いすると、ルナちゃんの隠れる木箱の近くに近寄る。
「あんっ! あんあんっ!」
「あ! リランだ!」
「リランまで……どうしてここが? 誘拐犯さんが持っていた認識阻害の魔法具で、ここは見つかりにくくなってたはずなのに」
やはり、先程ツバサちゃんが壊した石らしきものは、認識阻害を起こさせるものだったようだ。私は魔法か何かだと思っていたけれど、道具によるものだったらしい。
リランはルナちゃんをエスコートし、表通りへと連れ出す。私達が捜索していた範囲に騎士がいればいいのだが。……まあ、いなくても、リランがルナちゃんを守るだろう。広場の子供達もリランが守っていたのだし、問題はない。
「あ、あの、ラル……さん?」
何も言わない私を見て、どこかおどおどするツバサちゃん。一応、危ないことをした認識、よくないと自覚はしていると思ってよさそうだ。「無茶やっちゃった」と思ってくれているのなら、まだ利口な方だ。
私くらいになると、無茶を無茶だと思わなくなる。そして、相方に叱られると。……私みたいにはなってほしくはないところである。
「……私とリランが来たのは、ツバサちゃん達を捜すため。ここが分かった理由は、しーくん……雫でも探知できない箇所がここだったから。あの子の探知を掻い潜れるのなら、何らかの人為的な妨害があると思って、私が踏み込んだの」
ま、この踏み込みはいらん気合い入れでしたけれど。
「あう……そうだったんですね」
「怪我なくてよかったけど、犯罪者絡みのごたごたに首突っ込むのは、あまりよくないなぁ~……ツバサちゃん、街の人達に愛されてるんだからさ。悲しませるようなことがあっちゃ駄目だよ?」
あのルーメンさんのお孫さんの力を最大限に発揮し、事件解決に一役買ってはいるのだが。……結果論で言えば、よくやったと褒めてあげたいけど、その過程はよろしくないというやつである。
「ごめんなさい……ルナちゃんが誘拐されたとき、相手の使った魔法の魔力残滓が微量ですが感じたので……すぐに追わないと分かんなくなるって思ったら……」
あ、気持ち分かる……あぁ! 駄目だ。私、お叱りできない。思い当たる節が多すぎる! よし! 他の人に任せよう。私はもうだんまりしよう。この件に関して、何も言わない!
「そっか。でも、もう危険なことはなし、だよ?」
「はいっ」
よしよし。いいお返事だ。
「さて。気絶させたとはいえ、いつ起き上がるとも分からないし、何かで拘束しておかないと……っ!」
ほんの一瞬、ピリッと空気が張り詰めた。原因は考えなくても、経験から察した。気絶したはずの犯人からの敵意を感じたのだ。
私はツバサちゃんの前に出て、雷姫を抜刀する。犯人から背を向けていたツバサちゃんは、私の行動が理解できないようで、不思議そうにしていた。
「ほえ……ラルさん?」
「雷姫! 弾き飛ばせ!」
『承知』
雷姫を横に振って電撃波を飛ばし、敵からの飛び道具を弾き飛ばした。恐らく、投げナイフのような軽い刃物。そして、それは牽制であり、本命ではない。
「っだぁぁぁ!!」
大きな雄叫びをあげ、犯人が振り下ろしてきたのはサバイバルナイフ。スキル的には短剣の一種だと判断していいのかな。
「はわ!? 起きてきちゃった!」
「あっはは! んなので、やられる私じゃないわ。舐めないで!」
犯人の起床に驚くツバサちゃんを横目に、私は雷姫を使って、上から降ってきたナイフの刃を滑らせる。そして、敵と至近距離に迫った瞬間、電撃を放つ。もちろん、麻痺と気絶させるくらいの威力で。
「はい。おやすみなさ~い……なんて、街で刀振り回す私の方が不審者なのでは? これ、正当防衛で許されるかな」
『ふふん♪ 許されるじゃろ。相手は下手人。気遣いなど無用じゃ♪』
一人は気絶させたものの、一人、また一人とよろよろと立ち上がってくる。なんとも往生際の悪い誘拐犯達だこと。こちらが女の子だから、力ずくでなんとかなると思われているのだろうか。そうだとするなら、なんとも腹立たしい。
雷姫の言葉に私はにっこりと微笑む。気遣いは無用。一応、相手の方が攻撃は先である。私の刀に斬られても文句は言えまい。
「ふふ。そうだよね? だって、私、探検隊だし。悪いことしてないし。……ツバサちゃん、私より前に出ないでね。そこの影にいてくれると助かる」
「で、でも、私にもお手伝い……」
「さっき、危険なことはなしって言ったでしょ? そういうのは、探検隊やるとか堂々と戦える立場になってから言うこと! あと、私、一緒に戦った経験のない人とは、絶対に組まない主義なので、無理! ほら、行った!」
「は、はい!」
ついさっきまでルナちゃんが隠れていた箱の影にツバサちゃんが身を隠す。そこにいるのは見られているが、私が近づけさせなければいいだけのこと。問題ない。
さて。お世辞にも広いとは言えない空間。得意とは言えない状況だけれど、一度、ツバサちゃんにやられている。つまり、こちらの方が有利にあるのだ。なんせ、一度はノックアウトしているのだから。
そんなやつらに負ける私ではない。
「探検隊スカイ所属のラルでっす。大人しく投降してくれると嬉しいなって思うんだけど~? なんてね。するわけないか」
よろめきつつも、武器を構えるその姿勢は褒めてあげたい。利口とは言えないが。
「んじゃまあ、さくっと終わらせてあげる」



~あとがき~
ふえ~……戦闘シーン……そこまでなかった。

次回、ラルVS誘拐犯!
まあ、さくっと終わらせます。ラルが終わらせる宣言したし。

ツバサちゃんに無茶しちゃアカン!……というのは、ラルにとって、盛大なブーメランですね。彼女、無茶大好き人間なので。無茶を無茶だと思わない行動しかしないので……(笑)
まあ、これは本人も自覚しているんですがね。してるっていうか、言われて「そうなんだな」って感じなので、してると言えるのかは微妙。

ラルの一人戦闘……は、あれだな。ここに来て、そこそこやってますね?
うちのメインでいうと、一番戦闘シーンあるのでは? 剣技大会から始まり、過去編、VSルーメン戦、VSティール戦……そして、今回の誘拐犯戦。多いな、こいつ。流石、主人公。
まあ、さくっと終わらせる予定なんですけどねー!

ではでは!